「不思議な舘」の過去ログ
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2023年12月03日 07時24分 ~ 2024年05月07日 21時17分 の過去ログ
過去ログでは上から下の方向に発言を表示しています
冬空 | > | 確かめようと足を止め振り返れば誰もいない。気のせいなのか?そんなことを考えながら家路に着く。 (2023/12/3 07:24:16) |
冬空 | > | マンションに入ればここまで追っては来れないだろうと少しほっとする。エレベーターに乗ればドアが閉まる直前に男性が走ってくるのが見える。ドアを開けたまま待っていると男性がエレベーターに乗り込んでくる。 (2023/12/3 07:24:49) |
冬空 | > | 「あっ!すいません!」お互い会釈するとドアは閉まり上昇していく。無言のまま上の表示を見つめればやがて目的のフロアに止まった。静かにドアが開き順番に降りて歩き出す。同じ方向に進む足音、それがピタッと止まったのは私の隣の部屋の前だった。 (2023/12/3 07:25:31) |
冬空 | > | 「あっ、お隣さんだったんですね」声をかけられ思わず彼につられるように笑顔になった。それから顔を合わせれば自然と挨拶を交わしたり世間話をするようになっていった。 (2023/12/3 07:25:52) |
冬空 | > | ある日の帰り道、また後をつけられている感覚に怖くなって走ってマンションへ向かっていた。エレベーターに駆け込むと彼も走って乗ってきた。 (2023/12/3 07:26:07) |
冬空 | > | 「また一緒になったね」彼に声をかけられるも息を切らし返事をする余裕はない。エレベーターの壁に寄りかかるように立っていると更に話しかけられる。「なにかあったの?」俯いていると心配そうに顔を覗き込まれるので少しずつ言葉にする。 (2023/12/3 07:26:37) |
冬空 | > | 「実は…最近誰かに後をつけられていて…」「えっ!!それは怖いね…大丈夫だった?」2人で話をしながら部屋の前までくる。「よかったら落ち着くまで一緒にお茶でもどう?」先程の出来事から1人でいるのも怖い。彼の言葉に甘えて促されるまま部屋にお邪魔することにした。 (2023/12/3 07:27:00) |
冬空 | > | はじめて入るその部屋は仄かにラベンダーの香りがした。彼に促されソファーに座ると壁に飾られているいくつかの風景写真が目に入る。「ステキな写真ね…」「カメラが趣味で出かけては写真を撮っているんだ」そう言いながらハーブティーを差し出した。 (2023/12/3 07:27:44) |
冬空 | > | ゆっくり飲めば身体が温まり落ち着いてくる。「いい香り…でもなんだか急に眠気が…」「気分も落ち着いてきたから疲れがでたんだよ、少し休んでいくといいよ」微睡みながら彼を見つめれば寝室へと誘導される。 (2023/12/3 07:28:04) |
冬空 | > | その部屋の壁には数多くの写真が貼られていた。それも私が写っているものばかり…。「なんで…こんなに?」 (2023/12/3 07:28:46) |
冬空 | > | その質問に答えることなくベッドに寝かされると彼がニヤリと笑みを浮かべているのが見えた。 (2023/12/3 07:29:36) |
冬空 | > | 薄れゆく意識の中、頬や身体に触れる手や衣擦れを微かに感じるも瞼はゆっくり閉じていった。 (2023/12/3 07:29:51) |
おしらせ | > | 冬空さんが退室しました。 (2023/12/3 07:29:57) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (2023/12/4 21:02:49) |
夏海 | > | 【お題】『背中』『ニヤリ』『触る』全部でもどれかでも。全てを使って… (2023/12/4 21:03:07) |
夏海 | > | 日に焼けたペンキが薄皮を捲り上げて赤銅の朽ちた色を見せる手摺の、くたびれた階段を登り終えた私は、部屋のドアの前で気持ちを切り替える為に大きくフーッと息を吐き出し、鍵を差して力無くノブを回した (2023/12/4 21:12:07) |
夏海 | > | 後ろ手で鍵をガチャリ、と掛けた瞬間に待ってましたとばかりに早速お小言が聞こえて来る (2023/12/4 21:18:56) |
夏海 | > | 「あーあ、浮かない顔してなんだい里江・・・もしかして里江ちゃん、また振られてしまったのかい?」 (2023/12/4 21:21:24) |
夏海 | > | 優しく心配するようでいてズケズケとデリカシーの欠片もない言葉を浴びせるのはいつもの事で、いくら敬え、敬意を払えと私に言われても例え相手が親であっても許せない一線はある (2023/12/4 21:24:59) |
夏海 | > | 少しムッとしながらもこれ以上余計な毒でメンタルを傷つけたくも無いので私が一歩引いて「振られたんじゃ無い。合わないから別れたのよ」と最低限の情報だけ伝え、つい今し方別れたばかりの彼を思い出しては再度ため息をついた (2023/12/4 21:29:22) |
夏海 | > | 28歳。中学の私の計画では既にベビーカーを押して公園のママ友達と楽しくランチでお喋りして育児の特権を謳歌してる筈だったのに、またしても良いところまで行ったのに結局彼から別れを告げられてしまったのだ (2023/12/4 21:31:28) |
夏海 | > | 「あんたは奥手過ぎるし、硬過ぎるんだよ。それが相手には重くなって嫌われるんじゃ無いのかい?」私の気持ちなど他所に、またイラつく口を挟んで来た (2023/12/4 21:33:51) |
夏海 | > | 「この間もキスまでしたのに、彼に腕を回されてその先に進もうとするとあなたは飛び跳ねて全力で拒否したもんなー あれじゃどんな男だって本気で愛されて無いって、気持ちも冷めてしまうわよ」 (2023/12/4 21:36:40) |
夏海 | > | 何故私が彼に抱かれそうになる度に拒むのか、そんな事もわからないというの?急に沸々と腑が煮え繰り返った気がした (2023/12/4 21:39:10) |
夏海 | > | 徐にブラウスやスカートを脱ぎ捨て、下地のまま包丁を握ってバスルームのドアを開いた (2023/12/4 21:40:47) |
夏海 | > | 数年前、ただの吹き出物と思ったものはやがてイボになり、大きくなっては細かく凹凸が生まれ、やがては人の顔となり言葉まで発するようになった (2023/12/4 21:43:45) |
夏海 | > | 鏡越しに映る背中のコイツに狂気の刃が届くのを確かめて思わずニヤリとする (2023/12/4 21:45:21) |
夏海 | > | お前のせいで抱かれることはおろか、身体を見られることすら出来なかったというのに無神経な言葉の数々が余りにも私の勘に触り過ぎた (2023/12/4 21:48:19) |
夏海 | > | 私以外の絶叫が鳴り響くバスルームに、私の鮮血を撒き散らしながらゆっくりと身体を崩し、そのまま深い沼へと眠りに落ちた (2023/12/4 21:50:25) |
夏海 | > | ^ - ^ (2023/12/4 21:50:27) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (2023/12/4 21:50:29) |
おしらせ | > | 冬空さんが入室しました♪ (2023/12/10 18:21:35) |
冬空 | > | 【31話】 (2023/12/10 18:21:56) |
冬空 | > | 【お題】『海』『咲く』『机』全部でもどれかでも。全てを使って… (2023/12/10 18:22:43) |
冬空 | > | 電車やバスも1日の本数はそれ程多くはないとある田舎街にある施設での出来事である。 (2023/12/10 18:23:09) |
冬空 | > | 4階建ての施設で花壇にはいろんな花が咲いている。病室の窓からは景色もよく海や富士山が見える。 (2023/12/10 18:23:29) |
冬空 | > | 毎日忙しく業務に追われる日々だが、そんな中でも相手の言葉に癒される時間もある。例えば「ありがとう」「お疲れ様」これが癒される魔法の言葉なら逆に禁句の言葉もあるのだ。 (2023/12/10 18:23:52) |
