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「例え神だろうと」の過去ログ

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2021年08月23日 22時04分 ~ 2022年03月03日 06時19分 の過去ログ
過去ログでは上から下の方向に発言を表示しています

樂/gr((遅くなりましたーっ!先日職場にコロナが出てしまって穴埋めのため残業まみれになってます…仕方ない事ですがそのせいか夜が眠くて眠くて……村には入るかどうかはとんしに決めてもらおうと思います。あと赤マフラーはまだ返しませんので首もと寂しいままでお願いします。   (2021/8/23 22:04:32)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/8/23 22:04:37)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/8/31 14:05:56)

雫月/tn.馬へと身を翻し乗った所で彼が不器用ながらも馬へと乗る姿を見つめる。普段なら手を貸す所だが、何故だか躊躇われた。決して彼の身体に触れるのが嫌という訳では無いが、今の彼に触れるにはまだ勇気が出ない。触れてしまえば壊れてしまいそうなそんな雰囲気さえ感じる。久し振りに乗る馬の感覚はなかなかに乗り心地は最悪だった。馬の手網を握る感覚があまり戻っていないのか変に揺れる。肉が落ちた身体ではその振動はもろに伝わってしまう。これはまた訓練のやり直しだろうか。そっと頬に当たる風の感触を感じながらそれに混じるように溜息を漏らす。進めば進むほど身体に重みを感じる。それは物理的なものではなく心意的なものだろう。見慣れた景色へと徐々に変わっていく。それを見ながら村の人間から逃げ惑った森も1人になりたい時に訪れたであろう場所も昔よりも随分と変わってしまった。人があまり踏み入れないそこは遠目にも随分と荒れ果ててしまったであろう。昔はあれ程に忌々しく思っていた場所であったそこは足を踏み入れると呆気なくも何も無かったかのように静まり返ってしまっている。   (2021/8/31 14:06:34)

雫月/tn.山を下り、流水のあるそこは紛れもなく幼い頃に逃げる際に飲んでいた記憶がある。生きることに必死だったあの頃の記憶が蘇る。休憩をとるのか馬のスピードを落とした彼に合わせスピードを落とす。疲れたであろう馬を休憩させるべく流水の近くの木の枝へと紐を結びつける。その辺にある朽木へと腰を下ろせば、人も馬と共に休憩をとる。彼が何やら作業をし始めたが、暫く動かさなかった身体は疲労が蓄積しており、思ったよりも馬に揺られたせいで疲労困憊になってしまったようだ。作業は彼に任せ休憩をとることにした。暫くすれば目の前に差し出されたそれを受け取る。サンドイッチと形容すればよいだろうか。それを受け取れば、暫く見つめる。あまり食欲はない。あれほど好きだった食事も喉を通りそうにない。弱ったのは身体のせいか。そればかりでは無い気がした。   (2021/8/31 14:07:11)

雫月/tn.彼は早々に食べ終えると立ち上がる。急かすような言葉に慌てて無理やり胃へと押し込む。無理やりに押し込んだそれは気持ちが悪くなったが、何とか珈琲で流し込み吐き出すには至らなかった。ほぼ無言で彼の言葉に相槌を打ちながらも休ませた馬へと乗りあげるとほぼ村の近くまで来ているのかスピードを上げる。朝だという薄暗いそれは寒い地方ならではなのか。それとも今の心情を表しているものなのかは理解はできない。30分を経たずについたであろうか。もっと長くにも感じた。まるで死刑宣告をされまさに今断頭台へと立とうとしている死刑囚のようだ。村へと着いた頃には先程までの気持ち悪さとは比べようにならないくらいの気持ち悪さを感じた。 「…あんたを1人にする訳に行かへん。あんたはトップなんやから自覚してや」紡ぎ出した言葉は思っていた言葉とは裏腹に冷たいものだった。彼を心配し言った言葉であるのに思ったよりも冷たい感じになってしまった。彼を気遣う余裕は今の自分にはない。馬を適当にその辺の残骸とかして建物の朽ちた木へと結びつける。 「それにワイはそんなにやわやない」ボソッと吐き出した声はあまりにもか細くて風で掻き消されてしまうほどだ。   (2021/8/31 14:07:36)

雫月/tn.思わず癖で首元のマフラーに触れようとしたがそこには今は何も無く宙を虚しく手が掠めるだけであった。   (2021/8/31 14:08:10)

雫月/tn.((まだまだ暑いですね。物凄い低速で返信しております申し訳ない。コロナの魔の手が徐々に拡大してきましたね。残業お疲れ様です。樂さんも体調等崩されないようご自愛くださいませ。マフラーないので心もとないトン氏です   (2021/8/31 14:09:47)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/8/31 14:09:49)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/9/6 20:03:53)

樂/gr午後の天気を調べるべきだったかもしれない。私の後ろから沈黙したままの男の胸中をそのまま映す鏡のような空模様に、聞こえないよう息を吐く。この小さく奥まった村で彼の命が始まり、そして転機を迎えた事に違いはない。元々根の優しい男が、戦場で悪魔と恐れられるようになるには、それなりの険しい道程があった。近付くにつれ彼の足枷に重みが増して、頼もしい兵歩は引き摺られる。私一人でと提案したが、その答えはもはや選択にすら値しないものだったろう。「そうか、ならば共に行こう。お前のタフさはよく解っているつもりだよトントン。」もう振り返るまい、彼の歩みが止まろうとも。これは私の手で始めたものだ、私が終わらせねばどうする。   (2021/9/6 20:03:57)

樂/gr草の生い茂った石畳と、いまだ燻ぶるように変色した煉瓦の壁が、十数年の歴史を孕んでいた。人の気配は無さそうだ、我が軍が占領下に置いたのだからいてもらっては困るのだが、残党や野盗が根城にしている可能性もなくはない。「全く人の手が入っていない訳でもなさそうだ……感じるだろうお前も。もしかしたら己を罠に嵌めた今は亡き国の輩の仕業かと思ったが、どうもそうではない。村の真ん中で立ち尽くす長躯の男と対照的に、どんなに小さな痕跡すら見逃さぬよう勘に任せて慎重に歩き回った。奥に小さな家の基盤が見えた。半壊していたが瓦礫の奥に床の崩落が覗いている。思わず息をのんで、ゆっくり音をさせない様に近付いた。石や煉瓦の焦げ方が一番激しいその場所は、まさに彼のいう呪われた記憶の中に存在する“地下室”であろう。   (2021/9/6 20:04:09)

樂/gr自然と息を殺しながら、小さな奈落を覗き込む。暗い。何も見えない。灰色の雲の隙間から光が差し込み、己の影を濃く落としたが、奈落に差し込む一条の光のおかげであるものを見つけた。花だ。小さな白い花が瓦礫の合間から生えていた。きっと風で種が運ばれ、そこに光が差し込んだおかげでこんなに群生したようだ。太陽はすぐに隠れてしまったが、この奈落は無限に落ちるだけではなく、彼が息衝いた証があった。階段はもう崩落してしまったのが、下りられる場所があれば彼と同じ景色が見てみたかった。無理やり降りることはできても……否、それでも下りるべきだろう。自らを奮い立たせ、いつ崩れるかも知れぬ瓦礫の縁に手を掛け、腕の力でゆっくりと体を下す。足場の良い場所につま先が届くのを感じて手を離すと、先程迄は大した事の無いと思った高さが、今はやけに遠のいて見える。そうして中から穴を見上げていたが、上ばかり見ていても仕方がないと振り返る。格子が意味をなさない程ぐにゃぐにゃと曲がり、真っ黒の壁に触れれば煤がべったりと付着した。   (2021/9/6 20:04:29)

樂/gr思わず背筋から寒気が走り、両腕で肘を抱いた。再び天から僅かな陽光が差し込んだ瞬間、奥の方に光を反射する何かを見つけ、見失わないように目を離さず闇の中へ歩を進める。恐る恐る手にしたのは、刃が欠け赤さびて使い物にならなくなった、一振りの剣だ。持ち上げるとヒルトを残してボロボロと崩れて土に紛れてしまったが、何故かその柄を捨てることが出来ないままでいる。そうしていると遠くからトントンの慌てた声が己を呼んでいるのが聞こえ、慌てて瓦礫の一番高い場所から呼びかけた。「こっちだ! すまないが一人で出られなくなった、馬の鞍に下げたロープを持ってきてくれないか?」そう呼びかけたがすぐに返答はなく、数秒経ってから肯定の意が告げられる。彼はこの場所には近付きたくなかったのだ。埃塗れのヒルトを指でこすると赤い石に少々細工が入ったグリップが顔を覗かせる。迷わず懐からハンカチを取り出して大切に包み、胸元へと入れロープが垂らされるのをじっと待ち続けた。小さなトントンはこの暗闇の中、何を想っていたのだろう。   (2021/9/6 20:04:41)

樂/gr((随分長くなってしまいました!まだまだ書きたい事があったのですがこれ以上書いたら大変な量に…と気付いて止めました(瀕死)寒暖差が激しいこの頃ですので雫月さんも喉をお大事に!私は何とか元気に仕事しています。   (2021/9/6 20:06:47)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/9/6 20:06:53)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/9/14 13:58:48)

雫月/tn.最初に何回か会話をした後に暫く沈黙が続いただろうか。互いに何も発することも無くかつては村だった瓦礫とかしたそこを1歩また1歩と歩みを進める。火の海とかしたはずのそこは年月を得て新たな生命が誕生しており、瓦礫とかした建物には蔦が絡みついている。自然の生命力には驚かされるばかりだ。視界を白いものが舞う。見上げれば、どんよりとした曇り空から雪がひらりと舞い落ちる。地面へと吸い込まれ消えていくその様をじっと見つめる。進んでいた歩みはそこで歩を停止させるには十分だった。様々な記憶が駆け巡る。幼い頃の記憶。悪いものばかりでもないが、あまり思い出したくない思い出の方が多かった。   (2021/9/14 13:58:51)

