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「棺桶書房の御伽乃館」の過去ログ

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2022年02月23日 22時18分 ~ 2023年09月24日 05時38分 の過去ログ
過去ログでは上から下の方向に発言を表示しています

おしらせ新規ルームを作成完了しました。(iPhone SoftBank)  (2022/2/23 22:18:53)

おしらせ夏目葬式さんが入室しました♪  (2022/4/20 23:39:09)

夏目葬式【お題】「100グラム足りなかった」で始まり、「世界は限りなく優しい」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば8ツイート(1120字)以内でお願いします。   (2022/4/20 23:39:28)

夏目葬式◆カリヨンの鐘◆   (2022/4/20 23:39:53)

夏目葬式100g足りなかった、と牧師は肩を落とした。片田舎で人も決して多くないこの街にやって来て、地味ではあるけれど堅実で誠実に住民たちに接して早20年。   (2022/4/20 23:40:11)

夏目葬式この質素にして慎ましい牧師の教会には、とても財産と呼べるもの等殆ど無いのだが、牧師にはどうしてもお金を工面しなければなら無い理由があり、唯一高く売れる銀食器類までも手放したのだが、目標の金額にはまだ目方が足りなかったのだ。   (2022/4/20 23:40:26)

夏目葬式この街に来てすぐに、慈母性の溢れた愛する妻と共に不憫な孤児を聞きつけては引き取り、多くの子供達を育てて来たのだが、多くの苦労を一身に受けた愛する妻は数年前に神に愛され、その後も一人悲しみを愛に変え奮闘した牧師も重い病によって先が短い事を知った。   (2022/4/20 23:40:51)

夏目葬式善行そのもののような牧師の為に周囲も協力的で、最後の代の孤児達の引き取り手を見つけ、自らの最後の身辺整理を済ませた牧師が最後に願ったのは、この愛する街が灰色の絵具でしか描けないような寂しさに、せめて皆の心に温もりと明るい灯を灯そうと安らぎの音のカリヨンを残す事だった。   (2022/4/20 23:41:07)

夏目葬式瞼に潜む愛する妻の励ましに身体の痛みを忘れて、牧師はランタンを手に納戸の奥に消えた。   (2022/4/20 23:41:20)

夏目葬式◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇   (2022/4/20 23:41:39)

夏目葬式「100g足りないわ・・・。」視界に入った男達は必ず振り返るような、そんな器量の良い娘が、つい今しがたまで腰まで垂らしていた誰もが感嘆の息を漏らす自慢の黄金のフサを手に取り、溜息をついた。   (2022/4/20 23:42:00)

夏目葬式最近噂で、牧師の元に残っている孤児達全員がこの冬の間に北の街へ移るという異変に、娘は胸騒ぎを覚え居ても立っても要られず、せめて子供達にマフラーと手袋を贈ろうと思い、その為の大量の毛糸が欲しかったのだ。   (2022/4/20 23:42:15)

夏目葬式あまりにも突然の話だったので娘には準備する時間も、ましてやお金さえも無かった為、高く売れる自慢の髪を惜しみなく売る事にしたのだが惜しくも目標までわずかに届かず、娘は紅茶も我慢してお湯をカップに注ぎながら解決策の思案を続けた。   (2022/4/20 23:42:27)

夏目葬式◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇   (2022/4/20 23:42:45)

夏目葬式「なぁ、もう一度川を漁ってみようよ?まだ何かあるかも知れないよ?」 体中を泥だらけにした子供達が、もう赤い陽が横から刺しても諦める事なく、河原で探し続けていた。「あと100g、何とかして鉄屑を集めるんだ!そして牧師様がまた元気が出るような、上等なワインをプレゼントしようね!」   (2022/4/20 23:43:02)

夏目葬式子供達は皆教会で牧師に愛情深く育てられた孤児達だった。牧師は子供達を笑顔で見送ろうと教会の今後も、自らの病気も全て秘密にしていた。なので病気の事を知らぬ子供達は、日々少しずつ食が細り痩せて元気が無くなった牧師を心配し、せめて一度でもまた以前の笑顔に戻れる事を願い、長年共に過ごした中で牧師が一番嬉しそうな顔を見せた牧師の妻の誕生日の時の、贅沢品の葡萄酒を思い出してここを離れる前に是非飲ませてあげたかったのだ。   (2022/4/20 23:43:26)

夏目葬式余命。孤児達の出立。クリスマス。各々の目標の残り時間は余り残っては居ないがそれでも皆、誰一人諦めることなくその日まで顔を上げていた。   (2022/4/20 23:43:48)

夏目葬式◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇   (2022/4/20 23:44:03)

夏目葬式「牧師様!早く早く!さぁこちらへどうぞ!」目を輝かして興奮する子供達から手を引かれ、畏まって呼ばれた牧師の席の前には、ラベルが汚れ僅かに剥がれて欠損したものの、妻との思い出深いあの葡萄酒があった。「牧師様、今まで僕達を実の子のように愛して育てて下さってありがとうございました。今日で僕達は皆ここを離れてしまいますが、最後に僕達からのせめてものお礼です。これを飲んでまた元気になって下さい。」「ああ・・・ありがとう。君達が内緒で出かけ、泥だらけになって帰って来る姿が不思議だったのだが・・・君達はきっと、この為に一生懸命働いていたのだろうね。胸がいっぱいだよ。」牧師は一瞬声を詰まらせ、目の端を光らせながら優しく微笑んだ。   (2022/4/20 23:44:47)

夏目葬式「実はね?みんなも知っているここの先輩のルーリーからプレゼントを預かったんだ。色が流行遅れの染めでごめんなさい、だそうだよ。」そう言い、一人一人全員にお揃いのマフラーと手袋を渡した。「ルーリー姉ちゃんから?やったー!」「わぁ!可愛い網目で私大好き!」「これ軽いけどとっても暖かい!嬉しいなぁー!」大喜びで早速身につけてはしゃぐ子供達を牧師は手招きして食堂へいざなう。   (2022/4/20 23:45:04)

夏目葬式「今夜はクリスマスだが、街の人達からの寄贈でこれまで見た事もないようなご馳走様だらけでね?君達に沢山食べて欲しいから暖かいうちに食べようじゃないか。」 「うわぁあああああああーーーーっ!!!」食堂に足を入れた子供達から順次、嬉しい驚きの声が響く。テーブルの上に所狭しと並べられていたのは、滅多にお目にかかれない七面鳥やケーキ、たっぷりの肉と野菜のシチューや柔らかいパン、焼き菓子、果物やジュースなど、子供達の夢の絵本のような御馳走だらけだった。   (2022/4/20 23:45:26)

夏目葬式100g足りなかったルーリーの髪は手芸店がわざわざ流行りの色だった毛糸の色を少し落とした色に染め直して新古品価格として十分に必要な毛糸を提供した。100g足りなかった鉄屑は、スクラップ工場の親父さんが子供達の欲しかった上等ワインをこっそり買って来ると陰でわざと汚し、値引き品だったからと賃金の代わりに直接与えた。 実はクリスマスのご馳走も全て、肉屋や八百屋、ケーキ屋等の街の人達が皆で、商品では100g満たないからと言ったり、わざと包装を汚して傷つけたりして「売り物にならないから」と持って来たものばかりだったのだ。   (2022/4/20 23:45:50)

夏目葬式【キャララーン♪ リリーン♪ リンリンコローン♪】最後の夜にこの暖かい街の教会で子供達がご馳走で瞼を重くし、牧師が葡萄酒に亡き妻の笑顔と再会する中、しんしんと降る雪に吸い込まれるように突如カリヨンの鐘が鳴った。牧師から依頼を受けた鉄骨屋は本来、足らぬ金額の分を彼の死後に土地建物を処分して作る約束だったのだが、どうしてもこの牧師と子供達に完成したカリヨンの音を聞かせたくて、彼が世を去る頃は繁忙期で忙しく、また、真鍮の値段も上がるからと口実を作り、取り急ぎ納期前倒しで足りない100gの等価としたのだった。   (2022/4/20 23:46:10)

夏目葬式音色は貧しい街を・・・灰色一色だったこの街を明るく色付けていった。人々は皆、まるで牧師のようなこの温かなメロディーに安らぎ耳をすます。このカリヨンの音が響く限り、世界は限りなく優しい。   (2022/4/20 23:46:33)

おしらせ夏目葬式さんが退室しました。  (2022/4/20 23:46:42)

おしらせ冬空さんが入室しました♪  (2023/9/3 15:34:41)

冬空「君は気づいてくれるかな」で始まり「雨は止んでいた」で終わる物語   (2023/9/3 15:36:09)

冬空『初恋』   (2023/9/3 15:36:47)

冬空君は気づいてくれるかな…   (2023/9/3 15:37:12)

冬空同じクラスなのにあまり言葉を交わしたことがない貴方。明るく優しい貴方はクラスの人気者でいつも楽しそうに笑っているのが印象的だった。   (2023/9/3 15:37:30)

冬空そんな貴方に密かに憧れ想いを寄せていたことに気づいていたのだろうか?   (2023/9/3 15:37:55)

冬空ある日、教室にいた私は先生に職員室に来るように呼び出された。生徒指導の先生であり厳しいことでも有名な先生からの呼び出しに緊張しながら職員室へと向かっていた。   (2023/9/3 15:38:16)

冬空用事を済ませ教室に戻ってくると貴方は真っ先に駆け寄り「なにがあった?」と心配そうに声をかけてくれたんだ。周りからは好奇の視線、少し驚きながらも堪えられずに視線を逸らせ「なんでもないよ」と素っ気なく返事をするのが精一杯だった。本当は嬉しくて心の中でありがとうと呟いていた。   (2023/9/3 15:38:51)

冬空そんな中、時は流れバレンタインの時期になると周りもざわめきだして誰に渡すのかという話題で持ちきりとなった。   (2023/9/3 15:39:23)

