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この部屋は、風間樹♂(部屋主)が暇潰しに作った文章(ショートストーリー)の倉庫です。
今は小さな本棚に数冊の本が並ぶだけですが、いつか棚一杯に溢れる程の本が並ぶと良いですね。
感想部屋も設けさせて頂きましたので、宜しくお願いします。
http://chat.luvul.net/ChatRoom?room_id=34932

部屋主 風間樹♂
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おしらせころさん(Android 153.232.***.60)が退室しました。  (2016/12/4 19:49:18)

おしらせころさん(Android 153.232.***.60)が入室しました♪  (2016/12/4 19:49:05)

おしらせ風間樹♂さん(111.234.***.140)が退室しました。  (2013/5/31 18:49:50)

風間樹♂(青空を求めているのに、灰色の雲が活躍の場を求めてるようにさ迷う姿を見て、小さなため息をもらし)…今年も、このまま梅雨に入っちゃうのかなぁ…(四季折々の世界観は好きだけど、皐月の暦を捲るに少しのためらいを持つ)5月は私の誕生月でもあるから…もう少しゆっくり時が経てばいいのに…(小さな一人言を口にし、庭の片隅に咲きだした紫陽花を、そっと一輪切りダイニングテーブルに飾る)気がつくかな?もう季節が変わることに(仕事に追われてる彼の体を案じながら、ほんの一時の癒しの空間作りを楽しむ)【著者:なつみ】   (2013/5/31 18:49:41)

おしらせ風間樹♂さん(111.234.***.140)が入室しました♪  (2013/5/31 18:49:17)

おしらせ風間樹♂さん(111.234.***.140)が退室しました。  (2013/5/31 18:47:29)

風間樹♂【白雪】「はぁ…」息を吐くと、白い水蒸気が空へ登る。3月だというのに、朝方は冬の寒さを残し、周りには白い雪がほんのりと積もる「もうすぐ春なのに、雪なんて嫌になっちゃうなぁ…、今日は合格発表なのに…」喋りながら足を踏み出すと、積もった雪に足が滑りそうになる「早く暖かくなって4月にならないかな…。4月になったら…」そう、4月には憧れだった先輩の居る高校に入るんだ!雪で滑りそうになるのをこらえながら、力強く一歩を踏み出す。毎日勉強した。好きなテレビも我慢した。やれることは全てやった。だから大丈夫!「…でも」そう思っても、発表の場へ近づくと心臓の鼓動は早まり、足取りは重くなる「ここ…かぁ」合格者を示す掲示板の前にたどり着く。そっと顔を上げ、自分の番号を探す。「私の番号…、私の番号…」なかったらどうしよう、そんな考えが頭をよぎる。「私の番号…あ…、あった…!」何度も何度も、番号を確認する「良かった…これで私も…」先輩と同じ高校に行ける!憧れだった先輩との高校生活、それは私にとって夢にまで見た生活だ。白雪を見て、微笑みながら呟く。「恋という夢を見る白雪姫は、先輩のキスで目覚めないと…ね」【著者 乱】   (2013/5/31 18:47:20)

おしらせ風間樹♂さん(111.234.***.140)が入室しました♪  (2013/5/31 18:47:13)

おしらせ風間樹♂さんが退室しました。  (2012/1/30 00:03:44)

風間樹♂『宇宙』…一番素敵な色って何だと思う…?(彼女から尋ねられた質問が未だに僕の中でぐるぐると回り続けている。宇宙飛行士候補の適正試験で落ちた僕を励ます為の言葉だったのは何と無く分かっていたけれど、僕はその問いに対して何も告げられないままに夢の軌道修正をしていたのだった。宇宙開発機構『JAXA』に入社して早や3年の月日が経ち、思い描いていた自分の夢と現実との乖離を思い知らされた時に告げられた言葉に、今も救われている気がしてならない。漆黒の無重力な世界から見下ろす筈の青く輝く地球…。何度も夢に観た瞬間の実現だけが僕を支えていたと言っても良いほどだったはずなのに、奇妙な事に挫折感はそう感じなかった。普段と同じ休日を過ごす。夜風を部屋へと誘い入れる様に窓を開け遠くの街の灯を眺め、その問いへの言葉を探す自分が居た。そして夢に一番近い自分の居場所を手に入れられた気もしている。机の上に置かれた自分のIDをそっと握り締め、明日から始まる与えられた仕事に思いを馳せ静かに眠りに就く。『管制官』と書かれた宝物を大切に握り締めて…。)   (2012/1/30 00:03:39)

おしらせ風間樹♂さん(175.103.***.4)が入室しました♪  (2012/1/30 00:03:34)

おしらせ時雨さんが退室しました。  (2012/1/29 17:22:20)

時雨★女性利用者様へ 要注意人物・ミストさん(220.108.***.54)の事でお知らせします。この人は初めはオープンチャットで世間話をしある程度仲良くなると、携帯のメアド&電話番号を聞きだし、恥ずかしい写真を要求してきたりします、その恥ずかしい写真を送りつけたら最後、SMサイト関連の所に写真を載せるという卑劣な奴です、私も被害に遭いました、要注意人物・ミストさんは、ルーム名【霧に咲く菜の花】http://chat.luvul.net/ChatRoom?room_id=37825 でなのはさんと言う人と交流を取っているようですが、私はなのはさんが心配です、皆様も・ミストさん(220.108.***.54)には十分に気を付けて下さい   (2012/1/29 17:22:18)

おしらせ時雨さん(58.188.***.214)が入室しました♪  (2012/1/29 17:22:14)

おしらせ風間樹♂さんが退室しました。  (2012/1/29 11:12:59)

風間樹♂ 「それでは、最後の仕上げに…っと」かまくらの中にろうそくをたてる。小さな灯火がかまくらの中にともり、あたりをほのかに照らす…。「はぁ、かまくらの中だと、ろうそくの火でもあったかいなぁ…」一仕事やり終えた充足感で、私は満足そうに微笑む。「さって、次はお餅を持ってきて、かまくらの中で食べよっか」雪が降った翌日。色々と大変ではあるが、私はかまくらを作ったりお餅を食べたり、銀世界をたっぷりと堪能した。ん、やっぱり雪は良いよね♪【著者:乱】   (2012/1/29 11:12:53)

風間樹♂ 【雪】「はぁ、さっむーい…」息を吐くと、空気が白く曇る。そして見渡す景色も、白一色。「うーん、一晩でよくこんなに積もったもんだ…」昨日は突然の大雪。昨日まで見えていた風景は全て白一色に染められ、一面を綺麗な銀世界へと変えていた。「突然の大雪なんて、本当困るよねぇ…。ん、でも、そのおかげでこういう楽しみ方もできるんだけど」シャベルを片手に、出来上がってきた雪の建造物を眺める。「かまくらなんて、作るの何年振りだろ?」独り言を喋りながら、ゆっくりと雪を積み上げていく。シャベルを動かすたび、額から汗が流れるが、かまくらを作るのに夢中になっている私はそんなことは気にしない。「よいしょ・・・んっ、でっきたーっ」そして、できあがったかまくらを満足げに眺める。   (2012/1/29 11:12:30)

おしらせ風間樹♂さん(119.150.***.3)が入室しました♪  (2012/1/29 11:12:25)

おしらせ風間樹♂さんが退室しました。  (2012/1/11 23:02:22)