冬空 | > | つい何気なく口にしてしまうような一言だが絶対に口にしてはいけない言葉。そんな不思議な言葉があるのをどれだけの人が知ってるのだろうか。 (2023/12/10 18:24:16) |
冬空 | > | それはある日新人が何気なく発した一言からはじまる。電話やナースコールもなく静かになった珍しく穏やかな午後のひととき。パソコンや机に向かい事務作業や記録をしていると近くにいた彼女が発した言葉に皆は敏感になり作業していた手を止めた。 (2023/12/10 18:24:49) |
冬空 | > | 「今日は静かで落ち着いてますね」その言葉にまるで一瞬、時が止まったかのように場が凍りついた…。彼女に対し一斉に唇に人差し指を添え「シィー!」としながらどこか諦めのような表情を見せていた。 (2023/12/10 18:25:16) |
冬空 | > | 何気なく発した言葉が後に大変なことになるなんて彼女は知らなかったようだ。その言葉から30分もしないうちに電話がなったりナースコールが増えたりと途端に座る暇もなく慌ただしくなったのだ。 (2023/12/10 18:25:39) |
冬空 | > | そう、先程のように「落ち着いてる」「暇だなぁ…」などは決して口にしてはいけないとされている言葉なのだ。 (2023/12/10 18:26:00) |
冬空 | > | 慌ただしさも一段落した頃、彼女はタブーとされていた言葉の本当の意味を改めて感じていた。それからはどんなに穏やかで落ち着いてるときでも決して言葉にすることはなかった。 (2023/12/10 18:27:23) |
冬空 | > | (2023/12/10 18:27:55) |
おしらせ | > | 冬空さんが退室しました。 (2023/12/10 18:27:59) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (1/7 04:30:48) |
夏海 | > | には「私達は人間でした」で始まり、「そして私は歩き出す」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば11ツイート(1540字程度)でお願いします。 (1/7 04:31:16) |
夏海 | > | 俺たちは、確かに人間だった。はずだ・・・・・・ (1/7 04:32:10) |
夏海 | > | 高校、大学と共に汗を流した【人としての包容力、誰とでも仲良くなるコミュ能力、そして周りを惹きつけるリーダーシップ】全てを兼ね備えた親友と共に、立ち上がったばかりのこの中古車販売の会社へ夢を持って扉を叩いてから何年経っただろうか (1/7 04:35:57) |
夏海 | > | いつまでもソコソコの俺を尻目に、持ち前の才能でグングンと頭角を現し、経営陣達を唸らせたあいつは当然鰻登りで出世し続け、俺の上司としてこの店舗の店長の他、一体の地域、更には地方エリアのマネージャーにまでなった (1/7 04:39:16) |
夏海 | > | お客様への破顔した愛想の良さの裏で、会社はかなりのブラックだった。経営陣が何よりも率先してパワハラで追い詰める社風だった為に体育会系の下地があったとはいえ、朗らかだった彼から優しさは消え、度々の出世と引き換えに、遂にこの俺にまで汚く罵るように変わってしまった (1/7 04:45:43) |
夏海 | > | 兎に角ノルマ、ノルマで残業やサービス出勤の日々である。ただでさえ社員の入れ替わりも激しく、お互いが会社からライバルとして競わされてもいて、到底心許せて励まし合ったり共に相談出来る仲間など居るはずも無かった (1/7 04:49:30) |
夏海 | > | 俺は俺なりに、追い越すことは出来ないがそれでも何とかガッツで売り上げ2位として追いかけられていたのは、共に最後まで諦めずにボールを追いかけた根性と自負があったからだろう (1/7 04:52:15) |
夏海 | > | 売り上げトップの者だけが許される客寄せパンダのフェラーリなんて、華やかなあいつには似合っても俺なんて豚に真珠だ。客寄せどころかマイナスイメージだろうし縁のないものだ、とこれっぽっちも頭には無かったのだが。 (1/7 04:56:01) |
夏海 | > | こんなにも終わりは呆気ないものなのだろうか。ネットでクレームを晒したたった一人の顧客から、堰を切ったように次々と不満をリークされ炎上し、笑って相手にしていなかった経営陣を凍らせるとんでもない不正の数々を内部告発まで明らかとなり (1/7 05:00:21) |
夏海 | > | 完全ブラックの会社の凋落は確実のものとなった。 (1/7 05:00:59) |
夏海 | > | 幹部として出世していった彼も、顧客への契約違反、車体のグレードや状態の虚偽、挙句は公共の緑地までも経営陣の指示のもと違法行為を働いたツケがしっかり帰ってきて、犯罪者としてその名を全国に轟かせてしまった (1/7 05:06:46) |
夏海 | > | 元々プライドのある男だった。また何より、潔く部員のミスでも自ら引き受けるような男だった彼は、最後に俺に「辞めちまえ」のLINEを残して高層ビルから遥か高いところまで飛び立ってしまった (1/7 05:09:34) |
夏海 | > | 入社から営業会議の度にハッパをかけられて何度も「辞めろ!辞めちまえ!」と言われ続けていた事をふと思い出す。だが思い返せば、俺は常に2位の成績で、そこまで罵倒されるような悪い売上ではなく、彼の凄まじい成績で霞んで見えたが逆に褒められるべき成績だった筈では無いのか? (1/7 05:13:04) |
夏海 | > | 彼が居なくなってすぐ、不謹慎にもフェラーリの鍵が俺のデスクに掛けられた。 モヤモヤした気分で、全く来客も消えた社内に居るのも苦痛で外回りと口実をつけて似合わないハンドルを握る (1/7 05:16:09) |
夏海 | > | 信号で止まり、何気なくルームミラーを除くと、そこに親友と目が合った。何故か恐怖も驚きも無く、懐かしさに目が潤み掛けた時、「辞めろ!辞めちまえ!」と、あいつの声がハッキリ聞こえ、今度は驚いて後ろを振り返ったらそれっきり、あいつは居なくなってしまった (1/7 05:19:19) |
夏海 | > | 俺達はボールを追い、スクラムを組み、共に泣いたり笑ったり励まし合った、熱い心を持ち赤い血の通った人間だったはずだ。それがこんな会社に来ていつの間にか人間らしさを忘れ、感情も錆びついたロボット、いや、会社の部品になっていたのだ (1/7 05:22:47) |
夏海 | > | あいつが俺に何度も何度も浴びせた「辞めろ!辞めちまえ!」の時の、あいつの目に隠れていた、会社の実態を知ってしまった親友だからこその気持ちを初めて理解した。 (1/7 05:25:23) |
夏海 | > | 結婚もして家庭もある、そこそこノルマを達成している俺は給料だけは決して悪くない。ここへの就職を誘ってしまった本人が今更親友に別の仕事を始めろなどと言えなかったのだろう。 (1/7 05:28:52) |
夏海 | > | 「女房には苦労かけるかな。でもどうせ、この会社も終わりだろうしな。」フェラーリから降りて直ぐに、車の鍵をデスクの辞表の上に置いて会社を出る (1/7 05:31:26) |
夏海 | > | いつも運転して通っていた道も、初めて目にして気がつく景色の多さに驚く。 思えば、車では信号や、セカセカと慌ただしく車線変更の為にミラーばかり覗いていたものだ (1/7 05:33:48) |
夏海 | > | この先は右に役者があるから、右折で入る車がよく止まるから早めに左車線に。 ここは信号が変わると、飛ばせば四つ先の信号まで青で走り切れる。 あの交差点は左折レーンが詰まるから、早めに二車線目で通らなければ。 なんだ、今までの俺はそんなつまらない道しか見えてなかったのか、と呆れて自嘲した (1/7 05:37:50) |
夏海 | > | 新鮮な気持ちで、初めて目にするようなこの道を俺は、人間に戻ってまた歩き出した (1/7 05:39:03) |