冬空真っ先に思い浮かぶのは貴方のことで…。でも渡す勇気なんてなかった。ところが友達に誘われチョコを渡すこととなってしまった。誰にも見つからないように下駄箱の中にそっと忍ばせると何事もなかったかのように過ごしていた。   (2023/9/3 15:39:44)

冬空それから数日が経ち、貴方と周りの男子からチョコをあげたことを疑われ茶化されからかわれた。名前を書いたわけじゃない。バレるはずはない。「それは私じゃない!」恥ずかしさから咄嗟に嘘をついて誤魔化すとその場から逃げるように立ち去った。   (2023/9/3 15:40:05)

冬空ある日の放課後。外は雨が降っていた。部活を終え教室に戻ると窓の外を眺めていた貴方が振り返り話はじめた。   (2023/9/3 15:41:09)

冬空「俺、お前のために歌を作ったんだ…聞いてくれ」と。そして貴方は箒をギターのように構えると弾く真似をしながら歌い始めた。2人きりの静かな教室に響く貴方の歌声。その姿に思わず聞き入っている私。歌い終えた貴方と目が合えば言葉を発することなく照れて笑いあった。   (2023/9/3 15:41:37)

冬空いつの間にか窓の外は明るくなり雨は止んでいた。   (2023/9/3 15:41:55)

おしらせ冬空さんが退室しました。  (2023/9/3 15:42:15)

おしらせ正岡死期さんが入室しました♪  (2023/9/9 09:24:48)

正岡死期お題は【また同じ夢を見た】で始まり、【そんな君がただ愛しかった】で終わる物語   (2023/9/9 09:24:55)

正岡死期「また同じ夢を見たよ」 そう言いながら、何処か締まりのないニヤけたような緩んだ笑顔を隠すように、俯き加減で照れている白頭翁が話しかけて来た。   (2023/9/9 09:25:18)

正岡死期ほんの少し手を伸ばすだけで米寿に届きそうなこの男の身の回りの世話を私がする様になって、三か月程だろうか。   (2023/9/9 09:25:34)

正岡死期この男は自ら、若い頃から寡黙で家庭でも口数は少なく、家族を養う為に仕事一筋で不器用な人生だったと苦笑いを浮かべる昭和の男の辞書のような顔を見せたがどうしてどうして!そんな事は無い。   (2023/9/9 09:25:47)

正岡死期屈託のない優しそうな目で歯をこぼし、世話人の私を事を逆に気遣い、やれ休憩しなさいだの、そこまで細かい掃除は要らないだの、客では無い世話役の私にお茶や茶菓子を用意してもてなしてくれるのだ。   (2023/9/9 09:26:00)

正岡死期先刻の夢の話をしたそうな男のソワソワと嬉しそうなテンションを放置するのも可哀想なので、丁度洗濯物も掃除も一区切りついたところで、今日もこの寂しい昭和男の話を聞いてあげようと私から声を掛けた。   (2023/9/9 09:26:17)

正岡死期「ユウジさん、またって、例の食堂の夢ですか?」 案の定食いついて来た彼は、言い終わる前にまるで奇跡を体験した者のような興奮ぶりで上半身ごと頷いている。   (2023/9/9 09:26:27)

正岡死期「そうなんじゃよ!そこはわしは行った事も見た事もない知らない街の食堂なんじゃが、いつも同じ店での、不思議な話じゃが・・・」 生真面目で真剣な目を遠くに置きながら軽く首を捻って彼は続ける。   (2023/9/9 09:26:43)

正岡死期「そこにはこれまた見知らぬ看板娘さんが居て、周りの客に気がつかれんようにそっと口元に指を立たせて、わしの前に何故か餃子置いてくれるんだよ。」   (2023/9/9 09:26:56)

正岡死期その夢の中の看板娘を思い出しているのだろうか。先程とは一転して純朴な少年のような、ベタな恋心がダダ漏れしている事にも気がついて無い様子のこの老人が可愛く見えて、少し意地悪をしたくなってみた。   (2023/9/9 09:27:07)

正岡死期「ねぇ?ユウジさん、それは昔見たドラマか何かのシーンに憧れて、理想の夢を妄想してるのだと思いますよ?その娘さんもユウジさんが好きだった憧れの女優さんじゃ無いの?(笑)」   (2023/9/9 09:27:19)

正岡死期「そうなのかのぉー。でも何度も見とる夢だしわしが好きな女優なら直ぐに判るじゃろう。それにこの娘さん、見た目は素朴で地味な女の子じゃし。そうじゃな、もしかすると何度も見ておるのはそのうちこれから先の未来で起こる予知夢なのかも知れんなぁ」 思わぬ超能力の可能性に走り出した好々爺に吹き出しそうになった。   (2023/9/9 09:27:37)

正岡死期「うん、こんなに何度も、知らない世界での同じ夢を見るなんてきっとユウジさんは何かの不思議な力を持っているのかもね(笑)」 話もひと段落つきそうなので、今日もまた彼に同じ質問をしてみた。   (2023/9/9 09:27:51)

正岡死期「ところで、その若い娘さんはユウジさんのタイプなの?」 私の問いに恥ずかしそうに湯呑みに瞳を落とす彼に、私は溢れそうになった笑みを止める為に、誤魔化して冷やかしながら指で突いてみる。   (2023/9/9 09:28:05)

正岡死期「実は夢の中では一度も話もして無いんじゃが、何故か心臓がドキドキしてしまうんじゃ。何度も何度も夢で会ってるうちに、年甲斐も無く好いてしまったかもわからんのぉ・・・。」   (2023/9/9 09:28:18)

正岡死期照れる老人に私もついに堪えきれなくて大量の笑みを溢す。ユウジさん、いつもあなたが聞かせて来た寡黙で不器用な昭和の男はどこに行ったのよ(笑)   (2023/9/9 09:28:31)

正岡死期でも。   (2023/9/9 09:28:44)

正岡死期若い頃の彼は確かに無口で寡黙だった。当時私が働いていた小さな安い食堂にやって来た時も、最初の頃は注文もメニューの同じ所をトンと指差すだけ。随分と通い続けてくれて常連客となった頃でさえ、ようやく一言、「いつもの。」と呟くだけだった。   (2023/9/9 09:28:58)

正岡死期そんな彼が初めて他の言葉を発したのを聞いたのはある日の事、仕事を終えて気分良くなり、つい量を超えて気が大きくなった他の常連客の一人が、私のお尻を触りながらしつこく絡んで来た時だった。   (2023/9/9 09:29:08)

正岡死期「いい加減やめんか!」 いつも目立つ事なく物静かで、喧騒の中では存在が埋もれてしまう彼が、この時まるで地響きのような何処までも通る迫力ある声で迷惑な客を一喝した。   (2023/9/9 09:29:21)

正岡死期店内が驚き一緒時が止まった後、怯んでいた傍若無人な酔っ払いが我にかえり、お酒の勢いのまま彼の胸ぐらを掴みかけたもののあっという間に物静かな昭和の男に投げ飛ばされてノビていた。少しずつ湧き上がる歓声と拍手の中、突如生まれたヒーローに私は一瞬で心を奪われた事は言うまでも無い。   (2023/9/9 09:29:33)

正岡死期それ以来私はユウジさんの事ばかり気になって仕方なく、来る日も来る日も胸を高鳴らせて、助けられたお礼も含めて毎日ユウジさんに餃子攻撃をしたものだった。   (2023/9/9 09:29:56)

正岡死期やがて根負けしたのか、いつの間にか無骨な昭和男も陥落して私を気にかけてくれるようになり、それから暫くして私が彼の苗字に変わったのは自然な流れだった。   (2023/9/9 09:30:21)

正岡死期あれから50年以上経ち、悲しい事に彼は少しずつ本来の自我を痴呆に蝕まれてしまっている。ここ最近ではついに息子や孫は勿論、私の事さえ忘れてしまったようだった。   (2023/9/9 09:30:35)

正岡死期身体も言うことを聞かなくなって来た老老介護の私には、思い出や記憶が薄れ、まるで少しずつ遠くへ去って行くようなユウジさんの世話が段々辛く感じて挫けそうになっていたのだけれど   (2023/9/9 09:30:48)

正岡死期この人は果たして、本当に私を愛してくれて居たのだろうか?と結婚したから時々頭をよぎって来た長年の疑問は、寡黙だった彼も痴呆によって思わぬ形で暴露されたのは、せめてもの神様からのプレゼントだろうか。   (2023/9/9 09:31:08)

正岡死期やはりユウジさんは、私にドキドキしてくれていたのね。決して女優のようでは無い、綺麗では無い素朴で地味な私なのに。   (2023/9/9 09:31:22)

正岡死期これまで長年ずっと、決して好きだも愛してるも言葉で私を喜ばせる事の無かったあなた。でも、心の中ではこんなに長い間ずっと愛してくれているだなんてありがとう、あなた。涙が止まらないじゃ無い!ズルいわよ?あなた。本当に寡黙で無口で不器用な昭和男そのものね(笑)   (2023/9/9 09:31:35)

正岡死期記憶を失っても、夢の中でさえ私を忘れずにいてくれているそんなあなたが、ただただ愛しかった。   (2023/9/9 09:31:49)

正岡死期^ - ^   (2023/9/9 09:32:07)

おしらせ正岡死期さんが退室しました。  (2023/9/9 09:32:09)

おしらせ冬空さんが入室しました♪  (2023/9/9 12:42:15)

冬空「君は気づいてくれるかな」で始まり「雨は止んでいた」で終わる物語   (2023/9/9 12:42:46)

冬空君は気づいてくれるかな…   (2023/9/9 12:43:06)

冬空君とは塾で見かける程度。話したことはないがいつも同じ教室にいるものの顔を合わせれば挨拶を交わすくらい…そんな感じの日々だった。   (2023/9/9 12:43:21)

