チャット ルブル

「【F系】水都ロサール【多目的】」の過去ログ

現在のルーム
過去ログ一覧
タグ ロサール


2017年10月22日 14時59分 ~ 2017年12月28日 03時30分 の過去ログ
過去ログでは上から下の方向に発言を表示しています

ピェリオ♂役者……拝命致しました。 (迷いも驚きも躊躇いも無く、恭しく青を受け取った。) さァでは決まった処で時間もありませんので、 (受け取るや否や、言いながら徐に纏っていた裏役の衣装に手を掛けてぐいと鳩尾あたりまで引っ張り上げた処で、) ……ア。 (止まった。瞬きをひとつ。眼前を見つめて、其処からそのまま、傍らの幼子に視線スライド。一部始終、それこそ本日の最初から男に追従して、今も止めるか一瞬手を伸ばしかけていた小さな少女へ、神妙な顔で。) ……ごめんアイン。お願い。あっち、誰も居ないから、他の子連れてって一緒に仕立ててあげて。 (言葉を受けた少女は早い。首肯の代わりに右手に机の上の台本と、左手を――白亜の司書官制服の、ほんの僅か裾をためらいがちに一度引く。付いてきて、というように。案内されればそこは衝立に囲まれた一角で、放り出された女性ものの衣服からしてもここを女性が更衣室代わりに使用しているのが伝わるか。途切れ途切れながらも少女が伝えていくのは荷物の置き場、貴重品の扱い、衣装の身に着け方、諸々。遅れてやってくるなら数名の女性が、化粧だ、髪の毛だと、諸々。)   (2017/10/22 14:59:32)

ピェリオ♂役者(そうしてすっかり身支度が整うだろう時分には――) ……サァ、あちらはどんな塩梅「かしらね」。 (舞台袖にて、青くさらりとした袖も裾も長い清廉な衣装に身を包み、銀髪をどう云った技術かでくるくると規則的に巻き、普段より白くあわく塗りつけた肌の上に舞台映えのする鮮やかな化粧を施した「聖女」が、こわねすら何処かハスキーに甘たるく響かせた嫣然たる微笑で「王子」の到着を待ち構―― 待機している訳である。……「聖女」が「嫣然」とか言っちゃっていいのかはともかくとして。)   (2017/10/22 15:03:11)

エルソフィ♀司書官 ええ、時間もありませんので――(男が衣装替えを、女は暗記すべき台本を手に取って素早くページを捲ったのは同時であった。そして、「あ」っと若干間の抜けた声をあげたのは同時であった。その理由は早々に裏方役の少女に託された言葉が表しており、衝立に区切られた場を離れる際、軽く会釈をした。)失礼。また後程。(短く残しては少女の案内を受けて、しゃがんで視線を水平に合わせながら頷きを返した。)本をテーブルに置けるのであれば貴重品の心配はありません。大丈夫です。……ときに、アインさん。(説明に区切りがついたところで、少女の名を呼んだ。)後で、お渡ししたいものがあるのです。喜んでもらえるかは、分からないものですが、後でお時間をいただければ幸いです。それと……お急ぎのところ申し訳ないですが、脱ぎ着が終わるまで他の裏方様にも入らないようにとお願いをしたいのです。細かい直しはもちろんお任せしますし、着たらすぐに呼びますから。(言って、珍しく返事を待たずしてその小さな肩をそっと指先で促す、少しの間だけ踵を返してほしい、と。)――……忘れられても構わない贄、か……(束の間の一人。ぽつりと呟いて、衣擦れの音。)   (2017/10/22 15:35:15)

エルソフィ♀司書官(すぐに、という言葉を違えることなく、衣擦れの音が止んですぐに少女の名を呼んだ。王子の服に身を包んだ、まだ丈の調整もあるであろういくらか未完成の『王子』は、次々と入ってきた裏方の団員たちに向けて、心臓に手を当てて会釈をした。服以外で違うことがあるとすれば、その右腕に黒本がないことと、司書官制服をどこかに畳んで置いた形跡がないことと、紫眼を常に遮っていた硝子レンズがないこと。)どうぞ、よろしくおねがいいたします。(残りの仕上げは今日のために積み上げてきた人々に全てゆだね、自分はその間、素早く台本の頁を捲っていく。本当にちゃんと読んでいるのかと首を傾げられかねないような速度で。そして、仕立が終わる頃――)――ありがとうございます。覚えました。(言って、台本を少女アインに手渡した。さて、髪を後ろ一つ束ねにきつく結ってシルエットとして分かりやすいミニクラウンのヘアバンドを髪に挿しこんだシンプルな装い。舞台男優用のメイクを受けて、厚めの手袋を借りた。所作で手が動くときに「女」とならないよう。)   (2017/10/22 15:36:37)

エルソフィ♀司書官お待たせしました。(さて、針はあとどれくらい残っているだろうか。改めて聖女と向き合ったときに、いつもと同じ所作の礼と共に開口一番が、そんな言葉だった。硬質な声音も、変わらずに。女性らしさを削いだ装いと所作ならば、中性的な王子様――あたりに見えたかは、さて。)   (2017/10/22 15:36:43)

ピェリオ♂役者(たどたどしく、聞こえるかもしれない少女の説明は男の手を離れた先でも変わらなかった。石造りの窓枠から見えない……客席から部分に台を置けるから、其処に何を置いても大丈夫だと告げて。それから、彼女から続いた言葉に、不意をうたれたように目を見開いた。それから、戸惑った。頷く事も断る事も、誰かの了承を必要とするような、…………返事をする間に次の質問がやってきて、そのまま背を返されてしまう。その言いつけには素直に従い、声を掛けられるまで衝立の先はおろか近くには誰も寄りつかなかったのは少女の、この事態へ招いたせめてもの誠意なのかも、しれなかった。 やがて声を掛けられ皆を招いて身支度に取り掛かった少女が、その先開演前に何か云う事は無かった。ただ、しばしば少し何かもの言いたげに「王子」を見上げて、躊躇いのままに逸らすだけで。まかせて頂戴、きれいねぇ、なんて端々に皆が云うのをぼんやりと見つめて、ぎこちなく俯くだけで。渡された台本の先に、) ――「気をつけ、て」 (そんな言葉があっても、すぐ紙片を抱いたまま、案内の為に背を向けて歩いていく。)   (2017/10/22 16:08:56)

ピェリオ♂役者(そうして、場面は引き戻る。現れた王子の姿に、それはそれは満足そうに笑みを深くした聖女は、作り込んだ髪型をくずさない速度で首を左右に振るう。) いいえ、とんでもない。……嗚呼、やはり。素晴らしい「王子様」です。こんな時に、こんな立場で言えたものではございませんが…… 貴女で、良かった。 (骨格を見誤らせる繊細なヴェールがゆっくり棚引く仕草で、ドレスのように裾を摘まんで会釈をひとつ。さあ、ちぐはぐばかりをかき集め、役者は揃った。 ――――開演である。)   (2017/10/22 16:11:42)

ピェリオ♂役者(晴れの日も、雨の日も。) 「……」 (病める日も、健やかな日も。この塔は変わらない。ひんやりと冷たい石の肌、固く沈まないベッド。唯一聖女の愉しみは、切り取られた窓辺の向こうの景色だけ。) 「……嗚呼。ねえ、ねえ。聴こえていらして――王子様。緑の葉がまた少し、色を変えました。うつくしいこと」 (聖女はうたう。うららかに。此処にあって此処にはない、何処か夢を見る眼差しで。) (……王子と聖女の居場所は劇中殆ど変わらない。舞台の奥に段差を作って塔を立てる。文字通り高い処から、真下に拡がる景色を見つめている。其処で他の登場人物が、何に、誰に思いを馳せながら災厄が行き過ぎるのを待つのを、互い違いに言葉を交わしながら見守っている、そんな役割。まるで背景の一部のような場所へ組み込まれる主役二人は、それこそ其処に居るのに何処にもいないもののよう。……男が言って見せた通り、派手な活劇場面も無い、解釈のひとつでは退屈とも単調とも呼ばれる物語だ。良くも悪くも「大人向け」。) 「ああ、ねえ……王子様。今、何を考えていらして?」 (顔の見えないこわねの先で、聖女は問うた。)   (2017/10/22 16:12:34)

エルソフィ♀司書官――はい、大丈夫ですよ。この際は、素人だから呑気に言えることだと解釈してください。(きをつけて、という言葉を銀の毛並から聞くのは、初めてではない。何か言いたそうに見上げているのも、すぐに分かったが、視線を向けて目尻を少し落とすだけの返事を、でも、返事を返した。だいじょうぶ、と。)頼りにしています、一緒に行きましょう。(それが、舞台袖へ向かう間際に少女へ落とした静かな言葉だった。そして、聖女から受けた言葉は、まるで――……)……お美しい方とご一緒できることを、光栄に存じます。――参りましょう。(……――開演。)   (2017/10/22 16:28:48)

エルソフィ♀司書官――「ええ、ええ、聞こえていますよ、聖女様。」(夢を歌うような声音の聖女とはやや対照的に、抑揚を削いだ声はしかしまっすぐ誠実に響いた。役者の名を知るなら「いつもより低い声」と聞こえたのだろう。アルトへ抑えられた声。)「御覧なさい、赤の葉が舞い行く西のほうで、小鳥がじゃれている。」(贄を捧げたあと、厄災の鎮まりを祈り待つ世界を、壁一つ向こうに共有できるただ一人へ、王子は言葉を継ぎ紡ぐ。王子が今、何を考えているか――)「それはもちろん、女神のお怒りが静まること。聖女様は、今、何をお考えで?」   (2017/10/22 16:29:00)

ピェリオ♂役者「まあ、まあ。私(わたくし)、あんなにかわいらしい小鳥さんを、こんなに高い処から見つけられたのは初めて。とっても可愛らしいわ。あの子達も、あの木々も。私達が此処にいるから、きちんと季節が廻っているしるし。」 (真っ直ぐに伸びるアルトと真反対に、何処かまどろむようなハスキーは、見るものによってはいくらか聖女の方が年嵩に見えたかもしれない。あるいは、見るものによっては……) 「私?」 (うすらに微笑み、窓枠に頬杖をつく。「男」の手を隠す青手袋、その指先をやんわりと組み合わせた。まるで、祈りごとのように。) 「もちろん、この世界がずっと続きますように。あまたの災厄が消え、女神様の加護のもと、皆がしあわせでありますように。」   (2017/10/22 16:50:19)