夏海 | > | 【31話】 fin (1/7 05:39:48) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (1/7 05:39:52) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (1/7 05:50:06) |
夏海 | > | ごめん🙏💦 読み直して間違えに気がついた🙇♀️ (1/7 05:50:42) |
夏海 | > | 【32話】でした🙇♀️ (1/7 05:51:15) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (1/7 05:51:17) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (1/7 05:57:47) |
夏海 | > | 『涙』『ウソツキ』『鳴らす』全部でもどれかでも。 全てで (1/7 05:58:20) |
夏海 | > | 【第33話】 (1/7 05:58:46) |
夏海 | > | 激しいクラクションを鳴らしながら、突如暴走し、制動が効かなくなった鉄の塊が歩行者天国でゆったりと歩いている人の群れを薙ぎ倒して来た。 いつも女神様に救われて来た俺の人生もここまでか、と覚悟をしてゆっくり目を閉じた (1/7 06:03:46) |
夏海 | > | ◆◆◆◆◆◆ (1/7 06:04:11) |
夏海 | > | 俺は親を知らない。どうせ自分のいっときの快楽の為に男は無責任に種を植え、女も未練なく産み落として逃げて行ったのだろう (1/7 06:06:39) |
夏海 | > | 孤児として施設で俺は育った。 歳の近い孤児が何人も居たが、俺は誰とも馴染めず常に群れから外れて過ごすのが好きな嫌な子供だった (1/7 06:08:39) |
夏海 | > | 当然、出る杭は打たれ、生意気だ、目障りだと群れた年長者から虐められてばかりで、小さい頃は俺は泣いてばかりいた (1/7 06:11:04) |
夏海 | > | 初めて俺が女神様に会ったのは、丁度その頃だった (1/7 06:11:44) |
夏海 | > | 「大丈夫?ホラ。お姉ちゃんが抱っこしてあげるから、もう泣かないの。」と、施設では見たことも、これまで会ったこともないその女神様は優しく俺の涙を拭いてくれた。 (1/7 06:13:46) |
夏海 | > | 落ち着いてきて泣き止み、ようやく俺が顔を上げた頃、安心したかのようにお姉ちゃんは消えていた (1/7 06:14:52) |
夏海 | > | その後も虐められるたびにいつの間にか女神様が現れ、俺を慰め、励ましてくれた。 そしてやがて、「君は本当は強いんだから、許せない気持ちがあるなら戦ってご覧よ! 大丈夫、君は負けないよ!」と力強く微笑んでくれた (1/7 06:18:43) |
夏海 | > | 初めて拳を握り、他人へ繰り出した時。俺の中で何かが変わった。 その後も数回、虐めは陰険にエスカレートはしたが、その都度更なる拳の報復で持って、年長者のいじめっ子達を蹴散らし、ついには完全に軍門に下したのだった (1/7 06:21:51) |
夏海 | > | その時にまた女神様が現れて、「ホラ、やっぱり君は強かったでしょ?」と微笑み、ゆっくりと優しく頭を撫で、初めて俺に、人の愛情や温もりを言葉ではなく心に教えてくれた (1/7 06:24:38) |
夏海 | > | 中学の頃にはすっかり自信に溢れ、俺は本格的にボクシングを始めたのだが、ただの喧嘩で培って伸びた鼻は簡単にへし折られた。 (1/7 06:26:46) |
夏海 | > | その後幾らストイックに励んでも、思った成績にはならず、俺は腐り始めていた時だった。それまで会えなかった女神様が現れた。 (1/7 06:28:01) |
夏海 | > | 「キミは自分をわかって無いんだよ。本当のキミは、左利きなんだよ?」思いがけない言葉にハッと見上げても、もう彼女は居なかった (1/7 06:29:42) |
夏海 | > | ダメ元でスタイルをサウスポーに変えてみると、トレーナーが絶句する程見違えて、まるで別人のように強くなった俺がいた (1/7 06:31:08) |
夏海 | > | 大きな試合へと階段を登り、やがて俺は世界の頂点に立つまでになったのだが、それにはいつも、大事なところでの女神様の助言があったのだ (1/7 06:32:40) |
夏海 | > | 女神様、だなんて大袈裟に思われるかもしれない。馬鹿げた話だと笑われるかも知れない。例えウソツキと思われても仕方ないが理由があるのだ (1/7 06:34:31) |
夏海 | > | それは俺が小さい頃に会った彼女は、世界戦で助言をしてくれた時と全く同じ、恐らく高校生くらいの歳のまま変わらないのだから。 (1/7 06:36:17) |
夏海 | > | 長い走馬灯だと思いつつ、いよいよ俺の目の前に、狂気走った目の男がトラックで突っ込んで来る。束の間のオフに、こんなところに散歩などと来なければ良かった。と、直前で跳ねられた人々の中に、俺はギョッとした。あの女神様が居たのだ!思わず「やめろーっ!」と鬼の声で叫び声を上げた (1/7 06:43:14) |
夏海 | > | ◆◆◆◆◆◆ (1/7 06:43:46) |
夏海 | > | がなった喉の痛みに、目が覚めた俺はテレビをつけると、見覚えのある交差点で喪服で花を手向ける多くの人達を写したニュースがそこにあった (1/7 06:45:55) |
夏海 | > | アナウンサーは、丁度20年前に起きた歩行者天国での無差別暴走通り魔の事件と、遺族達の想いを伝えている (1/7 06:47:39) |
夏海 | > | そして被害者の1人に俺は絶句した。その女の子は当時高校生。見知らぬ男達に無理矢理宿された新しい命を、自分も捨てられた孤児院育ち故にこの子を産みたい、私が育てたいと願い、退学届を出した帰りの事件だったそうだ (1/7 06:55:00) |
夏海 | > | 生まれて初めて、人の為に思い流れる涙は、何時迄も枯れることは無かった (1/7 06:56:35) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (1/7 06:56:41) |
おしらせ | > | 冬空さんが入室しました♪ (1/12 15:46:52) |
冬空 | > | 【34話】 (1/12 15:47:16) |
冬空 | > | 【お題】「まるで魔法のようだった」で始まり、「だから、その瞬間までは」で終わる物語 (1/12 15:47:45) |
冬空 | > | まるで魔法のようだった。舞台に立てば景色が変わるのだから。 (1/12 15:48:10) |
冬空 | > | 順番に舞台にあがり、所定の位置に着けば軽く目を瞑り深呼吸する。目を開け正面を向くと客席が見える。眩しいくらいの照明を浴び緊張感も増していく。 (1/12 15:48:25) |
冬空 | > | 周りの演者達とアイコンタクトをとり両手を弦に添えれば演奏が始まる。はじめは緊張していたものの、無我夢中で音を奏でていく。 (1/12 15:48:48) |
冬空 | > | 今日の演奏会までに何度も練習してきた曲である。何曲か演奏してやがて会は終盤となっていく。最後の音がゆっくり消えると大きな拍手が沸き起こる。 (1/12 15:49:03) |
冬空 | > | 皆の顔には安堵の表情が浮かび笑顔になっていた。舞台から全員降りるまで拍手は鳴り響いていた。 (1/12 15:49:20) |
冬空 | > | 演奏が終わったからといってもこれで終わりではない。余韻に浸る暇もなく楽屋に戻れば各々着替える。 (1/12 15:50:21) |
冬空 | > | 身体を締め付けていた帯から解放されれば襦袢が汗でぐっしょり濡れていた。素早く着替えを済ませ脱いだ着物や譜面やらを片付けていく。 (1/12 15:50:38) |
冬空 | > | そして演奏会で使用した琴の片付けと車への搬入。これがまた大変な作業である。だから、気が抜けないのだ。全て片付けが終わるその瞬間までは… (1/12 15:51:03) |
おしらせ | > | 冬空さんが退室しました。 (1/12 15:54:05) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (1/19 21:40:59) |