冬空制服からしてたぶん隣の○○高校だろうか?気にはなるものの話しかけることができずにいた。   (2023/9/9 12:43:35)

冬空そんなある日のこと、学校からの帰り道に突然の雨で店の軒先で雨宿りをしていると君は僕の姿を見ると駆け寄ってきたのだ。「あの…よかったらこれ使ってください」そういって傘を差し出してすぐに立ち去ろうとした君を呼び止めた。話を聞くと父親を迎えに行く途中だという。   (2023/9/9 12:45:03)

冬空それならこのまま借りていては申し訳ないと思い、目的地より手前の通り道でもある僕の家まで借りることにして一緒についてきてもらうことにしたのだ。   (2023/9/9 12:45:47)

冬空僕の家に着くまで話をしていたがお互いに緊張していたものの少しずつ打ち解けていった。   (2023/9/9 12:46:03)

冬空それからは教室でも顔を合わせては自然と話すようになり2人の距離は縮まっていった。そんな中、あの日の僕と同じように雨宿りしている君を見かけた。   (2023/9/9 12:46:36)

冬空僕は君のそばに駆け寄ると傘を差し出し「良かったら入っていかない?」君は頷いて傘に入り共に歩き出すと僕は自然に君の手を繋いでいた。   (2023/9/9 12:46:54)

冬空君は驚き照れながらもその手をふりほどくことはなく握り返してくれたんだ。やがて空は明るくなり雨は止んでいた。   (2023/9/9 12:47:36)

冬空   (2023/9/9 12:47:42)

冬空「世界を知った気になっていた」で始まり「それだけで充分だった」で終わる物語   (2023/9/9 12:51:34)

冬空私の家は代々続く老舗ホテルの経営をしている。そして一人娘である私も跡継ぎになることが決められていて卒業後から厳しい女将修行の毎日を過ごしていた。   (2023/9/9 12:52:10)

冬空世界各国の客人をもてなすため、語学をはじめ、いろんな勉強をしてあらゆる知識を身につけた。そんな忙しい日々の中で親しくなろうと近寄ってくるのは肩書きにつられて媚びへつらう人ばかり。こちらも仕事だからと営業スマイルを続けているが次第に嫌気がさしてきていた。   (2023/9/9 12:52:39)

冬空そんなある日のこと、研修先で知り合った貴方。年齢が近いこともあり、いろんな話をするうちに仲良くなった。彼の前では他の人とは違い自然と素の自分が出せた。2人は休みを合わせて一緒に勉強したり出かけたりする仲になっていた。   (2023/9/9 12:53:11)

冬空そんな中で料理の話題になって「得意料理はなに?食べてみたいなぁ…」彼のその言葉に私は動揺した。なぜなら料理といえば知識はあるものの正直なところ得意な方ではない。それに家には作ってくれる人もいるからあまり気にしたこともなかったのだ。   (2023/9/9 12:53:31)

冬空でも食べてほしい…そんな想いもあって彼の好物であるハンバーグを作ってもてなすことにしたのだ。   (2023/9/9 12:53:46)

冬空そして彼の前に拵えたハンバーグを出すと試食しているのを黙って見つめていた。食べ終わった彼は…「美味しかった。また作てくれる?」そう言って笑ってくれた。その言葉と笑顔に私の緊張もほぐれ照れながらも自然に笑みがこぼれていた。それだけで充分だった。   (2023/9/9 12:54:02)

冬空   (2023/9/9 12:54:05)

おしらせ冬空さんが退室しました。  (2023/9/9 12:54:39)

おしらせ谷崎順位遅漏さんが入室しました♪  (2023/9/9 22:46:37)

谷崎順位遅漏【お題】「君は気付いてくれるかな」で始まり、「雨は止んでいた」で終わる物語   (2023/9/9 22:47:04)

谷崎順位遅漏「ユキは気がついてくれるかな・・・」 水滴を垂らす大きな背を丸めた醜女は恨めしそうに黒雲を睨むと、幾重にも油紙に紅を丁寧に包み、天蓋も既に朽ち果てている寂れた祠へ優しく隠した   (2023/9/9 22:47:24)

谷崎順位遅漏◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆   (2023/9/9 22:47:56)

谷崎順位遅漏陸奥のとある村外れにある穢多という不浄の生業をする家に、タツという大柄の酷い醜女が居た。タツの母・ハルもまた、娘程では無いが決して器量良しとはお世辞でも言えぬ醜女だった。   (2023/9/9 22:48:44)

谷崎順位遅漏ハルは元々は村の中程の小作人に嫁いでいたのだが、日常的に酷い暴力を振う夫の太吉が、娘のタツが成長するに伴い、醜いその容姿へとますます鬱憤を当たり散らす様になり、このままでは娘が不憫だと思い詰めたハルが、生業上村人から忌み嫌われる穢多ならば執念深い太吉でも追いかけては来まいと娘と身一つで逃れたのだった。   (2023/9/9 22:49:02)

谷崎順位遅漏村からの差別を他所に、穢多の弥平は温厚にして思慮深く、日々殺生と向き合うだけに実は情けもある男で、加えて他の誰もが寄り付く事もない生業故に、子連れの醜女でさえ喜んでこれを迎え入れてくれた。   (2023/9/9 22:49:16)

谷崎順位遅漏穢多という仕事は獣の皮を工業品として作る仕事である。それ即ち、当然殺生の上に成り立っている為に、この国の今の宗教的観点から不浄のものとして扱われ、自らは直接の殺生を避けたいお上からも罪人の処刑を押し付けられる為、人殺しと同類の蔑んだ目で忌み嫌われていたのだった。   (2023/9/9 22:49:31)

谷崎順位遅漏だが意外にも反面、暮らしぶりに至っては武家や豪商達が調度品に贅を成す為にこぞって革を求め、実は裕福であった。タツもこの、優しく頼もしい弥平によって母のハルと何不自由なく幸せに暮らしていた。   (2023/9/9 22:50:03)

谷崎順位遅漏ハルが弥平の元に逃げてから十数年経ち、タツは19になった。顔は益々醜く、元来大きい身体も穢多として当たり前の肉食の滋養により、村の娘達とは違った猛る男の様な逞しい姿になっていた。   (2023/9/9 22:50:16)

谷崎順位遅漏優しかった母のハルは既にこの世には無く、父となった時でも既に初老だった弥平は足腰が弱り、最近は共に狩りをしてもタツの方が獲物を主に狩るようになり、その日も共に渓谷の方へと獲物を追って居たのだが、日も暮れかかり足元もおぼつかない中、よもやと思った時には既に手遅れで弥平とタツはそのまま川へ飲み込まれてしまった。   (2023/9/9 22:50:30)

谷崎順位遅漏どれくらいの時が過ぎたのか、背中にゴツゴツとした痛みを感じてタツが目を覚ますと、歳の頃なら12くらいの華奢な娘が全身を濡らして力の限り河原の方へタツを引き上げようともがいていた。   (2023/9/9 22:50:50)

谷崎順位遅漏半ば朦朧と「そうだ、お父、お父が!」と不意に我が身を思い出して弥平を必死で探したタツだったが、何一つ手がかりも見当たらず、遂にはここ最近の長雨で増した川に持って行かれたのだと諦めざるを得なかった。   (2023/9/9 22:51:03)

谷崎順位遅漏タツから溢れ出る涙を見て、不思議そうな眼差しで娘が声をかける。「お姉さんはお父の事、大好きなのね。ユキは怖いからお父、大嫌い。」 弥平の事で頭が一杯だったタツも、この抑揚の無い娘の声にようやく我を取り戻して、娘にまだ礼も言っていない事に気がつき恥じた。   (2023/9/9 22:51:33)

谷崎順位遅漏「ごめんね、長雨で水嵩も増した危ない川に入って、おべべをこんなに汚してまで私を助けてくれたんだね。ありがとうね、ありがとう!」 毎日雨雲に覆われて今夜も当然月は消え、真っ暗の中で娘の顔も良く見えない。流されるタツが身につけていた真っ白な兎の毛皮の羽織がこの娘の目に止まった事でさえ、神がかった奇跡のように思える。   (2023/9/9 22:52:11)

谷崎順位遅漏「ううん、いいの。本当はあたし、悲しくて辛くて、さっきまで川に飛び込んじゃおうって思っていたんだ。」声の中身の深刻さの割に、まるで冗談のように明るく言う娘に、タツは余計に娘の心情を聡った。   (2023/9/9 22:52:30)

谷崎順位遅漏聞くと娘は三人兄弟の一番上で、下は弟二人、小作人の家の為労働力として弟ばかり可愛がられ、娘は日々両親の虐待の中にいると言う。「ユキ父ちゃん、荒くれ太吉って村でも有名だもん」 諦めて他人事のように呟いた台詞は、タツにユキが異母姉妹である事実を告げた。   (2023/9/9 22:52:44)

谷崎順位遅漏タツは不浄な自分が異母姉妹という事を慮ってユキに隠したまま、妹の身の上話を聞いた。生い立ちから日々の暮らし、家での立場や環境の事、そして毎日辛い事があると、この川辺にやって来てはその日の嘆きを涙と一緒に川に流すという事を   (2023/9/9 22:53:10)

谷崎順位遅漏知らぬ事とは言えやはり姉妹だからだろうか。ユキもタツに話を聞いてもらっているうちに心が晴れて来て、なんとも言えない温かな気持ちになった。暴力を振るう父、そんな父に自分も虐待されたく無いと知らぬふりをする母、弟達。 タツの前でユキは初めて心の中底から笑顔になれた気がした。   (2023/9/9 22:53:34)

谷崎順位遅漏その日から二人は毎晩のようにこの河原で会うようになった。丁度都合の良い、寂れて天蓋も壊れた祠が二人の秘密の場となった。ユキは口煩く虐げる家人が寝ている間の時間は都合が良く、タツの方も昔、化け物と揶揄された醜女の姿を隠せる夜だと有り難かったのだ。会う時も会えない時も、この寂れた祠で幾通りかの暗号を考えた石を置いて二人の合図とした。   (2023/9/9 22:53:47)