風間樹♂『新年』…今年はどんな年になるのかな…。(珈琲を片手に何気無く呟く言葉と、束になった年賀状を一枚一枚丁寧に捲る。懐かしむ眼差しが注がれる葉書、一人一人思い出していく作業は案外と楽しい。長い時間を掛けて一人ほくそ笑んだり考え込んだりと、端から観ると随分と滑稽だろうが…。一本の煙草の先に火を付ける頃には作業も随分と進み、束は半ばを越えていた筈だ。その中の一枚に随分と懐かしい名前を見つけた。手にしたその葉書を見つめ、自らの幼稚園時代を必死に思い出し始める。)…お気に入りの場所は園庭の広い芝生の上だったな…。(独り言と共に徐々に鮮明になる記憶の中では、毎日はしゃぎ回る僕を追い掛け回す先生の姿と、その光景が輪を描き、やがて園児全員での追いかけっこになると言う何ともベタな話だが、物静かな僕が初めて他人に表現出来た自己主張と言う掛け替えの無い思い出の日々なのだ。)…変らずお元気そうで良かった…。(微笑を浮かべまた捲る作業へと戻る、一年間の感謝と新年の想いが詰まったこの束を今年も楽しみながら捲る作業は夜まで続いた…。)…今年も良い年でありますように…。【著者:風間樹】   (2012/1/11 23:02:19)

おしらせ風間樹♂さん(110.0.***.50)が入室しました♪  (2012/1/11 23:02:13)

おしらせ蒼月さんが退室しました。  (2011/11/1 05:58:58)

蒼月『相棒』 「もうお前とはやっとれんわっ!」そう言うて出て行ったんや。俺はな、こいつとやったらずっといけると思とった。これからは二人でM1狙って皆を笑らかそうと思てたんや。ずっと一緒にいた相棒やのに、これからこいつの代わりどうやって探したらええねん?せやろ?え?原因?…まあ、俺かてしょうもない事やったと今思たら反省しとる。あいつが楽しみにしてた豚まん、俺が食ってもうたからな。せやけどそんなんでコンビ解消するか?せんやろ?なあ!どう思う?…意気込みながらも肩を落とす友人に一言。「あんまん食うか?」友人「おう。」11月の晴れた日、澄んだ空に浮かぶ雲の下、撲は友人とコンビを組んだ。【by蒼月】   (2011/11/1 05:58:11)

蒼月【風間さんより戴いたキーワード 『澄んだ空に浮かぶ雲』、『ずっと一緒だった相棒』、『肩を落とす友人』で試験的に書いてみました。お目汚し失礼致します】   (2011/11/1 05:55:54)

おしらせ蒼月さん(110.67.***.77)が入室しました♪  (2011/11/1 05:54:53)

おしらせ風間樹♂さんが退室しました。  (2011/10/17 18:33:23)

風間樹♂(それにしても、彼女の事を何一つ知らない…、思い切って疑問を問い質す事にした。)俺を助けた時に、「借りがある」って言ってたよな…?どういう意味だったんだ。(少し間を取り歪む口元が静かに開き、予想とは違った微笑みと台詞を聞く事になる。)それを私に言わせるの…?それにしても貴方を助けて正解だったわ。私達だって好き好んで「狩り」をする訳じゃないのよ。生きる為の必要悪とでも思って欲しい、化け物だって心はあるんだから…。(初めて見せる小夜の人間らしい部分、微笑む小夜はまるで普通の女性に見えて、ほんの少し心が救われた。)化け物か…、それも良いさ…。(単純に本来踏み越える筈だった「死」への境界線を、間違って「化け物」の方に踏み越えただけの話だ。生きる意志を取り戻すためにも、一つしておかなければ…。)小夜、一つ頼みを聞いてくれないか…?一人男を捜して貰いたいんだ。(小夜に注ぐ眼差しに迷いは無く、赤く輝く瞳の奥は、薄暗い部屋でぎらつき光を増していく。それは二人分の人生を歩む覚悟の表れかもしれない…。)【著者 風間樹】   (2011/10/17 18:33:06)

風間樹♂(久しぶりに夢を見た…。揺らされ起こされるまでの束の間の幸せだった気がする。綺麗な泉から止め処なく溢れ出す「それ」で乾き切った喉を潤し、久し振りに味わう満足感に…、夢は此処で終わる…。部屋の隅で蹲っていた筈の体は、ベッドの上で仰向けになっている。隣で佇む影が、こちらを見下ろす形で静かに赤く輝く虚ろな瞳で見つめ、無機質な口元が歪む…。)初めての獲物の味は如何だったかしら…?(嘲笑とも取れる口調と声色に、眉を潜めあからさまに不機嫌さを露にし、睨み付ける瞳からは大粒の涙が零れ頬を伝う。気持ちとは裏腹に流す涙に、小夜はご満悦そうだ。)こうなる事を小夜は最初から分かってたんだよな…?(荒み切った心は、誰でも良い…何処でも構わない…不満をぶつけたくて仕方が無い。荒げた語気で浴びせられる言葉を、小夜は黙って聞いていた。)   (2011/10/17 18:32:48)

風間樹♂樹くん…、少し痛いよ…。(彼女の喉元に噛み付く牙が白く透き通る肌を破り深く小さな傷を付け、傷口から流れ出す血の香りが狭い部屋に少しずつ広がり、汗の匂いに混じっていく。溢れ出す鮮血が吸い付く唇を真紅に染め、口に広がる血の味と喉を鳴らす音が、小さくなっていく彼女の声に代わり大きくなり…。腕の中で小刻みに震え次第に冷たくなる彼女の体を、力の限り抱きしめる。)樹くん…寒いよ…。(彼女の最後の言葉が胸に突き刺さり、吸い尽くした唇が喉元を離れ、白く輝く様な冷たい肌に血が滴り落ちる。)俺はなんて事をしてしまったんだ…。(「死」から逃れる代償に、呪っても呪い切れないほどの罪悪感が、彼を押し潰しそうになる。無機質な彼女の横顔がだらりとし、閉じた瞼は永遠に開かれる事は無い。)…こんな結末って、悲しすぎる…。これが「狩り」の意味だったのか…。(溢れる涙で良く見えなかったが、冷たくなった愛しい骸を毛布に包み、そのまま気を失った。)   (2011/10/17 18:32:25)

風間樹♂(彼女の安心し切った眼差し、高鳴り始める心音に、抑え切れない衝動をぶつけるように、互いに腕を絡め摺り寄っていく。安物のベッドが絶え間なく軋む音を立てて、二人の影が重なり合う。)…嫌な事忘れさせて…。(切ない吐息に混じり込む彼女の小さな声に、一言二言…言葉を返して、手負いの獣が傷を舐め合うように激しく求め合う。一つだけ彼女と俺を隔てていたのは、互いの「何を」求めていたのかだった。彼女の艶やかな肢体から伸びる手が絡み合う最中、起用に俺の衣服を脱がし始め、それに応える俺の指先が、彼女の唇から漏れる甘く切ない声を出させ…。抑え難いもう一つの衝動がゆっくりと首を擡げ、繋がり始めた頃彼女に襲い掛かる事になってしまう。心では嫌だと叫び、生存本能がその行為を助長し次第に、本能に押されるように喘ぐ彼女の喉元へ唇を寄せていく。揺れる度に喘ぐ声が大きくなる中、衝動のままに牙を剥く。)   (2011/10/17 18:32:05)

風間樹♂(はっきりとした日時は覚えていない。確か俺は死に掛けた筈だった事だけが鮮烈に思い出される。飲んだ帰りに、家路を急ぐ為に普段使うことの無い路地を一人歩いていた。背後から駆けて来る足音に振り向いた瞬間、ドスンとぶつかる音と、にやけた顔で走り去る見覚えのある男の顔…。そうだ、バーで軽く口論した男だった気がする。少し経ち鈍い痛みが腹部を襲い、止め処無く流れ出す血がシャツを真っ赤に染め、冷たいアスファルトに蹲り、「死」を覚悟した事を思い出した。薄れゆく意識に語りかけられた言葉…「この量だとまず助からないね、あんたには借りもあるから、好きな方を選びなよ。このまま死ぬか、私達と一緒に生きるか、どっちかに決めて」上から聞こえる小夜のその声に、必死で宙を舞う血塗れの手を伸ばし…。記憶はそこで終わっていた、死んだのか…。一体どうなったんだ…、答えの無い疑問がまた俺を苦しめ始める。記憶が戻ったせいなのか、夢だと思っていた目の前の風景、彼女の手の温もりや、匂いを感じ始め現実に引き戻される。)   (2011/10/17 18:31:43)

