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「星屑の街」の過去ログ

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2021年01月06日 20時54分 ~ 2021年04月21日 09時38分 の過去ログ
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おしらせ新規ルームを作成完了しました。(Android 60.130.***.214)  (2021/1/6 20:54:10)

おしらせさんが入室しました♪  (2021/1/6 20:54:47)

──────────────────────────   (2021/1/6 20:55:05)

 (──人は本当に悲しい時、涙が出ない事を知った。交わす言葉もないままに、去り行く背中に伸ばした手は宙を切り、重なっていたはずの二人の世界が断絶された夜。あんなに好きだった香水も、毎晩使っていたお揃いのカップも、初めての記念日に貰ったネックレスも、彼に関する全ての物を処分した。ひとつの袋に纏めたソレを見ても視界がぼやける事はなく、あるのは心に穴が空いたような虚無感だけ。それでも何事もなかったかのように街に溶け込み、一人きりになった事以外変わらない日常を過ごすのは、思ったよりも容易だった。そして、やけに広く感じる狭いワンルームにも慣れ、寝返りが打ちやすくなったベッドで眠る事が出来るようになった頃──霧雨の交差点で見つけた、あの日届かなかった過去の記憶。信号待ちの雑踏の群れから覗く背中との距離は約数メートル程。ほんの一歩足を踏み出し、腕を伸ばせば触れる事が出来る距離か)    (2021/1/6 20:55:41)

(見慣れていたはずの横顔を見た刹那、脳裏にあの夜の光景が蘇り、心臓が鈍く痛み始め。息を止めて耐えてみるも、さすがに次第に呼吸が苦しくなって。仕方なく酸素を取り込もうと薄く唇を開けば、今まで抑え込んでいた何かが溢れ落ちそうになる感覚に襲われた。間違って発してしまうと、ここ数ヵ月間で築き上げた物が、音を立てて崩れ落ちていく気がして、咄嗟に唇をきつく噛み締める。その内に車道側の信号が黄から赤に変わり、合わせて歩道の信号も青になったのを合図に、群衆は緩やかに前へと進み出す。今どうするべきなのか、判断を下すまで残された時間は残り僅か。考えれば考える程、楽しかった日々が駆け巡り、無意識の内に一歩踏み出し、もう一度触れたいと伸ばした腕。あの夜引き留められなかった背中まで数十cmの距離になった時、彼の隣に誰かがいた事に気付いた──自分とは正反対の大人の魅力溢れる女性を気にかける表情も、笑った時に出来る目尻の皺も。何一つ変わらないのに、何一つ同じではない。一気に心が疲弊して動けなくなれば、邪険そうな眼差しを向ける群衆に追い越され、今さら必死に腕を伸ばしたとて、もう彼らには届かない)   (2021/1/6 20:56:05)

さよなら、私の大好きだった人(小さく呟いた音は街の喧騒に掻き消され、誰に届く事なく雨と同じく地面へ落ちていき。雑踏の波に踏みつけられ、気に留められる事もなく、救われる事のない言葉と自分は何処か似ている。そう実感すれば、不意に温かな一筋の雫が溢れた。あれほど辛かった別れの日も、数時間かけて連絡先を消したあの夜も出なかったのに、このタイミングで次々と頬を濡らす今更すぎる涙が可笑しくて。渇いた笑いを浮かべながら、此方へと移動してくる訝しげな顔をする人波に飲まれるように歩き出そうか。この先には最近見つけたお気に入りの店がある。だから、あんな奴の為に泣いてやるのは、この横断歩道を渡り終えるまで。これからはもう思い出してもやらない。心の中で強く宣言した表情は憑き物が取れたように清々しく、見上げた空に架かる厚い灰雲の切れ間には、眩しい程の光が射し込んで。キラキラと瞬くその光があんまりにも綺麗で、また目頭が熱くなった──そんな雨日の色褪せぬ記憶)    (2021/1/6 20:56:28)

─────────────────────────   (2021/1/6 20:56:37)

天気予報のお姉さんの口から告げられる最高気温に、恐れおののく初夏の日。軽くジャブを打ち始めた太陽熱から逃れるべく、アイスやお菓子、ジュースを買い込んで籠る自室はまるで我が城。そんな一国の主の傍らには、何故か同じく我が物顔で居座るもう一人。扇風機から吹くそよ風で前髪を飛ばし、流行りの漫画を読み漁る腐れ縁な幼馴染みと、会話も少なめに堕落した昼下がりに飽き始めた頃、突如叫んだ声が流れる生温い空気を切り裂いた)──第一回チキチキ!この一瞬に命をかけろ、ぶりっ子写真撮り対決ー!(我ながらびしっと決まった台詞に自然と口角は上がり、得意気な表情で隣人を見れば、驚きよりも諦観が色濃く映る瞳。長い付き合い上、こういった場面に多々出くわしているはず。そのため反応はやや薄味か。それでも読みかけのページに栞的なものを挟み、「…で?」と短く返された言葉は、承諾の意味として受け取った。何事にも興味を示さないような冷淡な見た目に反して、意外とノリが良い事は既に熟知済みだ)   (2021/1/6 20:57:00)

はい、ルール説明ね。この何の変哲もないノーマルカメラで、いかに可愛い写真が撮れるかを競います。加工アプリは使用禁止!優勝者には、そうだなー…下の冷凍庫から好きなアイス取ってきてもらえる権利を授与しまーす(どんどんぱふぱふな効果音を付け、たった今思い付いた取り決めを口にしながら、自分のスマホを取り出して。互いに撮り合う形でも良かったが、より一層羞恥心を煽る為に敢えてインカメラを起動させた。こういう勝負は何事も後攻に限る。自然な振る舞いで彼に端末を差し出すも、此方の思惑がバレているのか「こういうのは言い出した方からやるのが普通だろ?」と言いたげな、顔の圧が凄いのなんの。その視線に押され、画面には自分の顔とそこに当て嵌められた四角い顔認証のマークが印され、もう覚悟を決めるしかない)……わ、やっぱむり。これどちゃくそ恥ずかしいやつじゃん!(早々に無理だと判断すれば隣の観客も巻き込んで、目の前のテーブルに置いた画面には二つの四角。そして、有無を言わさずシャッターを切ると、表示されたタイマーの数字が減っていく───3...2..1.)   (2021/1/6 20:57:21)

ひっ、えっぐ。おなかいたい、もうこれ優勝じゃん。どっちも優勝だよっ(機械音と共に切り取られた写真に、夏蝉よりも煩くお腹を抱えて笑い出す二人。お世辞にも可愛いとは到底言えない映り方は、もはや芸術レベル。もう一度取り直しても良かったが、これ以上を越える傑作が産み出される可能性はほぼゼロで。その事をお互い察したのか、何も言い出さなかったのは不幸中の幸いだった。笑いすぎて汗ばんだ肌にそよぐ、扇風機の風量「強」の夏風がなんとも心地良く。同時におふざけに付き合ってくれた悪友に、感謝の気持ちを込めて立ち上がれば、勝者への褒美を取りに行こうか。階段を降りる背中に投げられた「ちゃんと消しとけよ」の言葉は、もちろん聞こえない振り。冷凍庫を開けた先に彼の好みに合うアイスはあったっけ?なんて事を呑気に考えながら、保存のボタンをタップした。ちゃっかり待ち受けにまで設定した画像を見て、もう何度目かも分からない笑い声が二階まで響く──今年の夏はこのお陰でしばらく笑って過ごせそうだ。ひんやりとしたアイス片手に、そう強く思った初夏の入口)    (2021/1/6 20:57:49)

─────────────────────────   (2021/1/6 20:57:58)

 (昼過ぎから降り出した雨は時間が経過する毎に量を増やし、図書館の窓を叩く雨粒もだいぶ強くなり始めた夜。不意に外の暗がりに一筋の稲妻が走り、その十数秒後に轟く雷の音で眠り姫は目を覚ます。ぼやけた視界に広げられたままの教科書とノート、乱雑に投げられた筆記具を捉えれば、回らない頭でここに来た理由を思い出して。間近に迫った期末テストの勉強をするぞ!と、珍しく意気揚々と机に向かったは良いものの、普段から養われていない集中力が発揮されるはずもなく。開始数十分でこの有り様である。まあ、今はそんな事は置いておき、当面の問題はバケツを引っくり返した勢いで降り続けるアレについて)あー、やっぱ電車止まってるのか。これは困った…(スマホ画面をタップする指先が示す「帰宅方法消滅のお知らせ」に深い溜め息を吐くも、紡ぐ言葉に焦りの色は少なめで。睡眠後の小腹を満たすために鞄から取り出した飴玉ひとつを口に運ぶと、呑気にイベント中のソシャゲでも始めようか)    (2021/1/6 20:58:20)

 (最近のソシャゲのほとんどはフルオート化が進み、ひとつボタンをタップするだけで、後は画面を見守っておくだけで良いところが好きだった。その空いた暇な待ち時間に、ふと視界の端に入った広げっぱなしの数学の教科書に載っている小問のひとつでも解いてみよう、と思い立ったのは本当に気まぐれ。完全にだらけて机に突っ伏していた姿勢を正し、背筋を伸ばして女子高生らしいキャラクター物のシャーペンを握り締めれば、目の前の数式に立ち向かう)……ひとつも分かんないのやばくね。本当にこれ習った?もしかして試験範囲外のやつかな?(授業中のなけなしの記憶を辿ってみるも、解説にある公式さえも覚えておらず、その変わりに残っているのは担当教師のスベり散らしたおやじギャグぐらいで。苦手強化に関しては毎回ほぼ赤点ギリギリだが、今回ばかりは過去最低ラインを越えてしまうかもしれない。そう確信めいたものをにわかに感じてしまえば、舌の上で転がす甘い苺味も今は無味に思えた)    (2021/1/6 20:58:38)