谷崎順位遅漏タツはこの異母姉妹が愛おしく、大福や饅頭、金平糖といった村の者では誰も食べた事も、見た事すら無いような菓子でユキを大いに喜ばし、射幸の涙を流させた。   (2023/9/9 22:54:09)

谷崎順位遅漏一方でユキは、この何者かも判らないタツが、例え命を救ったとはいえ何故こんなにも温かく優しく包んでくれるのか不思議な思いでいた。そして、そんなタツが時折無意識で歌う歌にユキは心を癒されていた。   (2023/9/9 22:54:23)

谷崎順位遅漏「ねぇ?いつもタツさんが歌っている歌、なんて言うの?それ教えて欲しいな」「この歌かい?これは私のお母がよく歌ってくれた、紅い花白い花って歌なんだ。雪にも教えてあげるから一緒に歌おうよ!」   (2023/9/9 22:54:38)

谷崎順位遅漏「紅い花かぁ、良いなあー。ユキも口に紅つけて綺麗にお化粧したいなぁー。」キラキラとした目でお茶目に呟くと覚えたての歌を口ずさむ。タツはその時に密かに思いついた考えを隠して、ユキの軽やかで温かな歌声を微笑ましく聞いていた。   (2023/9/9 22:55:33)

谷崎順位遅漏◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆   (2023/9/9 22:55:52)

谷崎順位遅漏終わりの見えぬ長雨により、ついにこの貧しい寒村も大飢饉の危機に直面していた。これ以上雨が続くと、誰ももうここでは生きていけないだろう。まだ神仏に縋るこの時代、村の知恵者達の出した答えは《生贄の人柱》遠捧げる神頼みだった。   (2023/9/9 22:56:22)

谷崎順位遅漏当初クジで選ばれたのは庄屋の一人娘だった。それが何故か末端の小作人の娘へと変わったのだが、そこへその娘の父を殺害する事件が起きた為に罪人を処罰しなければならないのだが、罪人が殺生という行為を下せる唯一の穢多本人だった為に、咎人が生娘だった事もあり一石二鳥という事で、長達はその穢多を人柱とする事に決めた。   (2023/9/9 22:57:19)

谷崎順位遅漏儀式当日、穢多がかなりの醜女の上に熊の様な図体の化け物だとの噂もあって、大勢の野次馬が罪人を見に集まった。もっとも、この中に荒くれ太吉が殺害されて悲しんでいる者は一人も居ない。   (2023/9/9 22:57:34)

谷崎順位遅漏クジて娘が生贄に決まった庄屋に、大金と引き換えに自分の娘のユキを人柱にと率先して申し出た毒親の噂はあっと言う間に広まった。実はタツは、庄屋へ革の搬入の際に偶然この場に出会し、妹を守る為、更にはこれまでの全ての苦しさや悔しさの恨みも湧き上がり、逞しいその体躯で太吉をくびり殺したのだった。   (2023/9/9 22:57:50)

谷崎順位遅漏神事の後に今度は仏式で厳かに読経が始まった。間も無く木箱に閉じ込めてそのまま埋めるのだろう。役人に促され木箱へと移される時、醜い自分の姿を見世物のように見る目の中に、悲しい光を湛えタツ目から光の滝を落とす、震える手を合わせる華奢な娘と目が合った。色の白い優しそうな美しい娘だった。初めて明るい元で見た妹の姿に、タツは想像を膨らませる。   (2023/9/9 23:00:25)

谷崎順位遅漏(良い人と縁持って、子供達に恵まれて、幸せになるんだよユキ。嫁ぐ日は祠に隠したあの紅をさして欲しいな。)そんな思いを胸にしつつ、強く願った。「私の命で良いのならあげるから!どうかこの長雨を終わらせて妹達を救って!神様!仏様!」   (2023/9/9 23:01:02)

谷崎順位遅漏しばらくして段々と息が上がって来る。自分の心音が耳の奥から聞こえる。やがて思考も緩くなり遠のく意識の中、読経に紛れて微かに歌が聞こえた気がした。(アカイハナツンデ・・・アノヒトニアゲヨウ・・・なんて軽やかで良い歌声だろう・・・これ・・何の・・・歌だったっけ・・・・・   (2023/9/9 23:02:13)

谷崎順位遅漏この馬鹿げた原始的な儀式も終わり、罪人の醜女見物に集まった大勢の野次馬達も皆満足し、雨を逃れて既に巣へと帰った中、未だ泣き腫らし咽びながら必死に歌い続けるユキの頭上には、   (2023/9/9 23:05:38)

谷崎順位遅漏これまで長く居座っていた黒雲もいつしか嘘のように消え去り、雨は止んでいた。   (2023/9/9 23:06:36)

谷崎順位遅漏^ - ^   (2023/9/9 23:06:49)

おしらせ谷崎順位遅漏さんが退室しました。  (2023/9/9 23:06:54)

おしらせ聞く痴漢さんが入室しました♪  (2023/9/10 08:43:31)

聞く痴漢【お題】「君は気付いてくれるかな」で始まり、「雨は止んでいた」で終わる物語   (2023/9/10 08:43:38)

聞く痴漢「あの子ら、気がついてくれるかのぉ。」 ずんぐりとした大きな手にゴツゴツと太い指を生やした、山のような巨体の老人が目を細めて、大小、色合いや仕様の異なるたくさんのボールを一つ一つ眺めては優しく花壇の前に並べた。   (2023/9/10 08:44:07)

聞く痴漢昔はのどかだったこの辺も、町の発展と共に人々が徐々に集まり、安らぎを与えていた森林緑地帯も次々と開発され住宅が建てられて行った。   (2023/9/10 08:44:29)

聞く痴漢当然人口も増え、それに伴いあちらこちらでこだまして響き渡る子供達のエネルギッシュで元気な声が、息子は既に都心で家長をし、妻を亡くしたばかりで独り残されたこの男の心を和ませていた。   (2023/9/10 08:44:40)

聞く痴漢鳩尾まで垂らした長い髭と緩やかなカーリーヘアーが、焼けた赤ら顔の元炭鉱夫の巨体と相まって、子供達からは《赤鬼》と恐れられ、幼い者の中には子供を攫って食うらしいと言った噂に本気で怯える者さえいた。   (2023/9/10 08:44:52)

聞く痴漢目まぐるしい発展に狭くなったこの町は、子供達が伸び伸びと遊べる空間は日々乏しくなり、子供達のオアシスの一つがこの男の屋敷の広い庭だったのだ。   (2023/9/10 08:45:04)

聞く痴漢昔は炭鉱夫しか居らず二束三文の土地だったこの辺も、今では立地として魅力的な高級住宅地として目をつける者が少なくなかったが、喧騒と閉塞感に行き場を無くした子供達の伸び伸びと遊べる光を消す事は出来ないと、所有者であるこの男は大金を積まれでも決して首を縦に振る事は無かった。   (2023/9/10 08:45:16)

聞く痴漢しかし本人の意思とは別に、高齢となるこの男を都心の息子夫婦は心配して、同居を頑なに拒み続ける男の心を時間をかけて温かく緩やかに溶かしていき、ついに近いうちにこの土地を離れる事が決まった。   (2023/9/10 08:45:27)

聞く痴漢季節はこの地方独特の長雨の時期となり、男は長年過ごして来た愛着のあるこの家を妻との思い出を振り返りながら見て愛でながら周り、庭でも最後の手入れをした。   (2023/9/10 08:45:38)

聞く痴漢すると、ま新しいものからかなり年季の入ったようなものまで、次々と色とりどりのボールが隠れんぼで見つけられた者のようにひょっこり現れた。   (2023/9/10 08:45:49)

聞く痴漢決して安くも無いこんなにも多くのボール達が何故放置されたのだろうかと一瞬考えたが、「そうか、よほどワシが怖かったんだろうなぁ。悪い事をしてしまったな。」 と、不意に記憶の糸が繋がって合点がいった。   (2023/9/10 08:46:01)

聞く痴漢数年前の事だ。医者から成すべき事は全てした、と言われた愛する妻をまるで別人のように身体を小さくした男が家に連れ帰って通夜のように静かに過ごしていた頃、妻の寝室の窓を高音の破裂音と共に細やかに飛び散る光の中、ボールが飛び込んで来た。   (2023/9/10 08:46:13)

聞く痴漢普段は大らかで物分かりの良いこの男だが、タイミングが悪かった。妻の一瞬の怯えた顔を見てスイッチが入り、烈火の如く外へと飛び出して怒鳴り声を上げると、無関係の者まで含めてその畏怖の声聞いた子供達は一瞬のうちに蜘蛛の子を散らしたように消えてしまったのだ。   (2023/9/10 08:46:24)

聞く痴漢恐らくそれ以来、この屋敷に飛び込んで来たボール達は、屋敷の鬼に怯える主人達から見放されて置き去りにされてしまったのだろう。   (2023/9/10 08:46:36)

聞く痴漢夫婦して庭いじりが好きだったものの、男は妻を亡くしてからは一切手入れをして来なかったなぁ、そんな自分に苦笑いを浮かべながら花壇の雑草を刈り取り、拾い集めたボールを並べて行く。   (2023/9/10 08:46:53)

聞く痴漢感慨に耽りながら作業が敷地の端の入り口近くまで進んだ頃、ふと見慣れぬ、この屋敷には落ちていない白い石が目的を持って整列して鎮座する姿が目に入った。   (2023/9/10 08:47:04)

聞く痴漢「おじさんごめんなさい」「おばさんありがとう」と読める石達に、亡き妻の笑顔がフラッシュバックした。 「あなた、あんなに怒ってはダメですよ?子供達が怯えてしまうじゃないの。あの後、勇気を振り絞ったのでしょうね?子供達が謝りに来たのよ?」   (2023/9/10 08:47:47)