風間樹♂(気が付いたのか、虚ろな目で彼女が振り向く。彼女の表情は穏やかで、赤く染めた枕の跡を残す頬と口元が優しい笑顔を作り出し、柔らかな口唇からは甘えた声が奏でられて…。)…おはよう、ベッド占有しちゃって、ごめんね。樹くんも横になる?(現実ならどんなに良かった事か、女々しくも想いを引き摺る心中、彼女の口から放たれた言葉の中にある「樹くん」が気に掛かり、今まで浮かんでいた嫌な想像を確信に変えてしまう。これどうなってんだ…夢なら早く醒めてくれ。半ば混乱気味な中、現実味の無い映像を目の当たりにし整理の付かない気持ちと記憶が、今まで思い出そうと必死だった記憶の壁を突き破り、忘れていた記憶の箱を紐解いていく…。そう、小夜と過ごした夜の事を…。)   (2011/10/17 18:31:24)

風間樹♂(現実味の無い感覚とは、夢を見ているような感じだ…。自らの意思で見ると言うよりは、無理やり見せつけられるのに近い。暗い室内を見渡す視界に、ベッドの上の女性が映り込む。…見覚えのある後姿に、忘れかけていた出来事を思い出すと、嫌な出来事と共に記憶を反芻していく。美津子も疲れたんだろう、ぐっすりと寝息を立てて…。笑ってはいけないと分かっていても、その無防備な寝息を立てる姿に、軽く可笑しさが湧き上がってしまう。釘付けになるその視界は、静かに彼女へ向けて距離を狭め、遂には隣に寄り添う形で彼女の姿を映し出す。小さな音を立てベッドが軋み、彼女も沈み込んだように見えた…。寝息と共に上下するうつ伏せの寝姿が、学生時代のあの淡い気持ちを呼び起こし、不思議と懐かしさで胸が締め付けられていく。視界の脇から伸びていく手が、彼女の髪を触り指先が髪を透く。…これ、自分の手じゃないのか?、それに…。何気無く浮かぶ疑問が、頭の中を駆け巡り嫌な想像だけが浮かび、大きな声で叫ぶものの見せつけられる映像の様な夢は、意に介せず進んでいってしまう。)   (2011/10/17 18:31:04)

風間樹♂(整い始めた呼吸、必死で走り続けた事を包み込んでいく優しい月明かり、気付くと静寂の夜が昂ぶる気持ちを慰めてくれる。繋いだ手の先の彼女の不安げな表情が見つめている。言い訳をして慰めたい気持ちで一杯にさせられる…。結局、言葉が見つからないまま、謝る事しか出来なかった。)…巻き込んでしまって、ごめんな…。(目を合わせる事すら出来ない…、何もかも夢だと思いたかった。彼女を抱えて立ち上がり、一先ず自分の家に連れて行く事にし、再び歩き始める。彼女の手の温もりだけが、唯一正気を保つ事の出来る確かなものに感じられた。暫く歩くと見慣れたアパートが見え始める、狭い階段を昇り奥の一室のドアを開け、彼女を中へと迎え入れて、足場の無いほど散らかった部屋の床に転がるゴミを片付け始める。)ベッド好きに使って構わないから…、少し休もう…。(部屋に灯る小さな明かりを頼りに、着替えになるものを手渡し、部屋の隅で蹲り混乱する頭を冷やす。朝まで眠ろう…。着替えを済ませ横になる彼女を眺め安心すると、急に眠気が襲い蹲るまま気を失うように深い眠りに墜ちていく…。)   (2011/10/17 18:30:42)

風間樹♂(その場にへたり込みそうになったが、隣で震える彼女が腕にしがみ付き、引き攣る青褪めた顔が此方を見つめ、目には涙を浮かべて首を横に振り続ける。)もう無理だ、これ以上付き合い切れない…。(小夜に睨みつける視線で振り向くと、男の叫び声と共に水飛沫が辺り一面に飛び散り…。顔に付く飛沫の跡を手で拭うと、叫ぶ男の悲壮な声に振り向きもせずに美津子の手を取り、力の限り出口に向かい走り出した。一刻も早く彼女を外へ…。勢いのまま体当たりで重い扉を抉じ開けて、無我夢中で走り出す。何処まで走り続けたか分からないほど遠くに来たはずだ、息を切らした彼女が繋いだ手を強く引き立ち止まる。)…少しだけ、休ませて…。(息の上がった激しい呼吸の音の合間を縫い、途切れながらも訴えるような彼女の声に、同意し頷くと少しの間座り込んで、上がる息を整えることにした。)…少しだけ休もう…。(座り込む冷たいアスファルトの感触と、見渡すと雑居ビルの隙間の細い路地…。繋いだ手だけは互いに離す事は無かった。)   (2011/10/17 18:30:23)

風間樹♂…えっと、樹くんの知り合いの方?(説明がし難い、自身も良く理解していないのに、説明が出来る訳が無い。小夜に一方的に捲したてられてしまい、美津子もついて行く事になるが、何か嫌な予感がしてならない…。目的も知らされず巻き込んでしまう形になり、彼女の質問には言葉を濁す事しか出来ない自分に腹が立つ…。気が付くと見覚えのある鉄の扉の前で、前と同じ嫌な音を三人で聞く事になる…。早く用件を済ませて彼女を帰したかったせいだろうか、怖がる彼女の手を握り薄暗い通路を歩く足取りは自然と早まり、彼女の歩幅との差が歩き難さを助長していく。彼女の靴音と水溜りを踏みしめる音が忙しなく鳴り響く中、ある扉の前へと辿り着く…。前の来た時には気が付かなかった扉の隙間から漏れ出る明かりが足元を照らす。小夜が開けていく扉の奥から異様な光景が目に飛び込み、驚きのあまり声が出ない…。隣の美津子もそうだったろう、見知らぬ男が鎖に繋がれ天井から吊るされている。名も知らぬ男の四肢が力無く垂れ下がり、微かに揺れる足が首吊り自殺かと思わせる。普通ではないその光景に言い知れぬ恐怖が体を突き抜ける。)   (2011/10/17 18:29:58)

風間樹♂(界隈を彷徨い数人の女性に声を掛けるも、敢え無く空振り続きで焦り始めた頃、見覚えのある女性の横顔を見つける。幼かった面影を何処と無く残す特徴的な表情がはっきりと印象に残っていた。思わず追い駆けて肩に手を触れ、彼女の名前を口にする。)あの失礼ですが…美津子…さんですよね…?(大学時代の仲間の一人だった彼女は、その頃の意中の相手だった。結局、告白出来ずに卒業してしまうのだが、もう5年も経ちほろ苦い思い出に変わっているはずの彼女への想いが、色鮮やかに脳裏に蘇り始め切ない気持ちが湧き上る。面食らった表情を此方に向ける彼女が、暫く怪訝そうに眉に皺を寄せ訝しげな眼差しでじっと見つめていたが、気が付いてくれたのか満面の笑みで僕の名前を口にしてくれた。)…樹くん…?樹くんよね?(人違いでは無かった事と、久しぶりの再会で、思わず頬が緩み懐かしさであの頃に戻った様に二人の会話が弾みだす…。互いに卒業後の身の上話に華が咲き、人目も憚らず夢中になる会話に、不機嫌な声が割って入り込む…。)…その娘に決めたのね、何仲良くなってるのよ。(有無を言わさぬ声と態度に呆然とし、美津子と目を見合わせてしまう。)   (2011/10/17 18:29:37)