(本日二回目の深い溜め息を盛大につき、握ったシャーペンをノート上に投げると、パイプ椅子の鈍い音を鳴らしながら背凭れに身体を預けて。期末テストの心配をしたのはほんの一瞬、生まれつきの楽天家は難しい事を考えるのを放棄した。小さくなった飴玉を噛み砕き、着々と周回をこなしていく画面中の彼らにエールを送りつつ、重心を後ろにずらして椅子の前足を浮かせる遊びにでも興じよう。窓硝子を打つ雨音は相変わらずだが、それ以外の音がないこの空間は何処か居心地が良く。この世界に自分ひとりしかいない感傷に浸っていれば、同じく本日二回目の稲妻が光った。思わず大きな音と共に椅子を床に不時着させれば、意外と近くに落ちたであろう轟音に肩をびくつかせて)…やばいのはテストよりも、今日の寝床かもしれない。今のうちに探しておこう(電車も止まっている上にこの雷となると、帰宅は思った以上に困難だろう。もう此処で朝を迎えるしかない!その強い意志のままに立ち上がった足は、出来るだけ快適な寝床を求めて、館内を彷徨い出しそうか──その姿を見た目の悪い誰かが「雨の日の夜には図書館を徘徊する女の幽霊が出る」と噂を広めたのは、また別のお話で)    (2021/1/6 20:58:55)

─────────────────────────   (2021/1/6 20:59:04)

 ──いやいや、突然何してくれてんの!(頭上の高い位置に昇る太陽と、嗅ぎ慣れない塩素の香りが流れる場所で、突如悲鳴にも似た声が木霊する。重たく広がるスカートと肌に張り付くシャツの感覚、さらに頬を伝う水滴に、今の状況を理解するまでにかかった時間は十数秒。嗚呼、こ い つ に 落 と さ れ た の か。目の前で大爆笑する犯人に向けた叫びは水音に消え、苦虫を潰したような薄ら笑いを浮かべながら、掴むのは、もちろんひとつしかなくて。そのまま此方へと思いきり引き摺りこめば、脱力した身体は大きな水飛沫を上げた。日光を反射して光る水面には無数の輪が広がっては消え、灼熱の世界に踊る涼に感慨深さを感じてしまう程。そこに割って入る低い声がなければ、最高なのだが)   (2021/1/6 20:59:34)

あのさ、我が家に古くから代々伝わる家訓が何か知ってる?「目には目を、歯には歯を。因果応報気を付けて」(先程までは完全に上だった立場が、一気に同等まで落ちてしまった絶望顔に、完全にふざけた言葉を返してやったつもりが、それなら仕方ないと妙に納得したご様子で。柔らかい笑みを浮かべながら、濡れ落ちた前髪を掻き上げる仕草に、少しだけ胸がくすぐったかったのは言ってやらない、まだまだ秘密。そんなところも腹立たしいから、両掌で掬った水爆弾を顔面に向かって投げつけてやろうか。水も滴る良い男だろ?なんて決めた台詞には聞こえない振りをして、もし誰かに見つかって生活指導の鬼教師に咎められる可能性や、着替えやこれからの授業等の心配事は考えずに。今は二人で遊んで、げらげら馬鹿みたいに笑いながら、この季節にしか味わえない冷たい温度に浸っておこう。今年の夏はまだ始まったばかりなのだから──)     (2021/1/6 20:59:52)

─────────────────────────   (2021/1/6 20:59:59)

(二階の窓から見える雲の切れ間は橙に色付き始め、管楽器の音色が遠く響く放課後の教室。そこには桃色の可愛らしい小箱を両手で握りしめ、顔を机に突っ伏したまま項垂れる友人の姿。その頭を撫で始めてから、どれくらいの時間が経っただろう。まったく復活する様子のない黒髪を指先で弄び、無造作に編み込んで遊ぶのにも飽きてきた頃)…あのさー、チョコ渡せなかったくらいで、いつまでこうしてるつもり?(傷跡に塩を塗るかのような、これだけ落ち込んでいる原因を見事に突いた言葉に、むくりと起き上がる彼女。示された反応に、ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、西日を受けて染まる表情は不機嫌そのもの。あー、これは時間がかかるやつだ、と確信すれば、足元へ投げていた鞄へと手を伸ばして。今日のためにと小分けで包んだ友達に配る用の小袋を、お詫びの印に献上することにしよう。中身は以前美味しいと言ってくれた、手作りガトーショコラ。口を結んだリボンを外し、粉砂糖で綺麗に雪化粧をしたひとくちを、おこ真っ最中な彼女の口許へと)     (2021/1/6 21:00:20)

毎回付き合わされる、可哀想な私の身にもなって欲しいんデスケド(お菓子賄賂は大成功なようで、口の端に付いた雪を指先で拭ってやりながら、溜め息混じりに告げたお小言は効果なし。さらには「なんで瑠花に彼氏出来ないのか不思議だよ。私が男の子だったら、絶対に瑠花と付き合いたいのになぁ」とまで放つ始末である。毎度のように聞く台詞には、「うるせええええ!」と乱れた髪をさらに乱してやるのがお約束。そんなとりとめのないやりとりをしていると、不意に机上に置いたスマホが震えた。グループラインの通知画面には、彼女の想い人がまだ校内にいるとの友人Aからの密告。その一言で急に立ち上がった彼女から向けられる視線に、笑顔で大きく頷くと、行ってこい!の合図になるだろう)…あ、そうだこれ。似合うと思って買ってきた。少し早めの誕生日プレゼント(思い出したように彼女の腕に付けたのは、星モチーフの石が光る金装身具。突然のことに驚いた表情から一変し、満面の笑みを浮かべながら、走り出す姿はまさに恋する乙女。その背中に声援を送り、小さく手を振る自分は、きっと乙女の恋を応援する良き友人ポジションか)   (2021/1/6 21:00:39)

(ひとり取り残された教室に音はなく、今まで彼女がいた机へと同じように顔を突っ伏して。そのまま瞳を閉じたのは、これからどれだけ時間を共にしても、決して自分には向けられることのない、あの恋する乙女の笑顔が眩しすぎたから。ではなく、ただ傾きかけた西日が眩しかったせい)……私が男の子だったら、か…(ぽつりと溢した言葉がひどく鼓膜にこびりつき、目をそらしたい現実が突き付けられるようで胸が痛む。いつの頃からか、密かに胸に秘め続けるこの想いを告げるのは、ただの自己満足に過ぎないと知った。その時にぎこちなく微笑む顔なんて見たくないし、二人の間に距離が出来てしまうのは確実だろう。ならばこのまま、良き友人のままでずっと傍にいたい、何度でも頭を撫でて励ましてあげたい──今日いちばんの深い溜め息を吐き出し、次第に夜闇が広がり始めた空を見上げ、薄く開いた唇が刻む四文字。今にも泣き出しそうな掠れた弱々しいその音は、誰の元にも届かずに、冷たい二月の夜風に消えゆく運命なのだろうか。正解なんてない問いを抱え、すがるように見つめる手首を飾る金装身具。お揃いの星に願うのは想い人の幸せか、それとも──)    (2021/1/6 21:01:00)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:01:06)

(見上げる木々の枝先も桃色から新緑に変わり、降り注ぐ光に殺人的な暑さの矛先が見え隠れする大型連休の後半戦。休暇中に見事なまでに乱れきった生活を過ごしていたにも関わらず、今朝に限っては驚くほど早くに目覚めてしまった。理由はただひとつ──昨晩不意に届いたお誘いの連絡のせい。自室の姿見鏡前で何度繰り返したか分からない、ひとりファッションショーを無事終了させれば、普段より少し高めの踵で出掛けよう。春色チュールスカートの裾が歩く度にふわり揺れ、刻む靴音は陽気なワルツでも奏でてみたり。街中のショーウィンドーに映る姿を横目で確認しながら、これからの事を期待する気持ちと比例した軽快な足が止まるのは、待ち合わせ場所の本屋前。どうやら約束時刻よりもだいぶ早めに着いてしまったらしい。このまま出入りの激しい此処に佇むのも気が引けるし、楽しみすぎて待ってました!感が、どことなく相手に伝わりそうで腹立たしい限りである)    (2021/1/6 21:01:25)

(他の場所で時間を潰すことも頭によぎったが、なんせ大型連休ど真ん中。どこもかしこも賑わう人波に再び飲まれる気にはなれず、足はそのまま入ってすぐのファッション雑誌の棚前へ。爽やかな色合いの夏色ネイルを施した指先で、手近にあった雑誌をぱらぱらと捲っていきながらも、意識が自動ドアの先に向かってしまう。どれだけ普段通りを装っていても、ほんの僅かでも君の姿が見えれば、ちぎれんばかりに見えない尻尾を振り回してしまう自分が、安易に想像できるのが悔しい、悔しすぎる。そんな気持ちを紛らわすために一息つき、手首を彩る華奢な金時計を確認して。長針が頂上を指すのはまだまだ先。ならば、まだ焦るような時間じゃない。自己暗示をかけながら、視線は手元の雑誌へと戻った。それからしばらく流行りのメイク特集や、便利な着回し特集を頭に叩き込み、最後にある今月の運勢を確認しているところで、ふと頭上から降ってきた上擦った声──「おねーさんひとり?良かったらデートしない?」)   (2021/1/6 21:01:47)

 (馴れ馴れしい台詞な割りに不似合いな声色に、何事だと顔をあげれば、そこに立っていたのは君だった。普段なら口にしないような歯の浮く言葉に、堪えきれずに吹き出してしまうのは、仕方のないことだろう。それに釣られて、目元を下げて可笑しそうに笑う表情に、煩く鳴り響く鼓動)……仕方ないから、デートしてあげましょう。でも、楽しくなかったすぐ帰っちゃうかもよ(その音に気付かれそうな距離感に一歩後退さりしながらも、続けるのはお誘いへのお返事。おふざけにはおふざけを、その精神に則って紡いだ言葉は、果たして君の笑いを誘えるか。心置きない君だから、連休中にわざわざお洒落をして会っているんだ。そんなことを微塵にも知らないで、「任せろ!」なんて言う自信ありげな顔に軽くデコピンを入れたなら、雑誌を置いていざ出発。目指す場所はどこであれ、ふたり一緒ならそれだけで──いや、訂正)    (2021/1/6 21:02:07)

あ、ピンクレモネード買いに行ってもいい?(何の脈絡もなく突如口にした謎アイテム。否、これを持っていれば恋愛運が絶好調らしい、今月のラッキーアイテム。事の真相は告げずに、頭上に見事な?を浮かべる袖を引っ張ろうとして手を止めた。触れたい気持ちと勇気がせめぎ合う中で、今はまだ同じ歩幅で隣を歩こう。君が言葉よりも、ずっと響くはじまりの音色に気付きますように──)   (2021/1/6 21:02:27)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:02:34)

