「ショートストーリー♪」の過去ログ
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2022年05月08日 08時49分 ~ 2022年09月03日 16時35分 の過去ログ
過去ログでは上から下の方向に発言を表示しています
冬空 ◆ | > | 「ごめんな…俺がもっと早く気づいていれば…」そんな両親や彼の様子に早く戻りたいという思いが込みあがっていた。 (2022/5/8 08:49:01) |
冬空 ◆ | > | すると一筋の光がさし…私はそこに向かい手を伸ばしていた。ゆっくり目をあけると彼がぎゅっと手を握りしめていた。目を覚ました私に気づいた彼は「ずっとそばにいるから…もう心配させるなよ?」とホッと安堵した表情を見せると「約束だ…指切りしよう…」と小指を絡めて…。 (2022/5/8 08:53:00) |
おしらせ | > | 冬空 ◆ikoi/zg442さんが退室しました。 (2022/5/8 08:53:06) |
おしらせ | > | 伊丹空港 ◆violet/unba2さんが入室しました♪ (2022/5/11 10:36:04) |
伊丹空港 ◆ | > | |・`ө・) (2022/5/11 10:36:46) |
伊丹空港 ◆ | > | フシギナハナシ2篇目 (2022/5/11 10:37:33) |
伊丹空港 ◆ | > | 🅱 (2022/5/11 10:38:13) |
伊丹空港 ◆ | > | 注:例によって入室してからストーリーを考えます(汗 (2022/5/11 10:39:05) |
伊丹空港 ◆ | > | 大人は泣かないものだと思っていた。とはいっても、厳密にいえば、ただの大人ではない。なんていえばいいんだろう…。きっとむかし、ずっとそこにいた大人なんだと思う。いずれにしても、私がその人を見た印象は”泣いていた”のだ。…その出来事があったのは8月の、そろそろひぐらしが鳴きだして、残暑も感じつつ、秋の雰囲気がちょっとずつ近づいてくるようなある日のことだった。当時、私は高校最後の夏休みを夏期講習で埋めていた。去年の夏休みとはひと味もふた味も違う実に地味な夏休みだ。繁華街を友だちと歩いているだけで楽しかった夏休みはもうなかった。塾と自宅を行き来するだけの夏休み…なんだか、私が思っている夏休みがどんどん離れていってしまいそうで、ちょっと寂しかった。その日、午前中だけのカリキュラムをこなすと、午後は私なりの夏休みを過ごそうと案じた。スマホを取り出してグループLINEから同じ境遇の息抜き仲間を募ったけど、誰も誘いに応じてはもらえなかった。半分想定内…。ひとりでも今日の午後だけ夏休みらしく過ごそうと、私は駅のホームの自宅方向へ向かうのとは逆方向の、反対側の電車を待った。 (2022/5/11 10:50:48) |
伊丹空港 ◆ | > | 程なくして、無機質なステンレス色と空色の帯を着けた電車が入ってきた。同じ路線でも通学定期の範囲以外に向かうのはなんだか新鮮だ。流れる車窓も新しく気づく景色にあふれている。その時私はまだ降りたことのない駅に降りてみようと小さな冒険心に心を揺すった。それからまもなく7駅ほど進み電車を降りた。果たして?と改札に向かう。しかし人の流れに変化はないし、どこでも見られるような空気はいつもの日常のよう。駅前の感じもそこまで新鮮には映らなかった。「なぁ~んだ、こんなものか…」と、ちょっぴり期待を裏切られた。とりあえず、落ち着ける場所を求めてさまよい出す。雑居ビルの並ぶロータリーに避暑地はなく、ただただ汗がにじみ出てくる。 (2022/5/11 11:06:00) |