風間樹♂(丸一日眠っていたのか…、辺りは暗くネオン街を彷徨い歩く。目の前を先導して歩く彼女の名前は分かったが、それ以上は思い出せない…。周囲の喧騒に紛れる彼女の靴音の後を必死で追う、逸れないように視線が彼女の背中へ傾注する。小夜は露出の多い服装もだが、やけに挑発的で艶やかな歩き方が、周りの男の注目を集めている気がする。気まずい雰囲気を払拭する彼女の手招きに距離を縮める。)…あんたも誰か選んできてよ、一人じゃ足りないでしょ…。(「誰かを選ぶ」と言う事には疑問は無かったが、その後に続けられた「一人じゃ足りない」と言う言葉に強い疑念が生じる。一体何の話をしてるんだ?そもそも「狩り」って何だよ…。堪らず質問を浴びせてやろうと声を発する瞬間、遮るように強い口調で、彼女が続ける。)…今は質問は無し、一人選んだらこの間の路地の袋小路覚えてるわよね。そこで落ち合いましょう…。(何とも身勝手な話だ、理由も説明も無いまま一方的な指示だけ…。怒りで顔が高潮するのを抑え、彼女の「今は」と言う言葉を信じて、黙って従い路地を見回し一人を選ぶことにした。選ぶ基準って在るのか…?)   (2011/10/17 18:29:17)

風間樹♂(彼女の部屋に連れ込まれて行き気を失うように眠りについた。)やっとお目覚めのようね、どう…?まだ頭痛が酷いの…?どこか痛いところはある…?(どれ程の間眠っていたのだろう、鉛のように重い…。言われるほど頭痛が気にならなくなった事を首を横に振り、矢継ぎ早に浴びせられる質問の答えとして彼女に返すと、黒一色に染まった部屋の内装を眺め、独占していたソファーを半分空け座り込む。黒い色調の中に浮かび上がる彼女の白い肌は、息を呑むほど鮮烈に浮かび上がり、凝視するのを躊躇うほどに美しく感じた。目を逸らし家具らしい家具も無い室内の風景を見回し喉の渇きを訴えた。)小夜…すまない、喉が渇いた。何か貰えないかな…。(小夜…思わず口をついて出た名前に驚き、小さく擦れた声で彼女に飲み物を請うと、あの夜の嫌な気分を思い出しぐったりと項垂れる。背後から回される小夜の白く細い腕が首元に纏わり付き、小さな声が耳元で囁き始める。)…お腹空いたし、狩りでも行く?やり方も教えなきゃならないし、一緒にお出掛けしましょう。(彼女の言葉の「狩り」と言う意味を、この時はまだ知らなかった…。)   (2011/10/17 18:28:45)

風間樹♂(不思議なもので自覚し始めると、感覚は息が詰まるほど過敏になり、一歩先へと勝手に働く想像力は必要以上に疑心暗鬼にさせていき、自然に震えだす指先を彼女の手が握り締める。)…心配無いわ、任せて…。(指先を握り締める彼女の手は思いの外冷たく、その感触は氷の様に感じられ首筋を伝う汗の心地悪さを一瞬忘れてしまうほどだった。高鳴る動悸を抑え彼女に従うしかない状況に、異様な雰囲気を感じたままただ黙し続ける。)そいつが例の男か…?(不意に背後から聞こえる野太い声が二人を襲う。恐怖で凍りつき振り向くことさえままならずに、体の力が抜ける感覚にただ耐えるので精一杯だったが、その声に応ずるかの様に彼女が切り返していく。)そうよ、話しておいた彼よ…、文句は無いわよね…?(顔色一つ変えず振り向きもせずに啖呵を切る口調で返す彼女の台詞は、正直格好良かった…。握る手に力を入れる感じが、少しだけだが女性らしさを感じさせ、不思議な安堵感を与えてくれる。話の内容は皆目見当も付かなかったが、短い言葉のやり取りが交わされ終わると、そのまま手を引かれ部屋を後にした。やけに長く感じた嫌な時間は過ぎ去り、彼女の部屋(長文省略 半角1000文字)  (2011/10/17 18:27:25)

風間樹♂(流されて行くだけの光景に苛立ちを覚えながらも、進み続ける背中を追う事しか出来ない。憤りも限界に達した時だった、何処まで歩き進んだか分からないほど奥まで進んだ袋小路の一角、路地の街灯すら無く頼りない月明かりだけが足元を辛うじて照らし出し、時折水溜りを踏む音だけが鳴り響き、不意に立ち止まる背中が酷く錆付いた扉に指を指し「入れと」言わんばかりの眼差しで此方をじっと捉え続ける。細い指先が意図も容易く錆付く扉を開き嫌な音を立て始め…、金切り音を立てる扉に嫌な予感が沸きつつも、更に奥へ促されるまま歩を進めて行った。じめつく空気が淀む感じは酷く鼻に付く臭気を放ち、咽返る呼気で涙目になってしまい、思わず振り返る。苦悶に満ちた表情で辿った道を戻ろうとする動きを、彼女の手が遮る様に伸ばされ制止する。)…静かに…。(張り詰めた表情から押し殺した声が発せられ、思わず息を呑み辺りの気配を探り始める…。今まで気付かなかった小さな水音、微かな息遣いが其方此方から聞こえ始め、ようやく彼女の表情の意味を知る事になる。)   (2011/10/17 18:27:00)

風間樹♂(昨日の店の名前…。歩みながら何度も同じ事を繰り返し思い出そうとするが、上手くいかない。擦れ違う人波に揉まれネオンの灯りを浴びて、肩が触れそのまま体勢を崩し、放心した眼差しが宙を彷徨う。ドスンと鈍い音が鳴り壁へと叩きつけられ、そのまま座り込むと…。頭上から浴びる嘲笑と罵声に混じり込む小さな声…。聞き覚えのあるその声の主へ見上げる視線の先に、大きな満月の光…。眩しさに目を細めて、次第にぼやけた視界が徐々に鮮明に…そこには見覚えのある顔が覗かせている。印象に残るその真っ赤な口元、忘れもしない鼻に掛かった様な甲高い声…。差し出される手に掴まると、引き上げられながら身を起こす。ギラギラと輝く様なその瞳はじっとこちらを見据え、言い掛けた言葉を呑み込むしか無かった…。手招きに促されるまま、反対の路地へと彼女の後を追うように歩く。)…一体何なんだ…。(吐き捨てる様に小さく呟いた言葉に、彼女の感情の無い冷たい言葉が返される。)…いいから付いて来て。(他に選択肢が無いのも分かっていた…、憮然とした表情で彼女の後を暗闇へと歩いていく。)   (2011/10/17 18:26:22)

風間樹♂『一線』(頭が痛い…瞼を開ける前に痛烈な痛みを感じ静かに体を起こす。心臓の鼓動と呼応するような頭痛が彼を襲う。床に転がる幾つものビールの空き缶…猛烈な喉の渇きに耐えかねて冷蔵庫へと千鳥足で進み、冷蔵庫の扉を開けると中の灯りが彼を照らす。やけに眩しい…冷蔵庫のモーター音も酷く耳につく、目に映る一本の缶ビールを手に取ると勢い良く扉を閉め、再びベッドの上へ逃げるように寝転がる。)…一体どうなってんだ…。(体調が悪いと言う訳では無さそうだ、手にする冷えた缶を勢いのまま開け放ち、一息に喉へと押し流すが不思議な事に渇きが癒えない。小さな物音さえ頭に響くように聞こえる事に、少しずつ違和感を感じ始める…。)…昨日何時戻ったんだ…。(鈍い頭痛に耐えながらの記憶の回顧、順を追って辿り着く筈のその部分は抜け落ちていて、次第に思い出せない事に苛立ち始める。普段と違う体の感覚に空恐ろしい気持ちが芽生え始め、焦燥感が背中を押し続ける。…外へ行かなくては、どうしてもそうしなければならない…。その思いが彼を外へ導き、真っ暗な夜のネオン街へ歩ませていく。)   (2011/10/17 18:25:40)