(島国を横断していった強風も去り、空に抜けるような蒼が戻ってきたとある秋晴れのとある日。時折吹き付ける悪戯な風のよって瞳が乾燥し、瞬きをした瞬間無慈悲に溢れ落ちたのは度入りの色付きレンズ。一度水分をなくしたそれを再び目の中へ入れることは不可能だった。普より一回り小さくなった猫目で、視界がぼやける生活を余儀なくされて数時間ほどが経ち、なんとか無事にお昼休みまで漕ぎ着けたところ。午前中ずっと皺を寄せていた眉間を労りつつ、昼食を求めて購買へ行こうとした時に己の肩を叩くひとつの影)──おっ、貸してくれるの?本当に助かる!って、パシらせるんかーい(ふざけたやり取りを繰り広げ、受け取ったのは友人の眼鏡。道中での危険を回避するために貸すから、その変わりに自分にも飲み物を買ってこいとのこと。そんな条件にもイエスと答えるしか選択肢はなく、灰桃色と共にモダンを耳にかけてみれば、その先に広がるのは鮮明で彩りに富んだ世界。これなら「ガン飛ばしてんじゃねーぞ」と絡まれることなく、人気の菓子パン…と献上品を買って来れそうだ。その確信を胸に強く抱き、いってきますの敬礼をした足は目的地へと駆けていく)    (2021/1/6 21:02:58)

  (午前中に溜まったもやもやを帳消しにするかのように、鮮明な世界を手に入れた少女は水を得た魚そのもの。窓の奥に流れる葉先から色が変わり始めた木々を横目に、途中で見かけた生活指導の姿には加速度の付いた走りを緩めて。生クリームとカスタードがたっぷり入ったパンまであと少し、そう拳を軽く握り締めた瞬間あれほど快調だった足取りはぴたりと止まり、窓下の死角へと身を潜めた)──はぁ、っ(打ち付ける心拍と短く吐く息はここまで走ってきた疲労感からではなく、流れる景色の中に仲睦まじく寄り添うふたつの背中を見つけたから。緩く結われた艶のある知らない黒髪と見慣れた琥珀色。見間違う筈もない後ろ姿に一気に身体が重くなり、酸素不足で指先が痺れてくるのが分かった。胸を抉られてひりひるする感覚と同時に、無意識の内にレンズの上には雫が浮かぶ。こんなことならば、ずっとぼやけた不鮮明な世界で良かった。何も見えない方が良かった。後悔の中で全てを投げ出し不明瞭へと落ちていき、膝を抱えて俯く頬には一筋の痕。次に顔を合わせる時ちゃんと笑えるように、今だけはこのままで。閉ざした心には昼休みの喧騒がやけに遠く感じた──)    (2021/1/6 21:03:24)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:03:32)

(女の子のスカートを巻き上げる悪戯な風も、夜になると冷たさが増す頃。季節が巻き戻ってしまったような肌寒い日は、湯船の温もりが恋しくなってしまうもの。存分に温もった身体を冷やす前に帰路に着こうとしたところ、メッシュ素材のポーチに入ったお風呂セットの中身がすべて揃っていないことに気付いて。高い位置で纏めた黒髪の毛束を反転させれば、頭上の煌めきの下、湯気立ち上る場所へと舞い戻り。湿度の高い先へと続く扉を開ければ、そこに広がるのは何とも言えない光景だった)──う、うん。これはなんということでしょう(湯船に浮かぶ一面の黄色の正体を理解するまで、表情を固まらせながらしばしの沈黙。それからやっとのことで絞り出した言葉は、ぷかぷか揺れる彼等に。そしてこんな魔境に迷い込んでしまった自分に向けて。ひとまずジャージの裾を膝まで捲り上げ、軽く腕捲りをすれば、境界線になる扉の先へも進軍できるだろう。濡れたタイル床を数歩進み、逃げ出した一羽をそっと手に取ると、その愛らしいお顔とご対面。黒目がちな真ん丸な瞳と、いい具合に付き出された真っ赤な唇。さらには頭にはハンチング帽。とぅんく、完全に胸が射止めた瞬間だった)     (2021/1/6 21:03:53)

こ、ここは天国だ。私がもっと君たちを可愛くしてあげるからね!(魔境ならぬ天界に舞い降りた幸運に感謝しつつ、別格なその子を大理石調の湯船の縁に乗せてやり。沸き上がる謎の使命感と共に軽く拳を握れば、一旦湯煙の中から撤退して、脱衣所に何か良いなものがないかと捜索開始。やはりお盛んな学園というだけあって、そういった類いのものがわんさかと出てくるわけで。その中からひとつの入浴剤を拝借し、再び戻った戦場の湯の先へ投入すると、みるみるうちにとろみ始める液体。そんな湯船を前にして、不敵な笑みを浮かべる少女の手には「とろとろバスローション」の桃色文字が踊る空袋が握られていた)──これは大正解。可愛いは正義!(黄色のラバー素材にとろみが垂れる、なんともそそる見た目になった小鳥たち。その麗しいお姿を全方向から撮影をしたくなる気持ちを抑えきれるはずもなく、ジャージのポケットから取り出した便利な高性能小型カメラ付き端末で、高画質にこの天国を切り取っていく。様々な構図で何度も切られるシャッターと、風呂場に反響する機械音)    (2021/1/6 21:04:15)

 (端から見れば自分が確実に怪しい人物だと気付いた頃には、フォルダの半数が黄色で埋め尽くされていた。さすがにそれだけの量を撮れると満足して、お気に入りの一枚を待ち受けに設定すれば、次の作業に取りかかろうか)──さて、どの子がいちばん末っ子かな?(その言葉通りに探し出すのは、とろける海を遊泳する中で一番小さな小鳥。指差し確認しながら見つけ出したその子を掬い上げ、湯船の端へと置いて。そして次のサイズ感の兄弟を確保しては、先程の子の前に並べていく。その作業を何度繰り返しただろう、あっという間に大理石調の上には、規則正しく整列した黄色の列が出来上がっていた。しかしその縁だけでは飽き足りず、途中で蛇行させながら伸びた行列は、脱衣場へと繋がる硝子戸付近まで続いて。その並びの先頭に一番大きな子を並べれば、その姿はまるで母親と子供たち。ほのぼのニュースなんかで見る、カルガモの親子そのもの)    (2021/1/6 21:04:48)

なんと素晴らしいものを造り出してしまったのだ、自分の力が恐ろしい(そんな拗らせた言葉が出てきてしまうほどの出来映えに、再びシャッター音と写真が呼応する。ローション化してしまった湯のせいで、滑りやすくなってしまった床については、きっと掃除のおばちゃんがなんとかしてくれるはず。もしくは、不純異性交遊のスパイスとして使ってくださいということで。最後に忘れ物とちゃっかり別格な愛し子は回収して、便乗おふざけに幕を下ろそうか。楽しいことを誰かと共有できたことに、胸をはずませながら帰る夜道で小さく漏れ出たくしゃみは、煌めきの散らばった空へと吸い込まれていった──)    (2021/1/6 21:05:08)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:05:15)

 (締め切ったカーテンの隙間から射し込む光がきつく握り締めたシーツに伸び、まだ至るところで部活に励む生徒達の声がする頃。その声に少女の押し殺した矯声とベッドの軋む音が交われば、非日常な空間での行為は熱を上げ。数時間前に祝われたコサージュの付いたセーラー服は捲り上げられ、短いプリーツスカートは本来の意味を無くし、もはや欲情を掻き立てる要素のひとつに成り果てていた。彼と密かに身体を重ねる行為はもう数えきれないほど。それ故、気持良いところは全て見抜かれていた。一番好きな体位で後ろから突かれる度に首元を飾る装飾具が揺れ、平均的より少し大きな胸も同じ軌道を辿る。与えられる快楽にぞくぞくと背が震え、咥えた指の隙間から甘い声が漏れるのを我慢できるはずもなくて。そんな余裕がない事を知りながらも、さらに激しさを増す彼は本当に意地悪だ。だから、彼との行為は止められない)    (2021/1/6 21:05:39)

 っ、はあ…せんせ。もう、無理です…っ、 もうやだぁ(甘い声を上げながら首を左右に振って限界を告げれば、拒む言葉と反比例して行為は終焉に向けて激化する。耐えきれずに沈んでいた上半身を持ち上げらたと思えば、そのまま両腕を後ろに引っ張られ、より深いところを抉るような腰に身体は跳ねて。極薄の避妊具越しに吐き出された感覚が、いやにはっきりと分かった。──行為の余韻に浸るのもそこそこに、身支度を整えていく姿を眺めるのは慣れたもの。その姿に飽きたのか、視線は枕元に投げられた卒業祝いの花束に向けられていた。窓から射し込む細い光を受け、それはきらきらと眩しいくらいに輝いているはずなのに、何故かそれだけモノクロで。その理由は分かっている、今日が全ての最後の日だから。女子高生の私はいなくなり、それと同様に「教師」という役柄がなくなった貴方は、私にとって無価値なものになってしまった)   (2021/1/6 21:05:55)

(「教師と生徒」という甘美な響きに恋焦がれ、人目を忍んで校内で行為に及ぶ。そんな麻薬的なことを一度知ってしまえば、ずるずると深みに嵌まっていき、気付いた時にはもう引き返せないところまで来ていた。しかしその関係も卒業と同時に終わる……いや、終わらせるのだ。私が好きだったのは貴方じゃない、教師とイケナイことをする自分自身だったのだから) …それじゃ、残りのお仕事も頑張ってください。また連絡します(何事もなかったかのように立ち去る背中に、いつも通りの言葉で見送って。これが最後だなんて気付かせないくらいに、普段と変わらない表情でにこやかに微笑みを浮かべていたはず。夢を見せるなら最後まで、自分なりの優しさをこれまでの感謝に変えて貴方に)     (2021/1/6 21:06:12)