伊丹空港 ◆ | > | どこか涼しいところをと、しばらく電車の高架線脇を歩いていると、地下商店街という看板が目に飛び込んできた。「うん、ここに潜ろう」と、階段を降りてゆく。直射日光は当たらないし、屋外よりは涼しいと思ったけど、思ったほどに涼しくはなく、薄暗くて蒸し蒸ししている。ずっとまっすぐ歩けばメトロの駅に着くらしいけど、乗り継いでどこかに行くほどの度胸を持った冒険心はない。半分くらい行ったら戻ろうと思いながら、その地下道をもたもたと進んだ。でも、ここは不思議な場所だ。屋外の理路整然として無機質な雰囲気とガラッと変わっている。シャッターが下りている店も多かったけど、居酒屋、焼き鳥屋などののれんがあるかと思えば、”ファッション~おしゃれ専科”とユニークな字体で書かれた看板を下げたお店もある。あとは理容室とか、おだんごやおはぎを並べた甘味処がならんでいる。…昭和。うん、これが昭和なのかな?私が産まれるずっと前の雰囲気、きっとこういう雰囲気のことをいうのだろうと直感した。そう思うと私はこの未知な雰囲気に心が踊った。 (2022/5/11 11:13:14) |
伊丹空港 ◆ | > | 暫く進むと、ハーモニカだけで奏でている聞き慣れない音楽が聞こえてくる。それはその地下街に通じている出入り口の一つから聞こえていた。私はその音楽に誘われるようにその出口の階段を登ってゆく。だんだんと屋外の光が差し込んで眩しい。登り切ると、白い浴衣姿でハーモニカを吹いているたぶん初老くらいの男の人が立っていた。ちょっと近寄りがたい…そんなオーラを醸し出している。彼の肩にたすきがかかっていて、そこに書かれている字を読もうとしたけど筆字が独特で理解に及ばない。彼は私に気がついてハーモニカを離した。でも彼の動きがちょっとぎこちない。改めてよく見ると彼の右手が補装具で金属の腕が袖からのぞいていた。 (2022/5/11 11:28:00) |
伊丹空港 ◆ | > | 彼は私に「傷痍軍人なんだよ、僕は。」と伝えた。私は理解できないままずっと彼を見ながら立ち尽くしている。彼はまた左手だけで器用にハーモニカを吹いた。どこか儚げで物悲しい旋律だ。その1曲が終わると、彼は、「軍にいたのは19からハタチまでの2年。軍を外されてから残りの人生ずっとハーモニカを吹いてきたよ。いまとなってみれば何がいいとか悪いとかなんてどうでもいいことだ。ただただいろんなものを諦めていろんなものを捨てていった。それだけの人生だったよ。」といって涙ぐんだ。私は彼の真意はよくわからなかったけど、なんだか彼に寄り添ってあげなくてはいけないようなそんな衝動を感じていた。 (2022/5/11 11:43:37) |
伊丹空港 ◆ | > | 「僕はずっとここに立って、ハーモニカを吹いて、通り過ぎてゆく人たちを見送ってきた。怖がられたりしたし、泣き出す子どももいたっけな。大人や老人は憐れみや慰み者を見る目で私を見たよ。お嬢さん、お嬢さんは平和かい?もし今が平和だと思うなら、僕みたいな人がいたこともずっと覚えておいてほしいな。」彼がそういった瞬間、後ろから激しく自転車のベルを鳴らしたおじさんが「どけどけっ」と乱暴に通り過ぎてゆく。私は即座に振り返り、「キャッ!」と体をかわし、もう一度振り返ると、そこにいたはずの彼の姿はすでになかった。 (2022/5/11 11:51:50) |
伊丹空港 ◆ | > | 同時にさっきは気が付かなかっけど、実は防御フェンスで囲まれて『マンション建設予定地』という看板が掲げられていた。二人連れのおばあさんが、「この地下道もふさがっちまうんだって。」「昭和もどんどん遠くなるねぇ」と話しているのが聞こえた。そっか、ここが無くなっちゃうんだ…。そっか…、彼は私にここが無くなっちゃう前に覚えておいてほしいと私に託したかったんだ。と、気が付いた。きっと東京のあちらこちらにこういった記憶の場所があったのだ。時代の記憶を上書きし、封じるようにして無機質で高いビルやマンションがなかったことのように建っているのだ。 (2022/5/11 11:52:00) |
伊丹空港 ◆ | > | 私はもう一度、その場所で天を見上げ、おじさんの付けていた補装具の手を思い出しながらこう呟いた。「ずっと覚えてる、約束するよ!おじさん。(補装具の小指と)指切りしよう!」 (2022/5/11 11:54:50) |
伊丹空港 ◆ | > | |・`ө・)ノ (2022/5/11 11:54:57) |
おしらせ | > | 伊丹空港 ◆violet/unba2さんが退室しました。 (2022/5/11 11:55:44) |
おしらせ | > | 歩美さんが入室しました♪ (2022/7/6 01:35:10) |