ピェリオ♂役者 (……その眼下で、「国民達」が口々に言う。 あの塔ってなあに。あれは神様の石の塔。誰が作ったの。知らない。でもずっと昔からあるの。悪いことが起きるから、あの塔にささげものをするんだよ。ささげものってなあに。それは、かわいそうなひとのなまえ。) 「ねえ、ねえ。王子様。皆は、何をお話しているのかしらね? 此処の眺めは良いけれど、私には良く聴こえないわ。小鳥さんの言葉が、解ればよいのに。そうしたら、教えてもらえるでしょう?」 (くふふ、くふふと聖女は笑う。夢を見る眸で、けして交わらない眸を何処かに向けたまま。)   (2017/10/22 16:51:18)

エルソフィ♀司書官「嗚呼。今日もお優しい祈りを捧げているのですね。安心しました。」(右手を心臓に当て、眼を閉じて木漏れ日のように王子は安堵を紡ぐ。小鳥の言葉を頼りに民の声を解そうとする王子は、少しの間を空ける間、眼下の世界をじっと見つめてから、答えた。)「私<わたし>にも分かりません。この窓を叩いて割っても、猛々しい風に諫められ、聞こえないのですから。」(石よりは脆い透明な石に軽く触れて、空を仰ぐようにして見上げた。)「聞こえない私は知りたい。今、女神はどこに御座すのか、私は知りたい。女神なら全てを答えてくださるだろうに。」   (2017/10/22 17:04:17)

ピェリオ♂役者「私も。王子様が、今日もご健在でいらっしゃること、安心いたしました。」 (誠実な声音と、夢見る声音が交ざって、途中続いていく音楽が少しずつ背景にとかしていく。客席はやはり、原作を知っていてあえて来場した様子の年長者や、広告の雰囲気につられた大人が多い。それか、以前の公演にも足を運んでくれた人々か。いつもの入りより、何となくまばらな席を、さていとおしいものを見つめる視線でゆっくりと撫でて。) 「うふふ、くふふふ。そうでしたね。貴方にも……私にも。それはもう、かなわないのでした。」 (俯くような仕草で、ヴェールが頬を隠す。舞台映えするように塗られた唇の色が、弓形に吊る。) 「そうね、そうね。女神様なら…… ああ、それでも。ねえ、王子様。聴いてみたいけれど…… もしも、本当に聴こえてしまったら、如何しましょう。」 (かり、と薄く塗られた爪の先が、石の塔を愛でる仕草で引っ掻いた。) 「もしも聴こえて……もしも、それが恐ろしいものだとしたら。貴方…… このお役目から、逃げてしまいたくならなくて?」 (俯く、まま。)   (2017/10/22 17:17:02)

エルソフィ♀司書官 (女神フィーネは司る二つがどちらも魂の根底に座す曖昧かつ平等に生けとしが持つものである。ゆえに解釈と創造神話やそれに基づいた芸術作品が最も多いと学者が一説となえるくらいだ。そんな女神に捧げられた、かわいそうなひとたち。)「ええ、もはや叶わない下界。しかし、ここに選ばれた時すでに、私はようやく民に報いることができる喜びを知りました」(王子は、高潔に高らかに言う。どこか遠くへ届けるように、遠くへ、遠くへ。あるいは、隣で夢見るような声音に続ける聖女に日差しを呼ばんと。聖女は問う、怖くないのか、と。)「もちろん、恐ろしいことを女神に告げられれば、民の上に立つ私とて、恐ろしくなるでしょう。しかし、一度決まったわたしたちには、逃げる先というものがありません」(そうであろう?と、問うようにして下界をゆっくりと見渡す。穏やかに、笑みを浮かべながら。)   (2017/10/22 17:38:11)

エルソフィ♀司書官「――嗚呼、そうだ……!」(楽しいことを思いついた子供のように声を弾ませた。)「女神のお言葉が恐ろしくてもこの心が砕けないように、私は聖女様のことをお尋ねしたい。せっかく、天にも届く高いところに同じく居るのだから。」(王子は初めて、上でも下でもなく、横を見た。壁が隔てる、名も顔も知らぬ聖女を。)   (2017/10/22 17:38:18)

おしらせ滞在時間が360分を超えたため、ピェリオ♂役者さんが自動退室しました。  (2017/10/22 18:00:09)

おしらせ滞在時間が360分を超えたため、エルソフィ♀司書官さんが自動退室しました。  (2017/10/22 18:00:50)

おしらせエルソフィ♀司書官さんが入室しました♪  (2017/10/22 18:00:57)

おしらせピェリオ♂役者さんが入室しました♪  (2017/10/22 18:01:06)

ピェリオ♂役者「まあ……王子様。貴方はとても、勇気溢れる方。恐れを知りながら、その恐れを受け入れんとなさる方。なんて、尊い。」 (うとりと言い終えてから聖女は初めて、体の向きを変えた。己と名も顔も知らぬ王子を隔てる壁を――背にして。ああ、その崇高な視線から、やさしい陽の導きから逃げ出すように。) 「……私は。此処よりずっと遠い国で生まれました。」 (声音だけは変わらない、掠れて甘たるく、淡いまま。) 「父と母は、私の誕生をとても喜び、幸福に思い。神様に感謝を捧げ、その証拠として、……生まれたばかりの私をすぐに教会へ捧げられました。」 (ふつん、と背景に流れる音楽が途切れる。甘たるい筈のこわねが一瞬冷えたように感じたとするなら、それは――) 「この生は、神様からの賜りもの。その恵みに報いるために、私達<父母>が出来るこれが最上の感謝の意なのだと……」 (ぽつり、ぽつり。まるで雨音のように落ちた声音は、) 「……私は幸福でした!」 (ば、と満面の盲目の笑みが広がった事で、豪雨になる。聖女は振り返る。王子の視線を避けたまま、真正面の下界を見下ろして慈しむように微笑んだ。)   (2017/10/22 18:27:44)

ピェリオ♂役者「私は最上の、特別な子ども。父も母も、神父様もそう仰いました。それから、神父様に連れられて、各地へ巡礼に赴くようになりました。恵まれない、沢山の方々へ……女神さまの代わりに愛を、届けるために。……いつしか私は、「聖女」と呼ばれるようになりました。そうして……今はこの地へ。」 (陶酔したようなこわねのまま、身の上を語り終えた聖女は其処で恥じらうように指を組み合わせてみせる。) 「……少し、はしゃぎ過ぎてしまいました。お恥ずかしい。ねえ、王子様。王子様の事も、お聞かせください。何故、貴方はこちらへいらっしゃるの。貴方のお話を、どうぞお聞かせくださいな。」   (2017/10/22 18:28:10)

ピェリオ♂役者【メモ代わりのwordが落ちてしまい、大変長考を失礼いたしました。依然終わりが見えない運びで申し訳ないです、背後事情や時間など御座いましたらいつでも仰ってください。】   (2017/10/22 18:30:11)

エルソフィ♀司書官【お気になさらず。こちらこそ、お時間をいただいています(深々。なるべくそれっぽくなる雰囲気に打ってはいますが、もし『銀猫脚本らしからず』であれば軌道修正してくださって構いませんので。時間等は大丈夫です。もう少々お待ちを。】   (2017/10/22 18:35:25)

ピェリオ♂役者【有難うございます。すみません、お気遣いを頂いておいて大変恐縮なのですが、既に当人があんまり気にしていないので、どうぞ思うままご自由に綴ってください。軌道修正等自由に動かして頂いて構いませんので。よろしくお願い致します。】   (2017/10/22 18:37:35)

エルソフィ♀司書官(視線の行く末がちぐはぐであることを、王子は知らない。聖女も知らない。知っているのは彼等をかわいそうだと思っている人々だけ。)「嗚呼、聖女様が嬉しそうに言う声を、私は今日初めて聞きました。なんと華凛なお声だろう。この声に小鳥らも恥じらって枝に隠れるに違いない」(雨に呼応するようにして、王子の声音も高らかとなる。宛もなく、遠くへ、遠くへ。壁に向けて。そして、王子が語る番となり、王子はゆっくりと一歩、踏み出した。)「私は、母と共に都の片隅で静かに暮らしていました。父王は民に寄り添うことを常に考え続け、見聞広めとして私と母を王城の外に出した。母は私にそう語りました。」(一歩、一歩、狭い部屋の中をゆっくりと歩く。)「私には特技がありません。本もろくに覚えなければ、字はいつまでも汚く、剣の代わりに棒を振ってもてんで様にならない――兄王子らが常に眩く映り、自分の至らなさを呪うたびに、母は私を抱き寄せて優しい言葉と手で頭を撫でてくださった。そう、愛されていました。」   (2017/10/22 19:00:26)

エルソフィ♀司書官(部屋を、ちょうど一周した頃、窓辺に戻ってきて背を預けて天井を仰ぐ。)「――愛されていました」(遠くへ、遠くへ。)「母は言いました。愛された分、愛せよと。それが私が兄王子らに劣らず持つ剣であり、盾であり、民を束ねる錫杖であると。いつか民のため国のためにこの身が役立つのであれば、私は母から受け継いだ愛を語り継ごう、そう思って――」(……腕を伸ばして、虚空をゆっくりと握り締めた。)「――ここに入ることを、自ら決めました。女神に近いところからなら、私の言葉も民に届くであろうと……――信じて……」(握り締めた拳を、俯きながら自分の心臓に近づける。誇り高い声音のまま。そう、嘘の物語をすらすらと紡ぐことのたった一つの理由に、すがるように。)   (2017/10/22 19:00:31)

ピェリオ♂役者「まあ、まあ。王子様。やっぱり貴方は、私が思い描いた通りの御方。冷たい石に閉ざされて、お姿を拝見する事はかなわなくても……私にはわかります。貴方はとても凛々しくて勇ましい、皆に敬愛される理想の王子様。」 (王子の偽りに、聖女が気づく事は無い。ただ朗々と響くその声でかたられる生い立ちを最後まで耳にして、ほうと感嘆の吐息をついては、指先で口元を覆った。零す笑みは慈愛のそれで、まさしく聖女が名をいただくままに。) 「届きます。きっと……ああ、いつか、女神さまの御声が聴こえる事。私も待ち望むようになりました。だって、怖いものなどもうありません。……だって、私達の身体には。女神さまから、皆様から、頂いた。数えきれないほどたくさんの――――『愛』が。……こうして刻まれて、いるのですもの。」 (胸元に一度手を置き、差し伸ばした指先は遥か下界を―― 客席を見下ろして。聖女は微笑む。盲目に潰れた眸で、甘やかな<愛>に蕩けたまま。)   (2017/10/22 19:41:06)