夏海 | > | 人から聞いた話。ひどく風が吹いた春の午後、終点に向かう路線バスに人が消えていったそうな。 (1/19 21:41:09) |
夏海 | > | 【第35話】 (1/19 21:41:46) |
夏海 | > | 春一番の季節にはまだ少々早いのだが、昨今の地球規模での異常気象の所為なのだろうか?ここ数日は猛烈な突風が街を襲っている (1/19 21:43:46) |
夏海 | > | 少子化、デジタル化、そんな言い訳はしたくは無いが昭和の時代には安定して売れていたこの月刊誌も発行部数は急激に下がり続け、今や細々とした部数で申し訳無さそうに漫画雑誌に隠れるように座っているのだが (1/19 21:47:25) |
夏海 | > | 子供の頃からオカルト好きだった俺は、ブームが去った後でも、大人となって生きて行く道を選択する時も迷わずこの本を選び、こうしてライターとして運命を共にしている (1/19 21:49:32) |
夏海 | > | 「うわー、今日もまたもの凄い風吹いとるなー」と窓の外に目をやる同僚が、コーヒーを片手に一息つきながら不思議な話を始めた (1/19 21:52:11) |
夏海 | > | 「お前知っとるか?最近ネットの噂話で、めっちゃ風吹いとる春の日の午後はなんやら終点向かう路線バスにぎょうさん人が並んどって、そこを最後に消えてまうらしいで?」 (1/19 21:56:05) |
夏海 | > | 俺はその噂は既に知っていた。 昔から何処にでも転がってそうな安っぽい神隠しのネタだ、今時の小学生でもこんなチープな作り話はしないだろうと百も承知なのだが (1/19 22:01:52) |
夏海 | > | どうにも怖くて身体の震えがさっきから止まらなかった (1/19 22:02:57) |
夏海 | > | 「その話なら俺も聞いた事くらいあるよ。いや、ハッキリ話した方が良いのかも知れないな。」 (1/19 22:04:24) |
夏海 | > | 俺は震える手を少しでも落ち着かせようとタバコに火をつけ、ゆっくり深呼吸のように吸い上げては一気にフーッと煙を吐き出した (1/19 22:06:34) |
夏海 | > | 「そのネタ、俺がお前に教えたのが6年前だ。 書くネタも尽きたお前は興味津々で取材に出掛けて、俺にその路線バスを見つけたと興奮して写真を送ったまま・・・・」 (1/19 22:10:17) |
夏海 | > | ハッとした後に一気に泣き笑いのような、何とも言えぬ哀れな表情を残し、いつしか同僚の姿は消えてしまっていた (1/19 22:12:46) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (1/19 22:12:50) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (1/20 05:07:24) |
夏海 | > | 『おめでとう』『浴槽』『灯り』全部でもどれかでも。 (1/20 05:07:31) |
夏海 | > | 【第36話】 (1/20 05:08:00) |
夏海 | > | 「灯、結婚おめでとう。お前を愛する人を悲しませる事無く、彰くんと幸せな家庭を築くんだよ」 (1/20 05:11:40) |
夏海 | > | 私の肩に置いた両手に少し力を込めて祝福を囁いた父の目には心なしか、僅かに寂しさが浮かんでた気がした (1/20 05:14:12) |
夏海 | > | 私がまだ保育園に預けられていた頃からずっと、好きな人が出来たと身勝手な母に家庭を捨てられて以来、たった一人で私を愛し育ててくれた父を想うと止めどもなく内から溢れ出るもので視界が歪む (1/20 05:17:52) |
夏海 | > | 「大丈夫よお父さん。私はあの人みたいに家族を裏切ったり、駆け落ちして家を出ようとしたりしないわ」落ち着いて涙を拭き取り、心からの笑顔で感謝と愛を父へ表した (1/20 05:21:00) |
夏海 | > | 「でも、私がお嫁に行くとお父さんも一人で、寂しくなって急に老け込んだりしないでよ?」と少し戯ける私。 (1/20 05:22:41) |
夏海 | > | 「はははは笑 大丈夫だよ、それにお父さんは一人じゃ無いさ」 (1/20 05:23:39) |
夏海 | > | うん、それは私もとっくに知っているよ。 夜中にお父さんがお母さんを浴槽で小さくしていたのも、台所の床下にしまったのも私見ていたもの。 (1/20 05:25:35) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (1/20 05:25:39) |
おしらせ | > | 冬空さんが入室しました♪ (1/21 15:14:50) |
冬空 | > | 【お題】『絡める』『半袖』『以上』全部でもどれかでも。 (1/21 15:18:54) |
冬空 | > | 【37話】 (1/21 15:19:14) |
冬空 | > | 暦の上では冬になる時期なのに、季節はずれの暑さで昼間はまだ半袖で過ごす人もいた。 (1/21 15:19:35) |
冬空 | > | 私は、どこのコンビニに立ち寄ろうかと考えながら車を走らせていた。そんな中で『古民家カフェ』という可愛らしい看板が目に入った。 (1/21 15:19:59) |
冬空 | > | 「あれ?こんなところにお店なんてあったかな?」不思議に思いながらも気になり入ってみることにした。「いらっしゃいませ!」明るい声で店員が声をかけてくる。促されるまま席に着けばアイスコーヒーを注文する。 (1/21 15:20:20) |
冬空 | > | 落ち着いた雰囲気の店内には程良い音量の音楽が流れている。お昼時を過ぎているせいか、他にお客もなく静かであった。 (1/21 15:20:40) |
冬空 | > | バッグから本を取り出し読んでいると程なくして注文したアイスコーヒーが運ばれてくる。「あ!それ…私も好きなんです!」彼女はテーブルに置いた本に気づくと話しかけてきた。「私もこの作家の大ファンで…」他のお客もいないこともあり私達の距離は一気に縮まり話に夢中になった。 (1/21 15:21:44) |
冬空 | > | それから何度かこのお店を訪れては彼女と楽しい時間を過ごした。ある日、帰り際に彼女から栞を渡された。四つ葉のクローバーを使用した押し花の栞である。「ありがとう。またくるね」私はそう言ってお店を後にした。 (1/21 15:22:29) |
冬空 | > | やがて季節が変わり久しぶりにお店に行こうとしたが見つけることができなかった。何度探してもお店はおろか、そこまでの道すらなくなっていたのだ。 (1/21 15:22:51) |
冬空 | > | あのお店で過ごした時間はなんだったのか?ずっと心の中に彼女の笑顔が残っていた。夢ではないことは確かである。 (1/21 15:23:13) |
冬空 | > | 私の手にはあの日に貰った栞があるのだから… (1/21 15:23:29) |
おしらせ | > | 冬空さんが退室しました。 (1/21 15:23:37) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (1/24 22:34:22) |
夏海 | > | 『電車』『腕をとる』『ニヤリ』全部でもどれかでも。 (1/24 22:34:29) |
夏海 | > | 【38話】 (1/24 22:34:58) |
夏海 | > | 17時35分、今日も夕刻から時計を何度もチラ見していた俺は、終業と共にタイムカードを打刻すると足早に社を後にした (1/24 22:38:46) |
夏海 | > | 18時05分の上り電車のホームに立つのがここ2週間程、俺のルーティンのようになっている (1/24 22:42:46) |
夏海 | > | 別に俺は乗り鉄などの鉄道マニアでは無い。 理由は至極単純で、この時間このホームに、何処か儚げでまるで妖のような、悪い言い方をすると生活感も現実感も、何より生気を感じさせない不思議な魅力の少女を見かけたのが始まりだ (1/24 22:47:30) |
夏海 | > | 別に交際したいとか抱きたいといった、そんな俗っぽい気持ちは無い。 ただ彼女の不思議な魅力に惹かれ、また会いたいと思わされてしまっただけだ (1/24 22:49:25) |