歩美 | > | ん? (2022/7/6 01:35:18) |
おしらせ | > | 歩美さんが退室しました。 (2022/7/6 01:35:22) |
おしらせ | > | 小野コマネチさんが入室しました♪ (2022/7/12 14:53:50) |
小野コマネチ | > | 🅰️ (2022/7/12 14:54:02) |
小野コマネチ | > | はらはらと落ちた涙に、いつの間にか頼もしく大きくなった娘の手が私の背中を優しく摩った (2022/7/12 14:55:53) |
小野コマネチ | > | 或る日突然、思いもよらず日常の行動を阻害され睡眠や食事までも奪おうと絶えず無慈悲に牙を立てる病に襲われ、日に日に心を砕かれそうになる (2022/7/12 15:00:51) |
小野コマネチ | > | しっかりとした意思を持っていた頃と変わらぬ優しい無邪気な義母が浮かべる微笑みが、そんな私の救いでもありまた、しっかり介護をして恩に報い孝行を返さねばならぬ私へのプレッシャーでもあった (2022/7/12 15:04:09) |
小野コマネチ | > | これまで何も困りも苦労も無くそれが出来ていたのに、特に低い音が聞こえず、首を動かすと不意に視界が急激に回転し、激しい嘔吐に見舞われる今の私には義母の床ずれ防止の寝返りの世話も、筋が固くならないように手足をマッサージしてあげる事すらも困難になってしまったのだ、何も知らずにいつもの笑顔を見せる義母と目が合うと辛くなるのだ (2022/7/12 15:09:57) |
小野コマネチ | > | いや、義母に世話どころか、外出時に突然の発作に見舞われてしまった私は恐怖で外出すら出来ず、我が身の事さえ満足に意思を実行する事が難しい身となってしまった (2022/7/12 15:11:56) |
小野コマネチ | > | しかし私は、そんな不幸もいつまでも続かない事は知っているし信じている (2022/7/12 15:14:19) |
小野コマネチ | > | 健常の頃はいつまでも子供扱いしていた息子や娘だったが、病に侵されたて改めて頼もしく立派な大人に成長を果たしていたのだと気付かされる (2022/7/12 15:16:36) |
小野コマネチ | > | 仕事から帰って疲れているはずの息子が率先して入浴や食事、着替えなどの祖母の世話をし、娘もまた私の側に常に付き添って世話を焼いてくれるのだ (2022/7/12 15:19:13) |
小野コマネチ | > | 時々自分でもハッキリと線引きの出来ぬ涙が溢れてくるのだが、件のはらはらと溢れたものは薬によりやっと横になってぐっすりと眠れた私に「何も心配要らないから、何もしなくて良いから、眠れる時は何時でも眠ってね」と目を潤ませた娘へのありがとうが溢れ出たのだろう (2022/7/12 15:24:09) |
小野コマネチ | > | もうすぐ頼もしい息子とお父さんが帰ってくる。私は鼻奥に熱い熱を残したまま、柔らかく温かい娘に背を撫でられ、目覚めたらきっともっと良くなっている筈だと自分に暗示をかけ、そして眠りにつく (2022/7/12 15:27:36) |
小野コマネチ | > | 🅱️ (2022/7/12 15:28:15) |
小野コマネチ | > | 青空に手を伸ばした (2022/7/12 15:28:32) |
小野コマネチ | > | 毎日自分に前向きに病と闘って弱気な私を打ち負かし克服しようと掛けてきた暗示が効果を出した訳では無いが、発作も減り、眩暈の頻度や耳の奥の視界が生み出す恐ろしい歪んだ世界が大人しくなってきた (2022/7/12 15:33:23) |
小野コマネチ | > | 「この曲聴くとおばちゃんの顔が浮かんでくるんだよねー(笑)」と近所のピアノの先生が弾いてくれたアルルの女は、気持ちが負けそうになった私を勇気づけ、辛くなって再生する度に元気とパワーをもたらせてくれる (2022/7/12 15:38:40) |