ピェリオ♂役者(――――場面はそんな二人を背景に、どんどんと移り変わる。ある時は病に倒れ伏し、ある時は飢餓に苦しみ、民は困難の末に、少しずつ道を切り開いていく。隣人の存在に救われ、また救い、助け合っては道を切り開き、其処に生を……希望を見出して。災厄が呼ぶ死の狭間で、かすかな灯を頼りに、縁をさがして、繋いで。つなぎあわせて。――その光景を、高い高い処からずっと、見ていた。) 「ねえ、王子様。御覧になっていらっしゃるかしら。また、木々の葉の色が変わりました。」 (聖女の声音は、相変わらず夢を見るように。) 「ねえ、王子様。今日の空の色、とてもうつくしいこと。」 「ねえ、王子様。」 「ねえ、王子様。」 「ねえ――――」 (……移り変わる下界の景色と塔の光景にともなって、人々のうわさも変わっていく。誰かが問うた。 ねえ、ささげもののひとたちは、いつおそとにでられるの? あの人達はもう、出られないの。 あの人達は、ずっとそこにいるの? あの人達は、ずっと其処に居るの。 あのひとたちは、……ねえ。どうして、ずっといられるの?)   (2017/10/22 19:41:16)

ピェリオ♂役者「……王子様?」 (……聖女の声音は、いつのまにかすっかりと掠れていた。窓辺に頬杖をつく力は弱く、窓枠に寄り掛かるようにして下界を見つめている。) 「……小鳥の姿が、見えません。」 (髪も肌も、酷くやつれていた。) 「前よりもっと、音が良く、聞こえません。」 (虚ろな眼差しだけは、相変わらずに。) 「……最近、なんだかとても、寒いのです。」 (ああ、冷たい冷たい、石造りの塔。冷たい、空に程近い。一緒に詰められた備蓄はさて、どれ程だった? 温もりを持たないこのわすれられた牢獄で――――ねえ、ひとは冬を、越えられる?) 「王子様……? ……女神さまの御声。王子様には、もう聴こえて……?」   (2017/10/22 19:42:07)

エルソフィ♀司書官(彼等は、この狭い狭い石の城<ろうごく>に迎えられて、女神に一番近い場所に捧げられて、死んでしまったのかもしれない。だって、彼等は死んでもいいとすら思われなかったから。生きていても死んでいても大人数からすれば「どうでもいい」――かわいそうなひとたち。)「ええ、御覧なさい、あの地域の畑は枯れてしまったというのに、松明が輝いている。きっと女神が少しの赦しをお与えになり、民は感謝の祈りを歌にしていることだろう」(嗚呼、そんなどうでもいい彼等を、わざわざ見つけて「王子」「聖女」と呼んだのは、誰だったっけ?贄の男女を「王子」「聖女」と名付けたのは、誰だったっけ?みんな、自分が死にそうになるまで忘れていたくせに。)「何でしょう?聖女様――」「聖女様――」「ええ、雲に隠れた空も高いところから見れば美しい」(忘れていたのなら――――さあ、ここから表現者らの投げかけが数多くに分岐する。そこに正誤や優劣はなく、ほぼ全てがロサール図書館に寄贈されている。さあ、『銀猫』は童話の教訓に沿うのか、逸れるのか。)   (2017/10/22 20:07:49)

エルソフィ♀司書官「聖女、様……?」(つめたい牢獄で、いや、冷たい場所で、温度を保とうと生まれた生けとしは、どうやって生きられるのだろう。)「ええ、今日の鳥たちは……餌を遠くまで探しに……すぐに、戻ってきますよ」(身体を削られたら、生けとしは何をもって『生』とするのだろう。)「ええ、私も、寒いと思っています……はは……お揃い、ですね」(か細くなる声を偽り続けられないことを、もう隣はとうに知っているだろうに、偽ることをやめない理由は何なのだろう。)「女神の声は、まだ……そうだ、聖女様……窓の、傍は、寒いですから、壁に、この音を――」(コン、コン。ゆっくり、大きく、何かを振り絞らないと崩れ落ちそうな危うさにゆっくりよろめきながら、壁を叩いた。)「同じ場所を、鳴らしましょう。……寒いとき、は……手を合わせれば、……心は凍えぬと、母がいつか……ああ、冷たい壁に、触れすぎては、きっと綺麗なその手が……かじかんで、しまうのだろうけれど……」(コン、コン……コン。)   (2017/10/22 20:07:56)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、ピェリオ♂役者さんが自動退室しました。  (2017/10/22 20:31:23)

おしらせピェリオ♂役者さんが入室しました♪  (2017/10/22 20:31:50)

ピェリオ♂役者「ああ、そうなのですね……だから、今日はこんなにも空が、静か……皆、ご馳走を見つけられるかしら……。」 (安心したように聖女は微笑む、力無く。――ねえ、最後の干し果実を口にしたのはいつの事?) 「お揃い……嗚呼、なら、すこし温まるような気が、致しました。」 (壁の向こうに「同じ」を見つけて、痩せ衰えた指を伸ばした。――ねえ、薄い薄い毛布がとても冬の凍てつきを越えられないと気づいたのは、いつの事?) 「嗚呼……本当にお優しい、素敵なお母様。……聴こえ、ますか。」 (コツ、ン。 ……「聖女」の居場所はあえてもう少し後ろにずらしてある。今のように重なった時の「体格差」で、客席から不自然に見えないように。そうして、聖女は既に膝を折り、座り込んだ姿勢のままで初めて壁を――王子の方角を振り向いた。一縷の望みに縋りつく、哀れなただの女のように。) 「……私の、声」 (コツン、) 「私の音、」 (……コツン、……コツ、) 「……きちんと……」 (聴こえていますか、と続けようとしたのだろう聖女の唇が、上向いたままに、はく、はくと空気を食んだ。一拍、二拍。) 「……愛されて、居ましたか。」   (2017/10/22 20:33:19)

ピェリオ♂役者(かさりとした、乾いた音。聖女が、自らの額を冷たい石壁に押し付けて、ヴェールが衣擦れた音。) 「……王子様。私達は、……ほんとうに愛されて、居たのでしょうか。」 (ああ、ねえ。聴いて。聴いて。ずっと言えなかった言葉。恐ろしかった言葉。) 「……女神さまの御声、王子様に聴こえていなくて……良かったと、思ってしまったのです。だって、だってそうしたら私……ほんとうに、ひとりぼっちになって、しまう。」 (愛されていなければいけなかった愛をほしがりすぎた愛されなかったこどもは盲目の愛におぼれて目覚める事を恐れ続けた。) 「……でも、でも……許して、くださいませ……もう、時間が、ないようなので……。」 (目が覚めてしまうなら、ほら、夢が終わって――冷たいなきがらがのこるから。) 「……女神様に、聖女が……アンネが。出来る事なら、ずっとお逢いしたかったと、お伝えを、どうか――王子様。」   (2017/10/22 20:34:40)

エルソフィ♀司書官(ねえ、ささげもののひとたちは、どうしてずっとあそこにいられるの?もうすぐ、ふゆだよ?さむいよ?ごはんは?だんろは?もうふは? 大丈夫だよ、誰かがちゃんと、もっていっているってお父さんが言っていたよ。 そっか、よかったあ。)――「ええ、聞こえて、いますよ」(……コン、コン)「はい、貴女の、声」(――コン)「貴女の、音」(――コン)「きちんと――……」(男女という生まれ持った少しの体力差で、王子はまだ立っている。それでも、上半身をほとんど壁に預けてうなだれている。眼下では、晩秋の作物が僅か乍らも実った喜びのダンスが歌もなく踊られていた。)……(そのとき、ほんの少しだけ時差が生まれた。王子が、王子役が、台本にはなかった休符を打ったから。うなだれる時間が、ほんの少しだけ長かった。客席からすればただの「タメ」にしか映らなかっただろう程度の時差。)   (2017/10/22 21:13:55)

エルソフィ♀司書官――(呼気を、一つ。)「愛されていましたとも」(王子は、澱まずに偽った。壁の向こうの女性も自分とお揃いと気づいたのは、いつだったか。互いが嘘を紡ぐ声がいつの間だったか、覚えたのはいつだったか。ずる、ずる、と、引きずりおろされるように壁を擦りながら聖女と同じく境にもたれた。……コン、コン。)「大丈夫です、とも……お揃いではないですか……私たち、は」(客席に投げる弱々しい声はしかし、下界への恨みに染まることなく、澱むことなく続く。だって彼等も下界を忘れ始めているのだから。)「女神に誓って、ひとりには……決して……」(憶え抱くは一つだけ。愛される夢物語を語りつづけた先。たった一人の、初めての隣人。)「……ええ、お伝えしましょう、二人で……アンネと、フライルが……ずっと、探し待っていたと、女神に……」(――コ、ン)「そのときには、もうこの壁はありません……そのとき……私は最初に貴女の名前を呼びましょう。そして……女神の前で、こう誓いましょう」(――ゴンッ。台本にない音。壁を叩く音に腕に隠れるようにして王子は俯く。役者は大きな大きな呼気を取った。次が、王子が崩れ落ちる間際の、最後の台詞だ。)   (2017/10/22 21:16:19)

エルソフィ♀司書官「――愛しています」   (2017/10/22 21:16:51)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、ピェリオ♂役者さんが自動退室しました。  (2017/10/22 21:47:24)

おしらせピェリオ♂役者さんが入室しました♪  (2017/10/22 21:47:37)

ピェリオ♂役者「……本当ですか。」 (聖女の吐息が、歓喜に打ち震えた。王子の、王子を演じる役者が打った「アドリブ」が生きるタイミングで、やつれ掠れたこわねを上げて石壁にすがりつく。まるで相手が其処に居るかのように、今はもう見る影もなくぼろぼろに崩れた爪を、がりりと石壁に擦り立てた。) 「、か、った、よかっ、た……良かった、……!!」 (一度見開き、それから幼子のようにくしゃくしゃに歪めた面差しから、眸から。ほたほたと零れ落ちるのは涙。苦しみでも嘆きでも無い。ただただ、幸福の涙。幻想も偽りも剥がれ落ち無残で悲愴な現実だけが残されて、それでもたったひとかけら、ずっとずっとそばに居てくれたのは。) 「ちゃんと、あいされて、いたのですね。わたく……私(わたし)は、もう、ひとりでは…………お揃い、ですね。ずっと、――」 (誓いましょう、と繋げる聖女の台詞が一度、止まった。台本外れの「音」に目を見開くような、一拍、二拍。) 「……王子様?」 (壁に肩口を摺り寄せる。……一度きり、とてもいとおしいものに触れるよう石壁を撫でて、眸を伏せた。) 「……わたしも。あいして、います。」 (そうして、最後の台詞をうたう。)   (2017/10/22 22:05:01)