聞く痴漢そして、背に死神が居るとは到底思えぬ明るく生き生きとした笑顔で、怖い赤鬼が居ない間に何度か子供達を招いてお茶会した事、出したお菓子には子供達が目をまん丸にして歓声を上げた事、お爺さんは本当は赤鬼では無い心優しい人なのよと教えていた事などを自慢気に、心底愉快そうに妻が教えてくれた。   (2023/9/10 08:51:29)

聞く痴漢それでも怖い赤鬼の居ない時を見計らい、勇気ある子供達は何度も訪ねては妻の残りの時間に笑顔と安らぎの時間を与えてくれていたのだ。その感謝て歪む視界に天を仰いだ男へ、背後から声が掛かった。   (2023/9/10 08:53:43)

聞く痴漢「親父、そろそろ行こうか。」 ああ、と返そうとした声がうわずりかけ、今下を向いたら見られたく無いものを溢しそうになったのでそのまま空に向かって呟く。   (2023/9/10 08:54:05)

聞く痴漢「いやー、しかしこの町の雨は本当にいつまでも止まんなぁ。早くお前の住んでいる街に連れて行ってくれ。」 町へ土地の全てを寄付して公園へと変える手続きを済ませた男は、頬を伝う光を誤魔化して雨のせいにしたかったようだが   (2023/9/10 08:54:37)

聞く痴漢空には鮮やかな虹がまるで祝福するように描かれ、残念ながらこの男の涙を隠す雨はとっくに止んでいた。   (2023/9/10 08:56:21)

聞く痴漢^ - ^   (2023/9/10 08:56:24)

おしらせ聞く痴漢さんが退室しました。  (2023/9/10 08:56:28)

おしらせ冬空さんが入室しました♪  (2023/9/10 10:44:09)

冬空「世界を知った気になっていた」で始まり「それだけで充分だった」で終わる物語   (2023/9/10 10:45:54)

冬空かつてこの街には古くから奴隷商というものがあった。貧困による身売りや身寄りのない子供を引き取っては共同生活をさせ面倒を見ていたのだ。奴隷商によってもそれぞれ待遇は違い表向きは優しい笑顔の裏では朝から晩まで働かせたり食べ物もろくに与えていないという話もあった。   (2023/9/10 10:46:14)

冬空どうせこの男も同じだろう…私の目の前にいる男の笑顔を見ながらそんなことを考えていた。   (2023/9/10 10:46:33)

冬空父は既に他界、母も先日病気にて他界してしまった為、身寄りのない私はこの男のもとへと連れて行かれることになったのだ。以前から奴隷商に対してのよくない話を耳にしていたせいかこれからどうなるのか不安ではある。   (2023/9/10 10:46:55)

冬空私は必要最低限の言葉を交わすだけで無愛想な表情で彼を見つめていた。優しく甘い言葉に騙されるわけにはいかないのだ。   (2023/9/10 10:47:57)

冬空だが彼のもとに暮らしている子達は他のところとは違いちゃんとした食事を与えられ教育も受けさせられていた。皆笑顔で楽しそうである。彼の話によればこの先自立して暮らせるように教育を受けさせているという。いわゆる職業訓練校のようなものだった。   (2023/9/10 10:49:24)

冬空確かに齢20にもなればここから出て生活しなければいけない。新たな人に貰われていくのか1人になるのかその時にならなければわからないが…。特に教育に関しては高貴な家庭でなければなかなか受けることもできないのだ。それがここでなら分け隔てなく受けることもできる。   (2023/9/10 10:50:25)

冬空充実した生活を送っているせいか、皆の表情も豊かである。そんな状況下でも私は人の出入りを目の当たりにしては頑なに心を閉ざしたまま、ただ課せられる仕事を黙々とこなす日々であった。やがて気づけば責任者の立場となっていた。   (2023/9/10 10:50:48)

冬空そしてここにきてから早10年が経ち、直に私が出る番になる時期を迎えた。長く生活していたこの場所を離れるとなると寂しくもあった。そんな中、いつもとは違う彼の子供っぽい姿を目にして思わず笑ってしまったのだ。慌てて冷静を装うも彼には気づかれてしまった。   (2023/9/10 10:51:16)

冬空「もっと笑顔を見せてよ…。僕のそばで…」その言葉に次第に頑なに閉ざした心は解けて涙が頬を伝っていた。私はいつしか彼に対して情が湧いていたのだ。彼は私に驚きただ抱きしめ頭を撫でてくれていた。私はここから出ることはなく彼と共に歩むことを選択した。   (2023/9/10 10:51:40)

冬空天を仰ぎ小さく呟いた。これでいいんだよね?…   (2023/9/10 10:51:57)

冬空それだけで充分だよね…   (2023/9/10 10:52:09)

冬空   (2023/9/10 10:52:12)

おしらせ冬空さんが退室しました。  (2023/9/10 10:52:16)

おしらせ島崎倒産さんが入室しました♪  (2023/9/11 16:58:11)

島崎倒産【お題】「みんな変わってしまうんだ」で始まり、「今なら伝えられる」で終わる物語   (2023/9/11 16:58:27)

島崎倒産「みんな変わってしまうのね。」 派手な成金趣味に飾られた大きく重厚な構えの巨大な匣のような屋敷の中、そこにはまるでそぐわない空虚で活気の無い広間。今し方、配達員に投げ捨てられた新聞紙を一瞥した彼女は無表情で呟いた。   (2023/9/11 16:58:47)

島崎倒産この家の当主は一代で莫大な富と権力と名誉を手にしたかなりやり手の男だったのだが、尽きない貪欲な野心に引きずられて法を疎かにし、登り続けていた筈がいつしか奈落の底に誘っていた事を気づけずに、一気に転落してしまった。   (2023/9/11 16:58:59)

島崎倒産床に落ちた新聞にはこの距離からでもわかる大見出しで、脂ぎった父親の顔と共に反社会的組織や名だたる汚職政治家との、醜悪さを凝縮した文字が踊り狂っていた。   (2023/9/11 16:59:10)

島崎倒産2日前、まさに青天の霹靂で事件が明るみになった時に、私を産んだ女が真っ先にした事と言えば出来うる限り財産を整理して自分名義に変えて持ち去る事と、自分に種を植えた男が所轄に押さえられてしまう前に、我が身に泥がつかぬように籍を外して逃げる事だった。   (2023/9/11 16:59:21)

島崎倒産容姿だけ恵まれたこの女から、私が何かの恩恵を受けた記憶は無い。腹を痛めたくらいはあったのだろうが、形が崩れるのを拒んで母乳を授けず、物心ついた頃の記憶では既に、世間で言う母親をやってくれたのは金で雇われた年老いて粗末な女だった。   (2023/9/11 16:59:37)

島崎倒産もっとも、世間の母親ならこんな小娘に顎で使われたり、罵倒されたりしないだろう。私を産んだ女と種だけ落としてろくに家庭に戻らなかった男を見て刷り込まれたのだ。態度も横柄になり、母親役のこの粗末な老婆に対する私の接し方はそれは酷いものだった。   (2023/9/11 16:59:50)

島崎倒産世間体の為だけに家族を作って生活費だけを入れ、性を含めた尽きない欲望を外で燃やす男と、金さえ有れば夫にはまるで興味も無く、一切何もせず自分に贅を与える喜びだけに生きる女の間に生まれてしまった私だ、仕方が無い。   (2023/9/11 17:00:01)

島崎倒産こんなゴミを作った本人達は犯罪が暴かれて以来、既にここには居ない。そしてあれ程多く居た使用人達もいつの間にか誰一人挨拶も無く消え失せた。当然だ。   (2023/9/11 17:00:13)

島崎倒産金に糸目をつけず有能な先生を与えられた為に成績はだけは良い。しかし、馬鹿な両親がステータスと見栄の為に高額のお嬢様学校へ娘を入れたツケがこれだ。学費など払える訳もなく、今後通い続ける事は不可能だろう。高校受験を控えた自分の進路もここで止まる。   (2023/9/11 17:00:24)

島崎倒産それでもまだ、一切の未練など感じる事が無いという救いはある。幼稚園から大学まで一貫のこの学園に、私を忌み嫌う多くの敵は居ても、友と呼べる相手はたった一人も居ないのだから。   (2023/9/11 17:00:36)

島崎倒産親の権力を目の当たりにして育ち、横暴にして勝手気まま。学園内でも先生だろうと大人相手に我儘し放題の私だ。表向きは媚びて下僕のような同級生達も裏ではどれだけ嫌い、煙たがって居るのかを知らぬ程私も馬鹿では無い。   (2023/9/11 17:00:48)

島崎倒産私が自我とは別の、客観的な目を成長期に会得した頃には、既に問題児であった自分を変えるきっかけが掴めず、教師や生徒全てから貼られていた傲慢のレッテルは重く、そのレッテルのまま生きる事しか出来なかったけれど、ここを去り新しい環境に変わったら、改めて自分を考え直そうと思った。もっともそれは今後も学校に通う事が出来るならの話ではあるが。   (2023/9/11 17:02:53)

島崎倒産私がそんな自分を嫌いだと気付いたのはいつからだろう。そうだ、多分あの日からだ。   (2023/9/11 17:03:29)

島崎倒産あれは小学二年の私の誕生日。私への祝福の心など無いいつも通りの、親の見栄だけの為に贅沢で無駄な盛パーティーを盛大に開き、映えの為にクラスメイトや教師をも金の力で強引に参加させていた時。   (2023/9/11 17:03:40)

島崎倒産主役にとって一番嬉しい筈のプレゼントタイムに、値が高いだけで少しも気持ちの無い無機質な品々が積み上げられる中、クラスでとりわけ気の優しい一人が私の肖像画を恥ずかしそうに渡した。「瑠璃ちゃん、今まで絵を描いて貰った事が無いって聞いたから・・・」   (2023/9/11 17:03:52)