おしらせ風間樹♂さん(175.103.***.162)が入室しました♪  (2011/10/17 18:25:15)

おしらせ風間樹♂さんが退室しました。  (2011/10/17 18:12:55)

風間樹♂ これが二人の奇妙な出会いだった。俺は幸平のおかげで無事就職も出来た。幸平は俺の仕事中はたまに実家の様子を見に行っているらしい。今の問題はというと、妹の恭子に変な男がつきまとっていることみたいで、兄としては心配なのだ。この家族は幸福なる殺人者と言えるだろうか?そんなことは誰にも分からない。きっと彼が見守ってくれるだろう。しかし守ってくれる人が若いというのはちょっと悲しい話だ…  ---FIN--- 【著者 KANNCHI】   (2011/10/17 18:12:46)

風間樹♂ 「あれで良かったのか?家族のところに残っててもいいんだぞ」帰り道、勝己が幸平に尋ねた。「良いんですよ。家族と一緒に過ごしたら未練ばかりが残ります。だからお迎えが来るまでは勝己さんのとこにいさせてください」「だって約束があったでしょう?勝己さんの元カノさんのとこに化けて出るって。寄りを戻すことだって僕がいれば可能ですよ」「仕方ないな。お迎えが来るまでな。それと一番最初に頼みたいことがあるんだよ…」「なんですか?」「俺を今度の就職試験に合格させてくれないか?」   (2011/10/17 18:12:33)

風間樹♂僕は勝己さんの体を借りた。そしてたくさんのお礼を言いたかった。「お父さん、お母さん、そして恭子。今まで迷惑かけてごめんな。俺は友達も見つかったんで、しばらくこっちでブラブラしてみるよ。生きていたときよりも楽しく過ごすよ。みんなの事は遠くで見守ってるから…だから、みんな…お元気で…。お達者で…。お父さん、お酒を飲みすぎないよう。お母さん、気を落とさないでね。恭子、俺には叶わなかったけど幸せな結婚をしろよ。バイバイ。みんな。バイバイ、僕の人生ー」「お兄ちゃん?」恭子が泣き出した。「お兄ちゃんがそこにいるよ!泣きながら笑ってる!」僕は恭子の頬を撫でて…そして、消えた。   (2011/10/17 18:12:21)

風間樹♂ 幸平の母親もまたハンカチで目頭を押さえた。「幸平が笑ってますよ」「え?」勝己は顔を上げた。「ほら、蝋燭があんなに火柱を上げて…。きっと遠藤さんが来てくれて嬉しかったんですね」(幸平!お前に何かしてやれることはないのか?このまんまじゃ親不孝モンだろが!)勝己の頬に熱いものが零れた。それから幸平の父親と妹が丁寧な挨拶をしに来た。(おい!幸平!このままお別れするんか?)幸平はただ無言で俯いている。   (2011/10/17 18:12:06)

風間樹♂(これ、大学を卒業した時の写真です…)(思い出したのか?)(部分的にですけど…)「遠藤さんとおっしゃいましたね?うちの幸平とはどのようなお友達だったんですか?」「向こうで近所でして。友人の友人といった感じでよく遊んでたんですよ。今回のことも人づてに聞きまして…その…」「そうですか?まだ内々なもんですから…あちらの方にも友達が出来て良かったと思いますよ」(どうだ?何か分かったか?)(お母さん、痩せたなぁ)(そういうことじゃなくてさ)(いや、本当に痩せましたよ。僕の看病疲れだったんでしょうね。僕はずっと寝ていて何も知りませんでした)(寝ていた?)(はい。いわゆる植物人間になってました)(病気…だったのか?)(脳の病気です。一年前に発病しました)(死因はその病気か?殺されたっていうのは?)(そうです。安楽死です…)そう言って幸平は泣き崩れた。   (2011/10/17 18:11:51)

風間樹♂翌日、2人は青年の実家に向かった。計算では彼の死後から一週間近く経っている。彼の実家はF県の田舎にあった。たしか近くに勝己も社会科見学で来た遺跡がある。実家の前に辿り着いた。インターフォンを鳴らすと、青年の母親らしき人が出た。「すみません、幸平君の友人の遠藤と申しますが」玄関のドアが開いた。幸平の母親は憔悴しきったかのような表情をしていた。勝己が(何て切り出そうか?)そう思っていると、幸平が背中を押した。母親は何も言わずに勝己を案内した。一番奥の部屋に仏間があり、祭壇と幸平の位牌があった。(もう、死んだことは分かってたみたいだな)勝己と幸平が並んで幸平の遺影に手を合わせた。それは奇妙な光景だった…   (2011/10/17 18:11:36)

風間樹♂ 勝己の部屋に戻ると「だいたいのことは分かったかもしれません。大家は教えてくれませんでしたが、心を読んだので」と青年は言った。どことなく元気がない。確かにそうだ。彼は数日前に誰かに殺されたのだ。どんな結果になろうと、面白い話ではない。「どうやら僕の名前は福田幸平と言います。会社員だったようですが、一年くらい前にある病気で…病名は大家も知りませんでしたが、入院してたみたいですね。部屋は僕の家族が引き払ったみたいです。一応実家の住所までは分かりましたよ」「そうか。とりあえず実家を訪ねてみるか?お前にはその覚悟があるか?」「はい」 勝己は青年の覚悟を聞いて悲しい気持ちになった。   (2011/10/17 18:11:20)

風間樹♂ 翌日、彼女の仕事終わりを待って適当な古いゲームソフトを手渡しし、大家のところに行ってもらった。しばらくして彼女が部屋に戻ってきた。それにしても恋人でもないのに部屋で独りで待たされるのもどうかと思うが。「大家さんにいろいろ教えてもらいました。前の方は若い男性で、もう一年以上前に出ていったらしいです。連絡先は教えてもらえませんでした。大家さんが実家に送ってくれるみたいで、ゲームソフトを渡したんですが良かったですか?」「渡したの?」まあ、仕方がない。必要経費だ。見ると、青年は沈鬱な表情をしている。(もう帰りましょう)そう念を送ってきたので、「もう心配ないよ。払っておいたから」と適当なことを言って、古河要の頭を撫でて上げ部屋を後にした。   (2011/10/17 18:11:07)

風間樹♂そんなワケでデート初日で古河要の部屋に上がり込むことになった勝己。 とりあえず霊媒的なことをしてみせないといけない。「この部屋には住んでどれくらい経ってますか?」「半年くらいですね。シャワー浴びます?」「いや、結構。うーん感じるなぁ。この部屋に前住んでた人のことって何か知りません?多分前の入居者の霊がそのまま居着いてますね」「ええっ?!そうなんですか!」猫が甘えて鳴くように上目使いで腕に絡んできた。青年を見ると、微笑ましいものを見るかのような遠い目で頷いている。(お前もやりすぎだよ)(完全に惚れさせないと、早く部屋に上がれないでしょ?ところでこの部屋って何か感じます?)(違う意味で寒気がするな。霊感的にはお前以外ゼロだよ)「あのさ、要ちゃん。この部屋の前の入居者のこと、管理人さんに聞いてもらえるかな?」「電話で聞いたら良いんですか?なんて言えば?」「出来れば直接会って聞いて欲しいんだ。例えば押し入れにゲームソフトを忘れているから本人に送りたいとか言って」その日は初デート「らしく」紳士的に部屋を後にした。こういう妙なお願いをするとき、青年のマインドコントロールは有効だった。   (2011/10/17 18:10:51)