ピェリオ♂役者「……次は、ずっとお傍に、……いられますように。」   (2017/10/22 22:06:40)

ピェリオ♂役者(――――そうして、「かつて王子と聖女と名をつけられたささげもの」は、愛の女神を呼び続け、凍えた死にいだかれて眠りについた。本格的な冬を迎える、直前の出来事だった。彼らの遺体を片付けたのは人知れず命を受けた役人で、まるで物でも扱うように、ぼろぼろのなきがらを運び出して行く。何処に葬られたか、かえされたか、かえれたのか。……誰も知らず、わすれられたまま。 そうして、季節は、年月は巡り――物語舞台のラストシーン。石の塔に影が差し、ゆっくりと手前の舞台が照らされる。固い固い冬茨。これだけはふたりが生きている間に、花を取り戻す事がなかったその蕾が、ようやくに開いた年がある。澄んだ子供たちの歌声。あたたかい光が降り注ぐ、やわらかな大地。子どもが一人、走ってくる。長い髪をきれいに巻いた、女の子。りんご色の頬っぺたで、楽しそうに振り向いて、訊ねた。) 「――ねえ、ねえ! こんどは、ずっといっしょにいてくれる?」   (2017/10/22 22:07:58)

エルソフィ♀司書官(この地の神十二柱は、いずれも太古の伝承にてこの地に降り立った月日を暦として現在まで受け継がれている。その神というものが、降るのは、いつなのだろうか。捧げれば良いのだろうか、自分たちを犠牲にすれば良いのだろうか、嘆けばいいのだろうか、祈ればいいのだろうか――この問いにいまだ神々は答えることはない。ゆえにその空白を埋めるようにして物語が編まれる。空想であるはずの物語という媒体の中に、神の降臨が啓示以外で描かれるのは、多くの場合――……)――「ああ!ずっとに決まってる!」(冬茨の花たちが見守る中、振り返った少女へ駆け寄った黒い髪の少年が、そのまま追い越し際に少女の手を取って、しっかりと強く握ったまま舞台の端まで駆けて行った。――そう、神が物語の中で「応える」ときは多くの場合、そうあってほしいと執筆者が、あるいは読者が強く願うときである――とある吟遊詩人の言葉。)   (2017/10/22 22:27:44)

ピェリオ♂役者(――――――――) ………… (そうして少年少女が駆けて行った舞台上には誰も居なくなり、いっそうに大きくなった演奏がやがて静まり静寂となり。入れ替わるように、まばらだった拍手が、少しずつ、少しずつ大きく、雨のように―――) ……お疲れさまでした。格好良かったですよ、「王子様」。 (舞台の上からはとうに「退場」していた聖女――であった男は、ふーっと細く長く息をついて、傍らの王子――であった、女性に声を掛ける。) いや、いや。素晴らしかったです。本当に。……拍手、聞こえます? カーテンコールですけど。行けそうですか? (見てくれこそまだ衣装も化粧もそのままだけれど、首をかしげて覗き込む仕草からは、先ほどの聖女の面影は何処に。常通りの、軽薄な男の言葉。)   (2017/10/22 22:35:26)

エルソフィ♀司書官(塔への照明が暗転するとともにそっと高い位置の塔の階段を降りる速度が、ひどくゆっくりだったのは、足音を立てないためというのももちろんあった。……あった。)……(雨音かと錯覚したような遠い音は拍手の音。聞こえているかとそっと囁かれたときもまだ、細く甲高く、少しの震えを帯びた呼吸が続いていた。右腕が何かをきつく抱くようにして胸元に押さえつけられていて、でもその腕には何もなくて。……そんな呼吸をゆっくり深く、三度ほど繰り返した後。)……大丈夫、です。(まだ塔の中にいる王子のような強張りを、もう一度の深い吐息で解いて、解ききれず僅かな震えを指先に残したまま、左手を仰向けに差し出した。)カーテンコールが終わるまでが、役。……ちがいますか?(足はしっかりと立ったまま、囁く細いソプラノ。差しだした手は、きっと聖女のエスコートのつもりなのだろう。覗き込む片方だけの色違いを、半分みていて、半分目を合わせられずにいる、そんな――「王子様だった女の人」)   (2017/10/22 22:49:26)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、ピェリオ♂役者さんが自動退室しました。  (2017/10/22 22:55:31)

おしらせピェリオ♂役者さんが入室しました♪  (2017/10/22 22:55:37)

ピェリオ♂役者…………仰せのままに。 (その仕草の一つ一つを、黙して見詰める。微かに震えるような指先へそっと右手を、重ねて、) ……、よく、頑張りました。 (一歩踏み出すなら、ごく軽い仕草でまわした左腕、手袋をはめたままの左手で細い背をとン、と一度きり叩いた。すぐに離れる。) ……行きましょう。皆が待っています……連れて行ってください、「王子様」。 (真正面から微笑む、「聖女であった男の人」) ―――― (かくしてカーテンコールにて並び立つ「聖女」は、同じく横一列に並んで立つ最後に走ってきた「女の子」をちらと眺めた。そう、本来の「聖女」は癖のない赤毛だ。子役もそれに合わせていたもの、染める間が無かった銀の癖髪と似ても似つかないから急遽近しい薄金の少女が抜擢されたと言う訳か。台詞も一言、この少女なら難なくやってのけるだろう。事実そうだった訳だし――肩から大きく息を吐きだして、そうして「聖女」は今一度客席に向け、真実深い一礼を向けた。) ……本日は、誠に、有難うございました――――   (2017/10/22 22:59:25)

ピェリオ♂役者(さて、今回の異例キャストの物語舞台。銀猫後日談としては、いくつか後々まで語られた話がある。初日一回こっきりだった筈の「特別キャスト」による公演がやたらと評判になり、その後の本公演への動員数が上がった事。初演を観劇した人々から「幻のキャスト」の噂が実しやかに囁かれ、市井でちょっとした話題種になった事。その片割れの「聖女役」は如何した事か、自分から「初演聖女」だと名乗り出る事はけして、無かったと言う事――諸々があるけれど。中でも嘘か真か、初演とその後の公演を見たもので、「演出に違いがある」と囁かれた話がある。王子が最期、何か訴えるように壁を強く叩いた事、聖女が――最期に「……いられますように。」と告げたのは、初演のみの演出であるなどと。……事の真相は本人達の胸の内、重なる噂と澄んだ秋風の中にゆっくりと覆い隠されていった事は……今はまだ、誰も知らない。)   (2017/10/22 23:02:40)

ピェリオ♂役者【遅筆の上、何度も何度も自動退室大変失礼しました。大変狂暴な時間までのお付き合い、有難うございます。最後駆け足になってしまいましたが当方からはこちらにて〆とさせてください。また、そちらも〆を打たれるようでしたら、ご一緒させてください。】   (2017/10/22 23:04:00)

エルソフィ♀司書官【こちらこそ、連日幕にも関わらずご一緒をありがとうございます。〆一つ落としますが、いつもよろしく長くなるかと思いますので、どうかご無理なきよう。それでは、もう少々の御付き合いを。】   (2017/10/22 23:08:07)

ピェリオ♂役者【了解しました。どうぞ、ごゆっくり。…そして書こうと思って物凄いすっ飛ばしたのでここで補足……を、するのも申し訳無いのですが入れたかった事なので、今回の助っ人報酬については、お支払いを申し出ている事にさせてください。(受け取り可否、額はお任せします) ちょっと、大事な処だったのをすっぽ抜けたので(他にもいろいろ抜けてるんですが)、恰好つきませんがそんな処でお願いしたいです…!!】   (2017/10/22 23:11:44)

エルソフィ♀司書官 (ふわりと目の前でわずかに空気が踊ったことを肌で知った半拍後、ハッと息を飲んだ。トンと背中を叩かれて、耳の近くに降った声は、声音は――――。)……ありがとうございます。(それは、エスコートという名の、細やかな助力願いに応じてくれた相方役へだったり、眩い舞台に戻ったときにわっと鼓膜を叩いた雨のような拍手。)…………(心臓に手を当てて、皆に倣って深々と礼をしたときには、震えは消えていた。)……――、(だから、雨のような音に紛れた小さな小さな一度きりの雨のような音は、きっと見つめ上げていた舞台の床しか知らない。)   (2017/10/22 23:42:03)

エルソフィ♀司書官――(そして、着替え終わった後のこと。)ええ、ピェリオさんに話しておきますから、どうか持っていてください。個人的な贈り物になってしまって恐縮ですが……勘です。<少女楽器>ではなく、アインさんなら、と。(引き留めた、冬湖色の瞳の少女。緊張を帯びたまま舞台袖で別れたきりの少女。大丈夫と言いくるめてその細い両腕に抱かせたのは、<少女楽器>の前で一度開けて中を見せた、小振りの楽器ケース。古ぼけたケースの中には、真新しいとは言えないが手入を絶やした形跡のない光沢を抱く金色の横笛があった。くるりと回して見れば天使の羽が薄く装飾彫されたそれ。最初に話を振ったときの反応を覚えている女は、しかし少女の答えを聞かずにやや強引に、しかし緩い力でその小さな身体を抱き寄せて囁いた。)……あの日、怖い思いをさせました。怖くなくなるまで、何度でも図書館に来ていいですから。(言って離して、見ていたのかは知れずのタイミングに現れたピェリオ・ピュリアから報酬の話を聞くと、首を横に振った。)   (2017/10/22 23:42:11)

エルソフィ♀司書官私は、ただの司書官です。自分から決めて携わらせていただいたまで。どうしてもというのなら、アインさんにお渡ししたものを、遠慮なく使うよう「御兄さん」からも話してあげてください。(そう言って、いつのまにか右腕に収まった黒本を抱きながら、左手を心臓に当てて会釈をした。)……今日は、貴重な経験を、本当にありがとうございました。(―――――そうして、数日後のロサール図書館上階。こんな会話があったそうだ。)「加減を間違えたにしては強く叩いていたけれど、どうしたのかしら?」 そんなに楽しい顔で問うくらいなら聞かないでください。 「そんな反応をすると分かっているから聞くのよ。舞台に立ったこと自体にも驚いているのに」 ……カラベラスさん。 「なあに?」 演技って、朗読よりずっと難しいです。 「……あら」 それだけです。よくあれを連日続けられるものだと―― 「あらあらあらあら」 これ以上は答えません。さあ、今日こそは執務に手をつけてください。(――そんな、日常欠片があったのだとか。)   (2017/10/22 23:42:17)