夏海 | > | でも奇妙な事に、俺以外の乗客達はこれといって彼女を気にかけるような者は誰一人居ないようで、俺の見ている限り皆、彼女に一瞥すらしないようだった (1/24 22:52:03) |
夏海 | > | 遠くにライトが見える。もう直ぐ電車がやって来る。 彼女はいつものように白線ギリギリまで近づき、周りを見渡し始める (1/24 22:54:54) |
夏海 | > | いつも見慣れた光景だがその時俺は、ようやくある疑惑が頭をよぎり、思わず「あっ!」と声を上げてしまった (1/24 22:56:06) |
夏海 | > | 虚な目、生気のない顔、電車が来ると挙動不審の行動で白線に近づいて落ち着きなく目を散らす彼女、そして16時05分の電車の前に一本、今こっちに向かう電車は快速でホームには止まらない! (1/24 23:00:14) |
夏海 | > | 彼女はきっと死ぬ気だ。 それがいつも寸前で躊躇って飛び込めなかったのだろう。 万が一でも、今日こそ飛び込むかもしれない! (1/24 23:02:06) |
夏海 | > | 俺は慌てて彼女に駆け寄り、考えるよりも先に彼女の腕をとって引き留め、説得する (1/24 23:03:34) |
夏海 | > | 「やめろ!大切な命をそんな無駄にしてはいけない!」 俺に腕を捕まえられた彼女は一瞬、何が起きたのかわからないように驚いて振り向き、俺の顔を見ると安心したかのように笑みをこぼし、想像もしなかったセリフを吐いた (1/24 23:06:42) |
夏海 | > | 「嬉しい!一人では怖くていつも飛べなかったけれど、一緒に行く人がいるから今日は飛べる!」 (1/24 23:10:26) |
夏海 | > | そして今度は逆に俺の腕を固く絡ませると、ニヤリと笑い元気よくプラットホームを蹴った (1/24 23:12:09) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (1/24 23:12:16) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (1/25 19:39:26) |
夏海 | > | 人から聞いた話。張りつめるように冷え切った冬の朝、初めて行く骨董品屋に昔の恋人を見つけたそうな。 (1/25 19:39:31) |
夏海 | > | 【39話】 (1/25 19:40:05) |
夏海 | > | 2時間に一本しか無いバスが、山陰の山奥にある集落の入り口で一人の老人を下ろした (1/25 19:42:48) |
夏海 | > | この日の始発でやって来た男は、感慨深げに辺りを見渡すと、白い息をスーッと吐き出してまだまだ先にある目的地に向かって歩き出した (1/25 19:45:49) |
夏海 | > | ポツリ、ポツリと点在する民家を1時間程かけて何軒か通り過ぎてようやく、目的地である小さなアンティークショップに到着した (1/25 19:48:32) |
夏海 | > | カランカラン、といかにも骨董屋らしいドアチャイムを鳴らして顔だけ覗き込ませると、同い歳くらいの老婆が訝しげに老眼の上から男と目を合わせた途端に、打って変わった黄色い声で駆け寄って来る (1/25 19:52:39) |
夏海 | > | 「え?周一郎さん⁉︎周一郎さんなのね‼︎」「静ちゃん、久しぶりだねぇ」 (1/25 19:55:12) |
夏海 | > | 夢でも見ているのかというように、静ちゃんと呼ばれた老婆ははしゃいで、こっちこっちと急かすように腰掛けに座らせながらお茶を淹れる (1/25 19:57:05) |
夏海 | > | 「昔はただの周ちゃんだったのに、周一郎さんも今ではレザークラフトの大先生で有名人だもんねー、遠い存在だわね」そう言うと、悪戯っぽく粗茶ですみませんね、と茶碗を差し出した (1/25 20:00:13) |
夏海 | > | 「そんな事は無いよ、僕は何も変わってないさ」目を細めて茶を啜ると、懐かしむように続けた (1/25 20:01:14) |
夏海 | > | 「こんな田舎、遊びも趣味も身近なものと言えば家の手伝いで害獣罠に掛かった獣達を捌いて食べて、皮を舐めして工作するくらいだったからね。」 (1/25 20:03:20) |
夏海 | > | 「実は今日は、希少な革の買い付けがあって近くまで来たもんだから、懐かしくて半世紀ぶりに故郷を訪ねてみたくなったんだが・・・あの時、君からも逃げるように出て行ったのに酷い男だよ」 (1/25 20:06:42) |
夏海 | > | 自嘲する男に、さっきまでの笑みを消して女が呟いた (1/25 20:07:26) |
夏海 | > | 「あの時は仕方なかったもの。周ちゃんは何も悪く無いわ。」慰めるように静は優しく男の手を握りながら励ます (1/25 20:09:13) |
夏海 | > | 「悪いのは周ちゃんや私を裏切って騙し、浮気をしていた恭子と太一の方だわ!」 (1/25 20:12:53) |
夏海 | > | 「私は感謝してるの。周ちゃんのお陰で私も目が覚めて踏ん切りを付ける事が出来たし、それに・・・・」と奥に入ってから2つの大きなアンティークのバックを手に戻って来た (1/25 20:15:04) |
夏海 | > | 「周ちゃんのお陰で、あの2人は駆け落ちで処理されてこうして私も平和に過ごしてこれたんだもの。まだ少しだけ、温もりだけは未練有るかも知れないけどね」と舌を出し、少し大きい方のバッグを愛おしそうに撫でた (1/25 20:18:02) |
夏海 | > | 周一郎はその隣の小さなバッグに目を細め、昔の恋人との密かな再会を喜んだ (1/25 20:19:56) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (1/25 20:20:02) |
おしらせ | > | 冬空さんが入室しました♪ (1/28 09:18:41) |
冬空 | > | 【お題】『電車』『腕をとる』『ニヤリ』全部でもどれかでも。※38話と同じお題で別ストーリーを。 (1/28 09:20:57) |
冬空 | > | 【40話】 (1/28 09:21:33) |
冬空 | > | (前編)仕事を終えると駅に向かう。18時05分の上り電車のホームに立つのがここ2週間程、俺のルーティンである。そのホームで最近よく見かける女性の姿。なせが彼女のことが気になって仕方なかった。 (1/28 09:22:20) |
冬空 | > | 好きとかそういう意味ではない。不思議と目が離せない、そんな感情が沸き上がるのだ。 (1/28 09:22:41) |
冬空 | > | そして今日もいつものようにホームに着けば自然と彼女の姿を探して当たりを見渡した。すると彼女も同じように周りを見渡していて目があってしまった。 (1/28 09:23:00) |
冬空 | > | なんとなく気まずくなって視線を外すと腕を掴まれた。そして驚く俺を見てニヤリと笑う彼女は腕を絡めてきた。 (1/28 09:23:20) |
冬空 | > | このまま引っ張られたらホームへ落ちてしまう。でもこの手を無理にふりほどいたら彼女が落ちる…。そんなことを考えてると「一緒に行ってくれる?」そう言いながら更に強い力で引っ張られ身体は宙を舞った。 (1/28 09:23:45) |
冬空 | > | 着地した衝撃が全身を駆け巡る。目の前には線路、そして頭上での騒がしいほどの声。我に返った彼女は震えて今にも泣き出しそうである。 (1/28 09:24:05) |
冬空 | > | 迫り来る電車、2人でホームへあがる時間はない。もうダメか…咄嗟に彼女を庇うと眩い程の強い光を浴びていた。 (1/28 09:24:27) |
冬空 | > | 『後編は○○(No.35)にて…』 (1/28 09:26:24) |
おしらせ | > | 冬空さんが退室しました。 (1/28 09:26:29) |
おしらせ | > | 冬空さんが入室しました♪ (2/3 21:19:54) |
冬空 | > | 【お題】『あの日』『届きそう』『手招く』全部でもどれかでも。 (2/3 21:20:39) |
冬空 | > | この中から『あの日』『届きそう』をチョイス (2/3 21:21:17) |
冬空 | > | 今日は節分。毎年恒例の豆まき。 (2/3 21:21:52) |