風間樹♂ デート当日。古河要は待ち合わせ場所である駅前に現れた。(デブじゃねーか!)(体型や顔までは聞かなかったでしょ?)2人(3人)でパスタ屋に入り、そこで適当な話をした。その頃には勝己のやましい気持ちなど吹き飛んでいた。そしてようやく本題を切り出した。「ところで僕は霊媒師のような仕事をしてるんだけど、古河さんの部屋に何か妙な霊がいますね。最近妙なことはありませんか?」古河要はカルボナーラとピザを食べながら「ないと言えばないし、あると言えばあるかな?」と答えた。「あるって?」「勝己さんと出会ったことかな?」と言ってピザにタバスコをかけて悪戯っぽく笑った。   (2011/10/17 18:10:37)

風間樹♂ しばらくすると青年が戻ってきた。「何か上手くいったぞ」「僕が結構良いパス出しましたからね」「やっぱりそうなの?」「はい。耳元でタイタニックの歌を歌ってたんです」「彼女、運命感じたかな?」「多分」こうやって勝己と古河要はメル友になった。メル友としてはかなりのスピードで親身度を増していく。もちろんメール中には青年に彼女の耳元で「タイタニック」や「久保田利伸」や「小田和正」あたりを熱唱してもらった。そして僅か3日で会う約束まで漕ぎ着けた。 古河要の好きなタイプの男性を事前に調査して、勝己はそれを演じていたのだ。勝己も心無しか古河要に惹かれつつあった。どうやら青年の情報では古河要は巨乳らしい。(この役得覗き野郎め!)と勝己は思った。   (2011/10/17 18:10:21)

風間樹♂ (おい!どう話せばいいんだ?!何か共通の話題とかないのか?)(彼女、結構彼氏いなくて飢えてる感じですね。何か適当に話してみてください)(適当ってお前…)「電話間違っちゃったみたいです。昔の彼女の番号だったんです。もうだいぶ前ですけど。番号変わっちゃったんだなぁ」「どれくらい前なんですか?」「もう十年くらいになるなら変わってて当然なんですけどね」「それなら難しいですよね~」 (何か良い話題ないか?)(いきなりデートに誘ってみてくださいよ)(無茶言うなよ!)(大丈夫ですよ。また僕が耳元で呟きますから) 「実は僕、O県の方からお電話してるのですが、失礼ですけどどちらにお住まいなんですか?」「私もO県なんですよ。Y市です」「じゃあお隣の町ですね!何か運命感じちゃうな~。いきなりこんなこと言うのはアレですけど、差し支えなければメル友になりませんか?」古河要はあっさりOKした。とりあえず自分たちの自己紹介を終えて電話を切った。   (2011/10/17 18:10:06)

風間樹♂ 数分後、青年の(今着替え終わったんでチャンスですよ)という声が聞こえてきたので、(お前は役得だぜ)と返しながら古河要の電話を鳴らしてみた。15コールほど鳴らしても彼女は出ない。(どういうことだよ!)(さあ、携帯は見てましたけど、知らない番号だったから出ないんじゃないですかね~。そういえば昼間もかけたでしょう?不信がってるみたいです)(最初で躓いてるじゃねーか!どうするんだよ?!)(一旦切ってみてください。僕も考えてみます)勝己が煙草に火を点けるとすぐに電話が鳴った。古河要の番号である(おいおい、どうしたんだよ?!)(彼女の耳元で『電話をかけろ!』と二十回くらい呟いてみたんです)(彼女、お前の声が聞こえるのか?)(いや、そういうワケじゃないと思うんですけど、潜在意識に訴えることは出来たのかもしれませんね)(じゃあ電話に出て良いんだな?出るぞ)「もしもし」「もしもし。あのー、さっきお電話が入ってたみたいなんですが…」「あ、西牧さんの電話じゃなかったですかね?」「違いますよ」「そうですか?参ったなぁ」   (2011/10/17 18:09:49)

風間樹♂「ところでここに来て、僕自身、霊体であることのメリットとデメリットが分かってきました」「何?」「まずメリットは人に見られない、壁を通り抜けられる、移動が簡単、そしてもうひとつ…人の心が読めるということ。デメリットは人と話せない、物を触れないです」「…!?、人の心が読めるの?いつから?」「勝己さんと出会ったときくらいに気付いてましたよ」「今、俺が考えてること分かる?」「金儲けとエロいことでしょう?」 勝己はその場にずっこけた。「何とかして古河要に接触出来ないかな?いや、エロいこと抜きでさ」「出来ると思いますよ。2つばかり手段があります」話を聞くと意外と現実的かも知れなかった。彼女の電話番号に間違い電話をかける。そこでナンパをするという手だった。どうやら青年は上のメリットを応用して、知っている場所の遠隔透視や対勝己限定のテレパシーのようなことも出来るらしい。つまり彼女の考えていることをつぶさに勝己に伝えることが出来れば、電話ナンパの確率が一気に高まるという算段である。早速、青年にあの部屋に飛んでもらい、彼女の風呂上がりのタイミングを教えてもらうことにした。   (2011/10/17 18:09:29)

風間樹♂【幽霊探偵・解決編】 「一応俺達が持っている数少ない情報はお前の自宅の住所だ。それ以外は何も覚えていない、と。考えられるのは『古河要』に同姓同名がいるのか?それとも…お前の後に誰か住んでいるということじゃないか?」勝己は腕組みをしながら整理した。「僕も何となくそんな気もしてたんですよ。部屋の記憶はないんですが、どうも女の子っぽい部屋だったような」「なぜ早くそれを言わない!」「ちょっと確認してきます」そう言って要…いや、青年は消えた。5分もしないうちに彼が戻ってきた。「やっぱり女の子でした」「見てきたの?」「はい。お風呂に入ってましたね」「え?見た?」「はい。バッチリ」勝己はこの能力を何か有効なこと(金儲け)に活かせないか?と思った。しかしその前にこの捜査についてである。もし、古河要が青年の次の入居者であればまだ線は繋がっているということだ。(古河要に接触してみるか?女の子だし)勝己は思った。   (2011/10/17 18:09:02)

風間樹♂「ええ、要はウチの娘です」「いえ、何でもないんです。一応娘さんに聞いてみてください。あた改めてこちらからご連絡いたします」そう言って電話を切った。わざわざこんなところまで来て「古河要」が女性だったとは。さすがにこれは初動捜査のミスとしか言いようがない。「あそこ、本当にお前の部屋なの?」「多分…そういえば…!」「そういえば?!」「あの教師ですけど、勝己さんが『彼』と言った瞬間顔が曇りましたね。名簿も女子のページを開いてたような気がします」「早く言えよ!そういうことは!」とりあえず駅前でラーメンを食べて、二人は帰宅しすることにした。【著者 KANNCHI】   (2011/10/17 18:08:46)

風間樹♂ 今の時代、公衆電話を探すのは一苦労である。駅まで戻り、電話ボックスで電話帳を捲った。N市に「古河」という名字は9件。住所まで該当するのは…もちろん1件である。勝己は携帯から電話をかけてみた。「はい。古河です」出たのは母親らしい声だ。「お忙しいところすみません。北野博陵高校OB会の中村と申しますが、要さんはいらっしゃいますか?」「今、他県にて独り暮らしをしておりますが、何かご用でしょうか?」「ただ今、同窓会の名簿を作っておりまして…秋頃に同窓会も企画しておりますから」よくもまあ、口から出任せが言えるものだ。勝己は自らの意外な才能に陶酔した。「あら?でしたら娘の方に伝えますので連絡させましょうか?」「娘?!」思わず2人は顔を見合わせた。   (2011/10/17 18:08:29)