雫月/tn.暫く思い耽っていただろうか。気づいたら先程までいた彼の姿がない。我に返ると焦りが先行する。狭い村だあまり遠くには言ってないだろうが。敵がいるとも思えないがそれでも彼を心配するのは恋人故か。はたまた持ち前の性格故かは分からない。辺りを見渡し慣れた道を足早に進む。村の奥まった建物の方から声が聞こえ、ほっとすると同時にその建物が何であるか理解した。ほぼ形を残しているそこは上の方が崩壊し下へと薄光で照らしているのみだ。そこは彼の姿を最後に見た場所。幼い頃の記憶が蘇り額から汗が零れ落ちる。ひゅっと喉奥を鳴らした後に彼の声が再び聞こえ無理矢理身体を動かす。どうやら動けなくなってしまった彼に悪態をつきたい気持ちと心配する気持ちが交差する。   (2021/9/14 13:58:59)

雫月/tn.馬にについていたロープを手に取ると息を漏らす。乱暴に垂れた汗を腕で拭うと大きく呼吸を吸う。乱れる心臓音を整えるとロープを持ったまま彼の元へと戻る。建物の中へと足を踏み入れれば、地下室へと続く階段があった場所。今は崩れ落ち完全に穴とかしているそこに彼の姿を見つける。何故こんなところにと悪態をつきたいところだが、今は救助の方が先だ。下に見える彼の姿が幼い頃の自分と重なる。頭を振ったあとにロープを垂らすと彼へと渡ったみたいだ。しっかりとロープを掴むと彼が身体へと巻き付けたのを確認した上で少しずつ引っ張る。彼自身で這い上がるには片足のハンディがあって登りずらいだろう。彼のペースに合わせ引き上げれば、少し疲労を滲ませる彼を見つめる。大きく溜息を漏らせば、彼の身体を見る。「怪我はしてへんな。全く1人やったらどうするつもりやったんですか…」呆れたようにそう言えば地下室から目線を逸らす。ここにはいたくないと言わんばかりに彼の手を掴めば強引に引き寄せ、建物の外へと半場強引に引きずり出す形となる。   (2021/9/14 13:59:07)

雫月/tn.((脳ミソドロドロのしづきです(すん)長い間かけてすみません。無理せずにたまには息抜きしてくださいね。   (2021/9/14 14:00:06)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、雫月/tn.さんが自動退室しました。  (2021/9/14 18:28:15)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/9/22 23:03:39)

樂/gr「助かった、恩に着る。」上からしゅるしゅると垂らされたロープを手に取ると、指先に冷たいものが触れた。氷混じりのそれは私の体温に触れた瞬間溶けて消えてしまった。雪がちらついているのだ、つい数ヶ月前まで陽光が心身を癒したというのに。彼が昏睡していた間にこの身は戰を思い出した。今なら腕の力だけでも登っていけそうだったが、どうも我が右腕が親切にも引き上げてくれるらしい。義足を軸にして片足をロープに巻き付け、腕に力を込めしがみつくと、直様引き上げられる。迷い込んだものを拐かすような地下への穴は、また手の届かない暗闇の花園となった。「怪我など無いさ、ただ降りてみたかっただけだ。下には白い花が沢山……っと。」まだ話している最中というのに、いきなり手を取られそれなりの強度で牽引されていく。心臓が大きく跳ねたと。そして遠くに感じていた彼の血潮の熱さを皮膚越しに思い出す。   (2021/9/22 23:03:55)

樂/gr己の穢れが彼にうつるのではないかと恐れに見舞われたが、あまりの心地よさと胸奥から湧く縋る様な気持ちに、力強く繋がれた手を神妙な面持ちで眺めるにとどまった。半ば瓦礫の様な建物から引っ張り出されると、抵抗する事なくある程度距離を置く。そして来る時は気付かなかったが、そこら一面は悲しい墓標塗れであった。我々は今並んで屍山血河の上に立っている。急ぎ立ち去ろうとする彼の腕を、今度は己が引き留めた。急に立ち止まった所為で、振り返った男の赤い瞳が焦燥を隠せない。「少し待っていてくれ、辛ければ先に馬へ。」ゆっくりと掴まれた手を解放させ、彼の腰から使い込まれ鈍色に光る剣を引き抜いた。もしも先刻手に入れたあのヒルトが彼の恩人の物であったなら、戦車や銃の時代に剣に拘る男の心理を、多少なら理解ができる気がした。面食らうトントンに背を向けると、肩口に刃を置き片手で纏め結った髪を引く。それを根本から迷わずに、ざくりざくりと切り落とした。雪混じりの風にはらはら舞い散る金糸をよそに、その場に跪き髪を供した。   (2021/9/22 23:04:34)

樂/gr「今の俺にはこのくらいしかしてやれないが……俺の一部を分け与えたこの地を、此奴を、これ以上誰かに奪われる様な無様な事にはしないと誓おう。」あいもかわらず祈る神を、術を、持ち合わせてなどいなかった。だが力を持ってして守る事は出来る。見事な切れ味を見せる剣を軽く拭って残った髪を剥落させてから緩やかに振り返り、持ち主へ返還する為に差し出した。次にずっと借りたままだった赤いマフラーを外し、背伸びをして恋人の首へと巻き付けてやった。短くなった髪の隙間から風が吹き抜け、未だ開いたままの首の傷にはよく沁みた。「待たせて悪かった。もう帰ろうトン氏、ここにはやはり何も無い。私の我儘に付き合ってくれて感謝する。」   (2021/9/22 23:05:03)

樂/gr晴れ間がのぞいていた空は雲が垂れ込め、はらはらと舞う雪は徐々に多くなりつつある。おまけに風が出てきた。吹雪の間に帰路に着くのは難しいかもしれないと、空を見つめていた目を彼の血色の宝石の瞳に向けた。「ここから北西15キロ場所に中継基地がある。今はもう使われていないが設備はそのままだ、反対方向だが一時的に雨風を凌ぐくらいは出来る。風呂や寝床はあまり上質では無いが無いよりマシだろう。襲われる心配もない、本軍には連絡を入れておく。雪が本格的になる前に向かうぞ。」   (2021/9/22 23:05:16)

樂/gr((やっと忙しさが少し解消しました!お待たせしてすみません!ぐるの拾った剣柄は幼とんが使っていたか、恩人のものか、それとも特に意味はないものか、とんさんに決めて貰いましょうと思ってます。ここで雫月さんとやりとり出来る事が日々のささやかな癒しになってます、ありがとうございます…!   (2021/9/22 23:08:41)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/9/22 23:08:45)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/9/29 19:53:13)

雫月/tn.無理矢理逃げるように引きずってしまった彼に視線を向ける。足を止めた彼は何を思っているのだろうか。分からない。彼の事は誰よりも理解しているつもりだ。否、勝手に自分がそう解釈しているだけで単なる自己満足にしか過ぎないのかもしれない。彼が此方の思考を理解しているか分からないように他人の思考など奥の奥まで探る事は出来ないのだ。そもそも、自分の思考すら理解できない部分があるのだから全てを理解するなんてしろだなんて無理な話だ。手を離した瞬間に離れた熱に名残惜しささえ感じる。何とも言えない感情に自分がどのような顔をしていたのだろうか。あまり良い顔はしていなかったのだろうか。辛かったら戻れと諭され戻る訳にも行かない。彼の心配とここにいたくない気持ちに揺れ動く心情に思わず口を閉ざしてしまう。   (2021/9/29 19:53:34)

雫月/tn.己の腰の愛用の剣が彼の手によって引き抜かれる。思わず呆気に取られていれば、パラパラと金糸が宙へと舞いキラキラと光る。それが彼の髪であることに気づくのに少し遅れる。何もかも予想外の動きをする彼に思わず深い溜息が漏れる。気が抜けてしまった。張り詰めていた糸が彼の髪と共に切れてしまった。「はぁ 、アホらしくなってしもうたわ。ホンマあんたにはかなわんな」ボソリと小さく吐き出された言葉は呆れを含んでいた。用が済んだのか振り返る彼にポリポリと頭を搔く。愛剣が彼の手からマフラーと共に帰ってくる。彼の首にある傷に思わず目が行く。言葉を飲み込むように唾を飲み込めば、彼の温もりで温まったマフラーをギュッと掌で掴む。   (2021/9/29 19:53:44)

雫月/tn.視界に雪がぱらつき始めた。先程よりも暗さを増した空は今にも猛吹雪へと変貌を遂げそうだ。彼の言う通り今日は中継基地へと向かった方が得策だろう。この辺の気候が安定しないのは自分がよく理解している。「グルさんが体調を崩しても行けへんしな」来る前よりは冗談を言える程度には回復したらしい。自分でも驚いてしまったが、マフラーを外した彼の首元は寒そうに見える。自分の首元へと返されたそれを外すと彼の首へと巻き付ける。「あんたに風邪引かれる訳にも行かへんしもう少し預かっとってや」自分の方が彼よりも頑丈に出来ている。寒さにも慣れている。何よりも彼の首元に見える傷は自分の目には毒だ。「さて、向かおうや」今度は彼が馬に乗るのを手伝い、自分も馬へと飛び乗る。そのまま軍のある方向とは逆の方へと走り出した   (2021/9/29 19:53:56)

雫月/tn.((自分もゆるりと返すので大丈夫ですよ。お勤めご苦労様です。恩人が幼とんに渡したものにでもしときましょうかね。癒しだなんてありがとうございます。此方も楽しみに待ってます   (2021/9/29 19:55:52)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/9/29 19:55:55)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/10/7 23:05:59)