島崎倒産確かに話した事があった。休み時間ふと目にした、仲の良い友達同士がお互い可愛い絵を描きあって居たのが目に止まった時。腫れ物の私はいつも一人で、誰も描いた事が無かったし、描いてくれる人もまた居ない事に気がついてしまったのだ。だからそのプレゼントを渡された途端に自分が惨めな気になり、嬉しさとは真逆の反応をしてしまった。   (2023/9/11 17:04:08)

島崎倒産「は?何これ!お前は頭が良い特待生だから同じ学校来られるけど、本来はド貧乏で来れない底辺の分際で何なのよ!プレゼントを買えるお金が無いだけでしょ?こんなの要らないわよ!」 そう叫んで、本当は嬉しかった心の籠もっている絵を破り捨てた時。パーン! と、破裂音のような大きな音が響き時間が止まった。   (2023/9/11 17:04:59)

島崎倒産事の成り行きにドン引きして顔を引き攣らせた、お祝いの気もなく集められただけの多くの客人。渾身の思いで描いた真心を破り捨てられ、ショックで目に涙を浮かべた絵の描き主。この場にふさわしく無い展開に、何が起きたのかを理解出来ない私。   (2023/9/11 17:05:10)

島崎倒産止まった時を凛とした声が動かした。「いい加減に目を覚まして下さい、お嬢様!」 そこに初めて見た、振り下ろした手を震わせ哀しい怒りの顔の、母親の仕事を命じられた老婆が居た。   (2023/9/11 17:05:22)

島崎倒産呆気にとられた私の身体を何度も掴んで揺さぶり、どれだけ酷い言葉を吐いたのか、どれだけ友の心を踏み躙ったのかを責め立てて、今度は反対の頬に音を鳴らした。   (2023/9/11 17:05:35)

島崎倒産この事件があって、誕生会は二度と開かれる事は無かった。それは本当の真心の温もりと、虚飾や傲慢を恥じる心を知った私が強く望んだからだ。   (2023/9/11 17:05:45)

島崎倒産慌ただしく来客達を帰らせた後は老婆に思い切り抱きしめられ、私が可哀想だと散々泣かれた。思えばこれまでも何年もずっと優しさや人の心を教えられ、彼女からも沢山の温もりを与えられて来たのに。   (2023/9/11 17:06:01)

島崎倒産子供特有の我儘な自我を言い訳には出来ないが、私は謝罪の仕方もタイミングもわからなかったし、自分は特別といった親に刷り込まれた安いプライドがいつも邪魔をするのだ。   (2023/9/11 17:06:14)

島崎倒産私を産んだ女と種付けした男達は帰って来て事件に狼狽えた使用人達から経緯を聞くと、私に何も聞かず、また伝える事もなくこの老女を即日解雇してしまった。それは私を心配してでは無い。単に主人に逆らい手を上げた無礼者への処置だったのだ。   (2023/9/11 17:06:28)

島崎倒産あの日から私は何年も自分の嫌いな傲慢で配慮の無い、冷たい性格を脱ぎ捨てたくてもがき苦しんでいる。老婆やに愛されて育てられ、教えられて来た事の数々。優しさ、思いやり、感謝、そして反省と謝罪。   (2023/9/11 17:06:42)

島崎倒産いつも優しく抱きしめて温もりをくれ、間違った時には厳しく叱ってくれた彼女がずっと側に居てくれたら。私はきっと変わる事が出来ただろうなと叶わぬ思いを巡らせる。   (2023/9/11 17:06:55)

島崎倒産老婆やに会いたい。先ずは謝罪をしたい。これまでの傲慢な自分を殺してやりたい。生まれ変わって次は人を思いやれる優しい人間になりたい。親の収監と破産と離婚。丁度良いでは無いか。やり直そう!死んだ気で私を変えよう!   (2023/9/11 17:07:06)

島崎倒産産んだ女に別れを告げた。何の感情も出さず私の顔も見ずに「そう。」とだけ言われた。こんな機械に産んで貰ったのかと今更ながら笑える。勿論、種元とも縁は切った。綺麗さっぱり天涯孤独だ。   (2023/9/11 17:07:19)

島崎倒産この歳で一人で生きるのは大変なのは目に見えているが、それは私の贖罪でもある。貧しかろうが辛かろうがこれまでの過ちを反省して一生懸命生きよう。そう鼓舞して小さなトランクケースを片手に立ち上がった時。   (2023/9/11 17:07:41)

島崎倒産突然、扉が開いて懐かしい老婆の顔が現れた。「お懐かしゅうございますお嬢様、この度は大変でございましたね。暇を申しつかった身でご命令を破り申し訳ございません!ですが、余りにもお嬢様の事が心配で心配で・・・・」   (2023/9/11 17:08:06)

島崎倒産老婆やの声が途切れるより既にいち早く、私の足は勝手に床を蹴り、私の腕が思いの丈をぶつけるように老婆やの背に回りきつくきつく結ばれていた。   (2023/9/11 17:08:18)

島崎倒産「聞くとお嬢様、旦那様や奥様の後見も無いとか・・・・貧しい身で贅沢はとても望めませんがもし良かったら、せめて身の振り方を決められるほんの少しの間だけでも、この老婆やの家で一緒に暮らしませんか?」   (2023/9/11 17:08:36)

島崎倒産今私は生まれて初めて嬉し泣きと言う体験をしているのでは無いだろうか。この老婆に対して、沢山の気持ちが破裂して言葉が渋滞している。その全てがどれも、これまで私が決して口にしなかった感謝と謝罪の言葉ばかりだ。   (2023/9/11 17:08:53)

島崎倒産ずっと想い感じていた老婆やを敬愛する気持ちが、口にしたくても出来なかった【ありがとう!お母さん!】の言葉がきっと、今なら伝えられる。   (2023/9/11 17:09:26)

島崎倒産^ - ^   (2023/9/11 17:09:30)

おしらせ島崎倒産さんが退室しました。  (2023/9/11 17:09:37)

おしらせ与謝野折檻さんが入室しました♪  (2023/9/13 00:30:37)

与謝野折檻【お題】「世界を知った気になっていた」で始まり、「それだけで充分」で終わる物語   (2023/9/13 00:30:51)

与謝野折檻思えばあの時俺は、世界を知った気になっていた。   (2023/9/13 00:31:09)

与謝野折檻若い頃から毎日反抗して、俺は非行を繰り返して生きて来た。何故そうなったのか正直自分でもわからない。ただ、その生き方が当時の俺には一番楽だった。   (2023/9/13 00:31:21)

与謝野折檻中一で既に髪を金に光らせ、規格外に改造された制服の袖を通し、肩で風を切る俺が通える高校はというと、名前さえ書けば猿でも入学出来るゴミ捨て場だったが、直ぐに問題を繰り返して冬が来る前に中退してしまった。   (2023/9/13 00:31:32)

与謝野折檻いきがって居た当時の俺は、クズ同士群集まり、地元の暴走族に足を突っ込んで居たのだが、子供の頃に死んじまった俺の親父学費などバイク乗りで、チビだった俺は親父のタンデムシートが夢のようだった。   (2023/9/13 00:31:44)

与謝野折檻そんな、遊園地よりも楽しくて大好きだった記憶が深層心理に少しは何か訴えていたのかも知れない。兎に角、このアイアンホースを操って風を切るのが最高に気持ちよかった。   (2023/9/13 00:31:56)

与謝野折檻だからだろうか?闇雲に爆音を轟かせたり、見た目をイカツク見せる改造に夢中になる仲間からいつしか気持ちは離れて俺は一人、誰よりも早く無駄無くて効率的にパワーとスピードを引き出せるかだけを追い求め没頭していった。   (2023/9/13 00:32:07)

与謝野折檻やがていつの間にか黒い群れから自然と離れていた俺は、反社からすっかり足を洗って真っ当に生きていたOBの元で働きながら、社長の趣味でもあるバイクレースの世界へ魅了されて行った。   (2023/9/13 00:32:17)

与謝野折檻俺は自分では努力などした記憶はない。つまり、これが天賦の才というのだろうか。怪我をしたレーサーの代わりに出されたレースで直ぐに結果を出した俺は正式に登録され、   (2023/9/13 00:32:28)

与謝野折檻他の選手達を尻目にあっという間にランキングを駆け上がり、数年後には俺の名前に「世界の」と言う形容詞がつくまでになっていた。   (2023/9/13 00:32:39)

与謝野折檻初年度は刺激的だったワールドツアーも、シャンパンファイトが当たり前となった俺は天狗にはなり、金も名誉も女も全てを掴んだつもりだった。あの事故までは。   (2023/9/13 00:32:50)

与謝野折檻マンネリに飽きて刺激を求めた俺が挑んだ新境地がパリダカール・ラリーという、これまでのレースとは全く異なる世界だった。   (2023/9/13 00:33:00)

与謝野折檻努力を必要としない才を過信し舐め切った俺は、四日目にあっけなく砂漠の真ん中で事故って全身を強く打ちつけ、そのまま気を失った。   (2023/9/13 00:33:11)

与謝野折檻気がつくと、現地人らしき子供が驚いた顔をして初めて見たであろう日本人に怯え震えながら、心配そうにして何か話したがプツンと俺は意識を失い、また暫くして気がつくと、かなり粗末な発展途上の見本のような村の中で俺は介抱されていた。   (2023/9/13 00:33:21)

与謝野折檻言葉は通じず、シャーマンが居そうな、医者などは期待も出来ないその村で、俺は二週間程世話になってしまった。   (2023/9/13 00:33:32)

与謝野折檻初めの頃は身体はまともに動かせず、徐々に体力が回復して死ぬ程退屈に襲われた頃に俺が出来た唯一の暇潰しはこの村の観察だった。   (2023/9/13 00:33:42)