風間樹♂「そういうことなら警察とかに相談されてはいかがでしょう?当校としては個人情報の問題もありますからお教えするわけにはいきません」「もちろん場合によってはそうなりますが、現段階ではまだコトを大きくするのはアレだろうと思いまして…」「お答えしかねますね」勝己は額から汗が出てきた。要が勝己の肘をついた。「多分、ここじゃ教えてもらえないから出ましょう。何か怪しまれてますし」勝己はすごすごと職員室を後にした。せっかくの学校ネタだったのに、捜査は振り出しに戻ってしまった。落胆する勝己の顔を見て、要はVサインをしながら言った。「僕、住所分かりましたよ」「何で?!」「だって後ろから名簿を覗き見しましたからね」「でかした!」「N市尾長町332ー1でした」勝己は初めてコンビである意味を知ったのである。   (2011/10/17 18:08:14)

風間樹♂「7年前?ええっと、古河要という生徒は確かに居たみたいですね。ところで古河要がどうかしたのですか?」勝己は無言になってしまった。考えてみたら警察ならいざ知らず個人情報なんか教えてくれる筈がない。「申し遅れました。私、こういうものです」勝己は名刺を差し出した。「(有)ピープル代表取締役社長滝田…さん」「はい」以前、営業をしているときに名刺交換したヤツである。ずさんな勝己はそれを財布に入れたままにしていた。「はあ、それでどうされたんですか?」「いや、古河君にはウチで働いてもらってたんですけどね、彼が突然会社に来なくなったんですよ。ちょうどその頃、我が社の重要書類が紛失したもんですから、内々で調査しておったんです」「彼が…、ですか?」教師は訝しげな表情になった。「それで何を知りたいのですか?」「ええ、彼の実家のご住所だけでも分かれば…と」教師は開いていた名簿をパタンと閉じた。   (2011/10/17 18:07:55)

風間樹♂S県までは電車で三時間かかった。大人1人と霊体1体。北野博陵高校は割とすぐに見つかった。プリントアウトした学校所在地図は結構詳細まで描かれていた。要のことを知っている教師もいるかも知れない。玄関で会った生徒に職員室の場所を聞き、職員室で陸上部の担当教師を尋ねた。三十分くらいで放課後となり、その間2人は待たされていた。「どうだ?何か思い出したか?」「うーん、どうもよく分かりません。高校なんてどこも似たようなもんでしょ?」「まあな…」しばらくして体格の良い男性教師が現れた。「お待たせしてすみません」「こちらこそ、お忙しいとこすみません」「ところでどういうご用件ですか?」「突然で恐縮なんですが、8年くらい前の陸上部員で古河要という選手はいませんでしたか?」「8年前ですか?私が赴任して来たのが5年前なんですよ。ちょっと分かりませんね~。あ、卒業生名簿を見たら分かるかな?」そう言いながら教師は一旦席を外し、何やら分厚い冊子を手にしながら戻ってきた。   (2011/10/17 18:07:39)

風間樹♂工業大学の教授の名前がやたらにヒットする。単なる同姓同名か?70件名辺りから怪しいのが見つかった。それらを総合すると、「2002年の走り幅跳びS県大会にて北野博陵高校代表として三位に入賞している」ということだった。続いてS県北野博陵高校をネットで調べると、同校のホームページがあった。勝己はそのページをプリントアウトしてポケットにねじ込んだ。「俺が失業中で良かったな」勝己は横目で要を一瞥し、要は声を出さずに会釈した。もうひとつ分かったのは要が25、6歳であること。それは出場年から推測出来た。   (2011/10/17 18:07:20)

風間樹♂「部屋の中には入れるの?」「はい、この前通り抜けて入りました」「何か変わったことやヒントになるものは?」「いや、なかったですね。僕には引き出しなんかも開けられないんですよ」「それじゃあ難しいな」「そうかも知れませんが…。あんまり元の部屋の様子も覚えてないんですよ」勝己は書いていた携帯番号にかけてみた。当然留守電サービスに繋がる。無機質な音声案内はだけが流れる。「独り暮らしということは実家もありそうだなぁ。場所に心当たりない?」「全くないんです。その辺の記憶」二人は勝己の自宅に帰った。青年の名前が分かっただけでも収穫である。勝己はパソコンを開き、ネットで「古河要」という名前を検索してみた。   (2011/10/17 18:07:05)

風間樹♂まずは情報集めである。「自分の名前は分かる?」「いや、分かりません」「年齢や住所、職業なんかは?」「住んでいた場所なら分かりますよ」「どうしてアソコの電柱に登っていたの?」「体に繋がっていた糸をタグってる途中でそいつが消えちゃったんですよ。それがちょうどあの辺りだったんです。2日間くらいかなぁ。アソコで僕の存在に気付く人を待ってました」「ということは、お前が死んで2.3日しか経っていないことになるな。それとお前の住んでたところにも案内してくれ。ここから近いのか?」「そんなに離れてないですよ」勝己は原付に走らせる。青年が数メートル前を飛んでいて彼を誘導して行く。程なく玄関につく。青年は突っ立ったまんまだ。「鍵は?」「持ってるわけないじゃないですか?!」(それもそうだな)そう思いながら郵便受けを覗いた。何やら二通ほど封筒が入っている。勝己はそれを取り出した。一通はマンションの入居案内だった。ポスティング用なので名前なんかは書いていない。もう一通。それは先月分の携帯電話の明細書だった。名前は「古河要」と書いている。電話番号もバッチリだ。   (2011/10/17 18:06:49)

風間樹♂彼の話を要約すると、「自分は誰かに殺された。殺されたという感覚だけがある。しかしそのことに対して自分は全く記憶がない。生前の自分が何者なのかも分からない。このままでは成仏出来そうにないから協力してくれ」という内容だった。「断ったらどうする?」「成仏するまでそばにいるよ」よく見ると若い。まだ二十代半ばくらいに見える。あくまでも雰囲気からだが、人に恨まれるようなタイプには見えない。それでも世の中には逆恨みというものだって存在する。怨恨という線もないわけではない。勝己はテーブルの上に散らばったゴミをコンビニの袋に入れていった。(コンビニでバイトしているときに強盗に刺されたとか?)いろいろ考えていると、この若者が不憫になった。自分より年下の屈託ない青年がどんな理由であれ殺されてしまうなんて。かといって、面倒なことにクビを突っ込むほど酔狂ではない。勝己は条件を出した。それは「自分を殺した奴が分かったら、勝己をフった女のところに化けて出る」ということだった。青年はこの条件をあっさりと飲み込んで、ここに共同捜査本部が設置された。   (2011/10/17 18:06:24)

風間樹♂足早に部屋に戻り、鍵を閉める。シーフードヌードルの蓋を開け、台所の薬缶に火をかけた。換気扇を回そうと紐に手をかけた瞬間、台所の窓から男が入ってきた。さっきの電柱の男だ。(うわ、最悪)と思いながら、気付かないフリをして再び部屋に戻る。煙草に火を点け、テレビのチャンネルを回した。「ねえ、見えてるんでしょう?」背後から声がした。勝己はそれを無視して手元の雑誌を捲り始めた。「無視しないでよ。ちょっと話を聞いて欲しいんだ」非常に面倒くさい。百害あって一利なしである。しばらくすると薬缶の口が鳴った。火を止め、カップに湯を注ぐ。ブゥン…、変な音を立ててテレビの画面が消えた。「おかしいな…」勝己はそう呟きながら、リモコンを手に取る。リモコンを持つ手に半透明の白い手が重なった。「そんなことしても無駄だよ」結局シーフードヌードルの麺は伸びることになってしまった…   (2011/10/17 18:05:06)