冬空 | > | 鬼を外へ払い、福を家内へ呼び込むことを目的としている。昔は病気や不幸といった災い招くのが鬼だと考えられており、豆は鬼退治というよりも、邪気を払う目的でまいていたらしい。 (2/3 21:22:40) |
冬空 | > | 「鬼は外!福は内!」そう言いながら豆をまいていく。 (2/3 21:23:20) |
冬空 | > | 豆まきを終えると、どこからともなく声が聞こえてきた。 (2/3 21:24:06) |
冬空 | > | 『鬼は既に家の中にいるかもしれないよ…』『どこかに潜んでいるかも…』 (2/3 21:24:49) |
冬空 | > | 脳裏に響く私だけに聞こえる声。あの日、大切な人を亡くしてからこの声が聞こえるようになったのだ。 (2/3 21:26:16) |
冬空 | > | でも不思議と怖さは感じない。寧ろ見守ってくれているかのように感じている。 (2/3 21:26:46) |
冬空 | > | 今年も聞こえた…そのことにホッとして思わず笑顔になる。その声のするほうに手を差し出せば届きそうな気がする。 (2/3 21:27:24) |
冬空 | > | 伸ばした手はなにもない空を掴みゆっくり下へとおろしていく。こうして節分の夜は更けていった。 (2/3 21:27:50) |
おしらせ | > | 冬空さんが退室しました。 (2/3 21:28:00) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (2/5 21:23:19) |
夏海 | > | 【お題】『あの日』『届きそう』『手招く』全部でもどれかでも。 全部で。 (2/5 21:23:55) |
夏海 | > | 果てしなく田園の続くこの長閑な景色は、私が小学3年生の時に祖母の看病の為、母に連れられて来た17年前のまま変わる事なく、あの時からまるで時が止まったように私を迎えてくれた (2/5 21:34:58) |
夏海 | > | 昔、母の看病により元気に回復した祖母も、天寿を全うして2日前に旅立ってしまい、一端の社会人として会社勤めの私もこうして最後の別れに帰って来た (2/5 21:44:05) |
夏海 | > | 実は祖母は母がまだ幼い頃に祖父と離婚している。原因はわからないが、決して祖母が不義を働いた訳では無い事だけはわかっているし、それ故に疎遠の中でも母には愛情を断つことなく、孫の私へ心から優しい眼差しをくれる祖母の記憶ばかり残っている (2/5 21:49:00) |
夏海 | > | 祖母の家の近くまで来ると、元は家畜小屋と思しき鬱蒼と茂った空き家が見える (2/5 21:50:43) |
夏海 | > | 小学3年生の時分、誰一人知る顔もなく近い年頃の子供の姿すら無かった私は、退屈な一人の時間をただブラブラと軽い探索気分で彷徨く事しか遊びと呼べるものは無かったのだが (2/5 21:54:46) |
夏海 | > | 絵本や昔話でしか知らなかった、井戸をこの家畜小屋の空き地に見つけ、玩具のようにポンプのレバーを上げ下げしていたのだが水の出る気配もなく、飽きた頃たまたま通りかかったおじさんが親切に呼び水を教えてくれると、途端に冷たい水がシュコシュコと湧き出て (2/5 22:01:16) |
夏海 | > | 目的も無くただその手応えと水の噴き出る様が楽しくて、暫くそれを続けているだけで満足していた (2/5 22:03:09) |
夏海 | > | やがて腕も疲れたのでポンプから手を離すと、今度は井戸の蓋になっている板の下が気になって、一目井戸を見ようと蓋を開けたのだが太陽の光を茂みが遮り、あまり良く見えない為、初めは恐々と覗いていた私も好奇心のお陰でどんどん身を乗り出してしまった (2/5 22:13:40) |
夏海 | > | すると、目が慣れて来た頃、手の届きそうな窪みにキラキラど光る夜光苔を見つけ、まるで宝物を見つけた海賊のように心躍らせた私は、更に身を捩って井戸に伸ばすと (2/5 22:16:36) |
夏海 | > | まるで首根っこを引っ張られたようにバランスを失い危うく転落しそうになったのだが、それと同時に不思議な事に足首を掴まれ、引き上げられる感覚かあり、結果、自分でも説明のつかぬ状況のまま、井戸の前にしゃがんでいたのだった (2/5 22:21:06) |
夏海 | > | 少しして我に返った私は急に恐ろしくなり、慌てて井戸に蓋を戻すと、ぼんやりと手招きする手が見えた気がした (2/5 22:22:26) |
夏海 | > | ふとそんな昔の不思議な出来事を思い出し乍ら、井戸のある空き家を遠巻きに祖母の家に入ると、先に来ていた母達の声に温かく迎えられた (2/5 22:27:18) |
夏海 | > | 祖母と対面を果たし、線香をあげて料理の置かれた飯台の前に座ると、ひと段落つけた母も割烹着を外しながら隣へ座り、お茶を啜って昔話を懐かしむように始めた (2/5 22:30:44) |
夏海 | > | 「前にお婆ちゃん倒れた時、あんたが3年生くらいの時に来たの覚えてる?あの時は軽い脳梗塞で後遺症も殆ど無かったから安心したけど、それでも一度だけ不安になったんだよねー」 (2/5 22:33:28) |
夏海 | > | 「だっておばあちゃん、それまで普通に会話もしてたのに宙を見上げたと思ったら突然怖いくらい大声で『この子はやらん!返せっ!』って、手を挙げて何かを掴んで引っ張るような動作してねー、でもその後また直ぐにいつものおばあちゃん似戻って、何も覚えて無かったのよー」 (2/5 22:36:57) |
夏海 | > | あの時は本当にビックリしたわー、という母の言葉に、あの時の足首を掴み引き上げてくれた温もりに愛おしい祖母を重ねてた私の目からは、母を驚かせる程止めどもなく涙が溢れるのだった (2/5 22:41:54) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (2/5 22:41:58) |
おしらせ | > | 冬空さんが入室しました♪ (2/10 18:10:05) |
冬空 | > | 【お題】『生温い』『愛情』『幽霊』全部でもどれかでも。 (2/10 18:11:48) |
冬空 | > | 【43話】 (2/10 18:12:09) |
冬空 | > | 転職により引っ越しをした。駅から少し遠いが車だから問題はない。 (2/10 18:12:35) |
冬空 | > | 家賃も安く内見した時に一目で気に入り即契約を交わした。あまりの早さに担当者がびっくりした程だ。「本当にここでいいんですか?」と何度も確かめるように問いかけられた。 (2/10 18:13:04) |
冬空 | > | 何度聞かれても俺の返事は変わらない。担当者が驚くのも無理はない。ここは事故物件として扱われ、なかなか契約に繋がらなかったからだ。 (2/10 18:13:31) |
冬空 | > | 俺にはそんなことは関係ない。この家賃の安さと立地、窓からの景色も気に入ったのだ。幽霊が出るという噂も耳にしたが内見した時に異質な物も特に感じなかった。出るなら出てこい、そんなことも考えながら入居した。 (2/10 18:13:53) |
冬空 | > | ところがそれは、思ったよりも早く現れた。まずは金縛り。寝ていると夜中に金縛りにあうようになった。目が覚めるものの身体が動かない。頬を撫でるような生温かい空気。棚から物が落ちたこともある。でも不思議と怖くなかった。 (2/10 18:14:33) |
冬空 | > | 誰かがいる、そう感じたが見えるわけでもない。「誰かいるのか?」思わず声をかけた。返事があるはずもない。でもその返事の代わりなのか、頬に触れる感触。昔からの体質でこういうことには慣れている。 (2/10 18:15:20) |
冬空 | > | 「俺、ここに住むけどいい?」再び頬に触れる感触。受け入れてもらえた…なぜかそんな気がして笑顔になる。 (2/10 18:16:35) |
冬空 | > | それからは出掛けるときは「いってきます」帰ってくれば「ただいま」と自然と口にするようになっていた。こうして奇妙な共同生活は始まった。 (2/10 18:17:04) |
おしらせ | > | 冬空さんが退室しました。 (2/10 18:17:12) |
おしらせ | > | 冬空さんが入室しました♪ (3/23 20:43:09) |
