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紡ぐは過去の光陰か、未来への道標か。


※駄文につき、野次は無用の事とお心得あれかし。
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おしらせ森本狼男さん(126.78.***.141)が退室しました。  (2021/6/15 23:43:55)

森本狼男あれ、ここにも花弁……(言うなり男は女性の頬に手を添え、半ば無理矢理に自分の方へ向かせると顔を被せた――と、その時一陣の風が地に舞い落ちた花弁まで巻き上げ、二人の姿を人々の視界から隠し……桜並木に見守られるように、暫し時が止まった。――散りゆく桜を惜しむ無かれ、薄紅色の衣を脱いだ後には瑞々しい緑の葉が、光を求めて手を伸ばしている。それは秋の紅葉と同じ、終わりではなく始まりなのだ。散りゆく桜を惜しむ無かれ、新緑萌ゆる命の息吹は、まだ始まったばかりなのだ)   (2021/6/15 23:43:02)

森本狼男あ、こんな所に…(不意に男が女性の頬へと手を伸ばす。そっと指先で触れると素早くそれを摘み、驚いて振り向いた女性の視線の先で桜の花弁を風に流した。それは簡単なトリック――男とは、チャンスをじっと待つほど酔狂な生き物では無いのだ。降りしきる花弁の一つを予め握り込み、彼女が振り返ると同時に手を開いて見せたまでの事。はたして女性は気がつくであろうか……否、どのような表情を見せてくれるであろうか。宝箱を覗き込む子供のような視線で見守り)   (2021/6/15 23:42:08)

森本狼男桜並木を一組の男女が並んで歩いている。春の日差しは雲に遮られ、冷たい風が吹き抜けて桜の花弁を降らせる様は、さながら牡丹雪のよう。通行人は他にも数人あったが、皆桜の樹ではなく舞い散る花弁を目で追い、時に憂いの表情を浮かべているが、その中にあって男だけは、傍らの女性を気遣いながら嬉し気な微笑みを浮かべ)……寒くない?……(風上側を歩いて極力風を防ぎながら、男は女性の表情を追って顔を寄せ、そう囁いた)   (2021/6/15 23:40:10)

おしらせ森本狼男さん(126.78.***.141)が入室しました♪  (2021/6/15 23:38:44)

おしらせ森本狼男さん(126.78.***.141)が退室しました。  (2020/6/24 22:59:35)

森本狼男(用は済んだとばかりに踵を返すと、一度だけ振り返って。…意味ありげな視線で見つめてから部屋を後にした)   (2020/6/24 22:59:07)

森本狼男ま、そのうちね、そのうち…(と言いつつ再び書かない可能性もあるのだが、獣の瞳には悪戯っ子のような色が灯っている。何らかの構想はあるものと見えた)   (2020/6/24 22:56:34)

森本狼男随分と埃を被ったものだな。消えてしまうと困るから、保守に来ただけなんだが。   (2020/6/24 22:54:32)

おしらせ森本狼男さん(126.78.***.141)が入室しました♪  (2020/6/24 22:52:45)

おしらせ森本狼男さん(126.78.***.141)が退室しました。  (2017/6/15 22:14:23)

森本狼男(なんでも直せるけど、ただ一つだけ直せない。そんな矛盾に満ちた修理屋の物語は……過去に拘り、過去を背負うつもりが逆に支えられ、共に未来へと歩み始めた男の物語は、こうして幕を開けた)   (2017/6/15 22:14:00)

森本狼男…行ってきます…(そう告げてもう一度唇を重ね、彼女に見送られながら扉に向かう。…部屋に照り込んだ朝日を受けて、お互いの左手に輝く指輪が光を返し、窓に反射する。扉を開いてその姿が消えるまで見送る彼女へと何度も振り返りながら、男はその姿こそが彼女が伝えたかった想いなのだろうと確信していた。一人で足掻いていた今までの自分を、彼女は救ってくれたのだから。男は今や、一人ではないのだから)   (2017/6/15 22:13:16)