エルソフィ♀司書官【大変お待たせいたしました。やや強引になって恐縮ですが、私からもこれにて〆。幕閉じとさせていただきます。紡ぎ手も考えさせられる、大変感慨深い題目に参加させていただけて光栄の極みです。本当にありがとうございました。見守り続けてくださいました窓辺様にも感謝を。】   (2017/10/22 23:43:54)

ピェリオ♂役者【素敵な綴じを有難うございます。まさかの短針一巡り、昨日を合わせれば余裕で半日突破です、大変な長丁場にお付き合い頂き、有難うございました。勢いで振ったシナリオでしたが、大変素敵な形に仕上げて頂いてこちらも感無量です。かさねて本当に、有難うございます。窓辺様も、見守って頂いて有難うございました。】   (2017/10/22 23:47:00)

ピェリオ♂役者【それでは本当に一巡りする前に此方にて、今宵は失礼させて頂きます。どうかおつかれの出ませんように。おやすみなさいませ。良い夢を。】   (2017/10/22 23:48:16)

おしらせピェリオ♂役者さんが退室しました。  (2017/10/22 23:48:22)

エルソフィ♀司書官【こちらこそ、短針を平気で一周させる遅筆で(深々。いただいた時間に見合った紡ぎであれたなら幸いです。全国的に荒天が続くとのこと、皆様どうかご自愛くださいませ。それでは、お部屋これにて失礼いたします。ありがとうございました。どうかよい夢を。】   (2017/10/22 23:51:21)

おしらせエルソフィ♀司書官さんが退室しました。  (2017/10/22 23:51:27)

おしらせピェリオ♂役者さんが入室しました♪  (2017/10/28 22:47:26)

ピェリオ♂役者【こんばんは。今宵はソロルにてお邪魔します。こちら前回投下したロルの後日談的なものになります。今回も極めて自PCの個人的内容の為、此方のお部屋をお借りさせてください。】   (2017/10/28 22:48:04)

ピェリオ♂役者(雨が降っている。) ……―――― (10月に入って暫く続いた雨は、此処数日の水都の平均気温をすっかりと下げてしまっていた。陽が出れば好転するのだろうその記録がいっこうに変わらないことを、昨日立ち寄った市で誰かが感嘆混じりに告げていた。流石は、ドーガ<雨神>の月だと。)(……随分と湿気た面してるじゃないか。 「巣」の窓枠に背を預け、晴れない雲の夜雨空を見上げていた男に掛けられた声は、相変わらずぞんざいだった。男は振り返る。特に驚いた様子も無い、慣れた仕草で伸びをして。) ……、ン。嗚呼。お帰りィ。様子? べつにー。だぁれも、変わり無く。デージーはぁ? (花の名前で呼びかけられた桃色髪の女も、変わらない仕草で首を左右に振る。 アタシも何も。アンタは、珍しいね。先月の舞台が大成功で、もっと浮かれてると思ったのに。) は、何だっても。トラブって始まって、不幸中の幸いって言やンな手放しに喜べませンて。ふたりにァきっちりお説教もしたしね? (くっくと喉奥で笑って、ふと首を傾ける。何処からか楽器の音色がする。澄んだ高音。少しだけ遠慮がちで、それでも、美しい。) ……アインかなァ。   (2017/10/28 22:48:58)

ピェリオ♂役者(女は頷く。 だろうね。……貰った笛、随分と気に入っているようだよ。) そいつァ何より。頑張ってくれたし、まァ良いごほーびなンじゃない。 (……珍しかったね。アンタがあの場で舞台に立つなんて。) あン? そりゃオイラが引っ張って来た助っ人だし、別に可笑しくないでショ代打なンて。稽古はずっと参加してたし、こォ云う時も兼ねて台詞はどッちも入れてンだカラ。まァ付け焼刃にゃ変わり無いからその後との差異は否めないけどォ。ああでもあッちにゃ流石に吃驚だよネ。オイラぁ司書官じゃなくて何処の女優引っ張って来ちゃったのかと―― (きらいな台本だっただろう。) はあ? (あの物語。アンタは、……よく演れたもんだと。) それこそ愚問。オイラぁ役者だョ。何処まで演れるか、如何演れるかッて、其処にすきもきらいもないの。デージーだって良く云うじゃ無いの。 (……) それにィ、そンな事言ったら…… 公演、引き延ばしたかったみたいじゃなァイ? ……座長。 (暫くの沈黙が降った。雨音が止まない。川のものではない水の音と、風の音に混じって聴こえてくる楽器の音もまだ、止まない。) なンて。……良い音だね。   (2017/10/28 22:49:52)

ピェリオ♂役者(男がふいと視線を、話題を逸らした。窓の先に見える景色はくらく濁ったままの都の夜景で、耳に滑り込むのは雨音が運ぶ喧騒に、やわらかく、儚げなメロディライン。奏者の心を模したような、それは……) ……随分と馴染ンでる。ンとに良いもの、貰ったネェ。 (だからどうすればいいか困ってる。「次」に渡せばいいのかって。) ……いーンじゃない。オイラ何もしねェよ、渡したらたぶん余計面倒だしサ。あれがそォしたいなら持って行きゃァ良い。……そッから「先」は管轄外だね。 (……其れを気にしているんじゃないか。) そンな事言われてもね。オイラの仕事ぁ其処までなの。言った通り、無茶はさせて無い、無体もしてない。……アインだっていつまでも宙ぶらりんは可哀想でショ。ちゃンとしてあげないと…… それがあの子が望んで、そォ云う約束なンだカラ。  (……いつまで続ける気。) ……、ふは。どォしたのデージー。熱でもあるの。薬あるよ、イイ薬。ほら、貰ったやつ。 (女の言葉は雨音に濁って、男の声音にかき消された。人を食ったような笑い声。) あは。それで、怒ったの此間。オイラが、あの人連れて来た時。……それで殴ったの?   (2017/10/28 22:50:13)

ピェリオ♂役者(くっくく、と低い笑い声が響く。続けた靴音が響くならそれは女が男へ距離を詰めた音で、衣擦れの音はその男の胸倉を細くしかし荒れた手で女が掴み上げた音だ。) ……痛いよ。デージー。 (平坦な声だった。) アンタに決められる事じゃ無い。 (乾いた音は、男が女の手を払いのけた打音。) ……薬、飲む? 喉にイイって、アインにも良く効いたの見てたでショ。大人版。まあ、飲み過ぎると猫がマタタビ食ったみたいに酔っぱらっちまうだけみたいだけど。用法、用量にお気を付けってやつ。白湯に溶かして飲めばいい、って、……アンタは知ってるね? (言ったもんね、とは男の台詞で、其の儘窓枠から降り、近くの棚に歩いて底から褐色の小瓶を取り出した。かろン、と中身を振って見せて、) ……嗚呼、そっか。オイラ気づかなかったけど、こォ云うの悪用も出来ちゃうよね。ほら例えば、(例えば、本番を目前にした人間に、)狙った人間を酔い潰して(緊張ほぐしだよとほんの僅かの酒精にでも容量をまぎらせたら、)その後の予定を狂わせたい時(その薬は、あっという間に薬と言う名の――)……とか。 (雨が降る。異色虹彩の猫が笑う。) ……なー、んて。な。   (2017/10/28 22:50:28)

ピェリオ♂役者ごめんごめん揶揄い過ぎた。怒らないで拗ねないでデージー。オイラぁいつだっていつまでだって座長の敬虔なる道化師だよデージー。 (大仰すぎるその台詞を、ぱしんと座長の平手が遮った。無言で後頭部を叩かれた音だった。) いって。……ンじゃオイラも戻るネェ。後宜しく、薬は使ったら戻しといて、万一乱用されても困るし、ね。 (ぱちン、とウィンクひとつで歩き出す姿は、一度足を止める。) あ、あとアインに伝えといて。「雨の月があけたら、出発」。て。 (まるで明日の献立を告げる何気なさで放り込まれた台詞に、今度こそ女が目を瞠って振り向いた。 ……其れで良いの。) 良いのも何も。だから、オイラが決める事じゃ(<雨音>――は、其れで良いの。) ……それ、誰の名前。 (……) そいつは爺さんと一緒に、海向こうに居ンの。……じゃーね、デージー・イージー。愛すべく我らが座長殿に、良い夢と眠りを。 (……雨が、降る。そのもの月の名を表すように。そのもの全てを洗い流すように。)   (2017/10/28 22:52:48)

ピェリオ♂役者……ねェ、聴いてる。 (誰かの声がした。) 聴こえてる、 (暗い部屋で星も月も見え無い部屋で、) ……それでもドーガは、赦さないよ。 (雨と法と裁きの神の名を呼んだ。)   (2017/10/28 22:53:00)

ピェリオ♂役者【大変長くなりまして失礼いたしました。此方にて、お部屋お返しいたします。有難うございました。】   (2017/10/28 22:53:24)

おしらせピェリオ♂役者さんが退室しました。  (2017/10/28 22:53:27)

おしらせエルソフィ♀司書官さんが入室しました♪  (2017/10/29 16:43:28)

エルソフィ♀司書官【こんばんは、一つ置きに、お部屋しばしお借りいたします。】   (2017/10/29 16:43:53)

エルソフィ♀司書官――以上、報告を終わります。(ざあざあと、空から鈍色の糸をひっぱりおろしてきたような世界の中、叡智を収めし白亜の一室に二人。一人は黒本を片腕に抱いて直立し、一人はそれを見上げる形に大机の上に両手を組んだ上に顎を乗せている。)「とても興味深い内容ね。貴女、見越してわざわざあの爺のところへ連れて行ったの?」 いいえ、あの時は純粋に確実な薬師を選んだだけです。私が選択したのはその場であの薬を取り上げなかったことの一点。事実どれも用法にさえ気を付ければ良く効きますから。……上手いこと使ったなと思っただけです。本番前に揃って深酒する主役演者がどこにいますか。 「フフ、フ。最終真偽は血を抜いて調べないと分からないけれど、童話が土台とはいえあの台本といい、まるで予定調和。評議会の慌てようを貴女にも見せてあげたかったわ?」――……別に、喧嘩を売るつもりで立った舞台ではありません。ただ舞台が崩落してほしくないと思って行動しただけです。 「作意に気づいても?」 ……当人らから忠告を重ねて受けていますから、相応の覚悟は持っています。噛むつもりがなかったとはいえ、蛇に噛まれたあちらとてそれは同様でしょう。   (2017/10/29 16:45:26)