さようなら、お元気で…(放課後の音が大きく耳に残る空間の中で、整えた制服のポケットからスマホを取り出せば、慣れた手付きで画面上で指を滑らせて、何も躊躇することなく連絡先を消した。貰ったピンクゴールドの華奢はネックレスも首元から外し、口が縛られた極薄と同じごみ箱に言えなかった言葉と共に捨ててしまおう。これで長いようで短かった高校生活に思い残すことはない、はず)──今日はおめでたい日なんだから。悲しむことなんて何もないわ(紡いだ言葉通り、後悔や悲観的なことなんて一切ない顔で、閉ざしていたカーテンに手をかけて。勢い良く開けば、そこには目を開けておけないほどに明るい世界が待っていた。そして、思い出したように枕元からモノクロの花束を引っ張って来て、綺麗に束ねられていたものをばらし。自らの門出を祝うかのように、そのまま頭上へと投げ上げてみた。ひらひらと降る花弁は色鮮やかなものへと変わり、その眩しさに耐えきれずに閉じた瞼の裏には、いつまでも──の姿が残っていた)    (2021/1/6 21:06:30)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:06:36)

 (蒼の部分を一切見せない曇天から落ちる雫が、穏やかな季節の訪れを伝える桃色の蕾を揺らし、その変わりに色とりどりの傘の華が咲くお天気の日。気圧の変化で鈍く痛む頭を抱えながら、恨めしそうに視線を向ける窓の外は、気分の乗らない自身のように大荒れで。諦めにも似た深い溜め息をひとつ漏らし、保健室に鎮痛剤を貰いに行こうと重い腰を上げたのは、時計の針が一番上で綺麗に重なりそうな頃。引きずるように教室から抜け出した歩みは、ふと木目調の壁が目を引く部屋の前で止まった。廊下側にある窓から見える室内に、優雅にソファで寛ぐ友人の姿があったから) ──せっかくお一人で黄昏ていらっしゃるのに、お邪魔するのは悪いでしょうか?(儚げな雰囲気を纏いながら頭上の窓を見上げる横顔を隠れて覗いていると、眉間に寄っていた皺が伸びて無意識のうちに表情が緩み、さらには頭を悩ませていた種も何となく和らいだ気がした。それから少女が遠慮なく黄昏に突撃したのか、はたまたその様子を盗撮して後日からかいの材料にしたのか。その答えは窓の外の雨風が弱まった後、蒼い空が見え始めた頃にわかるだろう)    (2021/1/6 21:07:02)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:07:10)

 (今年も残すところ数日になり、年末のどこか忙しない雰囲気の街に流れ。それと真逆の落胆した溜め息を溢しつつ、長期休みを迎えて閑散とした仕事場へと赴いたのは数時間前のこと。校舎の最上階の角に位置する音楽室の隣に設けられた準備室で、パソコンとにらめっこをしながら今年の最後の仕事納めに励む。しかし、その集中が切れるのも時間の問題。自分を奮い立たせるために、ポケットのスマホに繋がったイヤフォンで聞いていた、お気に入りバンドのアルバムも全て終わり。事前にコンビニで買い込んだ、少しお高めのカカオ72%の相棒も残りわずか。ここは一旦仕事を断念して休憩を挟むのが賢明だと思えば、深くて長い息を吐き。飲みかけの珈琲が入ったマグを片手に、動く度に鈍く軋む椅子から腰を上げると、そのまま鉛色の冬空が広がる窓際へ)    (2021/1/6 21:07:27)

(生徒たちに会わない休暇中は、比較的にラフな格好で仕事をすることが多く。もちろん今日もその通り。さらには今日はコンタクトを入れるのさえ面倒で、完全に自宅用の細めの黒い縁眼鏡で出勤である。きっとこんな姿を見られたら、生徒からの好感度はだだ下がりだろうが、会わないなら何も問題はないと高を括っていた。どうやらその読みは当たっていたようで、見下ろすグランドには部活生の姿はまでなく。聞いていた音楽もタイミングよく途切れ、急に静まり返る空間。それはまるで無音な校内にたった一人取り残されたような感覚だった)……本当にひとりぼっちになっちゃったのかな、わたし(外の外気を伝える冷たい窓硝子にそっと指先を乗せ、うわ言のように呟いて。──その瞬間に頭を浮かんだのは、どこか悲しげで儚げな少年の顔)    (2021/1/6 21:07:50)

(大切なものをなくし、すべてを諦めたような感情のままこれからをひとりで歩いていくのは、あまりにも辛すぎた。だから、自分を偽り、思いを偽り。もう何が本当なのか分からなくなっていた時、その闇に差し込んだ一筋の光。決して手を伸ばしてはいけない光。だけど、今だけは偽りのない思いにすがらせて欲しい。たとえ短い時間制限付きの願いだとしても。そんな答えの出ないぐるぐるする思考の中で、いつの間にかかけていたレンズは曇り。もう役割を持たない眼鏡を外せば、そのまま左手を頭上へと伸ばす。コンタクトも眼鏡もない瞳の先にあるのは、はっきりとしない視界の中でぼやける指輪だけ。存在さえ不確かな指輪を見上げ、再びメロディ紡ぐ。その声には彼女の思いを乗せて)──あなたの名前を呼んでいいかな。   (2021/1/6 21:08:19)

──────────────────────────   (2021/1/6 21:08:26)

 (室外器からの熱風と夏雲浮かぶ青い空が交わる頃、ベランダの空きスペースに敷いた可愛らしいレジャーシートの上、少女がひとり。冷蔵庫にある物を簡単に調理して、適当に詰めただけの気まぐれ弁当片手に、優雅なランチを取る予定だった、のに…。その期待はいとも簡単に打ち砕かれた。思いの外、今日は太陽が元気すぎて、背中や額はうっすらと汗ばむ程。部屋着のTシャツの首元をはためかせながら空気の通り道を作ってみるも、そこを流れる温度も高い為、あまり効果的ではないようで) あ゛あ゛あ゛ー、あっつい!(これまた同じく汗をかいたグラスの麦茶を一気飲みした後に、心の底から絞り出した言葉の重みは凄まじく、どうして折角の休日にこんな苦行を強いられているのか、言葉巧みに魔法少女の契約を結ばせるインキュベーターでも「訳が分からないよ」と言うだろう。そんな中では最善の解決策など思い浮かばず、暑さに耐えつつ箸を進めよう──それからきちんとテーブルにお弁当を置き、昼のバラエティー番組を見ながら食べる昼飯が至極なのだと気付くのは、もう少し先の事。飲み干したグラスの氷が落ちる音と共に、見上げる夏空は憎いくらいに美しかった)    (2021/1/6 21:09:01)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:09:08)

 (服の皺も気にする余裕もないままに、ベッドへ潜り込み、頭まで布団を被ったなら、抱き締めたクッションに思いきり顔をうずめた。閉じる瞼に映る姿は遠い過去の記憶──驚く程に物騒なクリスマスソングを笑いながら歌った事も、君を思って紡いだ言葉も、最後に交わした守れなかった約束も。無償の愛を受け取っておきながら、繋いだ手を離してしまった自分は、悪魔なのかもしれない。それでも、違う姿で再び戻って来てくれた事が、純粋に嬉しかった。違う誰かに向けられた言葉の端に感じる「らしさ」に少しだけ擽ったさを感じつつ、決して交わらない世界線から見守っておこうと決めた。貴方の中で辛い思い出になっているであろう自分の存在を、全て消し去って欲しいとまで思っていたはずなのに。昔と同じ三文字を見ただけで心臓が掴まれ、鈍く痛むと同時に、それは見たくなかったと思ってしまうのは、私の我が儘だろうか)   (2021/1/6 21:09:30)

…うん、ただの我が儘だよな。知ってる(自問自答で導いた解答に乾いた笑みが漏れ、こうやってどうこう言える立場ではないし、こんな風に思ってしまうのさえ烏滸がましい。それほど犯してしまった罪は重いのだ。全ては自分が招いた結末。もう何も考えたくない、見たくない。さよならさえ言えていない気持ちを抱いて、また深い渦に飲み込まれていく少女は意識さえも手放した──)    (2021/1/6 21:09:49)

──────────────────────────   (2021/1/6 21:09:57)

 (金木犀の香りが鼻を掠める季節になれば、街の至るところに見慣れた文字が踊り始める時期がやってくる。それは己のバイト先も例外ではなく、モール内にあるほとんどの店は集客を見込んでフェアを行い、全ての装飾がハロウィーン仕様に変更済み。そんな労働環境の中、ディスタンス完全無視な社員から半ば強引に「手空いてるならやっといて」と、バイト4.5人でイベントスペースの設営を任されたのは数時間前の事。完全に面倒事を押し付けられた哀れな犠牲者達は、溜め息と悪態を溢しながら、昨年の資料片手に設営を進めていき──その努力の甲斐もあり出来上がったのは、橙と黒の水玉柄やストライプ柄のガーランドが波打って垂れ下がり、バルーン製のHAPPY HALLOWEENの文字が目を引く入口。その先の色とりどりの丸風船が並ぶ開けた場所左側は、全店共通で行われるスタンプラリーの景品受け渡し場所になっており、反対側はジャックオランタンや黒猫、魔女といった定番のキャラ達で装飾した壁面と、120cm程の大きなキャラクター調のかぼちゃとおばけのエアディスプレイが目を引く、映え写真が撮れるスポットを作り上げた)   (2021/1/6 21:10:46)

これだけ作れば完了っすよね。じゃ、お疲れ様っした(見るからに昨年よりも完成度の高い出来映えに気分が良くなったのか、ポケットから取り出したスマホで記念に一枚写真に残して。タイミングを見計らったかのように現れた社員への挨拶もそこそこに。足早に撤退したのは、また余計な仕事を押し付けられない為。──帰宅後、撮った写真と「良かったら、見に来てください」と一言付きでSNSに呟けば、少し位は今日の重労働が報われるだろうか。そんな事を考えながら、風呂上がりに期間限定の甘味を味わう秋の長夜)   (2021/1/6 21:11:04)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:11:11)