樂/gr寒くなった首元に、すぐにマフラーが返ってきた。彼なりの優しさなのか、はたまた別の思惑があるかは窺い知る事は叶わない。だがつい先程まで悲壮に押しつぶされかけていた男の顔は明らかに安寧を得、気持ちに変化が生じたようだった。彼の剣を借りた結果の出来事に面喰らった顔が、久方ぶりに見えて嬉しく思える。吹雪く前に馬を駆り1時間もする前に元基地に到着し、馬を繋いで草を喰ませておいた。天候の事は己らではどうにもならない。いつまで続くかも知れないが、とにかく凌げるだけマシだ。露を払いながら奥へと進むと、光の入らぬ廊下から部屋へ辿り着く。小さな窓から入る仄明りに雪の影が見え始めた。簡素なベッドに腰を下ろすと、やっと胸の奥の息を吐く。しんと静まり返った低い天井しか無いこの空間に、今久方振りに彼とたったの二人ぼっちだ。隣に彼が座り、熱を近くに感じるだけで、妙な動悸が襲いくる。その熱に寄り添い腕を回し合えたならどれ程良いのだろう。息が乱れ冷や汗が出、寄り添うどころか反射的に身を離してしまう。なるべく自然に立ち上がり距離を取る。「冷えるな……毛布や薪がわりになるものを探そう。」   (2021/10/7 23:06:17)

樂/grこんな時自分の強情ぶりには嫌気がさす。トントンは何も悪くないのに、奴を避けてしまうのは己の弱さに他ならないのにだ。奴が拒むはずはない、だが払われた手の感覚が、冷ややかな声が視線が、今なお脳に張り付いたままだ。目に見えないものを恐れる感覚を私は甘く見ていたのかも知れない。リネンが積み上げられた場所に出ると何枚か引き抜いて腕に取り、タオルや毛布を持って部屋へと戻ろうと、相変わらず重たい足取りで歩む。部屋に戻るも、見渡せど何故かそこに奴の姿はない。もしかしたら何かを探しに行ったのかも知れない。リネンを暖炉へ放り込み、そこに火をつけ漸く部屋にまともな照明ができた。毛布を被りベッドの淵に腰をかけたまま、その火をぼんやりとした頭で見つめていたが、腰へ手をやり現実に引き戻された。「無い、ヒルトが無い。どこかで落とした? いやしかし此処へ着いた時にはまだあった。」   (2021/10/7 23:06:32)

樂/grのんびりと休んでいた場合ではない、あれは大切なものかも知れないのだ。立ち上がり部屋を出て、今通って来た道を辿っていく。両手が塞がっていたからきっとそのあたりに落としたのだろう。しかし探せども探せども見つからず、焦りで足元ばかり見ていたのが祟ったようだ。目の前にトントンの胸板が迫り、酔っ払いみたいにぶつかり無様に転んでしまった。「ッわぎゃ! と、トン氏? なんだお前、いたのかそこに。」打ちつけた鼻を押さえながら顔を上げ、モスグリーンの服を見上げ、その手にあの一振りの柄がある事に気が付いた。「それ、見つけていたのか……それはお前の村の地下で見つけたんだ。どうせお前に渡す予定だったんだ、受け取ってくれ。」   (2021/10/7 23:06:43)

樂/gr((気を抜いて風邪をひいてしまいました、まだ喉が痛いです…最近夜はとても寒いですね、気をつけて体調もどさなければなと思ってます。こちらも毎回楽しみにお待ちしてますね!   (2021/10/7 23:09:21)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/10/7 23:09:27)

おしらせ雫月/tnさんが入室しました♪  (2021/10/14 20:23:23)

雫月/tnどのくらい経っただろうか。空からはひらりひらりと白いものが舞い始める。そのうちここら一帯を埋めつくし白銀の世界へと変えてしまうかもしれない。基地内も暖房器具の点検が必要になってくる頃か。帰宅したら不備がないか確かめておくかなんて馬に揺られながらも仕事の事ばかり考えてしまうのは最早病気だ。暫く休暇を得た身体はなまってなまって仕方がない。メンバーを捕まえてリハビリがてら訓練するのもありかもしれない。果たしてそれを軍医である彼が許してくれるかは分からないが掛け合ってみるのも手だろう。暫く時間が経っただろうか。中継地点の基地が見えてくる。その頃にはほぼ薄暗くなり夜へと足を踏み込み始めていた。馬から降りれれば馬を専用の小屋へと繋ぎ止める。彼の背を追うようにして中へ踏み入れたそこは始めて踏み入れる場所。此方の方面など自身の村が見えるからと足を運んでいなかった。こんな所に基地があったのも初耳だ。もしかしたら目の前の彼しか知らなかったのかもしれないが。   (2021/10/14 20:23:37)

雫月/tnベッドへと腰掛けた彼の隣へと自然と腰を下ろす。するりと逃げるように立ち上がった彼に思わず目線を向けるが彼の表情を窺い知ることは出来ない。薄暗い空間で彼はどのような表情をしているのだろうか。触れれば壊れてしまいそうな彼に触れるのもはばかられる。「おん、分かった」小さくその一言だけ返せば、彼が出て行くのを見送る。彼の気配が消えた頃に自分も立ち上がれば、廊下へと足を運ぶ。布団やらは彼に任せて自分は何か食料がないか探しに歩くか。なにぶん慣れない基地の中を歩くのは苦労するがそこまで広くもないだろう。歩き回り見つけためぼしいものと言えば缶詰や乾パンといった日持ちするものだ。無いよりはましかなんて溜息を漏らす。袋に詰め、廊下へと再び足を運ぶと何やら目を引くそれが真ん中に落ちている事に気づく。   (2021/10/14 20:23:48)

雫月/tn頭を下げ掌で掴みあげたそれは見覚えのある装飾が施されている。これはまだ少年だった頃に貰った剣の1部だっただろうか。それに目を向けていたせいか衝撃が身体に来るまで気づかなかった。自分にぶつかり倒れたであろう彼に面食らってしまう。こんなにこの人はドジだっただろうかなんて失礼な事を思ったが口には出さない。「…あんた、こんなものの為に穴に落ちとったんか」思わず辛辣な言葉が出てしまった。呆れたように溜息をつけば助け起こしてやる。確かに思い出の品ではあるが彼の命と比べれればどちらが大切かなんて明白だ。「まぁ、受け取っとくけど危険な真似してまでやらんとってくださいね」   (2021/10/14 20:23:58)

雫月/tn((いつの間にか仕様が少し変わってますね。風邪は治りましたでしょうか?寒暖差が激しいですからお気をつけくださいね。互いにゆっくりと返していきましょう脳みそ溶けちゃうので   (2021/10/14 20:25:06)

おしらせ雫月/tnさんが退室しました。  (2021/10/14 20:25:08)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/10/23 20:37:49)

樂/gr「こんなものとは随分な物言いだ。折角俺の手ずから発見し回収してきたのに。」余りにもあっけらかんとした態度に、此奴には感慨もへったくれもないのかと肩を竦める。どのような由来があり、どう渡そうかなど、考えるだけ無駄だったようだ。しかしあれは恩人が彼の命を守るために渡した物だと分かり安堵はした。そんな事よりぶつかった時打った鼻がまだジンと痛む。兎にも角にも一晩二晩なら無事過ごせそうな設備である、廊下は冷えていても雪が吹き込む事はなさそうだ。彼を伴い部屋に戻れば、どこからか見つけてきた乾パンなどが纏め置かれ、彼のチョイスらしい内容の探し物に心が緩む。暖炉の火によって部屋は速やかに暖まり、薄い毛布でも過ごせそうな予感がした。簡易ベッドの上で毛布に包まっていれば、眠れなかった昨夜が祟り、うつらうつらと瞼が落ちる。火の粉の爆ぜる音に落ちかけた首がはっと持ち上がる。   (2021/10/23 20:38:14)

樂/gr床にテント地のシートを敷き毛布を広げた上でくつろいでいたトントンと目があった。衝撃でずれた眼鏡を指で上げ、骨肉のある片足を上げて抱えるように姿勢をなおした。炎の前で何をしているかと思えば、自身の剣の手入れのようだ。彼にとってそれは日頃行ってきた行動の一環にすぎないのだろうが、慣れた手つきで刃に触れる武骨な指が少しだけ羨ましい。「少しだけ眠らせてもらうとするよ。お前も休めるなら休んでおくといい、夜は長いのだから。」そう声をかけたところで、どうせ奴は休まない。己の為に見張りをするつもりでもあるのだろう。限りなく安全とはいえ100%ではない事は確かだが、それでも肉体的な疲労とは付き合わねばなるまい。横になり毛布を肩まで被ると、一度大きく緩慢に息を吐き切り、抗えぬ眠気に身を委ねた。すぐさま意識が遠のき始め、緩やかに闇の淵へと向かっていく。このまま夢など見ずに眠り続けられたらどんなに良かったのだろう……   (2021/10/23 20:38:31)

樂/gr首に走る痛みが脳を混乱に陥らせた。生暖かい息が首筋を走り、あの時の悪寒と吐き気が鮮明に蘇る。もがこうが叫ぼうが身体の自由が効かず、己の背に自重をかける気味の悪い男の興奮した息遣いに、また一層顔を歪める。肌を撫で回され己が恋人しか知らぬ場所を弄られ、罪悪感と不甲斐なさに毎晩打ちのめされた。絶望に塗れたままの真っ暗闇の中、長躯の男から冷たい声と冷ややかな視線が投げかけられた。己は確かに彼に縋り付きたかった。力強く受け止めてくれるあの指で髪を混ぜながら、息が止まってしまうほどきつく抱きしめて欲しかった。忘れていた呼吸が始まると、肺が驚嘆し過剰に働き出し、苦しさに自らのシャツに爪を食い込ませていた。だが今日は何処かから誰かの声がする。肩を強く揺さぶられ、反射的に叫びながらその手を払い除けた。   (2021/10/23 20:39:11)