エルソフィ♀司書官(淡々と、事務的に綴られる声。くすくすと愉し気に響く艶やかな笑い声。)――「教会の鍵はまだ分かるとして、そんな曖昧な野良猫相手に笛を継がせたの?」 気に入りませんか? 「逆よ。それくらいの肝で継がせないと笛も報われないわ?鍵も同様よ」 それなら結構です。これで全品の処理が終了しました。あとは、彼女をかえせばいつでもお約束を果たせます。 「慌てないでちょうだい?一人かえす手間が省けた分、貴女には自由時間を漫喫する権利があるの。その間に気が変わるかもしれないでしょう?それを見届けるのも『叡智の番人』の務めよ」 ……変わってほしいのですか? 「変わりたい?」 ……――とにかく、彼に何も移っていないか確実な報告を持ち帰ることを最優先します。 「フフ、フフフ。いってらっしゃい、エルソフィ・エデット。良い一日を」 良い夜明けを――カラベラスさん。 (ガチャリ、硝子の大扉のノブが回る音。残された艶やかは絶えず笑む。) 「彼、ね……。本当に、面白い子」 (くすくすと、魔女の哄笑のような笑い声が、声高になった雨音に溶けた。)   (2017/10/29 16:45:31)

エルソフィ♀司書官(ざあざあと、空から鈍色の糸をひっぱりおろしてきたような世界。空に座しているのが陽か月かもわからない、曖昧な輪郭の時間を純白が行く。コツコツコツ――石畳を鳴らす規則正しい歩。)……自由時間、か。(歩が止まったのは、雨が流れ続ける水都のどこか。)……。……聴こえて、いますよ。(とつり、呟いたのは、何を聞いてか。鈍色を見上げて一人言葉を声に綴る。)――この旋律が、聴こえていますか?……お父様。   (2017/10/29 16:45:36)

エルソフィ♀司書官【以上にて。お部屋ありがとうございました。】   (2017/10/29 16:45:43)

おしらせエルソフィ♀司書官さんが退室しました。  (2017/10/29 16:45:46)

おしらせエルソフィ♀司書官さんが入室しました♪  (2017/12/27 21:57:10)

エルソフィ♀司書官【こんばんは、今宵待ち合わせにてお部屋をお借りいたします。】   (2017/12/27 21:57:41)

おしらせピェリオ♂役者さんが入室しました♪  (2017/12/27 21:58:52)

ピェリオ♂役者【こんばんは。お待たせいたしました。少しの間お部屋お借りいたします。 エルソフィさん、改めまして本日はありがとうございます、よろしくお願い致します。】   (2017/12/27 21:59:36)

エルソフィ♀司書官【ピェリオさん、こんばんは。夜分遅くからの開幕ですのにご一緒をありがとうございます。どうか良き紡ぎとなりますよう。場面は自由が利くように設定していますので、描写や移動等、お好みに彩っていただければと思います。(あ、目蓋等、本当にご無理なく。)】   (2017/12/27 22:01:13)

ピェリオ♂役者【了解しました。どうぞ、瞼や時間都合はおたがいさまに、何かありましたらいつでも仰ってください。宜しくお願いします。】   (2017/12/27 22:02:54)

エルソフィ♀司書官(風と自由と音楽の神レイが降りたとされる寒空の夜。月星の煌めきはまるで歌のように下界の心を引きつけ、太陽が地平線に沈むやいなや、水都のあちこちで大小規模さまざまに楽器が奏でられ、歌声が響く。寒空の下でも、広場や噴水を魔導灯を水都の有志が集めてひときわ明るくした会場にて、酒精で温まった人々が陽気に歌い踊る。せせらぎの音がやや遠くなるくらいに。寒さがもたらす悲哀を消し飛ばすように。)……。(この屋内も、そういった開かれた場所の一つ。とある貴族が所有する邸宅の一つ。舞踏会好きで上流階級をもてなすために広いダンスホールを持っていることは貴人らで有名な話。今宵のように、家主が気紛れを起こして招待状の面倒を省いて、誰しも着飾って歌い踊りにくればと良いとその門を広く開いた。ここぞと頑張って着飾って緊張気味にパートナーの腕にしがみつく町娘もいれば、奏者に名乗りを上げる者、慣れた足取りに優雅な挨拶を振り撒きながら談笑する婦人たちもいる。屋内は橙色の魔導灯が、ガラスの装飾傘の内側からぽうっと光の粒子を不規則に落とす。中庭では青色の光が同じように。太陽と月が同時に地上に恩恵もたらすような、そんな空間。)   (2017/12/27 22:03:22)

エルソフィ♀司書官――「あら、もったいない」 いいのです。嫌なら次は踊れる人を付き人にしてください。 ――「フフフ、踊らないと踊れるようになれないわよ?」(橙色の光がまばゆい屋内。響くのは弦を擦る音と笛の重奏。上機嫌な一人は、褐色肌と濃紫と金花をあしらったドレスへ結った金髪をたらした妖艶なエルフ。もう一人は、それにそっけなく答える黒長髪。背の高いエルフの影になるように、光に埋もれるように、連れとは対照的。薄紫の薄生地を幾重にもふわりと重ねた上に星と金花飾を控え目にあしらった、穏やかかつ軽やかな裾広がりを見せるドレスだった。その右腕には、場違いなほどに目立つ、分厚い黒本。)――「だから、それは没収」 何を馬鹿な……! ――「フフフ、私の目が届くうちは、必要ないでしょう?もう挨拶は私一人で十分よ、好きに過ごしなさい」 だからって、カラベラスさん……! ――「まあ、ジェラル卿ご機嫌よう」 ……。(黒髪は、盛大な溜息一つ。音もなく姿を消された黒本。空っぽの右腕。)   (2017/12/27 22:05:46)

エルソフィ♀司書官……どうしろと。(恨めし気に呟いて、人を縫いながら連れに背を向けるほうへと歩を進めた。聞こえる上品な談笑や音色には、ちらとも振り返らず。規則正しくない歩は、普段より踵の高い靴で人を避けているからか、それとも――いつもかけている眼鏡がないからか。)   (2017/12/27 22:05:53)

ピェリオ♂役者(それは、気まぐれな神が降って遣わせたような夜だった。寂寥と厳格の地表にほんのひとしずく、星の煌きを落としたら瞬く間に弾けてあちらこちらで火花が上がる。人々の心に咲いた束の間の熱に、唄に。浮かされたような、夜闇すら淡く滲んで見える夜だった。) …―――。 (暫し、男は壁に凭れてその様子を眺めていた。同じ年頃の男女も、それより年嵩もひょっとしたら自分より若い勢も見える。言葉と歌と、偶に一夜の情の破片が交錯するような様を、壁紙すら豪奢に配色されたような広間の隅で、束の間黙して眺めていた。気を遣ったのか、邸の使用人が飲み物を提げて声を掛ける。片手で制して一言二言交わすと、相手は何やら納得したように、また少し緊張が解けたように笑みひとつ置いて歩いて行った。その後ろ姿を何ともなく視線で追いかけて、……何かを見つけてふと逸れた。) ……、 (呼吸ひとつ、ふたっつ。長らくやる気の無さそうに凭れていた背を、壁から起こす。男物にしては珍しい、細く高いヒールのブーツで歩き出しても、不思議と足音は立たなかった。)   (2017/12/27 22:41:30)

ピェリオ♂役者……もし、御嬢さん。 (第一声は、繕ったように低い。紳士然とも聞こえようか――何も知らなければ。) 失礼、御嬢さん。些かお足元が優れないようにお見受けしましたが、何処か、体調でも。 (するりと横合いから声を掛けたならそのまま、白い手袋を嵌めた片手を差し出した。何処か不安定なその歩みに、手を伸べるように。) それとも、何方かお探しでしょうか? 御美しい、御嬢さん。 (唇を吊って広げた笑みは柔らかい。細めた眸は左目――橙に嵌め込んだ片眼鏡の為に、然程差異の無い色彩に見えるか。細身の黒いボトム、白いシャツに重ねたジャケットは、刺繍を施した銀星色。目立つ銀髪は、高い位置で一つに括って流していた。何処でもいる、何でも無い男のように―――しゃあしゃあと其処まで言い切っては、人好きのする笑みを浮かべて見せる。これで全くの初対面ならば、只の世話焼きな青年とも思って貰えるかもしれない。) 何か、私でお役に立てる事が御座いましたら。 (……ええ、全く何も、知らなければ。)   (2017/12/27 22:44:38)

エルソフィ♀司書官 (この会場でいわゆる紳士的な声音所作というのは風景に近いくらい溢れかえっていた。飲み物を振る舞う使用人にしても、自分を含めた今宵の来客らにしても。つい先ほどまで連れに付き添って挨拶を繰り返していれば、一人で歩く間に一つ二つ丁寧に声をかけてもらうことにも、一昨年で慣れたつもりでいた。だから、今年も去年のように礼を欠くことも連れに恥じをかかせることなく、流暢かつ丁寧に気遣いへの感謝と遠慮を述べるはずの口が、さてどこで止まったのだった、か。いかんせん今宵は、――ないから。)……驚きました。今宵は門戸を広く開いているとはいえ……(レンズが歪めない紫眼は、それはそれは不思議そうに、眼前をゆっくりと何かを確かめるようなまばたきまじりに声を繋いだ。)こんばんは、ピェリオさん。足元は、お気になさらず。借り物の服が身体になじまないだけです。(一息に言って、吐息一つ。そこから、さて重奏を耳遠くに沈黙をいくつ見守ってもらえたことか。)   (2017/12/27 22:59:49)

エルソフィ♀司書官探す……そうですね……(空っぽの右手に視線を落としたまま。)……暇潰し、は、確かに探していました。人ではないのですが――(溜息もう一つ。話題を切るようにかぶりをふって、見上げた。)……お仕事ですか?(今宵は奏者も名乗りを上げれば舞踏会に花を添える権利が与えられるから。腕さえよければ。)   (2017/12/27 23:00:00)