風間樹♂遠藤勝己は4月の雨を聞いていた。彼女のいなくなったこの部屋で雨音の調べを聞いていた。窓を半開きにし、煙草の煙をそこから吐き出すと、テレビからは詰まらぬ落語の下げによる客席の爆笑が響いた。勝己は部屋を出た。計算すると35時間ほど飯を食べていない。煙草も最後の一本しか残されていなかった。最寄りのコンビニは部屋から徒歩5分くらいの所にあった。傘を差したがサンダル履きでは足がビチョビチョに濡れてしまう。コンビニでセブンスターとコーラとサンドイッチとシーフードヌードルを買い、店を出た。「いつまで雨が降るんだろうな?」そう呟きながら空を見上げる。電柱の上に男が一人立っているのが見えた、(ヤバいな)直感的にそう思った。勝己は所謂霊感体質だ。今までも何度も「拾って」帰ったことがある。こういう時は目を合わせずに気付いてないフリをするか?目が合ってしまった場合は(自分には何も出来ないから頼って来ないでください)と心の中で念じるしかない。今回は恐らく目が合ってしまったので、後者を選択せざるを得なかった。   (2011/10/17 18:04:48)

風間樹♂しかしそれではダメなのも分かっていた。その前に誰かに何かを伝えなければならない。僕が誰に、何故、どのように殺されたのか?という事を納得しなくてはいけない。だから僕は部屋を出た。どこへ?僕の胸からは糸が出ている。それはへその緒のようにどこかへ繋がっている。僕はそれを辿っていった。雨は次第に強くなり、僕と糸との関係性も脆弱なものになりつつあるのを悟った。住宅街を抜けると小学校。小学校を過ぎると再び住宅街へ。さらに遠くへ。僕はジャンプした。眼前に広がるのは真っ黒な航空写真。僕には全て見えていたんだ。夜の灯台のように煌々と指し示すその方向へ。しばらくするとヘソの緒のような糸が薄くなり、そして消えた。僕は行く宛もなくただそこに留まっていた。   (2011/10/17 18:04:26)

風間樹♂ 部屋の明かりはついていないが、僕にはサーチライトのように全てが見える。不意に思い立つ。今、僕が最も執着せねばならない場所。それはテレビの横のカラーボックスだった。いろいろ思い出しては部屋のあちこちを探索するものの、預金通帳や印鑑、財布、或いは僕の身分を証明するような大切なものが殆ど見当たらない。あるのは漫画やゲームソフト、冷蔵庫の中にはマヨネーズが一本あるだけだった。これまた誰かがどこかに移したのかも知れない。僕には分かっていた。ここに居れば良いと。ここに居れば、あとは入れ替わり立ち替わり色んな人物の会話から状況を推理することが出来る。   (2011/10/17 18:04:02)

風間樹♂【幽霊探偵】まだ四月だというのに五月の雨が降る。そんなことも分からなくなるくらいに僕は雨水の水温をジャックして、そして漂っていた。何軒あるのだろう?…数えたこともない閑静な住宅街の一番外苑にあるアパートの一室で、僕は殺された。いや、正確には殺された場所はどこか離れた場所かも知れない。雨粒は僕の体を通過して、アスファルトをさらに冷却する。夜の、いや夜中の始まりだった。僕の部屋は軽量鉄骨アパートの二階にある。パジャマのポケットを弄ったが何にも無い。鍵などなくともドアを通過出来た。この期に及んで人生とは全て勉強である。部屋にはゲージがあったが、中には何もなく、「きっと誰かが何かを移したのかも?」と思って少し安心した。僕が殺されたことで、いずれこの部屋にも警察や家族が出入りするようになるかも知れない。「見られたらヤバいモノ」が無いか?一応調べてみることにした。部屋は1Kでロフトがついている。まずはロフトの枕元だろう。湿っぽい布団はそのままに、僕は「見える部分だけ」を見た。   (2011/10/17 18:03:36)

おしらせ風間樹♂さん(175.103.***.162)が入室しました♪  (2011/10/17 18:03:00)

おしらせ風間樹♂さんが退室しました。  (2011/10/6 23:27:30)

風間樹♂ 男の意識がブラックアウトして遡る。気付けばあの日のビルの屋上に居た。ビルの屋上で物憂げな表情を浮かべていた彼女の眼前。懐かしい寒さを感じる。秋風とともに紅葉の落ち葉が舞っていた。彼女が微笑みでながら男の顔を覗き込む。「どうでした?」「あっ!?、こ、ここは…?」「まだ、『天使』をやりたいですか?」彼女のその言葉に男はただ首を横に振りまくった。「まだ自殺したいとか思っちゃってます?」「…も、もう自殺したいだなんて思わない事にします…。せ、精一杯、今のこの世界を味わって、い、生き抜いてやろうと思います…」それを聞いた彼女は冷笑を浮かべながら男にこう言った。「それは良かったです。次、自殺したいとか願ったら永遠に『天使』にしちゃいますからね」そう言い残すと彼女は背中から黒い羽を広げ光を放ちながら消えて行った。  ---Fin--- 【著者 KANNCHI】   (2011/10/6 23:27:26)

風間樹♂ 人の為だけに何かを行い、年月だけは過ぎ去り自身の関わった人々は消え去っていく。今の自分から見える人の命とは、なんと儚いものなのだろう。朝生まれ夜には死ぬ、まさに蜻蛉のようじゃないか…、その空しさは耐え難く自身の睡眠欲に抵抗を試みた事もあった。だが圧倒的な睡魔に敵う事は無かった。数億年の時を経て地球上から人間の一切が消失した世界となった。男は砂浜で膝を丸め風に吹かれながら夕日を眺める。自殺したいと思っていたあの頃が懐かしい。確かに人間関係は煩わしかったし悩みの種ではあった。だが今よりは遥かにマシだった。あの頃に戻りたい、本当に戻りたい。男は膝を抱えながら気の遠くなる程強く願った…   (2011/10/6 23:25:52)

風間樹♂ただし睡眠時には異常というべき現象が起こった。時の経過が異常なほど加速する。目覚めると十年経っているという事は日常茶飯事だった。50年以上経過している事もあり、それは睡眠によりまちまちだった。天使の活動は体内のエネルギーを酷使するらしく必ず眠くなる。眠ると数十年の時が経っている。このサイクルを延々と繰り返す事になった。男はただひたすらに脳内に溢れ込んでくる光の指示に従って善行に勤しんだ。子供を火災から救った事もあるし、老婆を崩壊する家屋から助け出した事もある。救われた人は一様に心からの感謝を男に向けてくれる。ただ、その時に感謝してくれた人は目覚めた際にはほぼ居ない。男が救った時には子供だった少年も一度目覚めた際には壮年となっており二度目に目覚めた際にはこの世から消えていた。   (2011/10/6 23:25:19)

風間樹♂力を与えられた男は天使として下界の様々な手助けをする事になった。不思議な感覚が宿り体内には力が満ち溢れてくる。背には何時の間にか羽根が生え空さえも飛べる。天使についての基礎知識ややるべき事は、脳内に光として溢れ込んで来る。それによれば天使を継承すると人間だった頃の自身は「存在しなかった」扱いになるらしく人々は自身を天使と認識してくれるらしい。そして天使自身は、寿命というものがほぼ無意味になるらしい。病気もしないし怪我もしないらしいし食事もしなくても良いし性欲も湧かない、暑さや寒さを感じることもなく物欲も湧かないそうだ。   (2011/10/6 23:24:52)


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