樂/grベッドから転がり出た所で指先に触れた剣鞘に気付き、よろめき立ちながら刀身を抜き去ると、驚愕と困惑に立ち尽くしたトントンへその剣先を向けた。手が震え指が氷のようだった。もうどこまでが夢でどこからが現実なのだろうか、自身に問う事も放棄した。半壊し苦しむくらいなら、もう完全に壊れてしまいたかった。「剣を取れトン氏、全力で来い……手を抜いたら俺に対する侮辱罪で、お前を地の果てに追放してやる!」   (2021/10/23 20:39:26)

樂/gr((仕様変更していて驚きました!コピペした時にたくさん欄が出てびっくりです。風邪は治ったのですが寒すぎてぶり返さないようにしようと思います。㌧氏に喧嘩売ってみましたので煮るなり焼くなりして下さいね。   (2021/10/23 20:41:36)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/10/23 20:41:42)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/10/31 19:21:14)

雫月/tn.相手の言葉に喉を詰まらせる。今の言葉は確かに失言だった。言い訳のしようもない。心配故の言葉であったが彼からすれば、折角こちらの為に取りに行ったものであろうそれに目を落とす。「すまん、今のはあかんかったわ。言葉が悪かった。あんたが怪我してないか心配やったんや。」素直に頭を下げれば、持っていたハンカチへと大切にそれを包み込む。口数少なく、彼の背を追い掛けるように部屋へと集めた食糧を手に戻る。部屋は火をくべたおかげかほんのりと温もっている。簡易ベッドを彼へと譲り、シートと毛布で簡易的に座れるスペースを作る。どうせ眠る気は無い。ずっと休み過ぎた身体はむしろ仕事を求めている。社畜体質だと周りからは囃し立てられもしたが、こればかりは性分だからどうしようも出来ない。   (2021/10/31 19:21:25)

雫月/tn.見つけた乾パンや飲料を彼に分け与え、それを口にした後に暫くすると疲労からか目の前の彼の頭が揺れ動く。眠気からか閉じそうな瞼に苦笑する。無理もない。もとより自分よりも彼の体力の方が劣る。戦場を駆け回っていたのだ。その体力の消費は半端ないものだろう。素直に寝れば良いものをハッと目を覚ました彼と目が合う。最早一環として流れ作業になってしまった愛剣の手入れの手を止める遠距離も苦手ではないが、自分にはこの愛剣が何よりも手に馴染む。眠るおりを伝える彼に丁寧に言わなくても良いのにと苦笑混じりの笑みを浮かべる。「おん、大丈夫やでちゃんと休むから。グルッペン、おやすみ」労うようにそういえば、聞こえているかは分からないが直ぐに横になってしまう彼の背にそう声をかける。余程疲れていたのだろう。暫くすると小さな寝息が聞こえてくる。それを聞きながらも愛剣の手入れを再開させる。   (2021/10/31 19:21:34)

雫月/tn.窓から見える空を見上げる。ヒラヒラと舞う白い雪はきっと見えはしないが、地面を覆い尽くし真っ白に染め上げている頃合いだろう。綺麗な白いそれは自分はあまり好きにはなれなかった。凍えるような寒さに耐えるようにして何とか地下から這い出た頃には自分の恩人のものかはたまた自分を襲いかかってきた村人のものか分からない赤で白が染まっていた。そこからは記憶が無い。逃げて逃げて逃げて…。途方も無く歩き続けた。知らない場所で餓死寸前になりかけ拾われた。剣を持ち、軍へ入るきっかけになったのはそれからか。軍人であった人に拾われ、鍛え上げられた。士官学校へと入学する前にケジメとして訪れた故郷の村。何も変わらないそこは自分を激昂させるには十分だった。そこからは今朝に訪れた通りだ。何もかも破壊してやった。考え事をしていると呻き声が聞こえ、ハッと我に返る。   (2021/10/31 19:21:43)

雫月/tn.夢見が悪いのか魘されるその声に彼の肩を掴み揺さぶり起こす。彼の名を何度も叫び揺さぶるその手は微かに震えていた。ゆっくりと目を開いた彼に安堵する。と同時に手を払い除けられる。驚愕で目を見開けば、彼の手に握られた剣へと視線をうつす。正気ではない彼の表情に息を漏らす。先程まで手入れしていた愛剣を掴むと立ち上がる。余程の悪夢を見ていたのだろう。夢と現実の区別がついていないであろう彼の目を醒ませるには向かい打つしかないだろう。久し振りのその感覚に昔に戻ったようだ。最近は彼と剣を交えるなど無かった。「ええわ。昔みたいにやり合うのも悪くないやろ。それにあんたの目を覚まさんとあかんみたいやしな」   (2021/10/31 19:21:52)

雫月/tn.((欄が多すぎて落ち着かないですね。こんばんはトリックオアトリートです。暑くなったり寒くなったりしますからねご自愛ください。売られた喧嘩は買いました   (2021/10/31 19:23:02)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/10/31 19:23:05)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/11/12 19:45:04)

樂/grゆらゆらとした気味の悪い浮遊感に苛まれながら、我が右腕と慕う男の顔に剣先を突き付ける。心臓が痛いほど鼓動し、全身が煮えるような熱さで気が狂いそうだ。もうとっくに狂っているかもしれないが、正常な思考故の理論を捨てるなんて考えられなかった。だからこそ縋る様に剣を手繰り寄せたのかもしれない。普通の人間にこの感覚は理解できない、しかし目の前で鞘から鈍色の剣を抜いた男は違った。彼もまたこちらの岸に在る者の一人だ。この二ヵ月で己は昔の勘を思い出し、彼は長すぎる休息で多少鈍っている。普段であれば既に彼の剣の腕に敵うはずがないのだが、お互いの実力が拮抗している今なら、若造だった頃の火花散るぶつかり合いを再び体感出来るかもしれない。勝ちの目があるなどと芽生えた一縷の希望は、最初の打ち合いで早くも消え去った。撓る剣先を相手の胸筋へ鋭く突き出すも、上手い覚悟で相手の刃の上を滑らされ威力を殺がれ、そのままガードの甘くなった腹に相手の重い蹴りが入る。   (2021/11/12 19:45:09)

樂/gr防御が間に合わないため、生きている足を軸に体を捻って何とか直撃は免れた。脇腹を掠めていく一撃の勢いに巻き込まれ、硬い床に片腕をつき何とか体を起こすと視界の左端に何かが走る。頬からこめかみに走る灼熱感の直後、奥の壁に赤い血が扇状に飛散したのが見えた。己の血だ、彼の瞳と同じ赤をしていた。咄嗟に身体を反らし回避しなければ失明していたかもしれない。気迫のこもる剣戟に相手の本気が窺えた。血を目にした事で、震えていた剣先が深夜の湖面の様にぴたりと落ち着いた。首元に流れ込む血がシャツを赤く染めていくのも気にせず、本気の命の殺り合いに乾いてひりつく喉より変な音が漏れた。相対する男に対し、全ての感情が混濁した歪な表情に見えていればいい。短く息を吸い呼吸を止めて間合いを詰める。全身の筋肉を爆発的な瞬発力を発揮し、反応する前に右肩口に深く抉る傷を与える。   (2021/11/12 19:45:38)

樂/gr肉が穿たれ腕に跳ね返るあの感触が、生々しく本能に訴えかける。感情に任せ凶刃を振るったり快楽で殺す事など、人間という生物以外にはあり得ない。失っていたもう一つの感情が心の底から小さな気泡になって浮かんでくる。「本気で来いと言っただろう、本気のお前はこんなものじゃないはずだ。」自分の声でいてそうではない、不思議な気分の中にいた。喜悦、嫉妬、憎悪、悲哀、たくさんのものが次々に己を支配する。刃の広い剣が横薙ぎに襲い来る。受け止めるため重心を下げた時に剣の軌道が変化し、逆サイドから斜め上に向かい振り上げられる。残念ながらリーチの長さでの勝ち目はなく、肘の骨に当て無理やりに威力を落とし、重力に任せドロップさせ左手に剣を持ち替え、剣あばらの隙間に押し込める。げぶ、という音が相手の口から漏れ出て、次いで痛みと衝撃による嘔吐があった。吐瀉物で服が汚れようが、気にすら留めないまま鍔迫り合いが始まった。   (2021/11/12 19:46:02)

樂/gr筋量が多いせいで内臓を傷つけられなかったし、激痛だろうに呻き一つ上げないなんて可愛くない奴だ。激しい呼吸が互いの顔にかかる。ごく近しい距離で視線が絡む。嗚呼この時間が永劫なればよいものを。だが己の瞬発的な体つきでは持久戦は不利であった。力で弾かれ、足が縺れる。銅からくるであろう一撃を止めるべく刀身を突き出したが予想は裏切られた。隙だらけの側頭部にグリップが打ち付けられ天地を失う。強烈な吐き気と急激に狭窄する視界、己の手から剣が離れて遠くから破鐘の音がした。このまま奴の腕で壊されればそれは本望だった。一つだけ心残りがあるのなら、彼自身の死をこの手で与えてやるという約束を果たせない事だ。   (2021/11/12 19:46:14)

樂/gr((大変遅くなってごめんなさい!コロナも解除され年末に向け毎日激務です…気付くといつの間にか何日も経ってます。今回戦闘しか描いてませんでしたね、無駄に長くなりましたが分かりにくかったらすみません   (2021/11/12 19:47:49)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/11/12 19:47:54)

おしらせ雫月/tnさんが入室しました♪  (2021/11/20 23:58:58)