(きっと仕方のない事なのだ。もう幾度目かも分からない、派手に飛び散る血飛沫と脈打つ度に激しく痛む腹部。勢い良く地面に倒れ込んだ身体は鉛のように重く、喉が潰れたように呼吸が苦しい。次第に霞んでいく視界の先に映るのは、突風に吹かれて散る桃色の花弁と、愛おしくてたまらない君の笑顔──「あらら、また失敗したんですか。可哀想な人」静止した世界に投げ出された思考に割り込む声は、いつも曇りひとつなく鮮明だ。そんな憐れみの滲む声に腹が立たなくなったのは、六回目辺りからだったか。何度も何度も繰り返される人生の結末、愛する人に殺されるという呪縛から抜け出せない男を同情するな、と言うのが無理な話。死に戻りという漫画やアニメでよくある展開が、まさか自分の身に降り掛かるとは生前思いもしなかった。しかし、実際にやってみるとなんて事はない。全身を眩しい光に包まれた後に瞼を開ければ、そこに見慣れた風景が広がるだけだ)   (2021/1/6 21:12:44)

(厚手の上着がいらない程に頬を撫でる春風は穏やかで、君が好きだと言っていた学園内の桜並木を訪れる日は、決まって雲ひとつない青空だった。新学年になり、同じクラスになった事を喜ぶ彼女の姿は、何度見ても変わらずに愛らしい。あと数歩歩けば小石で転びそうになり、初めて会ったあの日と同じあどけない笑みを見せてくれるはず。その笑顔に恋をして、誰よりも愛情と時間を費やした、のに──汚れのない無垢なその手を握るのは、どうして僕じゃないの? すれ違う人々の目も憚らず、じゃれ合うように歩く二人への憂さ晴らしに、まだ蕾が開いたばかりの桃色の枝を無意味にへし折り、勢い良く道端へ投げ捨てた。この調子じゃ、きっと今回も僕はn回目の結末を迎える事になるだろう。だけど、正直そんな事はもうどうだって良い)   (2021/1/6 21:13:05)

さて、前回は恋人同然の幼馴染みの悪い噂を流して、彼女が落ち込んだところに付け入って、最終的に無理矢理犯したけど。次はどんな作戦でいこうかな…?(未だ記憶に新しい快楽を思い出すのと同時に、脳裏に浮かぶのは傷付き壊れた彼女の姿。大好きな君を何度泣かせても、心の底から憎まれても、僕の存在が君の中に残るのなら、それだけで僕の勝ち。君の人生の中で忘れられない男が僕なんて、最高すぎるじゃないか。こんなににやつく顔を見られたら、あの憐れんだ声でまた「可哀想な人」なんて言われるかもしれない。あの声に何度失敗したと言われても、これまでの僕の死は全て成功なんだ──最後の瞬間に見せるあの笑顔を思い出しただけで、鳥肌が立つ程に震える心臓が煩くて堪らない。だが今はまだ幸せそうな二つの背中を、遠くから眺めるだけで留めておくから。だから、その無垢な手で早く僕を殺してくれないか──)    (2021/1/6 21:13:28)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:15:10)

 (女の子には幼い頃から好きなものだけを仕舞い込んでいる宝箱が、誰しもひとつはあるらしい──それはここにいる女の子も例外ではないようで。それでも年を重ねるにつれて、いつの間にかその存在さえ頭から抜け落ち。数年振りに再びその箱を手に取ったのは、色鮮やかに染められた街路樹が寒風に吹かれ舞う頃だった。久々に帰省した実家の誰にも見つからないであろう秘密の場所に、何年も置き去りにしていた小箱。幸いにも木製の外観に目立った外傷はなく、簡易的なロックを外せば、小さな軋む音とパンドラの箱が開く)──これいつのだっけなー、懐かしすぎ(その中に散りばめられていたのは、今となっては何故夢中になって集めていたのか分からない綺麗なビー玉や、当時の親友とお揃いで付けていたキーホルダーなどなど。そのひとつひとつの思い出の品と記憶がリンクすると、思わず声を漏らしながら頬は緩み、時間の経過も忘れる程に宝探しは進んでゆく)   (2021/1/6 21:15:14)

(ある程度の品を発掘し終え、ふと箱底に隠すように置かれたシンプルな銀指輪を見つけた時、息が詰まる感覚に襲われた。割れた硝子の破片を扱うように、そっと掬い上げたシンプルな銀細工の施された指輪。その品に繋がれた記憶は、遥か昔の学生時代に交際していた年上の彼のこと。早く大人になりたい思春期少女には女性扱いが心地良く、釣り合うようにと背伸びしながら付き合うのが楽しかった。どんなに満ち足りた時間の後でも、いつか必ず別れが訪れると分かっていながら、たくさん笑って、たくさん泣いて。どれだけ傷付けられても、嫌いになれずに追いかけた人。恋と愛の違いを教えてくれた人──窓辺から射し込む西日を受け、反射する光が当時よりも陰って見えるのは、もう二度と会えないと分かっているからか。それとも彼の存在を「良い想い出のひとつ」として、処理出来ているからなのか。どちらが正解かなんてそんな野暮はしない。もう私も彼と同じ大人になったのだから)   (2021/1/6 21:15:36)

 はーい、今行くから待っててー(そんな想いに浸ってしばらく、不意に聞き慣れた声に名を呼ばれると、意識は完全に現在へと引き戻されて。夕飯の手伝いをさせようと企む母の声に応え返しながら、色々な感情が詰まった銀指輪は再び宝箱へ。頭の片隅に追いやっていた、やっと思い出した大事なものたちの存在を忘れてしまわないように、小箱は元の場所に戻さず持ち帰ることに決めた。時の経過と共に人間の記憶は薄れ曖昧になり、最後は跡形もなく消えてしまう。けれど、物は消えない。それらが存在する限り記憶も思いも、全てそこにあり続けるような気がする。そう思いながら宝箱を手に取った左手薬指の小さな石が埋め込まれた金指輪が、夕暮れ時の橙の中でより光を反射して眩しく感じた──やっと彼の年齢に追い付いた、とある冬の日の記憶)   (2021/1/6 21:15:55)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:16:01)

(山の夜は寒い、常人が思っている数倍は寒い。風が吹けばさらに体感温度は下がり、吐き出す息も白くなる事は実証済み。だから、夜中部屋を抜け出す仲間の肩に乗せてやった一張羅。車中でのマニアック話には全く無反応だったわりには、どうやら着心地は悪くないようで。脱ぎ捨てない所を見る限り、お高い相棒は彼女と一夜を共にするらしい。酒盛り中に誰かが消したであろう空調のせいか、酒盛りのアルコールが抜けきらない身体でも、何処からか冷たさを感じる室内。彼女を送り出したならば、ブランケット類が撒き散らされた雑魚寝に戻ろうかと思案していたところ、不意に掴まれた服の端)……で?お前に大事な上着貸した俺まで、寒空の下で白い息吐かせるつもり?───そこで待ってろ(売り言葉に買い言葉。普段の間柄を示すようなやり取りをするも、据え膳食わぬはなんとやら。山という非日常も相まって、頬に赤みを持つ彼女に擽ったさを感じつつ、短い言葉を放った足はキッチンへ。気を利かせた誰が作ったドリップコーヒーを丸い硝子から蓋付き保温マグに移し変え、手近にあった仲間内誰かのブルゾンを引っ張り、パーカーの上に羽織れば少しは外気もましになるだろう)    (2021/1/6 21:17:55)

──これも持ってけ(床に散ったブランケットを二枚ほど拝借して、玄関へと投げ込めば準備は完了。乱れた玄関に早々に別れを告げ、目指すは歩いて数分の先の小さな展望台。ログハウスのテラスでも良かったが、何となく歩きたい気分から此方を選んだ。緩い勾配に彼女は文句のひとつでも口にするかもしれないが、そこは知らない振りで通す所存。火照った肌には外の冷気が心地好いを通り越し、マグふたつを携える左手の指先に若干の痛みを感じる寸前か。それでも呼吸する度に体内を循環する澄んだ空気はアルコールを分解し、吐き出す息は実証通りやはり白かった。月明かりしかない暗い夜道、数歩後ろを歩く彼女はどうだろう。集合時に発した揶揄を撤回する気になったか、と向ける薄い笑みも寒さで口角が歪んで。振り返った時に見た、本来ならば自分が着ているはずの一張羅を着込む彼女の姿に悪い気がしなかったのは、まだ言わない。それを告げるのは、山の谷間から昇る眩しい朝焼けを眺めながら、もう完全に冷め切った珈琲を飲んだ時。今は彼女を気遣って、差し出す体温の残った右手だけに留めておこう──月光に照らされた黒ワッペンを見つめ、そう思った夜明け数時間前の話)    (2021/1/6 21:18:18)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:18:26)

 (真っ赤なお鼻のトナカイも働き詰めだったサンタも、こたつでおせちや餅を食べ始める年明け。突如上空に現れた寒波の影響で、足元に数センチ程の真っ白な絨毯が広がった早朝。こんな日を逃すの勿体ないと、落ち着いた色味のマフラーと細身ダウンを身に纏い、ポケットに命綱のカイロを数個放り込んで。まだ登校時間を迎えていない今ならば、誰にも邪魔されずに撮影が出来るだろうという目論み)さっむ…だけど、やっぱり綺麗だな(吐き出す白い息と共に感嘆の言葉を吐き出しながら、手付かずの無垢な景色にレンズを向ける。澄んだ冬の空気と朝焼けが相まって、自分の腕以上の物が撮れた気がした)    (2021/1/6 21:19:05)

(遠くに聞こえる朝を告げる鳥の囀りに呼応するように、 数枚シャッター音を奏でていくも、さすがに安物の専用グローブではすぐに指先が悴み始め。初めての相棒に妥協しなかった結果故の事態だが、今月のバイト代で多少良い物を購入する事を誓い、一旦この瞬間だけギブアップ。そして、首から下げた相棒の代わりにポケットから命綱をひとつ取り出し、その確かな温もりで暖を取れば、少しはこの寒さもましになるだろうか)こんな事なら、ここに来る前に温かい飲み物でも買ってくれば良かった(写真の事しか考えていなかった愚かな過去の己を呪いつつ、その場足踏みで身体を動かしてみるも冷えた足先に体温は戻らずに。もういっその事諦めてみるのも手だと思える程)   (2021/1/6 21:19:34)