冬空 | > | 【お題】「確かめたいと願うことは、いつも大抵、目には見えない。」から始まって「君の温もりが、記憶に染み付いて離れてくれない。」で終わる物語 (3/23 20:44:53) |
冬空 | > | 【44話】 (3/23 20:45:18) |
冬空 | > | 確かめたいと願うことは、いつも大抵、目には見えない。 (3/23 20:45:41) |
冬空 | > | これでよかったんだろうか?他にもっと出来ることはなかったのだろうか?やれることはやったはず…そう言い聞かせながら自分を納得させる。 (3/23 20:45:58) |
冬空 | > | 私の顔を見るなり声かけに何度も頷き嬉しそうに声を出して返事をしてくれた。手を握ってお話もした。 (3/23 20:46:26) |
冬空 | > | 「あなたのことが大好きなんだよ。こんなにいい表情するなんて…私にはこんな顔してくれないもの…」そう言いながら優しく彼女の頬を撫でて話す家族。 (3/23 20:47:30) |
冬空 | > | 私は彼女の細い指先にパルスオキシメーターをつける。だが機械は全然反応しない。何度か試すとやっと数値が表示される。その数値はなぜか『100』を示していた。ありえない…こんなことが起こるなんて。 (3/23 20:48:01) |
冬空 | > | 指先から外すと手を擦り話しかけた。「今日はすごくいい表情してるね」その言葉に彼女は何度も頷き身体を起こそうとした。手を握ったまま話をしているとやがて疲れたのか、目を瞑りうとうとしはじめた。その様子に手を離すと布団をかけ直した。「ありがとう…またくるからね」そう声をかけると部屋を後にした。 (3/23 20:48:37) |
冬空 | > | 翌日、家族に見守られ彼女は旅立った。外は寒く雨が降り続いていた。あれは最期の力を振り絞り返事をしてくれたのか。あの数値は彼女から私へのメッセージだったのだろうか?それも今となっては知る由もない。 (3/23 20:49:13) |
冬空 | > | 彼女の温もりが、あの表情が記憶に染み付いて離れてくれない。 (3/23 20:49:31) |
おしらせ | > | 冬空さんが退室しました。 (3/23 20:49:39) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (3/27 02:35:38) |
夏海 | > | 『靴音』『ハンバーグ』『首輪』全部でもどれかでも。 (3/27 02:35:46) |
夏海 | > | 全部でやってみる^ - ^ (3/27 02:36:04) |
夏海 | > | 【第45話】 (3/27 02:36:36) |
夏海 | > | 早朝、薄らと朝靄が陽に炙られる中、今日もシュッ シュッ っと遠くからジョギングシューズの靴音が近付いてくる (3/27 02:39:22) |
夏海 | > | 毎日毎日雨の日も風の日も、飽きること無く同じ時間に奴はやって来る (3/27 02:40:07) |
夏海 | > | 俺は、奴が決して我が主や家族に危害を加えるような人物では無いと重々承知はしているが、俺の存在意義の一つでもある役目を果たさねば、どうにも落ち着かないので (3/27 02:42:28) |
夏海 | > | 今日も俺の行動を制限する鎖の届くギリギリのところまで飛び出し、奴を吠えて威嚇してやる (3/27 02:43:47) |
夏海 | > | 奴は奴で、最初の頃は腰を抜かさんばかりに驚いたり、タイミングよく飛び出した際は情け無い声を上げて尻餅までついて、番犬としての俺のプライドをくすぐってくれたものだ (3/27 02:45:44) |
夏海 | > | 後に俺は、人間も俺達のように毎日走るのが日課の者がいて、奴もその部類なのを知った (3/27 02:47:42) |
夏海 | > | そんな奴が今日はいつもと様子がおかしい 手ブラだった奴が何やら手に、ビニールに入った美味そうな匂いのする物を持っている (3/27 02:49:14) |
夏海 | > | そして徐に、ビニール袋を逆さにしては俺の首輪の届く範囲内に落としたのだった (3/27 02:50:09) |
夏海 | > | おい、なんだよ 俺と仲良くしたかったのか? 毎日吠えられてそりゃビクビクもんだったろうよ よし、わかった! これからはお前を吠えるのは許してやろう (3/27 02:51:18) |
夏海 | > | 俺は匂いに我慢出来ず、夢中になって食らいついた なんだこれは! こんな美味い物、今まで俺は食った事無いぞ? 我が主は案外ケチなんだな? (3/27 02:53:15) |
夏海 | > | そんなバチ当たりな事を頭の隅に浮かべて無我夢中で頬張る俺は、この時奴の目に鈍い光と共に歪に歪ませた口元に気づく事は無かった (3/27 02:54:57) |
夏海 | > | ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ (3/27 02:55:27) |
夏海 | > | 今日も早朝の同じ時間に聞こえてくる靴音は、以前より軽やかだった (3/27 02:57:25) |
夏海 | > | 犬にとっては猛毒の玉ねぎがたっぷり入ったハンバーグによって、そこにはただの鎖と首輪だけが寂しそうに繋がれていた (3/27 02:59:01) |
夏海 | > | ^ - ^ (3/27 02:59:08) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (3/27 02:59:10) |
おしらせ | > | 冬空さんが入室しました♪ (4/7 19:03:33) |
冬空 | > | 【第46話】 (4/7 19:04:06) |
冬空 | > | 【お題】「今でもふと、思い出すことがある。」から始まって「呟きは空に儚く散って、消えた。」で終わる物語 (4/7 19:04:23) |
冬空 | > | 今でもふと、思い出すことがある。あの時、あんな態度をとっていなかったら…。その後の関係は今とはまた違ったものになっていたんだろうか。 (4/7 19:04:48) |
冬空 | > | 受験を控え、不安と緊張の中、体調管理と全てに気を遣って過ごしていた時期のことである。なかなか思うように成績もあがらずイライラも募っていた。 (4/7 19:05:03) |
冬空 | > | そんな中で「一週間ほど泊まりにくる」という叔母からの話に絶対嫌だと激しく拒否反応を示していた。 (4/7 19:05:37) |
冬空 | > | これまでも叔母が泊まりがけで遊びに来ることは何度もあったし、決して関係性が悪いわけでもない。普段なら快く受け入れることもできたであろう。でも今は受験を控えて気が張っている時期である。 (4/7 19:05:56) |
冬空 | > | 叔母からみれば自分の実家に帰ることがなにが悪いのか?というだけでこちらの事情など気にかけてくれるそぶりはない。子供がいない叔母にとって姪である私を溺愛しているものの、そのあたりの気遣いはないのだ。「部屋に入らないし静かにしているから問題ないだろう」とその一点張りである。 (4/7 19:06:24) |
冬空 | > | ただ家族ではない身内が同居しているというだけでこちらは気を遣うし生活リズムも崩されてしまうのに。なかなかわかってもらえず最終的に断ることに渋々納得してくれたようだ。 (4/7 19:07:24) |
冬空 | > | だが同居してる祖母からは嫌味を言われるようになった。「少しくらいいいじゃないか、意地が悪いんだな…」まるで私が悪いように言い出したのだ。あんなに大好きだった祖母や叔母のことでこんなふうに揉めてしまうなんて思いもよらなかった。私が我慢すれば揉めなかったの?この件をきっかけに私の家族と叔母の関係は壊れて疎遠になってしまったのだ。 (4/7 19:08:00) |
冬空 | > | それから数年が経ち、叔母に会うこともなく訃報を知った。その後、祖母も天寿を全うした。今頃2人は向こうで一緒にいるんだろうか?空を仰ぎ見れば昔のことが思い出される。 (4/7 19:08:24) |
冬空 | > | 春の空に珍しく暖かな雪が降った。『春の雪は天使の涙、エンジェルティアーって言うんだって…。』ふと昔読んだ物語の一節が頭に浮かぶ。今は見守ってくれているんだろうか?「あの時はごめんね…」その呟きは空に儚く散って、消えた。 (4/7 19:08:49) |