雫月/tnこうして剣先を向けあったのは何時以来だっただろうか。長らく背中を共にしたことはあっても演習の時さえも本気でやり合うなんて事はなかった。昔敵同士だった頃を思い出す。血が滾るあの感覚に思わず口元が緩むのを感じる。勿論理性はそれなりに働いている。しかし、目の前の彼の瞳は揺れ動いており正気でないことは確かだ。手を抜けば一瞬で首元をかき切られるのは此方だろう。本気の相手に力を抜く方が失礼にあたる。慣れ親しんだ愛剣を手に舞うようになんて美しい表現は似合わない程の獰猛な剣先を振るう。相手が鋭く突き出してきた剣先をいなせば、ガードの甘くなったであろう腹へと重い蹴りの一撃を食らわせる。体格差的に吹っ飛ぶであろうそれを崩れた体制ながら直撃を免れたのは流石と言うべきか。   (2021/11/20 23:59:17)

雫月/tnしかし、その僅かに崩れたであろう姿勢を見逃さない。連撃で次の一手を繰り広げる。それでもなお直撃を免れる彼に思わず舌打ちを零す。暫く動かしていなかった身体は思った以上に動作を鈍くしているようだ。これでは戦場に立った時に役に立たない。無能には容赦ない。それは自分に対してもだ。帰ったら鍛え直さないといけない。連撃を避けた彼がそこからの反撃にうつる。早くて一瞬反応が遅れる。右肩に痛みが走り、肩口を抉られたことに気づく。楽しくて仕方がない。思わずニヤけそうになる口角を抑えながらも煽ってくる相手に思わず悪態をつく。元来抑えてはいるが口は良い方ではない。それは小言を聞かされるメンバーなら誰だって知っているだろう。   (2021/11/20 23:59:27)

雫月/tn「あんたこそ本気やないやろ?怪我人相手に手加減しとる訳ちゃうんやろ?やとしたら拍子抜けやなぁ」煽りに煽りで返してやれば、そのままの勢いで剣先を相手の横へとスライドさせる。美しい剣さばきではない。自身の腕力で暴力的な攻撃を繰り出しているだけだ。美しい舞うようなという表現は目の前の彼にこそ相応しいのかもしれない。鍔迫り合いの末、持つ手を変えた彼の一撃を受ける。その衝撃は常人なら悶絶していただろう。生憎頑丈が取り柄の自分は体内のものを吐き出す程度でおさまる。痛みはないと言えば嘘になるが、戦いのさなかドーパミンが出ているのかそこまでの痛みを感じる事はなかった。正気に戻った際には相当な痛みを生じる事になるであろうが今は戦いに身を興じる事こそが全てであった。   (2021/11/20 23:59:38)

雫月/tn鍔迫り合いは次第に佳境へと差し掛かり、持久戦を余儀なくされる。暫く静養していたと言えど純粋な体力差は此方の方が勝る。短期戦であったのなら彼の方に勝機を掴めていたであろうが、決定打にかけていた。何度も攻撃を食らっているが決して倒れないのは彼を守る為に鍛え上げた強靭な身体のおかげ。それが彼にとって貫けぬものとなるなんて皮肉なものだ。息切れし隙だらけの彼の側頭部へと一撃を喰らわせれば、彼は音を立て崩れ落ちた。互いの呼吸音だけが静寂を打ち破る。崩れた彼の側へとしゃがみ込めば、先程まで戦闘により興奮していた思考が正常へと戻ってくる。忘れていた痛みがどっと押し寄せる。   (2021/11/20 23:59:48)

雫月/tn先程の一撃で胎内を傷つけてしまったらしい。咳と共に血液を吐き出せば、どうしてこんな状態に互いがなっているのかとイラつきが勝る。彼の額へとデコピンを喰らわせれば、痛みにより彼の隣へと地面へ突っ伏すことになった。「これで静養期間延びたらアンタのせいやからな…」恨みがましくそう言えば、先程とは打って変わっていつもの調子で彼へと視線を向ける。彼が何を恐れているのか知らないが手放す気などない。逃がす気もない。気が済むまで付き合ってやるつもりだ。「まだなんか腹ん中溜めとるんなら付き合ってやるから死ぬ真似だけはせんといて下さいね。アンタが死んだら誰がワイのこと殺してくれるんや」   (2021/11/21 00:00:00)

雫月/tn((ここ10日熱は無いんですけど鼻風邪をこじらせ続けています。長文になると頭はたらなくなって来るのでおかしい点があったらすみません。あと1ヶ月ちょいもすれば今年も終わりますからね。忙しさで体調を崩されないように   (2021/11/21 00:01:33)

おしらせ雫月/tnさんが退室しました。  (2021/11/21 00:01:35)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/12/3 22:39:28)

樂/grぐわんぐわんと畝る意識の奥底に漂う自我が境を無くすのを、すぐ側にある長躯の者の声に繋ぎ止められた。彼曰く、療養の期間が延びたら己の所為らしい。隣にどかりと倒れ込むその者の願いと、度々重ねて結ばれた約束は命と同等に大切なものなのだ。しかし体を動かそうにも脳が指令を出すことを拒否し、指先すらまともな動作ができない状態だ。互いに命をかけて戦ったのだから、手酷くなやられたって仕方ないのだが……さすがに何故こんな目に遭ってしまったのだと今更ながら後悔しはじめた。互いに意固地でプライドが高く、言葉足らずだからこんな事になるのだ。初めはほんの小さなすれ違い、段々と膨れ上がる疑念は己をこれ程までに弱くしたのだ。   (2021/12/3 22:39:46)

樂/gr思えばたったあれっぽっちの事故をこんなに引き摺るタイプでは無かったはずなのに、我が右腕が絡むだけでまるで頼りない醜態を晒してしまった。彼は普段と変わらずに接してくれている筈が、何故か素直に受け入れられない。心を鉄柵が囲っているみたいだ。剣の一撃を喰らわされ、その鉄柵はひしゃげ罅割れている。もう一息で瓦解しそうな気はするが、あと一歩を踏み出すのは自らの手で為さねばならない。暫く意識を失っていたらしく、目を覚ました時には不快極まりない吐き気と眩暈を覚え、伏せたまま呻き声をあげる。部屋の中に小窓から灯りが入ってきているのか、瞼の裏に光が見えた。隣で身動きする男の気配を感じると、なんとか口を開いた。「全く、動けん……動いたら死ぬまで胃液を吐きそうだ……悪いが幹部連中に連絡して、迎えをよこしてくれるよう。」   (2021/12/3 22:40:05)

樂/gr結局己も彼も、二週間の静養と謹慎になった。まあ仕方がない、二人揃って馬鹿をやり大怪我を負ったのだから。申し開きも出来ぬ体調もさる事ながら、幹部連中からの猛烈な罵倒に耳が痛いったらありはしない。一週間もすれば体が起こせるようになり、二週間後には歩き回り責務も出来る様になった。不思議とあれから夢に魘される事は無くなった。トントンは相変わらず驚異的な回復力を発揮し、復帰した際にはすでに総統執務室で出迎えてくれた。奴にはこれから言ってやりたい事もあるし、やってやりたい事もある。まずはやりすぎだと文句を言ってやりたい。   (2021/12/3 22:40:32)

樂/grある程度の仕事が終わった後、椅子から静かに立ち上がり彼の行く手を塞ぐように立ちはだかって腕組みした。「お前に言いたい事がある。今の俺達は互いの関係の糸が見るも無惨に絡まり解けない。この際はっきり言っておくが、俺は自分の失態で他の奴に汚された。お前だけと決めていたが破った事になる。未遂ではあったが……お前は俺の手を払う程嫌悪したのだろう。お前はもっと自分が幸せになる道を選ぶべきだ、抱けもしない者が側にいるよりは。」   (2021/12/3 22:40:59)

樂/gr((同じ様なタイミングで鼻風邪引いておりました…辛いですね、口呼吸になると喉にもくるので、扁桃腺もお大事に……此方は暫く胃をやっていてやっと回復してきました。そして何故か最近夜眠くて仕方なくなってきました。これから更に忙しくなるでしょうから気を付けて下さいね。   (2021/12/3 22:45:46)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/12/3 22:45:51)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/12/13 20:49:14)

雫月/tn.本気のぶつかり合いだった。彼の命を奪うまでは行かなかったが手を抜けば逆にこちらが持っていかれていただろう。戦いのさなか最高潮まで高まった昂りは痛みを麻痺させていたようだ。先程の戦いの衝撃で肋が多少なりともヒビが入ったのか。ごふっと口元を朱で染めながらもそれを袖口で乱暴にぬぐい取る。自分よりもはるかに重傷であろう彼は動く事が困難なのか地面へと伏せている。反応がないところを見ると気を失っているのかもしれない。痛みに呻きを漏らす。気を失っている今なら平気であろう。息を吐くだけで痛む。そっとその痛みに耐えるように目を閉じる。   (2021/12/13 20:49:26)

雫月/tn.彼が身じろぐのを感じ閉じていた目を開く。痛みなどさも感じてないように振る舞う。彼に罪悪感など味合わせたくはない。戦闘において前線に出ることはよくある事だ。痛みには慣れている。「動いて悪化されても困るんで大人しといた方が身のためやな。それ以上悪化させたら医療班にもっと小言ぶちまけられるで」自分も相手もこの有様ではお説教は避けられないだろうが。敵と戦ったのであれば弁解の余地もあるがどう見ても互いにやりあったのはバレてしまう。本部へと連絡を入れ負傷である事を告げれば案の定通信の相手の心配そうな声と共に呆れたようなお説教を食らった。その後本部へと帰った後は2週間もの静養を言い渡された。折角治ったであろう傷口もついでに開いたらしく、2週間の間は書類すらもダメだと謹慎をくらった。その間代わる代わる耳に痛いほどの説教やら食らわされげんなりする羽目になる。普段説教する側な分説教される側の気分をたっぷりと味わった気分だ。   (2021/12/13 20:49:34)