森本狼男(「18,86キログラムです。エアカーまでお持ちします」…20キロ近い荷物を持ち上げても、彼女の細腕はビクともしない。それもそのはず、男は彼女が起動したのちも、メンテナンスを怠った事はなかった。外見こそ海辺から持ち帰ってきた時と大差ないものの、中身は最新鋭のカスタム品に勝るとも劣らない)…大丈夫、持てるよ。ありがとうね…(しかし身支度を終えてリビングへと入ってきた男も、昔のままではなかった。以前は60キロを超えるアンドロイドを引きずってしか運べなかったが、今の男の肉体なら両腕で持ち上げて胸に抱く事も出来るだろう。それは勿論仕事に必要な為でもあったが、それだけが理由ではないはずで)……大丈夫だよ、僕が居ない間をお願いね?…(そう言って彼女からトランクケースを受け取ると、唇を重ねる。夢で見た、鼓動まで伝わるような口付の感触とは違うものの、それは今や男にとって、かけがえのない想いを確かめる行為なのだ)   (2017/6/15 22:12:19)

森本狼男……わかった。一応言っておくけど、ダメかもしれないよ。その状態じゃあ気を持たせるようなことは言えないな。ただ…(「貴方に出来なければ、他でもダメなのでしょう?」まさに言おうと思っていた言葉を返され、口を噤む。相手に先に言われると流石に気恥かしくて、そこまでは言わないけどと言葉を濁す。待ち合わせ場所と時間を打ち合わせた後通話を切ると、彼女も機材を並べ終え、男の支度を手伝うため寝室へと戻ろうとする。……男は寝巻のまま軽く制してリビングを覗き込み、並べられた機材を確認すると満足そうに微笑んで)……それで良いよ、適当な大きさのトランクケースに入れてくれる?お願いね。…(感謝の想いを込めてそう返すと、彼女も嬉しそうな笑顔を浮かべる。男の役に立てるのが嬉しくて仕方ないのだ……その様子が可愛くて、愛しくて、身支度を後回しにして彼女に近寄り、思い切り強く抱き締める。柔らかな皮膚素材と、硬質なフレームの感触が胸に返ってきて…)……ありがとう……(ただ一言だけそう告げると、身支度をしに寝室へと戻っていく)   (2017/6/15 22:11:14)

森本狼男(それはもう、家電としてのアンドロイドに持つ感情ではなかった。傷ついた我が子を無駄に人目に晒したくない、そう明瞭に読み取れる表情だった。そうでなければ自分を頼るはずがないのだ。……苦笑いを浮かべつつ男は、ある決まり文句を口にする。それはもう定番となったキャッチフレーズ)……ここまできて僕を疑うのかい?…なんでも直してみせるよ、唯一つを除いてはね。……(「噂は本当だったんですね!」歓喜の表情を浮かべる依頼主に照れくさそうな笑顔を返すと、スクリーンに映し出された頭部を注視する。……まるで医者が患者を見るような、それも、その場でオペをするようなほど高い集中力で、僅かな異常も見逃すまいとほとんど瞬きすらしない。……男の傍に控えていた彼女が通話の内容をモニタリングしながら作業場を兼ねたリビングへと移動し、必要と思われる機材をテーブルへと並べて行く、こちらも手慣れた、鮮やかな手際で)   (2017/6/15 22:10:23)

森本狼男(だが男は自分の立場に満足していた。何よりも彼女は自分の所有する財産などではではく、大切なパートナーなのだから)……ああ、そういうことならいいよ。……で、どんな状況?(潜りの修理屋に普通の修理依頼が舞い込むはずはない。今度の依頼主は、安全装置を外して暴走するエアカーから我が子を守るために飛び出し、代わりに犠牲になったアンドロイドの修理をして欲しいとのことだった。胴体がもげ、ほぼ全損と言える状況だったが、奇跡的に頭部への傷は僅かだと言う。しかし最も繊細な機器を内蔵する頭脳回路は衝撃に弱く、メーカーに修理を依頼したところ廃棄処分して新品と交換すると言うのだ。しかし依頼主はそれを拒絶し、男に修理を求めてきたのだ)……ふむ、なるほど…今スクリーンに頭部を映せるかい?…(依頼主の顔に猜疑の表情が浮かぶ)   (2017/6/15 22:09:48)