与謝野折檻この村は余程貧しいのだろう。学校らしき存在の匂いはしない。子供達は年齢性別に区別なく皆が家事を手伝い、空の水瓶を持つと三時間は帰って来なかった。   (2023/9/13 00:33:56)

与謝野折檻俺を助けてくれた子供もご多分に漏れず、やはり親に対して少しでも出来る手伝いをしようと必死に働いていた。   (2023/9/13 00:34:11)

与謝野折檻そんな子供達の姿に、父親が居ないという理由だけでクラスの群れから追い出され、そのストレスの発散に母親に逆らい、人生から逃げて非行に走り、自分の居心地の良い仲間とつるんだ馬鹿な俺を激しく恥じた。   (2023/9/13 00:34:22)

与謝野折檻こんな厳しい環境で重労働でも不平も言わず、その上貧しい生活だと言うのに彼らの目はキラキラと凛々しく光り、力強く輝きを放つ生き方や彼らの清涼感に俺は圧倒されていつしか目から涙が流れ、その時に世の全てを掌握したつもりだった愚かな俺はもう居なかった。   (2023/9/13 00:34:33)

与謝野折檻何日か過ぎると、カタコトだが少しずつこの村の人達と簡単な意思疎通は出来るようになった。身体もだいぶ動ける。後遺症も問題は無いだろう。   (2023/9/13 00:34:44)

与謝野折檻暫くして、俺を捜索していたチームがようやくこの村で見つける事が出来、安堵して奇声を上げた。沢山のスポンサー解約もあるし今後のレースやスケジュールも逼迫している状況だし、何億もの金が動く金ヅルを無事見つけての安堵感で一気に疲れたのだろうと同情する。   (2023/9/13 00:34:56)

与謝野折檻だが俺は、悩む事も無くキッパリとスタッフにこう告げた。「すまないが俺はもうレースは辞めた。一切のタレント活動もしなければスポンサー契約もしない。違約金等は保険と俺の全財産を好きなように整理して全部精算してくれ。」と。   (2023/9/13 00:35:08)

与謝野折檻スタッフ全員が暫く固まった後、真っ先にマネージャーが我に返ってヒステリックに何かギャアギャア喚いたが、俺はこれまでの感謝と労いの言葉を丁重にかけて未練なく踵を返した。   (2023/9/13 00:35:19)

与謝野折檻明日の今頃、俺は綺麗さっぱり財を失っているだろうがそれでも少しは残る筈だ。僅かでも残った金でこの村に俺が井戸を掘ろう。遠い川まで水汲みに行かずに済むように。子供達が少しでも時間のゆとりを得られる為に。子供達のその少し生まれたゆとりの時間は教育に与えよう。子供達とこの村の未来を豊かにする為に。   (2023/9/13 00:35:29)

与謝野折檻そして今。言葉はまだカタコトでもこの村で自分一人食っていけるくらいにはなった。俺の命を救ってくれたこの村に、人間の美しい生き方を教えてくれたこの子供達に俺は恩返しをしたい。残りの人生全てを賭けても。   (2023/9/13 00:35:41)

与謝野折檻まるで世界を握っていた時のようなあの頃の生活からは恐ろしく一変したが俺には全く後悔は無い。俺の残りの人生を賭けて欲しい物、それはこの村が豊かで皆が幸せになる事、そして子供達のキラキラと眩しい笑顔。それだけで充分だ。   (2023/9/13 00:36:01)

与謝野折檻^ - ^   (2023/9/13 00:36:04)

おしらせ与謝野折檻さんが退室しました。  (2023/9/13 00:36:17)

おしらせ与謝野悪鬼子さんが入室しました♪  (2023/9/13 01:17:37)

与謝野悪鬼子【同じお題にて】   (2023/9/13 01:18:01)

与謝野悪鬼子世界を知った気になっていた。 だって私は良家のお嬢にして才色兼備、英語はもとよりフランス語、ドイツ語、スペイン語や北京語など数カ国語を使いこなせる事もあり、   (2023/9/13 01:18:25)

与謝野悪鬼子父の旧知のTVプロデューサーから何度もラブコールされてドキュメンタリー紀行の「亀鷹かほりの世界旅行」という冠番組で抜擢されて何年も世界中を旅して周ったのだもの。   (2023/9/13 01:18:36)

与謝野悪鬼子旅先ではその土地の食べ物を現地人と共に食べるのが当たり前で、食材がミミズや昆虫だった事も有れば、羊の脳や小腸だった事もある。   (2023/9/13 01:19:51)

与謝野悪鬼子普通のうら若き乙女なら悲鳴をあげて失神すべきところ、そんなグロいものを当たり前のように美味そうな顔で食べる私は格好の話題で評判になり、この番組の目玉になってしまった。   (2023/9/13 01:20:04)

与謝野悪鬼子知られざる異国の収録が終わった後は最寄りの先進国の空港で降りて、現地同行のスタッフ達との親睦も兼ねて豪華なディナーが恒例で、テーブルには物凄いご馳走が埋め尽くされたものだ。   (2023/9/13 01:20:16)

与謝野悪鬼子日本へ帰国した後に雑誌等から取材を申し込まれ、その時の記者達からの質問の多くが、「世界中旅して幾つものご馳走や沢山の美味しいものを食べ尽くしたと思うのですが、その中で何が一番食べたいですか?」で、その質問に、私が日本に帰って心から熱望してやまぬ一番食べたい物の答えはいつも同じ。   (2023/9/13 01:20:36)

与謝野悪鬼子「梅干しと炊き立てのご飯、それに豆腐の味噌汁。私はそれだけで充分よ。」   (2023/9/13 01:21:43)

与謝野悪鬼子^ - ^   (2023/9/13 01:21:52)

おしらせ与謝野悪鬼子さんが退室しました。  (2023/9/13 01:21:54)

おしらせ冬空さんが入室しました♪  (2023/9/15 18:32:38)

冬空「空はこんなに青いのに」で始まり、「全部本当のことなんだよ」で終わる物語   (2023/9/15 18:32:57)

冬空空はこんなに青いのに…   (2023/9/15 18:33:12)

冬空「はぁ…」   (2023/9/15 18:33:52)

冬空深いため息をつくと俺は公園の芝生に寝転んで空を眺めていた。ここの空は青いのに他の地域は曇り空だったり雨や雪のところもあるだろう。地域によってこんなにも天気が違うんだ。俺の心の中はどんより曇り空。いや雨かもしれない。   (2023/9/15 18:34:09)

冬空最近はなにもいいことがない。テレビをつければ戦争や事件、事故のニュースばかり。その上、パンデミックを起こすほどの疫病。そんな世の中、俺のいる街は平和なほうだろう。   (2023/9/15 18:35:08)

冬空そして…母とのケンカ。顔を合わせればすぐにケンカになってしまう。心配してくれてるのはわかるが反抗期のせいかちょっとしたことでイライラして当たってしまうのだ。   (2023/9/15 18:35:29)

冬空ケンカして家を飛び出すといつもここに来てはぼーっと空を眺めていた。   (2023/9/15 18:35:45)

冬空「母さんには感謝してる。いつもありがとう。それとごめんね…」   (2023/9/15 18:36:04)

冬空素直になれない自分にもイライラしてくる。でもいつかちゃんと伝えたいと思っている。心の中で呟くとゆっくり立ち上がり家路につくのだった。   (2023/9/15 18:36:24)

冬空何気ない日常、それが幸せなことなんだ。   (2023/9/15 18:36:41)

冬空全部本当のことなんだよ   (2023/9/15 18:36:53)

冬空   (2023/9/15 18:36:59)

冬空【同じお題にて 視点換えバージョン】   (2023/9/15 18:37:40)

冬空空はこんなに青いのに…   (2023/9/15 18:37:54)

冬空「はぁ…またやっちゃった…」   (2023/9/15 18:38:05)

冬空公園のベンチに座ると深いため息をつき、コーヒーを一口飲んで空を見上げている。ため息をつけば幸せが逃げる…そんな云われもあるが自然にため息がでてしまうのだ。   (2023/9/15 18:38:20)

冬空特にここ最近は反抗期である息子を相手に言い争いすることもしばしばである。   (2023/9/15 18:38:35)

冬空その都度、お互いイラついては気分を落ち込ませているのだ。   (2023/9/15 18:38:48)

冬空甘やかしている、心配しすぎ、構いすぎ…   (2023/9/15 18:38:59)

冬空なんといわれようが心配は尽きない。   (2023/9/15 18:39:13)

冬空でもこれだけは言える。   (2023/9/15 18:39:24)

冬空いつでも見守っているから…   (2023/9/15 18:39:35)

冬空今日も無事過ごせますように…   (2023/9/15 18:39:48)

冬空一緒にご飯を食べて何気ないことで笑ったりできますように…   (2023/9/15 18:40:00)

冬空そう願わずにいられない。   (2023/9/15 18:40:14)

冬空今日もどこかでこの同じ空を見上げているのだろうか?いつかわかってくれる時がくるのだろうか?   (2023/9/15 18:40:26)

冬空全部本当のことなんだよ…   (2023/9/15 18:40:39)

冬空   (2023/9/15 18:40:45)

おしらせ冬空さんが退室しました。  (2023/9/15 18:40:49)

おしらせ星親日さんが入室しました♪  (2023/9/19 22:42:12)

星親日【お題】「空はこんなに青いのに」で始まり、「全部本当のことなんだよ」で終わる物語   (2023/9/19 22:42:30)

星親日「空はこんなに青いのになんで真っ黒なんだよ!」「先生ー!辻本くんがふざけてまた変な絵を描いてまーす!」晴れ渡って風も穏やかな写生大会に水を差すような、囃し立てる子供達の声の輪が公園に響いた。   (2023/9/19 22:42:55)

星親日その責める輪の中心には痩せギスで覇気のない猫背の子供が、ドス黒い煤のような渦と血のような赤、それと所々に白や黄色、青等でまるでスパークのような点々を乱雑にスケッチブックに描き殴っていた。   (2023/9/19 22:43:10)