ピェリオ♂役者(さて、驚いたと言えば微かに目を瞠った様な男も又、何処か驚いたような面差しをしていただろう。自分から気取って声を掛けた癖に、だ。まるで、素直に驚かれた事が想定外とでも言いたそうな――) ……実は。お陰様で先日より、銀の毛並みは何かと評判が良いのです。恐らくは、フィーネの舞台が衆目を集めたのでしょう。素晴らしい御助力のお陰で、良い初演も迎えられましたし、あれで一部の貴族様方の御目にも留まったようです。 (……言いたそうな、何かをするりと飲み込んで代わりにぺらぺらと紡ぎ出したいつも通りの流暢な言の葉。ここまで、少しだけ内緒話めいてトーンを落とした後で、) ――こんばんは、エデット嬢。体調が悪いので無ければ何より。それから……驚いたのは此方の台詞です。実に御美しい。いえ、解り切っていた事ではありますが。貴女に御逢い出来るとは、レイの思し召しなのでしょうね。 (いつも通りに笑って見せた。) ええ、仕事です。正確には、仕事でした。役目はもう、終わったのですが…… (つと、ホールの隅にしつらえられた楽団用の席を見る。入れ替わり立ち代わり、この水都より招かれた一座や楽団の音色が、今も。)   (2017/12/27 23:15:10)

ピェリオ♂役者……本日の雇い主は随分鷹揚でいらっしゃる。仕事が終われば、好きに居て構わないとのお言葉でありましたので、さて何か今後の参考になればと伺っていた処だったのですが……、 (軽く肩を竦めてみせる。おどけた仕草。内側に、少し居た堪れないと空気を孕んで。) ……仕事中で無ければ、貴女にお役には立てるのでしょうか? (繰り返す。いつものような、まるでいつもと違う装いの儘、この会場に溶けるような、薄い笑み浮かべた儘。)   (2017/12/27 23:16:37)

エルソフィ♀司書官……ああ、先程の……(入れ替わる楽団席を見遣る視線は、どこか遠い。)……楽団席までは目が届いていませんでした。たしか、二曲前は舞曲でしたね。(言って、改めて今宵の「衣装」をゆっくりと視線でなぞって、片眼鏡で視線が止まった。)フィーネ……そうでしたか。あの後の公演も観に行ったのですが、その節は台本外れでご迷惑を。(空っぽの右腕はだらりと下がったまま、左手がいつものように心臓に当てられて――それだけ。)大勢の目に留まるようになったのなら、何よりです。ここの主は、水都の内外や貴賤にあまりこだわらない方ですから、よかったです、入る機会に恵まれて。……、ええ、本当に、やることをやればあとは好きにしていいという自由な夜会ですので、私も時間の過ごし方を迷っていました。本を借りて客室に籠ってやりすごしてもいいといえばいいのですが……そう、ですね……(どこか澱んだ口調に、吐息一つ。)   (2017/12/27 23:34:53)

エルソフィ♀司書官――その、お言葉は嬉しいのですが、あまり褒めないでください。着せられた借り物、ですから。(逃げるように視線を横に逸らした。そのまま――)慣れない服ではありますが、この館には慣れています。何か、見たいものや、ご挨拶したい方がいらっしゃれば、ご案内も、取次もします。二階のテラスも、解放されていますから、室内が眩しいのなら、そこでも。(そのまま、息継ぎが上手くいかない調子に、溜息のような吐息。始まる次の舞曲の始まりをはぐらかすような。時間を言葉で埋めつくそうと、掻き集めるような。)   (2017/12/27 23:35:24)

ピェリオ♂役者(気づいているだろうか。) いえ、いえ。今宵は沢山の奏者も演者もまねかれているようですから、お気に止めて頂けていただけでも、幸いと云うものです。 (煌びやかな音色、煌びやかな館。夜空の星屑を集めて地上に巻き落としたような、水の都の光の集約。その最中。) ご謙遜を。そもそも、急な事でご迷惑をお掛けしてしまったのはこちらです。それにあの初演が無ければ、続く舞台も今の評価も有り得なかったのです。銀猫一同、貴女には感謝が尽きないのですよ。 (男の口調はなだらかで滑らかだ。向ける視線も真っ直ぐだ。真っ直ぐ――) ……どのようであっても、貴女が御美しい事には変わりませんので。 (逸れる視線の行く先は追い掛けなかった。柔和に笑んだまま、ドレスに掛かる黒い髪を見つめるように目線を落としたまま。) ……ふ、ふ。エスコートを願いましたのは、私なのに。 (喉奥で微かに笑った、声を覆いきれないまま。) ……、では。叶うのでしたら、ひとつ。 (笑んだ時に口許覆った指先をそのまま、彼女の前で人差し指立てて差し出した。) 恥ずかしながら。先刻より喧騒で、音が拾いづらく難儀をしていた処なのです。   (2017/12/27 23:54:30)

ピェリオ♂役者幾らか静かに、叶うのでしたら座って居られる場所がありましたら。 (ただ静かに、笑むような音は変えないままに。男の眸、硝子を嵌めたその奥がときおり、ひそりひたりと、星を取り零しあかりを失くした深い夜のように昏く冷たく映るのを、) ……ご案内、ねがえますか。 (どれほど、気づいているだろうか。)   (2017/12/27 23:55:13)

エルソフィ♀司書官(……さ、あ。なにを?いいえ、なにも。だって、今宵は――ないから。)どうあっても美しくあれるのなら、女としてこれほど幸せなこともないのでしょうね。(視線が戻らないまま、視界の端に動く指先を留めながら、一つ二つ、黙した。三拍子の軽快な舞曲が滑り出し、降り注ぐ灯へと躍り出る男女の輪郭にちらと視線で追って、また、片方だけがレンズに化粧された双眼を見つめた。ただただまっすぐ。細くも黒い縁という輪郭を失くしている目は、あどけなく見えたのか、あるいは――。)……雨の心配もないでしょうし、テラスへ行きましょう。中庭も、少し先の街並みも綺麗に見えますから。(そうして、ようやく、差し出された手に、左手を軽く乗せた。)   (2017/12/28 00:20:52)

エルソフィ♀司書官毛足の長い絨毯張りの階段は、足の感覚が狂いやすいので、踵、お気をつけて。(軽く乗せたまま握ることはせず、そのまま滑り落ちたかは、さて。先導するように人を避けながら飾り彫りの手すりが緩い螺旋を描く階段へと歩を進めた。規則正しくない、細い歩。階段を上り切ったのなら、二階は談笑の声もあれど、賑やかには遠い。舞踏疲れや舞踏を上から眺めたいといった客人らが頬杖ついて見守る、通りやすい廊下。そのまま抜けたのなら、視線の先には大きなガラス戸と、その向こうにある小さなテーブルと椅子を留めただろう。)   (2017/12/28 00:20:59)

ピェリオ♂役者ああ、本気にしていらっしゃらない。私の日ごろの行いでしょうか、口惜しい。 (軽口のように返すのならば、大仰模り天を仰いだ。…装飾塗れの、艶やかな<星空>。) ……、 (視線が交錯した数拍、変わらない「穏やかさ」で笑んだまま、) ……貴女のお身体が冷えないようでしたら、是非。 (差し出した手のひら、預けられた細い白い左手を、ためらいもなく緩く支えて、歩き出す。) ええ。嬢こそ、慣れない御召し物では不自由でしょう。私の我儘ですから、どうぞごゆっくり。 (ごく軽く、けれど滑り落ちない強さのそれは果たして拘束と呼べるかもわからない。エスコートでも、掴むでも、繋ぐと呼ぶのも何処か足りない、弱く細い糸をからめたようなまま。) …―――ああ。良い処ですね。 (硝子の向こうに見晴るかせる、夜の景色。夜陰に埋もれるようなテーブルと椅子に目を留めて、ひとつ頷いた後で戸を自ら押し開けた。) ……流石に室内よりは暗いですから、お足元、お気をつけて。   (2017/12/28 00:46:57)

ピェリオ♂役者(ふわり交ざる夜気に、こわねのトーン幾らか潜ませて。滑り込ませたふたりぶん、後ろ手に硝子造りの戸を閉める。閉めてしまっても、全く音が遮断された訳では無いけれど、…何処か遠い。) ……助かりました。なかなかどう、馴染んでいいものか掴みあぐねておりましたの、で。   (2017/12/28 00:48:13)

エルソフィ♀司書官一応、本心なのですけれど。(口惜しそうなのかそうでないのか曖昧へ、そんなぽつりと落とした言葉が、あった。その言葉の行く末を振り返って追わなかったのは、視線が、落ちていたから。歩き慣れない足元を気を付けていただけかもしれない。ゆっくりだが、階段を踏みしめる歩はとても静かだったから。とても。そんな、少しずつ光まばゆいホールに背を向けてある最中、手に覚えた緩い緩い感触には……一度だけ、ゆっくりとまばたきをおとした。)外が暗いというより、ここが眩しいのです。お気遣いを感謝します。(カチャリと音立てて簡単に外れる鍵。開け放った戸は魔導灯よりもなお眩く煌めく星の群と共に風が撫でて「ようこそ」と出迎えた。坂の上にあるこの館。眼下から少しだけ遠くへ視線をやれば、もう少し遠くの営みが見えたことだろう。)――(吐息一つ。)――ええ、昼に見ても綺麗な場所です。身分ある方々との接し方は、慣れればどうということはないのですが……そうですね、私も助かりました。今年はダンスを断って逃げ回らずに済みそうです。(ひんやりとした空気に、ほんの少しだけ白を帯びた吐息。)……仕事でなければ、こうも静かなのですね。(とつり。)   (2017/12/28 01:01:46)

ピェリオ♂役者そうですか。 (何処か掴み処のない、……雲を踏んでいるようなこわねに、短く笑って応えた。) いいえ。差し出がましい言葉で無ければ、何よりです。 (外の空気は確かに冷えたものであったけれど、室内の熱気にまかれていた所為か、それ程寒いとも感じられなかった。吐いた息が、淡く緩やかに染まる程度。すぐに霧散して見えなくなる軌跡を、何ともなしに視線で追って、) ……うん? (一拍空けて、振り向いた。瞠る眸が苦笑いに変わって。うつろいだ視線が見つけた椅子を片手で引いた。無言のうちに勧めながら。) いつも余計な事ばかり申し上げて、叱られてしまいますので。口騒がしい方が、お好みですか? (椅子の背を引いた姿勢。屈めた視線、低い位置から相手の面差し悪戯気に伺う、双眸がふと緩む。) それとも、貴女につられたのかもしれません。……今宵は随分、大人しいのですね? ……お疲れですか?   (2017/12/28 01:16:11)