雫月/tn.幸いにも驚異的な回復力のおかげか治りは早く2週間より少しばかり早めに復帰を果たした。自分よりも回復の遅いであろう彼を待ちつつも溜まった書類を片付け、彼の回復を待った。彼が回復したのは2週間と少しだけ過ぎた頃だ。静養の間落ちてしまったのか細身になってしまった彼に少しばかり心配になったが、笑顔で彼の回復を迎え入れた。回復するなり業務に着くあたり彼らしい。言いたいことは山ほどあるが此方から言うのも筋違いだろう。彼から言うタイミングを大人しく待つことにした。流れるように書類作業を纏め束になった頃に書類を持ち立ち上がる。そのタイミングで行く手を阻まれる。互いの仕事が一段落するのを待っていたのだろう。   (2021/12/13 20:49:45)

雫月/tn.腕組みをし言葉を紡ぐ彼に中途半端に立ち上がった姿から背筋を正し、きちんと立ち直す。彼の言葉に思わず口から重苦しく息を吐き、掌を頭に当てる。頭が痛いとはこの事か。「手を払ったのは悪いとは思っとる。あの時はワイも感情的になっとったしな。あんたに言われんでも幸せやちゅうねん。抱けへん?笑わせんな…あのクソ野郎は殺しても殺したりへんけどな。あんたの事は何があっても手放す気あらへんから覚悟してや。それとも何か?俺から離れたいんか?あんたの気持ち聞かせてや」   (2021/12/13 20:49:52)

雫月/tn.((あの後数日したら回復しました。樂さんの方は体調の方は如何でしょうか?だんだん寒くなる上に12月は色々と忙しい時期だと思われます。あまり無理のなきよう。物凄く口悪とんしになりました   (2021/12/13 20:51:24)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/12/13 20:51:27)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/12/23 23:41:27)

樂/gr「離れたい訳が……!」反射的に荒げた声が、高い天井から跳ね返る。直ぐに我にかえり、言葉を収めてから目を伏せ長く息を吐いた。「そんな訳が無いだろう……お前と離れたいなど思ったことなど微塵もない。離れていた二ヶ月間、お前の事を考えない日は無かったんだ、信じるか信じないかはお前次第ではあるが。だが毎晩魘されていた、あの日の悪夢を幾度も繰り返して、そうして段々とお前の手の温かさが薄れてしまった。今ではどこをどの様に触れられたかすら、記憶の彼方に押しやられた。」二ヶ月間息をつく暇すら惜しんで戦いに明け暮れた結果、己には悪夢と深い傷が刻み込まれた。目の前の男が何故だかとても遠くに感じる。今は命の取引たる剣戟を交わした瞬間の様に、その熱を肌に感じられなかった。重々しく右手を持ち上げてその心臓へ触れようと近付けるも、爪先に硬い生地の服が触るとそれ以上動かす事はならなかった。   (2021/12/23 23:41:59)

樂/gr行き場を無くした指が機械の骨組みの如くぎこちない動きで握られ、拳を相手の胸郭へ押し付けた。暫く後やっと口を開き、言葉を選りながら話し出した。「今夜久しぶりに自宅へ帰る。今まで殆ど帰らず客を招いた事は無かったし、お前が来るも来ないも自由だ……場所だけは伝えていた筈。」それだけを伝えてそっと拳を下ろす。そういえばと思い出し、机から大きめの紙袋を取り出すと、恋人の手に黙って押し付けた。長い間借りっ放しになっていたマフラーを綺麗にクリーニングし、解れを直したものだ。首元が寂しいがこればかりは仕方ない。ふと晒された自分の首の傷に手をやると長さにばらつきのある髪が手に触れた。自分の剣で削ぎ離した髪の断面は、烏の翼みたいにギザギザで不恰好にも程がある。すぐに髪を綺麗に整えなくてはならない。「来る気があるなら20時以降に来い、其れまでにやる事は済ませておくから。」   (2021/12/23 23:42:16)

樂/gr城下町の郊外にある大きな私有地には立派な林道があり、それを抜けた先に我が家が存在している。普段は噴水からは水が滔々と流れているのだが、厳冬の最中であり水は止まっていた。その代わり溜まった水は凍っており、厚い層に気泡を詰め込んだまま佇んでいる。屋敷の鍵を開けて中に入れば、月に数回ハウスキーパーが綺麗にしているお陰で埃すら感じない。これなら安心して来客に備えられる。先刻理容師に久々髪を整えてもらった。襟足をすっきりと揃え、前髪は短めにして多少残し耳に掛ければ、全体の毛量が減ったからか顔が一回り小さく見えた。身なりには其れなりに気を遣っていた筈が、戦争になるとなりふり構わなくなるのは、人前に立つ指導者としては悪い癖かも知れない。結局いつだって、恋人が好きだと言ってくれれば己の姿など何だっていいのだなんて思春期の初恋様の見解に至るのだ。   (2021/12/23 23:42:44)

樂/gr出来るだけ身綺麗にしなくてはとバスタブに湯を張り服を脱ぐ。一応ナカも綺麗にしておかなくてはと冷たい御影石の上を歩くと、姿見に映る自分の姿が嫌でも横目に過ぎる。真正面から己の姿を凝視するのは恐ろしくもあったが緩慢に顔を上げ暗い視線を送る。戦争前に比べ体が引き締まったのと、激務や怪我での養生で殊更に痩せた印象を受けた。首の傷は残り続け、トントンから受けたこめかみから走る顔の傷も消えないだろう。しかしこれで良かったのだ。身を綺麗にした後は、バスローブの上に床まで着きそうな程の上質な上着を羽織り、ソファへ体躯を預け、待ち人の来訪を待つ事にした。   (2021/12/23 23:43:01)

樂/gr((今晩は、クリスマスまでに何とか間に合いました、少し早いですがMerry Christmasです!ここ最近毎日えげつない仕事量ですが何とか年末まで駆け抜けたいと思います。口悪いとん助すごく好きです……それでは寒いですので気を付けてお過ごし下さいね。   (2021/12/23 23:46:28)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/12/23 23:46:32)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2022/1/4 20:48:48)

雫月/tn.離れたくないその言葉を聞けただけで十分だった。彼がもし自分と離れたいと望むならば、違う幸せを見つけたと言うならば彼の幸せの為に身を引くだろう。彼の口からようやく紡がれたあの日の悪夢。思い出したくないであろう記憶だろうに辛い思いだろうに口に出す事すら躊躇われるそれに2ヶ月以上何もしてやれなかった自分を悔いた。彼に寄り添わなければならなかったのに勝手に傷つき彼から離れた。自分以上に傷ついていたのは彼なはずなのに。静かに彼の言葉へと耳を傾ける。全てを受け止めるように聞き逃さないように。彼からのお誘いの言葉その言葉に閉ざしていた口を開く。「分かった。」ぶっきらぼうにそう言葉を紡げば押し付けられたマフラーを握りしめる。   (2022/1/4 20:49:02)

雫月/tn.気の利いた言葉のひとつを返すには今の自分にとっては普段あれほどの言葉が溢れるというのに不思議と出ないものだ。彼とそこで別れを告げる。行かないなど言う選択肢はない。気の利いた言葉などかけられる自信などないが。これがもし他のメンバーであったならもう少しましな言葉をかけてあげられていただろうか。自分の無能さに腹ただしい。普段有能だと散々言われているが恋人に対してはこうも無能になってしまうのか。恋人の前ではただのひとりの男でしかないのだ。有能であるその人からのレッテルは自分には重くのしかかる。全てを投げ出せてしまえば楽なのだろうが。渡されたマフラーを首元へと巻き付ければ返ってきた安堵に息を吐く。なくてはならないもの。失いたくないもの。当たり前のようにそこに存在するもの。それはきっと…   (2022/1/4 20:49:11)

雫月/tn.溜まっていた仕事を処理する事で緊張をまぎらわせてようとしたが無駄に終わってしまった。彼の事を考えないなど有り得ない。時間が迫れば迫るほど彼に対しての気の利いた言葉のひとつさえ思いつかない自分に情けなさでいっぱいになってくる。既に時刻は約束の時間を迎えようとしていた。重苦しく息を吐くとある程度の準備を済ませ、仕事着ではなく私服に身を包み彼の自宅へと足を向ける。彼の自宅に呼ばれる事などそう数える程ない。何度か迎えに訪れた事はあるが中には足を踏み入れたことは無かった。妙に緊張した面持ちで彼の自宅の重厚である扉の前と立つ。インターホンを鳴らせば、手に握りしめていた紙袋を持ち直す。彼が出迎えてくるであろうのを待つその時間さえも長く感じるほどだ   (2022/1/4 20:49:47)

雫月/tn.((メリークリスマスを通り越してあけましておめでとうございます、いやはやすごく時間が経ってしまいました。申し訳ない。脳が年末年始はとろけますね。角煮になる所でした。口悪いけどすぐ頭冷えるので元に戻りました。可愛らしいグルさんが見れて満足している所存です。年明けましたが体調の方は如何程でしょうか   (2022/1/4 20:52:22)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2022/1/4 20:52:24)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2022/1/13 20:55:10)

樂/gr窓の外を見ると、沈みゆく三日月の下に広がる城下町に灯りが灯る。窓から漏れるオレンジの奥にはさらに深い闇が佇み、そのコントラストが美しく映る。なんて綺麗なんだろうかと、さも珍しくもない感想につまらなくなり身体を壁に預けた。言葉を持たない男を待つのは些か胸を騒つかせる。それがまた憎たらしくも愛しい感情として記憶に刻まれていった。時折冬の冷たい風が窓を叩く。待ち人は来るかも分からない。頭の中で考えが一巡、また一巡し、己を慰めるためだけの小さな溜息を吐いて、ソファに身を預けた。時計を見ると21時を過ぎようとしており、期待を剥がすかのように秒針から顔を逸らす。「俺が一方的に誘ったのだ、約束したわけでもないし来ないなら仕方ない。」聞き分けの良い自分が聞き分けの悪い自分に、言い聞かせる風な口調に思わず失笑する。   (2022/1/13 20:55:27)