星親日騒ぎで呼ばれた担任教師の真美は「またか」という呆れ顔を力技で抑え、フワッと笑みを浮かべて騒ぐ輪を解き解くと、自分の絵に集中しなさいと子供達を散らし、辻本少年の側にゆっくりと腰を下ろして髪を撫でながら優しく尋ねた。   (2023/9/19 22:43:26)

星親日「ねぇ、辻本くん?君は何処の風景を描いているのかな?良かったら先生に教えてくれないかな?」 そう質問はしたもののそれは、単なる教師としての事務的な言動であって、実はこの少年からの明確な回答など少しも期待してなどいない。   (2023/9/19 22:43:52)

星親日辻元くんは真剣な顔で話してくれたかと思えば、漫画の世界みたいなオカルト話しや怪奇な話ばかりする子供だった。同じような問答はここ一年近くずっと繰り返し行われているのに全く要領を得ず、無駄である事を嫌と言うほど知っているからである。   (2023/9/19 22:44:06)

星親日案の定、少年はこの小高い公園から見下ろした、澄み切った青空に映える長閑な街並みや並木町を悪びれもせず、それどころか当然のような神妙な面持ちで指差している。   (2023/9/19 22:44:19)

星親日真美はこの少年に聞こえぬように、堪えきれなかったため息を漏らしたあと、教師としての答えを思案して口を開いた。   (2023/9/19 22:44:31)

星親日「そうか、辻本くんにはあそこの街並みがこんな風に荒々しい印象で見えるんだね?凄いなぁ。きっと君の心の目では先生が気がつかない景色も感じ取れる感受性の豊かさがあるんだね、君は。先生、完成を楽しみにしてるね。」   (2023/9/19 22:45:15)

星親日言い逃げのようにこの少年から素早く離れて、担任に余計なストレスを掛けることのない、仲良く友達とお喋りしながら明るいパステルを紙に彩る他の生徒達の方へ足を向けながら、ふと彼の不幸に思いを馳せた。   (2023/9/19 22:45:27)

星親日辻元くんも元々はこの子達とそんな違いのない、屈託のない明るい子だったのに。やはり一年前の電車事故が原因なのだろうか?   (2023/9/19 22:45:37)

星親日その事故は、辻元くんの居た車両の乗客は全員死亡という空前の凄惨な電車事故だったのだが、幸運にも辻本くん本人は全くの無傷で、脳はおろか頭部に何のダメージも無い奇跡を起こし、暫くは連日ニュースを沸かしていたものだ。   (2023/9/19 22:45:49)

星親日外傷が全く無いとはいえ、凄惨な事故を目の当たりにしたPTSDの可能性は無いだろうか?あれ以来、クラスでひょうきんでムードメーカーだった彼が一度も笑いもせず深刻な顔を浮かべ、宿題をした事が無い勉強嫌いだった彼が、まるで狐に憑かれたかのように豹変した理由もそれならば納得出来るのだが、信じられぬ事に専門家医からはその可能性を全否定された。   (2023/9/19 22:46:11)

星親日あれ以来メキメキと成績を上げ、クラスではリーダーシップの片鱗を見せはじめ、突如として大人びて寡黙になったり、政治や社会の事を本気で考えるような、実年齢にとても見合わぬ子供を受け持ってしまった担任としては、正直に言うと余りにも気味が悪かった。   (2023/9/19 22:46:28)

星親日まだ反抗期で非行に憧れる子供の方が楽だったろうなと馬鹿な思いも頭をよぎる。でももうすぐだ。もうすぐでクラス替えとなり、運が良ければ担任から外れる事が出来る。そう自分に言い聞かせて真美は空を仰いだ。「本当。空はこんなに青いのに・・・・」   (2023/9/19 22:46:44)

星親日◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆   (2023/9/19 22:46:57)

星親日事故後目が覚めた時、あり得ないくらい悲惨な事故なのに僕一人だけが全くの無傷だったと周りの大人達から聞かされ、僕はもしかして特別な選ばれし人間ではないか?と少し浮かれていたのを覚えている。   (2023/9/19 22:47:11)

星親日だけど、それは決して僕の思い描いた華々しいものでは無かったと直ぐに思い知らされた。時折、突如襲って来る頭痛時に起きる能力に僕は失望を確信した。   (2023/9/19 22:47:29)

星親日最初の頭痛は忘れもしない、退院間近だった僕によくお節介をかいていた入院患者のおじさんが吐血して死ぬ様が見えたのだ。最初はただの幻覚かと思ったのだけれど、そのおじさんは程なく僕が見た通りに吐血して死んでしまった。   (2023/9/19 22:47:50)

星親日その後もTVを見ていると俳優やコメンテーター、政治家等が突然の頭痛と共ににその人達の末期が鮮明に見え、その通りの結果がずっと続いて、僕は偶然でも妄想でも無い事がわかった。   (2023/9/19 22:48:09)

星親日これまでの僕はと言うと勉強もせずにふざけてばかりで、毎日のほほんと何も考えず、ただ楽しい事は無いか?面白い遊びは無いか?それだけの日々だった。   (2023/9/19 22:48:43)

星親日先生の注意も親の小言も大人の言葉は耳に入らず、世の中へも無関心でニュース番組なんて無くなれば良いのにとさえ思っていたのだが、何時迄も当たり前にあると思っていた世界や平和というものが、実はこれ程までに脆く崩れるものだとは気が付かなかったんだ。   (2023/9/19 22:48:55)

星親日学校の先生も、親達も、押し切り型で平和の尊さを口にするけれど、本当の平和はそんな簡単なものでは無かったんだ。時折襲われるこの頭痛で僕には見えたんだ。家が、学校が、街が、みんな燃えて暗い煙を上げていたんだ。   (2023/9/19 22:49:09)

星親日これが何年後の事なのかなんてわからない。ずっと先かもしれないし、すぐ先の未来なのかもしれない。だから僕は勉強して、多くの人に話を聞いてもらえて、一緒に未来を守っていける立場の立派な大人になろうと誓ったんだ。   (2023/9/19 22:49:28)

星親日他人を当てに出来ない事は嫌と言うほど身に染みていた。友達や先生や親に話しても誰一人、僕の見えた恐ろしい未来を信じてくれなかった。でもね?あれは全部、本当の事なんだよ。   (2023/9/19 22:49:40)

星親日^ - ^   (2023/9/19 22:49:43)

おしらせ星親日さんが退室しました。  (2023/9/19 22:49:46)

おしらせ冬空さんが入室しました♪  (2023/9/20 13:32:17)

冬空「守りたいものはありますか」で始まり、「君がいないと息もできない」で終わる物語   (2023/9/20 13:32:35)

冬空「守りたいものはありますか?」   (2023/9/20 13:33:07)

冬空昼間聴いていたラジオから流れていたトークテーマである。   (2023/9/20 13:33:33)

冬空恋人、家族、故郷…など年代や性別によって様々な答えが飛び交っていた。   (2023/9/20 13:33:53)

冬空「守りたいものかぁ…」俺はボソッと呟くと隣で眠る彼女の寝顔を見つめていた。   (2023/9/20 13:34:09)

冬空安心して眠る彼女の寝顔は穏やかである。サイドテーブルの引き出しから小箱を取り出すと蓋を開けた。   (2023/9/20 13:34:39)

冬空小箱の中には指輪が入っている。用意はしたものの言い出すタイミングも掴めずに未だに渡すことができずにいた。同棲して既に3年である。   (2023/9/20 13:34:51)

冬空お互いに結婚というのを意識はしているもののなかなか進めずにいたんだ。そして明日は彼女の誕生日である。   (2023/9/20 13:35:05)

冬空(明日こそ…伝えよう)   (2023/9/20 13:35:23)

冬空俺は蓋を閉じると小箱をしまうと優しく頭を撫でると額に口づけをして眠りについた。君がいないと息もできないんだ。   (2023/9/20 13:35:35)

冬空   (2023/9/20 13:35:48)

おしらせ冬空さんが退室しました。  (2023/9/20 13:35:53)

おしらせハミング・イェーイ!さんが入室しました♪  (2023/9/24 05:34:58)

ハミング・イェーイ!【お題】「探し物はここにあるのに」で始まり、「そこに彼はいなかった」で終わる物語   (2023/9/24 05:35:13)

ハミング・イェーイ!あの男の探し物はここにあるのに。   (2023/9/24 05:35:57)

ハミング・イェーイ!シルクのマスター、常連客達は今日もグラスを掲げて想いを馳せた。   (2023/9/24 05:37:27)

ハミング・イェーイ!◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇   (2023/9/24 05:37:38)

ハミング・イェーイ!かつてはゴールドラッシュに沸き大勢の入植者で賑わっていたこの町だが、呆気なく訪れた資源の枯渇に加え、ここ最近で革命的に発展した産業機械の新技術により勃興する、近代化された新興都市に人と活気が溢れて、今では嘗ての面影を見る影も無く、すっかり寂れ果ててしまった。   (2023/9/24 05:37:51)

ハミング・イェーイ!少しも希望の無い、明るい未来が全く見えないこの町は奈落へ落ちるように一秒毎に荒み、当然秩序も乱れては次々とスラム化も広がり、経済的な理由で他所へ逃げる事すら出来ない羊のような住民達をギャングやマフィア達が脅かし、掃き溜めに一層拍車をかけていた。   (2023/9/24 05:38:03)

ハミング・イェーイ!この寂れた町の中心部からずっと離れた郊外の方に、【シルク】という昼は喫茶店、夜はバーを営む慎ましやかな古い店があった。そしてそこへはこの町を愛する、ゴールドラッシュ特需よりも昔のフロンティア時代の古株達が集い、語らうサロンとして落ち着きの賑わいを見せていた。   (2023/9/24 05:38:24)

2022年02月23日 22時18分 ~ 2023年09月24日 05時38分 の過去ログ
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