いつも通ってるはずの場所なのに、知らない場所みたいだ(眩しい朝日が雪に反射して伸びていく様をぼんやりと眺め、何処か感慨深さを感じて溢した声。その音は前髪を乱す冬風に乗り、誰の耳に届く事もなく消えていく。これ以上にない被写体を目の当たりにして、寒いだなんだと言っているわけにもいかない。そう思えば、カイロ入りのポケットの中で温めた手を再び極寒へと引き戻し、指先が思うように動くのを確かめて。時間的にも最後の一枚だと決めると、もう一度だけカメラを構えた──小気味の良い機械音と共に切り取った空間は、おそらく今日一番の出来だ。後で確認するのを楽しみにしながら、自分がこの時にこの場所にいた事を記すように、真っ白な純白の絨毯に初めてを刻んで帰路につこう。今日もまた、変わらない僕らの朝が始まる)    (2021/1/6 21:19:53)

─────────────────────────   (2021/1/6 21:20:05)

おしらせさんが退室しました。  (2021/1/6 21:20:11)

おしらせさんが入室しました♪  (2021/1/15 16:19:14)

 (時計の針が一番高い場所で重なる頃。冬本番な肌寒い夜風が揺らすのは、鮮やかに色付いた木々の葉だけでなく、小腹を満たす夜食の入ったコンビニの袋も踊らせる。人工的な明かりが何一つなくとも、薄く棚引く雲の隙間から顔を覗かせる灯りのおかげか、視界はすこぶる良好。夜闇が広がる下界と此方を遮断するフェンスに背を預けながら、見上げる夜空には有名な星座の名前は何だったか。頭の端に仕舞い込んだ記憶を手繰り寄せるよりも、優先すべき最重要事項=食欲な少年は、手持ちの袋からまだ温かさの残る満月を取り出して。外気に触れて冷たくなり始めた指先で器用に下紙を外し、真ん中から半分に割ってみれば、脳と嗅覚にダイレクトに刺激を与える見た目は完璧そのもの。導かれるままに半月にかじりつけば、唇から白い息が漏れた)    (2021/1/15 16:19:20)

(体内を巡りゆく温度を確かめるように食べ進めていれば、不意に耳にはめ込んだ無線イヤフォンから流れ出した懐かしい歌。随分と聞いていなかったのに、イントロを耳にした瞬間に色鮮やかな記憶が蘇る。この歌を真似て、瞼が落ちてしまいそうな午前二時に待ち合わせした日も、こんなに風が冷たい夜だった。寒空の下で二人で少し汚れた毛布にくるまりながら、君が指差した星座は今まで見たどれよりも眩しく鮮明に見えた理由は、当時抱いていた淡い恋心のせい。天体に興味なんてまるでなかったのに、誰にも邪魔されずに過ごす時間が欲しくて誘った事をたぶん君は知らない) あーあ、名前なんだったっけ。あんなに説明してくれたのにな(夜空に向けた指先で星をなぞってみても、記憶の糸を掴むことは出来ず、思い出すのは君の楽しげな横顔だけ。話半分で聞いていた過去の自分を恥じつつ、残り半分を食べ終わる頃には、何か手掛かりを見つけ出したいところ。リミットはあと三口分。俺の戦いはこれからだ…!)    (2021/1/15 16:19:36)

─────────────────────────   (2021/1/15 16:19:48)

(夜の内に降りだした小雨が止んでも、なんとなく寝付くことが出来なかった夜更け。もうこうなったら起きれるところまで起きてやろう!と意気込み、校門を閉ざす高いフェンスを乗り越え、見回りの警備員の目を盗んで忍び込んだのは、自分が通う学園の屋上だった。息切れしそうに長い階段を登り終えれば、軋む音と共に立て付けの悪い外界へと繋がる扉を開けよう───雨上がりで湿度がある程度保たれているおかげか、部屋着を隠すように羽織ったパーカーだけでもさほど寒くはない。むしろ、運動終わりで暑いほど。時折り吹き抜ける湿った空気が頬を撫で、伸びかけの前髪まで乱せば心地良さを感じた。転落防止用のフェンスから見える街は相変わらずで。高いところまで来ても代わり映えの風景に小さく溜め息を溢しながら、反転した背を預け。雨雲が過ぎ去った先に余計な物は何一つなく、まだ帰ってこない睡魔を待ちながら、凛とした寒空を眺める時間も悪くないだろう)   (2021/1/15 16:20:09)

──────────────────────────   (2021/1/15 16:20:22)

おしらせさんが退室しました。  (2021/1/15 16:20:25)

おしらせさんが入室しました♪  (2021/1/25 01:37:00)

 (窓から見える景色が夕焼けに染まり始める放課後。「デッサンのモデルになって欲しい」と友人に頼み込まれ、その必死さに断りきれずに訪れた美術室。授業でしか使ったことがない、馴染みの薄い室内は思ったよりも物で溢れていた。椅子や机が規則正しく整列した授業スペースの後ろには、布を被せられた美術部員たちのイーゼルや、絵具で汚れたバケツに様々な毛束の絵筆が刺さっていたりと、初めて目にする数々に興味津々。さらに部屋を写真部と併用しているようで、離れた一角には現像された写真の作品集が並ぶ。その中から適当に一冊を手に取れば、窓際の席に腰を下ろしてページを捲っていこうか)   (2021/1/25 01:37:11)

 あー、これかわいい。こっちのもいいなー(撮影者が飼っているのであろう猫や犬といった動物の写真や、日常の中で見つけた綺麗な花や景色の写真を見ているうちに、自然と口角が上がり頬が緩みだして。一人きりの時間ということもあり、あーだこーだと写真への反応を声に出しながら進めていけば、あっという間に一冊目が終了してしまった。前方の黒板上に設置された時計が指す時刻は、とっくの昔に約束の時間を過ぎているが、友人からの連絡も来る気配もまったくないときた。どうしたものかと頭を抱えつつ、ポケットから取り出したスマホで緑色アプリを開き「まってるよ!」のうさぎスタンプを数回連打。きっとこれで今の気持ちはしっかりと伝わるはず)    (2021/1/25 01:37:15)

 ん、これは本当にやばいやつかもしれない…?(しばらく画面とにらめっこをしていても既読のマークはなかなか付かず、本格的にどうするかと頭を悩ませて。何かやらかして呼び出されているのか?それとも普通に約束を忘れているのか?どちらにしても、今度絶対にお詫びをしてもらおうと強く心に誓った…絶対にだ。そんな重い思いが通じたのか、不意に鳴り始める通話を知らせる着信音)はいはーい!いま、美術室で待ってるんだけど…え?ああ……う゛っ(通話開始数秒で徐々に下がっていく声色と、急に早くなる心拍数で心臓が痛み始めた。どうやら約束を間違えいたのは自分らしい。終了ボタンを押した身体は一気に疲労困憊で、ぐったり机に突っ伏してしまう程。ちらり横目で見上げた空は、今の沈んだ気持ちと反比例するように、どの写真よりも綺麗だった──)    (2021/1/25 01:37:18)

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おしらせさんが退室しました。  (2021/1/25 01:37:32)

おしらせさんが入室しました♪  (2021/2/11 20:05:11)

(お正月気分も完全に抜け切り、逃げる二月が始まれば、学生の三大イベントのひとつに向けて、男女問わず周囲が浮き足立つ今日この頃。想い人に気持ちを伝えるも良し、日頃の感謝を送るも良し──仲良しな友人に悪戯を仕掛けるのも良し。どれに当てはまるか未だ未定な少女は、音程の少し外れた鼻歌混じりに、予行練習を兼ね放課後の食堂へ。いつもこっそり大盛りにしてくれる、心優しい顔馴染みのおばちゃんから「後片付けまでしっかりするなら」という条件付きで、既に使用許可は貰ってある。必要な材料は勉強道具よりも遊び道具の比率が高い、イカしたサメ顔リュックに入っているし、抜かりはない、はず。制服の上におばちゃん愛用のちょいダサ──改め、ちょいかわなエプロンをして、ずり落ちない程度に腕捲りをすれば気合いは充分すぎる程)   (2021/2/11 20:05:32)

まずはチョコを細かく刻んで…?沸騰しない温度のお湯で湯煎する…?あー、めんどくせぇ。私流はこうだ!!!(便利なyouなtubeのレシピ動画を一通り流し見した後、宣言通りに剥いた板チョコを乱雑に折って木っ端微塵に。そのまま耐熱容器にぽんぽん投げ入れ、これまた便利な家電へ投入。自宅で使っている物よりも立派でお高そうなレンジとはいえ、使い方はほぼ同じだろう。しかし、ワット数?なにそれ美味しいの?な料理知らずでも扱えるか) んー、とりあえず30秒くらいに。溶かすだけなんだから、こんなの大体でイケるっしょ(何処からそんな自信が湧き出るのか不明だが、表示された数字が減っていくのを、かき混ぜ用の泡立て器片手にカウントダウンしながらステイ。あちあち言いつつ取り出した中身は、意外にもいい感じに溶けていた。ビギナーズラック、棚からぼた餅、怪我の功名。今日の運勢占い一位の底力は、どうやらひと味違うらしい)   (2021/2/11 20:06:00)

(溶けたチョコの甘い匂いが脳に伝わると、苦手な数学の授業で酷使した頭が、とびきりに強い糖分を求め始めて。ちんぷんかんぷんな数式から逃げずに、勇敢に立ち向かったご褒美を貰わなければならない…!と思えば、サメに捕食された赤いパッケージのキャラメル味のコーンの袋に伸びる手。よそ見をした隙に傍らから床に落ちる泡立て器、慣性の法則に従って飛び散るチョコ飛沫)  あっ?あっー!?あああああああー!!!!(悪夢はそれだけでは終わるはずもなく、そちらに気を取られていたせいで、上手いことファスナーに噛んでいた袋を思いっきり引っ張ったしまい。その結果、華麗に宙を舞うコーンと豆。初体験の浮遊時間は数秒か、いやもっと長い数十秒のスローモーションのように思えた)   (2021/2/11 20:06:31)