森本狼男ああ良いよ、出るから。(通信機の呼び出し音で現実に引き戻された男は、代わりに通話に出ようとする彼女を片手で制して眼鏡のような形をした通信機をかける。左上の一点を凝視して数瞬の後、ガラス面の一部がスクリーンになり、通話相手が表示される)……朝っぱらから御苦労な事だが、この番号を誰から聞いた?…(いきなりのぶしつけな言葉には訳がある。男は数年前から潜りで修理屋をやっているのだ。今やオーダーメイドのカスタムアンドロイドすら自身で手掛けられるほどの腕をもった男は、その腕を生かして修理屋を始めた。だが商売をするにはまず自らの財産を公的機関に申告する必要があった。テログループに密売されそうになった経緯のあるアンドロイドを届け出れば、即刻分解されて精査されたのち、廃棄処分になってしまうからだ)   (2017/6/15 22:09:08)

森本狼男(彼女は…そのアンドロイドは起動した時、即座に男を自らの主人と認め、忠誠を捧げたのだ。ユーザー登録をし直したわけでも、予めそうしたプログラムを組み込んだわけでもなかった。それはアンドロイドの常識からしてあり得ない行動だった。仮に人格データに刷り込みがあったとしても、彼女の記憶は事件の3日後から始まっているのだから、そもそも男を知っているわけがないのだ。……だからこそ男は、あの解析できない一行に込められたものを理解した。そこに刻まれたのは言葉ではなく、想いなのだと。……機械を通して解析できようはずがない。それは今後も恐らく、自らの手が届く領域ではないのだ。自らの命と引き換えに込めた想いの重さを、機械で分析出来よう筈がないのだから)   (2017/6/15 22:08:26)

森本狼男…おはよう…(「メディカルチェックを行います、データリンク」…彼女が姿を変えたアンドロイドが、簡単な健康診断を手際よく行っていく。ベッドに寝ているだけである程度のチェックは既に終わっており、それを彼女の掌についた端末から読み取れば、過去のデータを参照しながら診断が行われる仕組みになっている。……そう、男はその後も研鑽を重ね、彼女の起動に成功していた。長く苦しい時間は費やしたが、男の努力は実を結んだのだ。ただ一つだけ……解析も複製もできない一行のレコードだけは結局謎のままだったが、男はその理由も既に承知している)   (2017/6/15 22:07:35)

森本狼男(時が止まったように唇を重ねたのち、ゆっくりと離れると、いつの間にか彼女の顔が少女のものへと変わっている。それは海辺から持ち帰った家事用アンドロイドのもの。少女らしく愛くるしい笑顔を浮かべる彼女に男は違和感一つ覚えず、指輪を贈った時と全く同じ笑顔を浮かべて見やり…)……ん……(…夢か…それは口にしない。もう何度となく見た夢でありまた、男の胸に失望はない。理由はすぐに明らかになる。その笑顔の主が声を掛けてきたからだ。……「お目覚めですか?おはようございます。」…まるで少女のような声の主に薄眼を開いて応える。目の前には夢に出てきたアンドロイドの姿があった。)   (2017/6/15 22:06:50)

森本狼男(――――ある朝、夢を見た…彼女に指輪を贈った時の夢。年齢の割に大人びて見えるその女性は、端正な顔に緊張した表情を浮かべ、男を見ていた。指輪を差し出してもすぐに喜んだりはせず、自分が受け取って良いのかと遠慮する。だが男はその女性の、そういうところが好きでたまらない。半ば無理やりに彼女の手を取ると、その左手の薬指に指輪を差し入れる。やっと彼女の表情が綻び、満面の笑顔を浮かべると、その笑顔に引き寄せられるように男の顔が近づき、唇が重なる。…柔らかく熱い唇は瑞々しい弾力を返し、高鳴る鼓動が伝わってくるほど、身体が震えてしまいそうなほどの歓喜を伝えてきて…)   (2017/6/15 22:06:10)