樂/gr全く厄介な感情だ。空っぽの家中に響くチャイムが静寂を破り、思わずガバリと腰を上げ半ば急ぎ足に玄関に到達する。鍵を開けゆっくりと重たいドアを押せば、待ちに待った者がそこにはいた。お互い軍服を脱いだ姿で会うのは久しぶりだ。実を言えば奴は軍服のまま来るのではと考えていた。私服で来るなんてどういう風の吹き回しかと目を白黒させていれば、寒風に吹かれ赤いマフラーがバタバタ靡き、慌てて中へと招き入れた。「遅かったな。」揺らめく蝋燭の火に照らされた恋人の私服姿に妙な羞恥を覚える。何故なのかはよく分からないままだったが、何とか頭から追い出し平静を保つ。寒いのに随分と薄着に見えるが、彼は雪深い北方出身だから強いのだろう。ソファを勧め、ワインラックからお気に入りのフル寄りミディアムボディを引き抜いた。彼もこの香りが気に入ってくれたら良いのだが。   (2022/1/13 20:55:54)

樂/gr「食事は済ませてきたか? まだなら何か簡単に出してやるが。」きっと仕事にかまけて食事を忘れていたんだろう。サラミやチーズなどがあったはずと思い出しながら腰を上げ冷蔵庫を覗くと、レーズンバターがあった。先程買ってきたサラミと熟成したチーズやバケットを切り出して木の皿へ並べ、暖炉前で大人しく待っていた彼の前にコトリとおいた。「遠慮なく食べてくれ。料理はできないから簡単なものばかりですまないがな……」ワイングラスを半分ほど満たす赤い色は、彼の瞳の色よりもくすんだ赤色をしていた。それを持ち上げ火に透かすと、色を比較する様に彼の顔へと掲げて目を細める。やはりあの双眸の深く折り重なる美しさには及びもしない。その己の行動に怪訝そうな顔が返されて、思わず両方の口角を上げ微笑む。「何でもない、気にするな。そういえばお前とこうして二人の時を過ごすようになったのも、こうして酒を交わした夜からだったよな。覚えているか?」   (2022/1/13 20:56:09)

樂/gr((今晩は、明けまして今年も宜しくお願いします!年始の脳溶けは仕方ないですね、私も程よく溶けておりましたが、明けたら驚くほど激務すぎて毎日逆に笑えております。体調はかなり良い感じを維持してます、ありがとうございます! このまま崩さないように過ごしていきたいと思います。さてとん助がどんな言動してくれるか楽しみにしております。   (2022/1/13 20:59:30)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2022/1/13 20:59:35)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2022/1/24 21:50:16)

雫月/tn.急いできたものの彼の指定された時刻より少し過ぎてしまった。その時間帯ぴったりに来いなどとは彼は口にしなかったが、一刻一刻と時が進むのを待ち遠しに待っていただろう。待っていたと思いたい。そうでなければこうも心穏やかでなく心臓がたかまり、今にも聞こえそうなほど鼓動をしているこの気持ちは自分だけのものだとは思いたくはない。自然と緊張からか頬が硬直する。息を整えるように息を吐き出せば、白く吐き出される呼吸。チャイムを鳴らせば少しの間があった後に扉が開く音がする。そこには待ち望んでいた人物が立っており自然と頬が緩む。   (2022/1/24 21:50:29)

雫月/tn.彼の一言に少し申し訳なさそうに眉を下げる。仕事を早めに終わらせ来る予定であったが、思ったよりも溜まりに溜まったそれを投げ出してまで来るには目の前の彼にも失礼に当たってしまう。きちんと済ませ着替えを済ませた頃には時間がそれなりに経ってしまっていた。「すまん仕事が思ったより終わらへんかったんで…」彼に招き入れられ、中へと身体をスライドさせる。ほのかに蝋燭の光が辺りを照らす。久しぶりに見る彼は普段カッチリと着込んだ軍服を脱ぎ捨てている。普段着の姿を見るのは何時ぶりだろうか。互いに私服と言うだけで照れくさくなってしまう。部屋へと案内されソファを勧められれば腰をかける。何やら準備をしだした彼に何か手伝おうかと腰を上げそうになったが、客人なのだから甘える事にした。上司である前に彼は恋人同士。互いに私服でオフである今は上下関係など気にする必要も無いだろう。   (2022/1/24 21:50:39)

雫月/tn.用意された簡単ではあるがその料理に己が何も口にしていない事実を思い出す。昼食もとったかすら定かでは無いほどに彼に会うために仕事に熱中していたようだ。自然とお腹が空いたと主張するように音を立てる。少し気恥ずかしそうに頬を指で掻けば、誤魔化すように咳払いをする。ワイングラスへと赤みのあるそれを注ぎ入れる彼と自然と目が合う。不自然にワイングラスを持ち上げる彼に視線が自然と動く。自分がどのような表情を浮かべていたか分からないが、彼の微笑みによって更に変な顔をする羽目になったのは言うまでもない。「どうやったかな…アンタとはずっと一緒におった気しかせぇへんわ。居ないことの方が不自然なくらい共にしてきたやろ?」   (2022/1/24 21:50:53)

雫月/tn.((年始になるとなんでこう忙しいんですかね。多忙でお身体を崩されませんように。体調が良いと言うことで安心しました。そんな大胆な行動はしないはず(きっと)今後の展開が楽しみですね   (2022/1/24 21:52:58)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2022/1/24 21:53:02)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2022/2/2 20:01:37)

樂/gr普段あれ程までに冷酷漢の染み付いた彼とは思えない、照れくさ気に咳払いする仕草にうっそりと目を細める。長年を共にしたが未だ飽きの来ぬ言動に、一人密かな優越感を味わう。ワインを翳され変な顔をする姿もまた一興である。グラスを口元へと運び軽く傾けながら、彼の噛み締めるような言葉と共に味わった。「そうだな、居ない方が不自然。その言葉には素直に納得させられる。」居ない方が不自然などとは、三十年くらい共にした伴侶みたいな関係を言うのだろうに。それを解って言っているんだろうか、否此奴の事だからきっと悪気なく放った一言に違いない。だからこそタチが悪いんだよな、と唇をぐいと歪める。「お前がいる事で助かる事も沢山あるし、お前と過ごした日々はそれは素晴らしいものだが……全く俺のペースを突き崩す奴。しかしそれでなくてはな。」   (2022/2/2 20:02:01)

樂/gr腹が減っていたのか簡素な食事を次々と口に運ぶのを眺めながら、肩肘をついて足を組み直す。彼の傍らに置かれた紙袋へ目をやり、気付かれないうちに目を逸らす。全く渡してくる気配がないのが気になった。この色事に疎い男の手土産なんて己には想像がつかない。普通の土産か、驚くようなものだろうか、それとも思わず笑ってしまうようなものだろうか。まぁ彼が渡してくるまで待とうと決めて、気付かないふりを続行する。暫く落ち着いた気持ちで歓談し、直ぐに1時間強が経った。時計を見ると夜も更け街々の明かりも数が減ってきた。外は風が強くたまに窓を揺らしている。人肌が恋しくなるとはこんな日を指すのだろう。   (2022/2/2 20:02:18)

樂/gr「さて、そろそろ風呂なんかどうだ。一応お前の分のバスローブは用意してある。好きなだけ入って温まるといい。俺は二階の奥にある寝室に一足先にな。」バスルームに案内し扉を閉めた後、静かで冷たい階段をゆっくりと上がる。あまり明るいのは好まないため、小さなオレンジの照明が点在しているだけだった。目の悪い中暗い廊下を歩くのは、中かが起こる楽しみが潜んでいるような気にすらなる。寝室に入れば無駄に広いベッドがあり、ほぼ主人を迎えることのないシーツはシワ一つ見当たらなかった。本を一冊手にして遠慮なくベッドへ腰掛けると、眼鏡のズレを調整した。直ぐに活字の世界へと引き込まれて行き、本から目を離さないまま身体を横たえた。   (2022/2/2 20:02:34)

樂/gr((少し落ち着いてきましたが何故かやってもやっても新しい案件が押し寄せてきます(汗)身体は元気です、ありがとうございます!雫月さんもどうか健康にはお気を付けて!   (2022/2/2 20:04:07)

樂/gr((唐突にぐるとん何方かの記憶喪失話が見てみたくなりました。とんとんくんの後頭部にタライ落としたら行けますか?   (2022/2/2 20:05:03)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2022/2/2 20:05:07)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2022/2/6 20:04:20)

雫月/tn.我ながら似合わない台詞を吐き出したものだ。だが、常々に感じていることだ。彼がいない生活などいつの間にか考えられない程に居るのが当たり前の存在になってしまった。きっと彼なしでは生きて行けないのだろう事実を叩きつけられてしまっている。絶対に口が裂けても彼自身に言うつもりは無いが。過去の自分が今の自分を見れば想像もつかない姿だろう。それ程までに冷徹だった自分をここまで感情的につき動かせるのは彼くらいなものだろう。自分をあれだけの熱意で欲しいと願った人間など他にありはしない。彼と自分がまだ敵同士だった頃を思い出し思い出に酔いしれるようにワイングラスを傾け、自分の瞳の色に似たそれを口内へと流し込む。知らず知らずのうちに彼と過ごすこの空間が心地よくて食事もワインも進んでしまったようだ。   (2022/2/6 20:04:47)