こんなの絶対おかしいよ…ひどいよ!こんなのってあんまりだよ…!(エプロンの肩紐をずり落とし、某ピンク髪の魔法少女もびっくりな絶望顔でその場にへたり込めば、先程まで甘い匂いに包まれた女子力高めな楽園だったのに、ほんの一瞬で悪魔の棲みかへと変わり果て。その絵はまさに地獄絵図。この状況で良かった事を無理矢理見つけ出すとすれば、甘い香りがより強くなった事くらいだろうか。きっと私の脳は喜んでいるはず。そんな呑気な考えを持った矢先、腹の底から叫んだクソデカボイスを聞いて飛んできたおばちゃんの登場に、さらに血の気が引いていく。嗚呼、人間ってこんなにすぐ指先が冷たくなるんだなーなんて妙に冷静になりながら、わなわなと震える鬼に対峙する。もう鬼退治のイベントは終わったはずでは?と言い出せる勇気は、生憎持ち合わせていなかった。ライフはもうゼロだ)   (2021/2/11 20:06:53)

ごっ、ごめんなさぁい!!!ちゃんと後片付けはしますから!来た時よりも美しく!これ鉄則ですよねっ!(額を床に擦り付ける勢いで、涙ながらの謝罪にどれ程の効果があるか定かではないが、これで鬼の怒りが少しでも鎮まればと願うばかり。テレビの占いなんてもう信じないと心に誓ったところで、本日のチョコ作りはこれにて閉幕。果たして当日までに完成するのか───バレンタインまで、後4日)   (2021/2/11 20:07:06)

──────────────────────────   (2021/2/11 20:07:12)

おしらせさんが退室しました。  (2021/2/11 20:07:16)

おしらせさんが入室しました♪  (2021/2/14 00:06:49)

 (風紀が乱れきった事で有名な学園は、敷地内至るところがヤるためのスポットになっているらしい。その中でも人気上位に入る一番隠れやすそうな屋上の、給水塔へ繋がる梯子をサメが行く。毛糸製の手袋をした指先は滑りやすく、何度か軽く落ちかけながらも、なんとか無事着地に成功。安堵の溜め息を漏らしつつ、目的を達成する為にサメ型リュックを肩から下ろして。そこから取り出すは5つのチキン) あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー!!!!!(一羽の膨らんだ腹を親指で押せば、この世のものとは思えない断末魔が、夕焼け色の空に響き渡るか。ジョークグッズで有名なこやつらを引き連れて、どうしても調べたいこと──行為中の男女はどれくらいの雑音で行為を止めるのか!という季節外れの自由研究)    (2021/2/14 00:06:57)

この声やっぱり大好きだわー!(数日前に雑貨屋で一目惚れをして、お小遣いの前借りまでして買い込んだ音を存分に味わい、夕暮れの中で満足げな笑みを浮かべる姿はただの不審者。一羽でも結構なボリュームだが、五羽すべてが揃って大合唱をしたら、さぞ素敵な事が起きそうな予感に、胸が高まるのを止められない。しかし、お楽しみは後半に取っておく。ショートケーキの苺は最後に大事に食べるタイプなのだ。そのため、今は最大よりも最小を求めて、六割くらいの力で鳩尾プッシュ)あ゛ーー!!あ゛っ、あ゛っ、あ゛ー!!ぶは、ダメだ。本番でも笑っちゃうな、我慢しないと(リズミカルに途切れ途切れで切なく鳴く鶏に吹き出し、背を硬いコンクリに預けると派手に笑い転げて。唇をきつく噛み締めて我慢してみるも、とぼけたチキン顔と押す度にリズムを刻む断末魔に、呼吸まで忘れてしまいそう)   (2021/2/14 00:07:20)

 (ひとしきり遊んだところで、コートのポケットから取り出したスマホの画面に表示された時刻は、もうすぐ夜。確かな筋から入手した情報によれば、男女が営み始めるのは大抵放課後~帰宅するまでらしい。おかしい、人気が高いヤりスポットなのに、誰も来ないのはおかしい。ない頭をぐるぐると巡らせてみるも、もちろん理由がわかるはずもなく。あんなに綺麗だった橙も空の端に追いやられ、その反対側には夕闇が顔を出しているではないか。頭に?マークを飛ばす中、一際強い風が明るい髪を撫で上げ、無防備な首筋を襲った)──びぇっくしゅん!さっっっむ!!(背中に悪寒が走り、可憐な乙女とは思えないくしゃみをお見舞いすれば、理由がわかった。こんな寒い場所で肌を晒すのは自殺行為だ。冬場にヤるなら屋内に限る、という鉄則が頭から抜け落ちていた。やる気まんまんだった気持ちに比例して、がっくりと落ちた肩と項垂れる頭。その剥き出しの肌に再び冬風が襲う!──くしゅん!あ゛あ゛あ゛ーーー!!!!ふたつの音色が重なり合い、ハーモニーがマリアージュしたところで無念のお開き。帰りに温かいピザまんを買って帰ろう、そうしよう)   (2021/2/14 00:07:46)

─────────────────────────   (2021/2/14 00:08:03)

(大切な物を失くしてしまった、ような気がする──穏やかな陽気に誘われ、見事な桜が咲き誇る公園のベンチに腰を下ろしている時にふと覚えた感覚。心から抜け落ちた何が一体どんな物で、どれほど重要な物だったのか、それさえも分からない。ただひとつ確かに理解出来る事は、今この瞬間に何かを失ってしまった事だけ。数年に一度の周期で訪れるこの感覚に慣れる事はなく、それと同時に襲いくる漠然とした恐怖と虚無感。そんな時に決まって隣で笑いかけてくれる人がいる──その人は例外なく今日もいた。それが誰なのか、自分とどういう関係なのか、頭の引き出しを開けて記憶を辿ってみるも、該当するものは何もない。年齢のせい、一括りにそう言われてしまえばそれまで。しかし、目尻に深い皺を刻みながら「大丈夫、君が心配することは何もないよ」と紡いでくれるだけで、波立っていた心は落ち着きを取り戻し。あれだけ抱え込んでいた負の感情さえも嘘のようにが消え、本当に平気に思えてくるから不思議だった)   (2021/2/14 00:08:21)

貴方は誰…?私の特別は人かしら?(絞り出した声は思ったよりも上擦り、伺うような視線を向けてみるも、返ってくる言葉は的を得ずに。むしろ何処かはぐらなすようなものばかり。私を面白おかしくからかっているように思える対応に、伏し目がちに「もういいです」と告げ、公園を走り回る子どもたちへと視線を巡らせた。そんな中ふと此方へと近付いてきた女の子からの指摘で気付いた、自分の首元を飾るペンダントの存在──所々キズが入った年期を感じるロケット部分を開いた時の、驚きの声は隠すことが出来ずに)…タイプとは真逆の顔なのに。どうして?(溢れた心の声は、当然隣にも聞こえてしまった様子。声をあげて豪快に笑い出す姿に、胸の奥が擽ったさと懐かしさを覚えのは、ただの偶然ではないのだろう。生涯添い遂げる相手に彼を選んだ理由は、さっぱり分からない。しかし、仲睦まじく肩を並べる二人の表情は幸せそのもの。初対面な相手と写真に写る満ち足りた顔に辿り着くまで、様々な困難を互いに支え合い、乗り越えてきたのだろう。穏やかな春風に髪を撫でられながら、なんとなくそれだけは伝わった──)   (2021/2/14 00:08:35)

──────────────────────────   (2021/2/14 00:08:42)

(僕らは臆病だった──どれほど満ち足りた幸せな時間を過ごしたとて、数年経てば君の記憶の中にいる僕はリセットされる。二人で初めて手を繋いだあの夜も、結婚の挨拶時に親父さんから右頬を殴られたことも…毎年決まって桜を見に行く近所の公園さえも。そんな些細な事まで記憶から溢れ落ちてしまう君に、直視したくない現実から目を反らし、余計に傷付けるだけの時間を繰り返した。信じていなかった神にすがり、そして呪った日々。そんなぐちゃぐちゃな感情に流され、肝心なことを見失っていた 「大切な人に存在を忘れられるより、愛する人を忘れる方が恐ろしい」 その事に気付いた時、これからの長い人生の指針が定まった。君の隣で僕がやるべき事はひとつしかないと──春風に誘われて舞う桜の花弁を見つめながら、ふと会話が途切れた時、今回もそれはやってきたらしい。もう何度目かも数えきれないほどに経験してきたはずなのに、この瞬間だけはどうにも慣れない。慣れてはいけない)   (2021/2/14 00:08:57)

大丈夫、君が心配することは何もないよ(今にも消えてしまいそうな、不安げな顔はいつ見ても胸が痛む。その気持ちが伝染しないように、出来るだけ穏やかな声色で微笑んでみれば、数分前の笑顔を取り戻せるだろうか。最初の頃は不信感を強く抱いている様子だったが、白髪が増えた髪の毛と目尻の皺のおかげで、何とかなっているようだ。それからは大体いつものパターン。矢継ぎ早に質問攻めにしてくるか、興味をなくして自分の世界に籠ってしまうか。さて、今回はどっちだ)──そうだね、君の特別な人かもしれないし、これから特別になるかもしれない(誰?と直接的に存在を確認されるのは、もう今さら仕方がない。冗談めかした口調のせいで、少し機嫌を損ねてしまった様だが、まだこんなのは想定内。伊達に年は食っていない、幾度も何年も君とこうやって出会ってきたのだから。何度失くしてしまったとて、その都度大切を補っていけば良い。夫婦とはそういうものだろう?そんな事を思いながら、いつまでも輝くロケットペンダント片手に、難しい顔をしている君と見る桜は今年も綺麗だ。きっとこういう事を幸せと呼ぶのだろう──)   (2021/2/14 00:09:12)

──────────────────────────   (2021/2/14 00:09:20)

おしらせさんが退室しました。  (2021/2/14 00:09:23)

おしらせさんが入室しました♪  (2021/4/21 09:30:01)

 (面倒な授業から解放されて各々が青春する放課後。そんな空気感から切り離された一室にも等しく夕焼けが射し込み、穏やかな色の光が伸びる先には男女の姿があった。苦しい程に息を乱した気弱そうな男性教師と、その上に跨がる少女の表情は対照的で。数個開けたワイシャツの隙間から見え隠れする桃色に包まれた膨らみと、短めなスカートは捲れ上がり、惜しげもなく晒される柔肌。彼の顎先へ添えた人差し指を持ち上げれば、憂いを帯びた眼差しで瞳を捉えて) ほんとに先生って強情ですよね。そんなにその人が大事なの…?(薬指に輝く指輪を恨めしそうになぞりながら、視線を合わせたまま紡いだ言葉は熱を持たずに。愛だの恋だのという幻想の終着点、結婚という形式上でしか意味を成さない関係に何の意味があるのか。目には見えない鎖で繋がれているせいで、彼は───)    (2021/4/21 09:30:21)