森本狼男(そして分かった事がある。やはり記憶回路は初期化されていたのだ。そのアンドロイドの解読可能な記録は、事件の3日後から始まっていた。しかし記憶回路の先頭にたった一行だけ、解読も複製も出来ない記録が残されていた。まるで鍵がかけられたように、解読不能な一行のレコード……しかし男にはその内容を既に理解している。彼女が伝えたかった言葉が、そこに書かれていたはずなのだ。何故ならそのレコードの日付は、テロ事件があった当日だったから。)……ふぅ……(もう一度彼女を…もうずっと彼女の名前をつけて呼んでいるアンドロイドを見つめ、手を伸ばす。解読も、ましてや複製も出来るはずがない。それは人が抱える事の出来る、最大の想いなのだから。男は彼女の髪を梳き頬を撫で、満面の笑顔を湛えて見つめる。そして一言言葉を発する。彼女へ想いを返すように、精一杯の心を込めて)   (2017/6/15 22:05:12)

森本狼男(―――それから男は前にも増して精力的に勉強を続けた。今度はメカニックではなく、エンジニアとして。彼女の記憶回路を分析できれば、何か分かるかもしれないと思ったから。しかし意外にもそれは、初期の段階で絶望に行き当る。……テログループに奪われたアンドロイドの頭脳回路が、以前の記憶を持っているはずがないのだ。主人に絶対服従を誓い、必要とあらば身を呈して主人を守るアンドロイドの頭脳回路は、真っ先に初期化されるはずなのだ。少なくとも新たなボディに移し替えられる前に、初期化の手順は終わっているはずである。……しかし男は諦めなかった。彼女が伝えようとした想いが確かにあったのだから。そして目の前で奇跡を見てしまったから。諦めずに知識を蓄え、機材をそろえて記憶回路の解析に勤しむ日々が続く)   (2017/6/15 22:04:44)

森本狼男……!?……(その途端突然、アンドロイドの瞳に光が灯る。焦点を定めて探るように周囲を見渡す様子を見て男は、慌てて前へと回り込み、右手を握り締める。口元が不自然に歪み、音を立てる…「…ア…イ…シ………」…それだけ言って唐突に、再び瞳が光を失った。まるで何もなかったかのように、再び物言わぬ人形へと戻る様を男は食い入るように見つめるしかなかった。信じられない思いで”彼女”を見つめる。涙が頬を伝う。今一度の奇跡を求めて指一つ動かさずに”彼女”を見続けるも、再びその瞳が光を取り戻す気配はなく)……っ……(一度だけ溜息を漏らし、緊張を解く)   (2017/6/15 22:04:13)

森本狼男(彼女の家自体は決して豪奢な作りではなかったが、確か祖父が資産家だと聞いたことがある。その祖父が贈ったものか、彼女の両親が贈ったかまでは分からないが、ワイナリーが子の生誕を祝って生まれた年にワインを仕込むように、我が子の誕生と同時にオーダーメイドのアンドロイドを作る風習は確かにある。……そうだとすればこのアンドロイドは、彼女が生まれてからの記憶を全て持っている可能性があるのだ。)……まさか…な……(信じられない思いだった。どのような手段を使ってテログループから逃げおおせたかは分からないが、巡り巡ってこうして自分の目の前に現れる偶然などあろうはずがない。男はもう一度アンドロイドに近づくと、先ほど取り落とした指輪を拾い上げ、再び頭脳回路に出来た不自然な空間へと押し込み、後頭部のカバーを締める。このアンドロイドは多分こうして指輪を守ったのだろうから、何か伝えたい想いがあったはずなのだから)   (2017/6/15 22:03:35)

森本狼男(「高価なオーダーメイド品の頭部を強奪し、ボディだけ入れ替えて密売す輩もいる」その注釈には確かにそう書かれていた。動揺を抑えつつテーブル脇のモニターに手を伸ばし、3年前の事件を検索する。死亡者リストに彼女の名が浮かぶと一瞬手が止まりかけるものの、歯を食い縛ってその先へと読み進めて)……やっぱり……(テログループは犯行時、数体のアンドロイドを持ち去っていた。詳細までは分からなかったものの、そういえば彼女の家には確かに家事用アンドロイドが居た事を思い出す。そのアンドロイドは成熟した女性の姿形であったがゆえに全く想像もつかなかったが、この頭脳回路は恐らくは彼女の身の回りの世話をしてきたアンドロイドのものなのだろう。男は両腕を組んで黙考を続ける。)   (2017/6/15 22:03:05)