おしらせ | > | 冬空さんが退室しました。 (4/7 19:09:03) |
おしらせ | > | 夏海さんが入室しました♪ (4/26 20:34:46) |
夏海 | > | 『水槽』『賑やか』『骨』全部でもどれかでも。 (4/26 20:34:55) |
夏海 | > | 【第47話】 (4/26 20:35:47) |
夏海 | > | GWになり、都心から息子家族がまた今年も帰って来る (4/26 20:37:32) |
夏海 | > | 息子は実家である私の元へ帰るついでに、本命は都会ですり減らした神経を休める為に気心知った地元の悪友達と、嫁と孫を親に預けて自分一人、羽を伸ばして飲み歩くのが恒例である (4/26 20:41:09) |
夏海 | > | 旦那が好き勝手遊び歩いて、子供を餌に義理の親と過ごす嫁は嫁で、上部だけの如何にも感じの良い笑顔を上手に演じて、体良く懐に甘えては手間のかかる子供のお守りを高齢の私に任せて、部屋に篭ってスマホには本心からの笑顔で応えている有様だ (4/26 20:45:34) |
夏海 | > | 四歳になる孫だけが、何の利害の計算もなく、キラキラとした純粋なまなこでバァバになついてくれ、本を読んであげても、手を引いて公園を散歩しても、派手さの無い地味なおやつを拵えてあげても、いつだって喜んでくれて私の心を満たしてくれる (4/26 20:50:12) |
夏海 | > | そんないつものGWなのだが、今年は少し違う家族の時間になりそうだ (4/26 20:51:54) |
夏海 | > | 去年のお盆が終わり、息子家族が喧騒に帰った後直ぐに、キノコ狩に出掛けた夫は電話も繋がらず、夜が明けても帰って来ず、大掛かりな山刈りで捜索しても見つからずに、そのまま年も明け年度が切り替わっても、何の手掛かりもないまま、今に至ってしまった (4/26 20:56:36) |
夏海 | > | 遺体も無いので行方不明者扱いで、少しも思ってないくせに建前上「旦那さん、きっと何処かで生きてるよ!記憶喪失何だろうな、きっと」等と適当な慰めをしてくるご近所が気に障ったものだ (4/26 21:00:29) |
夏海 | > | 初めは心配そうだった息子達も、「俺は死んだなんて認めないから、母さんも元気出せよ!」なんて一人で完結させてしまった (4/26 21:02:47) |
夏海 | > | 「おばあちゃん!」の元気な弾む声と共に、孫達が帰って来た (4/26 21:04:43) |
夏海 | > | 「おばあちゃん、僕の好きなお魚さん沢山居るってホントなの?」 (4/26 21:05:26) |
夏海 | > | 「あぁ、本当だよ。大ちゃんがお魚好きだって聞いて、バァバ、用意してたんだよ」 (4/26 21:07:11) |
夏海 | > | こらこら💦の父親の注意する声を聞き流して、大ちゃんはリビングに新設した大きな水槽に釘付けになっている (4/26 21:08:44) |
夏海 | > | 中の魚はカンディルという南米の淡水魚だった。 孫が歓声をあげる中、この魚を買うきっかけを思い出す (4/26 21:13:37) |
夏海 | > | これまで感じたことの無い、やましそうに余所余所しく振る舞う夫に疑いの目を向けると (4/26 21:16:12) |
夏海 | > | オコヅカイと言いつつ、その実大金をセビっては明らかに胸元やネットリとした目つきで誘惑する嫁との関係が見えてしまった (4/26 21:21:41) |
夏海 | > | 不安になり定期の通帳を調べると、老後の為と私が苦労して貯めたお金が、この嫁以外に既にどこかの女に枯らされてしまっていたのがわかった (4/26 21:24:34) |
夏海 | > | ちょっとした口論から後戻りが出来なくなり、私と言う人間は怒りに我を忘れると凶暴になる危険な部類だというのも、冷たくなった夫の前で初めて知った (4/26 21:26:18) |
夏海 | > | 沢山のカンディルが泳ぐ前で、孫が賑やかに飛び回って喜びを爆発させていた (4/26 21:27:49) |
夏海 | > | 「おばあちゃん、お魚も綺麗だけど水の中の葉っぱや、この白い石も綺麗!」 (4/26 21:28:50) |
夏海 | > | そうだねー、と相槌を打ちつつ、心の中で夫に大ちゃんから綺麗だってよ?良かったわねと話しかけた (4/26 21:30:13) |
夏海 | > | 生前のあなたなんて、綺麗なところと言ったら年老いたスカスカの骨なんかより、せいぜい金歯くらいしか無かったのにね (4/26 21:32:03) |
夏海 | > | またリビングから、今度はもっと興奮した孫の声が響いた (4/26 21:32:53) |
夏海 | > | 「おばあちゃん!見て!ここに砂金があるよ!とても大きい砂金だよ!」 (4/26 21:33:25) |
夏海 | > | ^ - ^ (4/26 21:33:29) |
おしらせ | > | 夏海さんが退室しました。 (4/26 21:33:31) |
おしらせ | > | 冬空さんが入室しました♪ (5/7 21:11:43) |
冬空 | > | 【お題】『生温い』『あの日』『走った』全部でもどれかでも。全てを使って (5/7 21:12:46) |
冬空 | > | 【第48話】 (5/7 21:13:07) |
冬空 | > | これは子供の頃の話である。田舎で車のない私の家では電車やバスでの移動が当たり前だった。 (5/7 21:13:48) |
冬空 | > | そんな中、GWとなり隣町にサーカス団がやってきた。世間は休日であっても父は仕事の関係でほとんど家に帰ってくることはない。せっかくの休みだからと母と祖母と弟と4人でサーカスを観に行くことになった。 (5/7 21:14:07) |
冬空 | > | 電車に揺られること30分。隣町の大きな駅に着けば駅前の広場にサーカスのテントが見えていた。こういうイベントは珍しい。家族連れも多かった。父親に肩車されている子供の姿を弟は羨ましそうに見ていた。羨ましがるのも無理はない。父は仕事で普段家にいないから皆で出掛けることはほとんどなかったからだ。 (5/7 21:14:33) |
冬空 | > | でも他の家族のことなど気にならないほどサーカスに夢中で魅入っていた。やがて帰る時間となり私達は駅へと向かっていた。 (5/7 21:15:02) |
冬空 | > | 電車の時間まで待ち時間があり交代でトイレに行くこととなった。隣町とはいえ、ここも田舎町でありトイレといっても個室が3つほどあるだけである。当時のトイレは和式が多くドアの下に隙間があいていた。 (5/7 21:15:24) |
冬空 | > | トイレで用を足しているとドアの隙間から誰かの足が見えた。その瞬間、隙間からゆっくり手が差し込まれたのだ。びっくりしたものの声も出せずにいた。身体に触れそうで触れることはできない。でもなぜか私の足首に生温い空気が当たるのを感じた。差し込まれたその手は指先が何度か動いただけですぐに引っ込められていく。 (5/7 21:15:54) |
冬空 | > | 「さっき誰かトイレにきた?」怖くなり走って母達の元に戻り聞いてみるが首を振り誰も行ってないとのことだった。それどころか母達はトイレ近くのベンチで座っていたが私達の他に誰も通っていないという。 (5/7 21:16:19) |
冬空 | > | じゃあ、さっきの手はなんだったのだろうか?俯いて考え込んでいると目の前に誰かの足が見えた。この靴は…さっきの?ゆっくり顔をあげれば知らない男性がこちらを見てニヤリと笑みを浮かべていた。 (5/7 21:16:48) |
冬空 | > | そのうち電車がホームへ入ってくるのが見えると男性は消えてしまった。周りを見てもホームには私達しかいなかった。あの日の出来事は楽しい思い出と共に気味悪さも記憶に刻み込まれた。 (5/7 21:17:16) |
おしらせ | > | 冬空さんが退室しました。 (5/7 21:17:24) |
2023年12月03日 07時24分 ~ 2024年05月07日 21時17分 の過去ログ
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