わかった、二人でゲームしよ。先生が最後まで我慢出来たら、先生の勝ち。それ以外は私の勝ち。ね、簡単でしょ?(突如切り出した提案に反論の言葉を発する前に、添えた指先で唇を閉ざして。ルール説明も儘ならない内に勝手にスタートの合図をすると、容易に先手を取る事が出来た。純白レースに飾られた豊満な武器を解放した手で、同様に彼のスラックスを器用に膝まで下げて。こんな状況でも雄の本能が働いているのか、意外にも反応を示している下腹部を前にして、小さく笑みが溢れるのを隠せずに。薄い二枚の布越しに互いを擦り合わせると、薄く開いた唇からふたつの甘い吐息が漏れ始めた) ん、ふっ…せんせ、どんどん硬くなってきてる。びくびくしちゃって、かわいい…♡(脚を開いて腰を淫らに動かせば、膨らんだ亀頭や竿がクリに擦れ、それだけで奥から愛液が溢れてくるのがわかった。自分の動きひとつで変化する快楽に苦悶する表情が楽しくて、緩急をつけながら肉棒に刺激を与え続けていく)    (2021/4/21 09:30:34)

(そんなゲームを始めてどれ程の時間が経っただろうか。互いの下着は色が変わるくらいに染みが広がり、擦れる度にぬちゅりと卑猥な水音と真っ白な糸が引く。いつの間にか桃色はずり上がり、自らの手で膨らみの形が変わる程に揉みしだいて。弾き続ける尖った乳首から甘い刺激を絶え間なく与えながら、熱い吐息を吐き出す唇は耳元へ)せんせ、やっぱり強情すぎぃ♡っ は、んん…も、我慢しないで…?教え子まんこに、思いきり濃い精子びゅるびゅるしちゃお♡絶対きもちーよ?(発情しきった蕩け顔で誘惑の言葉を囁き、下着を横にずらしたならば、互いの体液でどろどろになった肉棒を膣口に当てがって。最後まで弱々しく抵抗を示す彼を嘲笑うかのように、一気に子宮口を抉る深さまで飲み込めば、後はもうこちらの思いのままに   (2021/4/21 09:30:49)

───月明かりが照らす部屋に響く水音とだらしない喘ぎ。抜き挿しが繰り返される結合部からは、何度吐き出されたか分からない白濁が溢れ出し、床に投げた銀輪を汚していく。これで彼も立派な肉バイブ要員。まだ一回も射精させていない教師は誰だっけ?なんて考えつつ、必死に腰を振る担任の舌を受け入れた。堕落した少女の退屈な学生生活はまだ続く、身体も心も最愛の相手を見つけるまで───)   (2021/4/21 09:31:03)

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おしらせさんが退室しました。  (2021/4/21 09:31:17)

おしらせさんが入室しました♪  (2021/4/21 09:33:21)

(──きっと仕方の無いことなのだ。無意識の内についた溜め息は、春を連れてきた柔らかな風に乗り、目の前のテーブルに置かれた珈琲の湯気を揺らした。  これ程までに気落ちしている理由は様々。寝る間も惜しんで作り上げ、いつも以上に手応えを感じていたデザインが、取引先にことごとく却下されたこと。気分転換も兼ねて訪れた馴染みのカフェにて、もはや自分の定位置といえる、丁寧に手入れされたガーデニングを眺める窓辺席には先客がいるし、お気に入りの豆も本日分は終了したらしい。明らかに低迷している運気に、何度目か分からない息を吐きながら、カップへと手を伸ばした時、不意に身体へと加わった衝撃。───その刹那、指先から落下していく陶器がスローモーションで見えた)   (2021/4/21 09:33:35)

(耳を刺す破砕音と共に足元には水溜まり。そろそろお祓いに行くか…と自嘲気味な笑みが漏れてしまう。頭上から降ってきた声の主に、苦言のひとつでも吐いてやろうと顔を上げれば、伺うような視線を向ける瞳に思考は囚われた──とても一般人とは思えない洗練された造形美な顔面と、等身が狂ったスタイル。それに加えて、天性の華やかなオーラが滲み出ているではないか。その佇まいから芸能を生業にしている人物だと容易に想像がついた。落ち着いた時が流れる空間で起きた派手な衝撃音のせいもあり、周りの視線を集めつつある中、そんな相手と小競り合いをする気力はない)   (2021/4/21 09:33:51)

此方こそ申し訳ありません。少しぼーっとしていたようだ。お気遣いなく(業務用の張り付けた笑みのまま告げた言葉に、僅かに緩んだ表情は、以前どこかで見た事があるような。それが画面の中だったか、はたまたただの知人の空似か。いつどこで…?仕舞い込んだ記憶の糸を手繰り寄せようと、思考を巡らせていれば、何処からか飛んできた店員にあれやこれやと話しかけられてしまい。そちらの対応をしている内に、何か言いたげな様子の彼は、深々と会釈をして立ち去ってしまった)──あの、ちょっと…!(遠ざかる背中に投げた言葉は届かずに、結局答えを聞き出せないまま、もやっとした不完全燃焼な気持ちを抱えるハメに。もう癖になっている長い息を吐き、店員に差し出された代わりの一杯に唇を寄せて)   (2021/4/21 09:34:12)

(鼻腔を擽る香りと、咥内に広がる苦味と風味はまさしくあの豆だった。カウンター奥で微笑む店主の気遣いに には感謝しかない。先程までの溜め息とは違う、深く長い息を吐き、瞳の端に僅か映り込む春風に揺れる鈴蘭の白い花弁を眺めながら、お気に入りを体内へ。こんなに良い事が起きたのは、何時ぶりだろう。やはりあれが転機だった?なんて思ってしまうのは、夢見がちか。それでも 幸運を運んできた彼に、また会えますように──そんな子ども染みた事を願うほかないのだ。)   (2021/4/21 09:34:26)

──────────────────────────   (2021/4/21 09:35:08)

おしらせさんが退室しました。  (2021/4/21 09:35:39)

おしらせさんが入室しました♪  (2021/4/21 09:36:48)

 (──花なんか別に好きじゃなかった。花瓶に活けておいても綺麗なのは数日間だけだし、水やりを怠っても与えすぎても容易く駄目にしてしまう。こちらがどれだけ愛情を注ごうと、その成果が実らないことの方が多い。そういったことに関して言えば、目の前の少女も同様で。朝が弱い彼女のために毎朝決まった時間に煩い程のアラームをかけても起きないし、それを止めていくのは己の仕事。一日の終わりに迎えに行こうと、帰りたくないと駄々をこね、帰り道の甘いもの屋の前では頑なに動こうとしない。毎度の事に呆れた溜め息を溢しながらも、まぁ仕方ないと思えてしまうからタチが悪い。きっとこれからも変わらずに、自分はあれこれと世話を焼いてしまうのだろう。繋いだ手の先で振り返り、夕焼けの橙空に映える微笑みを向けられて、そう確信する)──ほら、早く帰らないと、はなかっぱに間に合わねぇぞ(その顔に意地悪く告げるのは、彼女が欠かさず見ている好きな番組名。重ねた手を引っ張るようにして歩き始めた小さめの歩幅に合わせ、この穏やかな平凡な日常を噛み締めるように、ゆっくりと歩みを進めていこう。こんなに暖かで優しい感情は全て貴方が教えてくれた──)   (2021/4/21 09:37:10)

──────────────────────────   (2021/4/21 09:37:20)

(──聞き覚えのある声がした。微睡む視界の中でぼんやりと見上げる天井にその答えはなく、寝返りを打ち手にした光る液晶に浮かぶのは四桁の数列のみ。起き抜けの気怠さを手放して、なんとか身体を持ち上げれば散らばった床の隙間を縫うように歩を進め。その間も巡る思考は先程の声について。いつ、どこで聞いたのか。答えのでない問いほど頭を悩ませる物はない)…やべ、まじで分かんないわ(考え抜いた末に導き出した声は、朝の騒がしい生活音の中へ溶けていくか。そんな完全に上の空な状態でトースターにセットした厚切りの食パン。適当につまみを捻って次第に色付く赤を眺めていれば、不意に飛び込んでくるのは花を咲かせる河童好きな幼女によって上げられたテレビ音。その瞬間に脳内に落ちた一筋の稲妻。そうだ、あの声は──。薄型画面の先には、奇抜な出で立ちの子どもと人面樹木の三人(?)組。シャキーンと目覚めた頭でジャストタイムでもしてみようか。そんな遊びをしている内に真っ白な四角は予想以上に熱を蓄積したようで。完全に色が変わってしまったパンだったものを一口。見事に焦げてしまったそれは苦いのに、やたら美味しかった。そんな一日の始まり)    (2021/4/21 09:37:42)

──────────────────────────   (2021/4/21 09:37:54)

(──傷付けたかったわけじゃない。そう何度強く思ってみても、一度犯してしまった過ちは簡単には消えてくれず。あの感覚は未だに鮮明なほど心に、掌に残っている。それ以上に脳裏に焼き付いているのは、今にも溢れ落ちそうな涙を瞳一杯に溜め、必死に取り繕った君の悲しげな笑み。貴女を傷付ける物は全て排除すると決めていたはずなのに、まさか自分がその一部に成り果てるなんて。今さら後悔してみても遅いのは分かっているが、居てもたってもいられなくなり、走り出す閉店数十分前のショッピングセンター。人も疎らな店内で某玩具店の女児向け人形コーナーの棚前でしゃがみこみ、眉間に皺を寄せながら二つの箱を見比べる少年の姿は、どこから見ても不審者にしか見えないだろう。しかし、こちとら人生を賭けた一大事。好きだと言っていたのは魔法少女か、それとも拳で戦う少女ヒーローか。ここで選択を誤ってしまえば、その先に待ち受けるのはさらなる絶望と拒絶。それだけは何がなんでも避けなければならない)   (2021/4/21 09:38:11)

2021年01月06日 20時54分 ~ 2021年04月21日 09時38分 の過去ログ
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