森本狼男……そんな…はずは……(それ以上は声が震えて言葉にならない。押し込んだ指輪を取り落とし、かろうじて動く指先で頭脳回路に刻印された製造番号を指でなぞる。……それは27年前……彼女が生きていれば今年、同い年になった事だろう。…量産品にはあり得ない事に、製造された月日も刻印されている。それは彼女の誕生日と全く同じだった。)……っ!……く…………(瞳から涙が零れ、頬を伝う。ボディは確かに量産品だった。だがこの頭脳回路は、明らかにオーダーメイドされたものだった。先ほど読んだ書物の注釈が思い起こされる)   (2017/6/15 22:02:37)

森本狼男(後頭部のカバーが開かれる。内部にはびっしりと配線がなされ、複雑に絡み合っている……今まで頭脳回路は自分の手には負えないと思い込み、配線が切れていないか程度しか確かめなかったから分からなかったが、改めて開いてみると不思議な事に気づいた。配線が明らかに、不自然に押し広げられているのだ。……その理由は見て即座に理解した。男は自分の指から指輪を抜き取ると、試しにその不自然な空間に押し込んでみる)……やっぱり……(ピッタリと嵌り込む。複雑な配線がなされた頭脳回路部分に異物を押し込めば、不具合が出るのは当然と言えた。…何故…そう思う間もなく、男はもう一つの不自然な点を見つけ、愕然とする。)……まさか……そんなはずは!   (2017/6/15 22:02:07)

森本狼男(その一文は頭脳回路に関する注釈だった。家事用アンドロイドには違法改造や不法行為を未然に防ぐためのプロテクトが施されている。しかし量産品であるが故、そのプロテクトは専門家の手をもってすれば、さして手間もかからず解除できてしまうのだと言う。そのため違法に頭脳回路を改造したり、高価なオーダーメイド品の頭部を強奪し、ボディだけ入れ替えて密売したりする輩もいると言う。それは、そうした行為に手を貸さないためにメカニックに向けた啓発文であったが、男は逆の意味にしかとらえられなかった)……これは……(もう一度そう口にし、瞳に微かな希望の光を灯して立ち上がる。「彼女」に近寄り、人口頭髪の下に巧妙に隠されたカバーを外し、後頭部を開いていく)   (2017/6/15 22:01:31)

森本狼男(それから数日間を、男は呆けたように過ごした。…何も手につかなかった…最愛の女性を2度失ったような衝撃に、立ち直ることができなかったのだ。彼女が直りさえすれば、真実が明らかになると信じていたから。死ぬことも考えたが、しかしそれは彼女が許さなかった。物言わぬ家事アンドロイドではあっても、男はこの一年間を彼女とともに過ごしてきたのだから。今更物扱いに戻すことなどできない相談だった。作りものの髪を指で梳き、愛おしそうに彼女を見つめた後、男は散らばった――それは先に、彼女が目覚めなかった時に癇癪を起して自ら床に叩き付けた物であったが――床に散らばった書物を拾い上げながら、無意識に開いたページに目を通す)…………これは?…………(ふとある一文に目が止まる。絶望に沈んでいた瞳に光が灯り、大きく見開かれ)   (2017/6/15 22:00:56)

森本狼男……何故だ!…どこがいけない!!…(振り上げた手が叩きつけられ、テーブルが悲鳴を上げる。…確かに通電しているにもかかわらず、彼女は……もう男が、今から数えれば4年前に死んだはずの彼女の名前をつけて呼んでいる家事用アンドロイドは動かなかった。……こうなるともはや稼働系の問題ではない。頭脳…現代のパソコンで言えば、CPUに相当する部分に障害があるとしか思えなかった。それはもうメカニックの仕事ではない。プログラマーやエンジニアと呼ばれる人間の領分である)…………くそ!!………(机に並べた書物を癇癪に任せて叩き落とし、まき散らす。瞳いっぱいに涙を溜め、天を仰いで再びテーブルに拳を叩きつける。…床を冷たい涙が濡らし、嗚咽の声が漏れるのを、もはや男は止める事が出来なかった)   (2017/6/15 22:00:11)