エルソフィ♀司書官 ああ、いえ、ピェリオさんだけのことではないのです。(息が足りなかったような吐息を一つ。言葉選びに困ったとでもいうように、眉を軽く寄せた。そこに覗き込むような眼。ゆっくりと目を見開いた。問われれば、今度こそ少し困ったように首を傾いだ。)何をそんなに気にされているのかは知りませんが、平易な口調でいいのです。……前にも、言いましたよ。どちらも、どれも好きです。(真っ直ぐに言った。言って、またすぐに視線が逃げかけて、やっぱり戻って来た。)私に合わせさせてしまったのなら今すぐホールにお連れしたいです。疲れてはいません。ただ……(引かれたままの椅子を見ながら、とつり。)……どうしていいのか、これでいて戸惑っています。今日は、見ての通り、借り物以外、何もないので。(いつもの本も、いつものレンズも。ああ、そういえば、手袋も。)いつも、どうやってホールで壁の花になるか考える間に、時間が過ぎていますし……ここで知人に会う事も、ないと思っていましたから、ですから、……(一拍。)……見つけてもらうとは思っていなかったのです。   (2017/12/28 01:32:10)

ピェリオ♂役者、そうですか。 (何処か、同じ文言を繰り返した。少しだけ静かに、少しだけ、笑みが混じり、損ねたような。) 私も、貴女を気にしていると云うより、この場の空気に慣れない――のかも、しれません。……失礼な話かもしれませんが。何分、貴族様方の御縁とは、普段遠くにありますので。表だって引っ張り出された舞台に、未熟にも困惑しているのだと思います。<道化師>ながら、お恥ずかしい。 (なんて、とは、何処か似て見えるかもしれない理由、口にした。真っ直ぐ向いた視線、一拍空けて夜陰へ流れる。星を数えるように仰いで、うつろう。) ……私が、ただ便乗させて頂いてしまっているだけです。それで貴女を見つけられたのだとしたら――ご迷惑でしょうが、私にとっては幸運以外の何物でもありません。 (うたうような声音が、視線とともに戻ってくる。) 口調の事も、前に申し上げた通りです。……「どれ」が型と言う訳でも、無いのです。貴女と告げる言葉は、こちらが気楽なだけで。ですから、そのようなお言葉も、勿体ない幸いです。   (2017/12/28 01:55:40)

ピェリオ♂役者……ですが、何も無いと言うのは、少々危ういかも知れません。見つかってしまったら、捕まってしまうかもしれませんから。 (笑みと吐いた息が染まる、霧散しきる前に、まだ糸にからげたままのような左手を引いた。自分が引いた椅子を抜け、テーブルの並びを抜けて。広い庭園を見渡せる、飾り細工の手すりの方へ。) ……ね。 (静かに。)   (2017/12/28 01:56:22)

エルソフィ♀司書官確かに、私も最初はそれこそ台詞をなぞるような挨拶しかできませんでした。住む世界が違う人と割り切れば、いくらかは楽になります。(道化師ながら、という言葉に、小さく力抜けたような吐息が零れた。続く言葉のさてどこに、紫眼が大きく見開かれたのか、星の瞬きを見上げる男は気づいていただろうか。)……楽なら、何も澱まずに言葉が繋がるのなら、それが一番光栄です。(その声音は、ようやく強張りから少しだけ抜け出たような静けさだった。手をそのままに引かれれば、一歩、二歩、引かれた椅子やテーブルを抜けてもなお止まらぬ歩に、ふと、テーブルを振り向きかけた頃には、随分と遠くへ歩いたような錯覚を覚えるころには、『――つかまってしまうかもしれませんから、ね』)   (2017/12/28 02:11:24)

エルソフィ♀司書官……、捕まって困るのは、帰らないといけない場所に帰りたいときだと思うのです。(星群と踊る風が一陣、気ままに黒髪を揺らした。だらりと下がったままの右腕は、手すりをつかまないまま、ただ一歩、遠くの――地上に降ったような青や赤や橙の灯たちへ一歩。)ですから、再三に渡って、貴方がたの忠告をすり抜けてしまう。それでもなおそれを幸運と言ってくださるのなら……(夜星を、遠い空を見上げた。)……私は嬉しいです。(静かに。)   (2017/12/28 02:11:30)

ピェリオ♂役者成程。参考にさせて頂きます。今後――が、ありましたら。 (わずかにおどけた口調をにじませて、高いヒールを履きながら滅多な靴音を響かせない足取りが夜を踏むようにテーブルや椅子の合間を擦り抜ける。ふわり引いた手の、内側の熱は知らない。薄い手袋は、意外とからげた先の温度はつたえないから。ただ、緩慢に引くのを、拒まれるまでやめない。) ……ええ、 (さて、彼女が何を見て何を思ったのかは男は知らない。代わりに男が、一瞬言葉をとぎらせた理由は、さて――) ……それでも貴女は、捨てないのでしょう。 (うれしいと呼んだ人と、からげた手に力を込めた。引き寄せる? ――いいえ。) ……かえれなくても、すてられないのでしょう。 (笑うような声だった。) ……そう云えば、いつかは断られましたね。 (直前の言葉など無かったもののように、唐突にそう告げるなら。力を――ごく軽く込めたままの手を、引き寄せるでもなく、そのまま腕でゆるやかに半円を描いた。手すりに背を預け、彼女に自分の腕が描いた軌道そのままたどらせるように。)   (2017/12/28 02:31:59)

ピェリオ♂役者……少しは踊れるように、なりましたか? (閉ざされた扉は、音を完全に断ち切ってはいない。スロートーンの舞曲は静謐の中だからこそ小さくとも途絶えずに聴こえた。ガラス扉一枚隔たれたところでステップを踏むくらい、出来る程度には。)   (2017/12/28 02:32:14)

エルソフィ♀司書官(最初に手を触れられた夜は、凍てつく温度で拒んだのに。次に手を伸ばした夜は、凍てつくような容赦のなさに諫められたのに。今宵は、今宵は――――。)……捨てたらどうなるのだろうとは、あれから考えるようには、なったのですよ。分からないから、知りたいと思っただけで。どれだけ分かっても、知っても、どのみちワタシのかえる場所は――(言葉が、途切れた。)――え、(何を断った、と、かろうじて耳が拾った唐突な言葉と自分の記録と符合させる間、重心がずれた。眩暈を起こしたように視界が揺れて、咄嗟にバランスと取ろうとした音は、細い踵がテラスの石床を鳴らした音だった。カッ、コッ――危うい音。何が起きたのか視界と思考が繋がりかけたところに、繋ぐ問い。)――、(今度こそ、無防備にまばたきをした。驚いたように。まったくもって予想しなかった言葉を聞いたように。だから、答えは決して即答ではなかった。そっと響く音色に背押されて、一つ飲みこみかけて、言葉は紡がれる。)   (2017/12/28 02:51:00)

エルソフィ♀司書官……いいえ、踊れないのです。(それが定型句である。)ただ、貴方くらいの身のこなしなら、足を踏まれる前によけてくれるかもしれないとは……思いました。(俯いたそのコトバは、規則正しい言葉を並べる頁のどの定型句にも――なかった。)   (2017/12/28 02:51:07)

ピェリオ♂役者…―――――、 (黙したまま、男はそのきゃしゃな手を引いた。かわいそうに絡めとられてしまったような細い手を緩やかに、こわれものでも扱うようにそっと、すぐにでも振りほどけるような柔い力で。ヒールが不規則に石床を叩くならもう片手を伸ばした。掬い取るよう、あるいは攫うように、淡い色のドレスの背へ回る。触れるか、そんな位置。) ……私もそれ程得手ではありません。身軽さだけは――貴女のお墨付きも頂けるようですが。 (くっくと面白そうに笑って、抱いたからだごと緩く反転した。踊ると云うより、もしかしたら遠くかすかな音楽に合わせて引っ張っているような、引きまわしているような、そんな形に見えるのかもしれない。ただ、此処は内側よりずっと昏いから――人の目もずっとずっと、遠い。) 練習しましょう。もしかしたら、これで多少は逃げ回らずに、済むかもしれません。 (しましょう、なんて誘いの文句の形だけ取って、足取りは止まる気が到底無かった。広い場所を回って、何を器用にテーブルの間を擦り抜けて。一度背から手を離して、また引いて寄せた。きっとどの譜面にも載らない、意地悪な円舞曲。)   (2017/12/28 03:08:08)

エルソフィ♀司書官――!(今度こそ、息を飲む細い声を上げた。やっと、今夜も今夜とて「捕まった」と認識した頃には、視界が、色彩が、軌跡が。捕まったというには、あまりにも緩すぎる拘束。だらりと下がった右腕は沈黙したまま。重心維持に必要な部位が沈黙し続けてもなお、身体は傾いて、踏まれてくれないと分かっていても近くに気配を感じれば歪にたたらを踏んで、バランスが整ったと安堵した次の拍にはまた崩れて――そう、踊るというより、踊らされているというより、ただただ、振り回されている。結局いつものように。眼前がどう思っているかは知らねど。)練習もなにも、ですから「踊れない」と……!踊れないといけない理由も、逃げ回っても私は別に……!(結局いつものように、抗議が抗議にならないのだけれど。拒絶は呆気なく成立するくせに。ほらね、そんなことを言っているうちに、またたたらを踏まされる。逃げればいいのに。ああ、下を向いたら余計に踊れなくなると言ったのは誰だったか――顔が、何かを必死に探すように上がったまま。)   (2017/12/28 03:30:09)

エルソフィ♀司書官本当に、本当に、私は、ワタシは――(一拍ずれて、二拍空欄、三拍目で、おやぴったり。音を運ぶ風はそんなことを思っていた。)踊れ、な……、っ!ピェリオさん、よけ――(忘れられたように動かない右腕が、分厚い本を抱くか日常の決まった所作でしか動くところを見なかった、その右腕が、)――っ!(右腕が、まったくもって品も風情も旋律もない荒い軌跡に眼前の上腕を掴んだ。そうして己を支えないと右足で踏みとどまって、踏みそうと思った左足の着地を後ろにずらせなかったから。ただ、それは風からすると、右足を軸にして絡まったままの左手が次のターンへ相手を誘う所作に繋がっただけ。)だめですこれはやっぱり危ないです……!(懇願にも拒絶にも指摘にも程遠い、強いて言うならば……ひたすら、意地悪に戸惑う声音。)   (2017/12/28 03:30:16)

2017年10月22日 14時59分 ~ 2017年12月28日 03時30分 の過去ログ
【F系】水都ロサール【多目的】
現在のルーム
過去ログ一覧
▲このページの先頭に戻る


[保護された通信(SSL https)を利用する]

クッキーの使用について | 広告掲載募集

(C)2009-2024 チャット ルブル <info@chat.luvul.net>