雫月/tn.「ワイからしたらペースを崩されとるんはこっちの方やけどな」良くも悪くも人間的な感情をもたらしてくれたのは彼のせいでありおかげでもある。彼だけではなく周りの仲間にも色々なものを今ではもたらさせてもらったが。食事も終え、酔いも少し回ってしまっただろうか。普段ならこの程度で酔いはしないのだが、彼と二人きりという居心地の良さが緩みをうんでしまったのかもしれない。「そうやな…そうさせてもらうわ」急いで来たせいで食事もだが、シャワーすら浴びる暇はなかった。彼の誘いに乗り、案内されたバスルームへと持ってきた手土産を片手に着いていく。何時渡すべきかタイミングを逃してしまった。シャワーを浴びた後でも良いだろう。   (2022/2/6 20:04:55)

雫月/tn.一通りの説明を済ませた彼の後ろ姿を見送れば、衣服を脱ぎキチンと畳みこんでから脇へと避ける。一糸まとわぬ姿で浴室へと入るとシャワーを捻る。彼のものであろうシャンプーやボディソープを拝借すれば何時も彼から香る匂いが感じられる。彼の匂いがする。その感覚が慣れなくて妙に照れくさくなってしまう。仲間に童貞などとはやし立てられるのはこういう所なのだろう。あまり待たせるのは宜しくはないだろう。少しばかり身を温めた後に渡されたバスローブを身に纏う。下着までは換えは無いので先程まで着けていたものをつけ、彼の待つ寝室へと手土産を持ち足早に移動する。彼の寝室へと辿り着けば、一応礼儀として3回ノックをし彼の返事を待つ。   (2022/2/6 20:05:03)

雫月/tn.((お忙しそうですね無理のなきよう。健康は健康ですけど1週間前に階段から見事に1番上から転げ落ちまして足の付け根あたりに10センチ程のおおあざをこさえました(へへ)記憶喪失良いですね楽しそう。そんな古典的な方法でw記憶喪失だと薬投与とか頭ぶつけるのかそんな感じですかねふむ   (2022/2/6 20:07:17)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2022/2/6 20:07:24)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2022/2/11 16:34:04)

樂/gr成程、小説とは素晴らしいものだと幾度目かの肯きが出る。ペン一本でこれだけ雄弁に語れ、それを読んだ者に筆者の頭蓋に描いた光景を見せることが出来るのだから。そうして全く別の人生に身を置く事だって可能なのだ。もしも己が別の時代に生まれていたら、一体どんな生き様なのだろう。絵描き? きっと苦悶に押し潰され続かなかった。物書きか? きっと己の言葉を代弁してしまったら、多数の理解者を得るなんて考えられない。時代にもよるのだろうが……きっと今みたいに仲間を集めて、戦争でもやってるかも知れないな。俺が死んだ後にも戦争には色々な形があるだろうしな。何処か狭間を漂う気分で妄想の湖に背を預けていると、パリリと響く硬いノック音が3度聞こえた。まだ彷徨う意識を引き戻そうと天井を見つめながら、漸く本を閉じゆっくりと体を起こした。   (2022/2/11 16:34:20)

樂/gr「焦らなくてよかったんだゾ? 折角広い一人風呂なのだから。」小ざっぱりとした顔の男を見上げ、そう言いながらも中へと招いてやる。紺色のバスローブは丈が足りていないため少々足元が心許ないが、此奴がでか過ぎるのだ。暖炉の火が部屋を暖め、湯上がりの身体から熱を奪わないからか、久方ぶりに近くで見た恋人の顔はほんのりと頬に血色が宿っていた。療養とリハビリや鍛錬で元々の凛々しさに加え精悍さを増していて美しい。きっとその傷だらけの腕や胸に触れたら熱いんだろうと手を伸ばしかけ、愛しい皮膚に到達する瞬間指先が硬くなる。己が触れた先から、黒くどろどろとしたものが彼の皮下にへばりつき、そのままジクジクと侵食していくような気がして、不自然にならない様身体の向きを変えて触れぬうちにやり過ごす。   (2022/2/11 16:34:48)

樂/gr彼に触れる事をこんなに躊躇うようになってしまったのかと、心臓が冷たくなった。気付かれぬ前に背を向け、暖炉の火と向き合った。今の雰囲気は良くない、話題を変えねば怪しまれてしまうだろうか。「……そういえば、その紙袋は何だ? ふふふ、どうせお前の事、手土産ならば渡すタイミングを無くしたんだろ。態々紙袋に入れてくるとは、中身は一体何だろうな。」髪を短くしたのは失敗だった。此れでは表情が上手く隠れないじゃないか。   (2022/2/11 16:35:01)

樂/gr((お怪我されたのですか!アザができたという事で大変ですね…骨に異常はなかったでしょうか、無理せずに休養してくださいね! 確かにタライは古典的すぎました……薬物はありですね、それにしましょう(ワクワク)やはり記憶失って面白そうなのはとんくんの方に違いないでしょうね。   (2022/2/11 16:38:24)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2022/2/11 16:38:30)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2022/2/21 19:43:19)

雫月/tn.相手の返答を待ってから部屋へと足を踏み入れる。焦りを見せたのを見抜かれれば、何とも言えない表情を浮かべる。彼の元へと足早に来たのは事実だ。ポタリと乾かさずに乱暴に拭き取っただけの髪からは雫が零れ落ちる。冬の中寒く感じないのは暖炉の火のおかげだろうか。冷える廊下から部屋へと身を移せば、パタリと扉を閉める。その音が妙に耳へと残る。今更何を緊張する必要があるのだというのか。妙に喉の乾きを覚える。「待たせるのも悪いと思ったんや」これは嘘ではない。他にも彼の元に直ぐに行きたかったとか理由は幾つか会ったがその言葉は飲み込む。そんな恥ずかしい台詞を吐けるはずもない。彼に何となく距離を取られているのだと感じ、こんなにも必死に彼との距離を縮めようとしているなどと言えるはずもないのだ。   (2022/2/21 19:43:27)

雫月/tn.グルグルと思考をめぐらせていると彼の言葉に自分の左手に握りしめたそれへと視線を移す。無意識に強く握り締めていたせいか持ち手の部分がだいぶ傷んでしまっている。自分の馬鹿力と称されるその手で握りしめたのだから仕方ないだろう。中身が無事なら関係の無い事だ。出すタイミングを逃してしまったそれは出すのは躊躇われた。彼から指摘されれば出さざるおえない。躊躇いがちに取り出せば彼の色である灰色のそれを彼の首へと回す。「首寒そうやからワイのを返して貰うたし代わりのもんと言ってもそんなセンスは無いんやけどな」   (2022/2/21 19:43:37)

雫月/tn.((短くなってしもうた。アザ治りました腰も治りました。この時期になると毎回負傷するので気をつけますね。ご心配お掛けしました。記憶失ったら人間味なさそうですけど多分会う前の状態ですよね(きっと)   (2022/2/21 19:45:15)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2022/2/21 19:45:17)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2022/3/3 06:14:34)

樂/grまだ濡れそぼつ髪に雫が光り、あまりの慌てぶりと、その慌てぶりを意図せず指摘してしまった事での奴の微妙な表情に、思わず何とわかりやすいと気が緩む。此奴は本当に言葉を持たない。否本当は誰よりも俺を想っているのに、仲間思いで頭も回るのに、それを言葉として出さないから分かりにくい男と思われがちなのだ。仕方ない奴めとフェイスタオルを一枚取り、彼の髪にかけてワシワシと拭いてやった。「このままでは流石に風邪を引く。まだ暫く寒い夜は続くのだからな。」ある程度拭き取ってやり、あとは自分でやれと言って手を離した。彼の頬が赤いのは、もしかすると暖炉の火のせいだけでは無いのかもしれない。しかしそれは己も同じだ。療養と再訓練で身が引き締まり、昔出会ったばかりの頃の此奴を彷彿とさせる。あれから数奇な運命を経て、俺は漸く此奴を手にしたのだ。初めは敵同士で無ければどれだけ沢山の意思を共有出来るのかという、ある種の仲間意識だった。今じゃ愛しくて愛しくてたまらない、そんな感情を向けるに至る程だから我ながら始末が悪い。   (2022/3/3 06:14:58)

樂/grそんな彼を汚したく無い一心で、その身に触れる事すら出来ない自分は、本当に臆病者だ。その時己の首に巻かれた柔らかく温かいもの……目を落としてそれを見ると、美しい編み目が並んだグレーのマフラーだった。彼の優しさと気遣いに、どうしても振り返る事が出来ない。湧き上がる感情を耐えるたび肩が震え、息の乱れを押し殺す。今トントンの顔を見たら、俺はきっと約束を破ってしまう。「……馬鹿者。もう冬は終わりだというのに。折角貰ったのに、今季はあまり使えないじゃないか。」そう、冬が終わる。強い風は春の嵐だ。溢れそうになるものを噛み締めてグッと堪え、ゆっくりと振り向いて彼を見上げた。上手く笑えていれば良いが。「ありがとう、気に入った。大切に大切にするさ、戦う時は必ず身につけよう。」そうして一呼吸おいてから、少しだけ視線を落とした。絞り出した声は、己のものとは思えないくらい弱かった。「今夜は、俺を抱きしめていてくれないか。ずっと朝まで、抱きしめたまま眠って欲しいんだ……頼む。」   (2022/3/3 06:15:12)

樂/gr((おはようございます!3月近くなり殆ど職場と自宅の往復になってます……最近早くも起きれず、夜は起きていられず時間のやりくりが下手すぎて反省ばかりでした。やっと少し早寝早起きにペースが戻りました。この時期は怪我しがちなのですか!治って良かったですがお気をつけて…!記憶喪失したらかなり吹っ飛んで、ぐに対して敵対心がある状態?!美味しすぎませんか…(至福)   (2022/3/3 06:19:28)

2021年08月23日 22時04分 ~ 2022年03月03日 06時19分 の過去ログ
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