森本狼男(――――それから1年の月日が流れた。男は書物を買い込み、時には友人を頼り、寝食を削ってアンドロイドの修理に必要な知識を得ていった。パーツの入手は時には、正規の経路でないこともあった。だが男はまるで、アンドロイドを彼女のように大切に扱い、想いを注いでいった。そのアンドロイドが目を覚ませば、全てが明らかになる、そう信じて)……ここと、ここ……っと。……うん、いいはずだ。……(大体の修復が終わって配線を確かめる。もう既にこの男は、簡単な修理なら自分の力で出来るであろう程のメカニックとなっていた。何故ならなるべく元のパーツを温存したかったから。時には丸ごとパーツを交換した方が早い場合でも、元のパーツを残すことに拘ったから。)……動いてくれよ……(祈るように言葉を発し、電源を入れる。通電を示すランプを見つめながらも、胸の高鳴りが抑えられない)   (2017/6/15 21:58:36)

森本狼男(指輪を見ても答えが出ないとすれば、少しでも答えに近づく鍵はあのアンドロイドが持っているのだろう。そう考えた男は、再びリビングへと戻ってアンドロイドの状態を見る。ところどころが傷つき風化していたが、それほど大きな損傷があるようには見えなかった。しかし海辺に打ち捨てられていたのだ、内部がどうなっているかまでは分からない)……こりゃあ、どうすればいいんだ?……(いかに簡略化された量産品といえど、その修理は素人の手に負えるものではなかった。かといってこのままメーカーに頼めば、廃棄処分されて新たなアンドロイドが送られてくるかもしれない。この時代のアンドロイドは家電であり、想いを注ぐのは一部の好事家か、オーダーメイドしたアンドロイドを惜しむ富裕層のする事だからだ。)……ふむ……   (2017/6/15 21:57:58)

森本狼男(イラついた気分をやっとの思いで静めながら、引き出しの奥からケースを探し当てる。決して雑に扱っていたわけではないが、そのケースをすぐに探し当てられなかった自分に腹が立って仕方がない。時を経た分彼女への想いが薄まっているとは考えたくなかったから。だが、事実は目の前にある。)…………っ……やっぱり………(震える指先でケースを開くと、そこには先ほど拾った家事用アンドロイドが身に着けていたのと寸分違わぬ指輪が現れる。自分が持っていた物の方が大切に保管していた分だけ真新しく、時間の流れの違いを感じさせた。だか同時に疑問な点も浮かぶ。『3年間も野ざらしにされていたにしては、もう一方の指輪は汚れが少ない』のだ。どういう事かと二つの指輪を見比べたが、答えが出るはずもない)   (2017/6/15 21:57:18)

森本狼男ふぅ……(海辺から持ち帰った家事用アンドロイドをやっとの思いで部屋まで運び、男は大きくため息を漏らす。マンションの入り口からは作業用ロボットが手伝ってくれたものの、部屋の中まではそうはいかない。男は家事用アンドロイドを持っておらず、自力で運ぶしかなかったからだ。だが男は疲れ切った身体に鞭打ち、一つ奥の部屋へと入って何かを探し始める)……くそ!……前はいつでも見える位置に置いてたはずなのに…(探しているのは小さなケース。3年前に彼女に贈った指輪の、もう一対が入ったケースである)   (2017/6/15 21:56:20)

森本狼男 ……っ!?…く……(指輪の裏に刻印されたイニシャルを見て息を呑む。間違いなく彼女に贈ったものだ。…映画やドラマなら、ここで男も常にその指輪を携帯し、あるいは自分も身につけていて二つを比べたりするのだろうが、流石に世の中そんなに甘くはない。男が持っているもう一対の指輪は家に置いてあった。しかし見間違えるはずのないその指輪を、アンドロイドが、しかも打ち捨てられたまま回収されずに自分の前に現れるとは思っても見なかった。「偶然」の一言で片付けるわけにはいかない)……ん、く!!……重っ!!……(家庭用に小型化されたアンドロイドではあるが、その重量は60キロを超えている。抱きかかえようとしたが上手くいかず、引きずりながらエアカーへと引っ張っていく)……ち、どこまでも様にならないね、僕は……   (2017/6/15 21:55:41)

森本狼男 ……?……(腰を曲げて砂地にしゃがみこみ、もう少し観察する。特に意味はなく興味からだったが、近くで見てみると胸騒ぎが止まらない。姿かたちはまったくの量産型であり、特徴などはないのだが、何か違うのだ。男の記憶に訴えかける違和感。その正体を突き止めるべく必死に視線を動かし、観察する)……これは……どういう…ことだ?……(呻くような声を必死で絞り出し、アンドロイドの手を取る。その左手の薬指にはまっている指輪には見覚えがあった。3年前、将来を誓った女性に贈ったはずの指輪……この時代では事件の定番となった、テロ行為により死んだはずの、恋人に贈った指輪にそっくりだった。震える指を伸ばし、ゆっくりとアンドロイドの左手から指輪を外す)   (2017/6/15 21:55:02)

森本狼男> なるほど…ね……(音もなく静かにエアカーが止まる。近寄った物体の正体は実は、エアカーの中からでも推測できた。なぜなら近寄ってもアラートが鳴らなかったからだ。人間が近くに寄れば、速度に関係なくアラートが鳴る仕組みのはずのセンサーに反応しなかったということは、人型をした物体が人間でないことを物語っている)……だからといって、見捨てておくのもなんだよねぇ……(ガルウィングのように扉を真上に跳ね上げ、そう言ってエアカーから降りる。砂地を踏みしめて近寄ってみると、それは薄汚れたメイド服を着た少女型のアンドロイドだった。特徴的なものはなく、今ならどこの家庭にも一台はあるであろう家事用のアンドロイド)…しかし、こんなところに捨てていったら不法投棄で罰金ものだろうに……   (2017/6/15 21:54:28)

森本狼男(海岸線が視界に入ってくるにつれ、自動でエアカーが速度を落とす。砂地では排出するエアーの関係から、環境への影響が懸念されるからだ。……ゆっくりとしか進むなくなったエアカーを更に海岸線に寄せて走らせていくと、妙な物体を見つけて)……ん?…なんだありゃ……(遠目に見ても人型に見える。その物体は、この時代ではありえない光景だった。何故ならどんな場所にも救急ロボットが配置され、行き倒れることを許さない。自殺すら犯罪に認定される世の中にあって、海岸線で蹲る人間がいれば、すぐに保護されるからだ。しかし男は妙な胸騒ぎを感じ、その物体へとエアカーを寄せていく)   (2017/6/15 21:54:03)

森本狼男(西暦という単位すら改まって久しい未来。現代なら自動車に該当するであろうエアカーを運転する男は、ウィンドウから外を見ていた。……車というよりまるで戦闘機のようなフォルムを持ち、エアーを噴出して車体を支えるその乗り物は、短い翼でバランスをとり、平坦な地面であれば整地されていなくても駆け抜ける。それでも、男が運転するエアカーは一世代前の型落ちした安物であり、決して洗練されたものではない)……夕日がこんなに眩しいのも、珍しいね。…(日照に応じて明度を自動調節するスモークガラスを通してさえ眩しい光を横から受け、男は目を細める。もう少し行けば海岸線に出る。そこで一息つくつもりでフットペダルを押し込み、速度を上げていく。障害物や接近する危険な物体があれば、アラート(警戒音)が教えて自動制御してくれるはずだから。危険な状況を回避できるまでにしか、速度が上がらない設計になっているから)   (2017/6/15 21:53:36)

おしらせ森本狼男さん(126.78.***.141)が入室しました♪  (2017/6/15 21:52:57)

おしらせ新規ルームを作成完了しました。(126.78.***.141)  (2017/6/15 21:52:11)


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