小野コマネチ | > | 娘に付き添ってもらい、やっとの思いで往復して通院するそんな私に対して、例年よりも暑く眩しい太陽が、まるで家に閉じこもっていた私を挑発し煽るように、すっかり忘れていた果てしなく広がる群青の天蓋中央で憎らしげに輝いているのだ (2022/7/12 15:45:17) |
小野コマネチ | > | 突如自分でも意外なくらい、今日のアルルの女が勇猛果敢に私の背をグイグイと後押しするでは無いか (2022/7/12 15:46:41) |
小野コマネチ | > | 天を仰ぐとあの壮大なエネルギーが光っていて、これを掴み取れば私に取り込める気がした (2022/7/12 15:48:16) |
小野コマネチ | > | 「ねぇ、お母ちゃん帰りは一人で頑張って帰ってみようかな?」 (2022/7/12 15:49:39) |
小野コマネチ | > | 喉から湧き出た自分の声が娘だけでは無く、その意外にもしっかりと自信に満ちていて私も驚いた (2022/7/12 15:51:03) |
小野コマネチ | > | 心配して留まる娘だったが、回復してきた吉報だと考え直して最後には応援して許してくれた (2022/7/12 15:53:02) |
小野コマネチ | > | スマホからはアルルの女が勇壮に流れて私を応援してくれる。私はアルルのBBAだ、きっと大丈夫! (2022/7/12 15:55:20) |
小野コマネチ | > | 家族がやったな!良かった!凄い!と喜んで迎えてくれたその時の私の帰り道、必要なのは勇気でした (2022/7/12 15:56:59) |
小野コマネチ | > | (2022/7/12 15:57:09) |
小野コマネチ | > | (2022/7/12 15:57:10) |
小野コマネチ | > | ことちゃん、かなちゃま、ありがとう (2022/7/12 15:57:30) |
おしらせ | > | 小野コマネチさんが退室しました。 (2022/7/12 15:57:31) |
おしらせ | > | 冬空 ◆ikoi/zg442さんが入室しました♪ (2022/7/16 14:03:19) |
冬空 ◆ | > | 🅰️ (2022/7/16 14:03:26) |
冬空 ◆ | > | はらはらと零れ落ちるのは… (2022/7/16 14:03:47) |
冬空 ◆ | > | 悲しい…?悔しい…?それとも嬉しくて…? (2022/7/16 14:04:36) |
冬空 ◆ | > | その時の感情により変わっていく涙… (2022/7/16 14:05:09) |
冬空 ◆ | > | ふいに零れ落ちた涙はすぎに止まることはなく次々に溢れ出していく。 (2022/7/16 14:05:59) |
冬空 ◆ | > | 泣いたっていいんだよ…泣くのは決して悪いことじゃない。 (2022/7/16 14:06:52) |
冬空 ◆ | > | いろんな経験を得て人は成長していく。 (2022/7/16 14:07:11) |
冬空 ◆ | > | 以前『涙活』という言葉が流行ったけど辛いときや悲しいとき、泣きたいときは泣けばいい。泣くだけ泣いたら笑いあえればいいのだから…。 (2022/7/16 14:08:52) |
冬空 ◆ | > | 誰かがきっとそばにいてくれる。ひとりじゃない。そんな風に支え合い、励ましあえたらステキなことだし幸せだと感じるだろう… (2022/7/16 14:10:51) |
冬空 ◆ | > | 時には甘い言葉も嬉しくなるがなにもいわずに抱きしめられるだけ、頭を撫でられるだけ、言葉はなくてもそばにいてくれるだけで充分だったりする。 (2022/7/16 14:12:58) |
冬空 ◆ | > | 必要とされ居場所があるのならそれでいい。どんなに大変で辛くてもいつかは笑える時もくるのだから。 (2022/7/16 14:14:11) |
冬空 ◆ | > | 『ありがとう』の一言で元気をもらえる、笑顔になれる。不思議な魔法の言葉。 (2022/7/16 14:16:07) |
冬空 ◆ | > | そしてそんな忙しい1日を終えると眠りにつくのだ。 (2022/7/16 14:16:33) |
冬空 ◆ | > | (2022/7/16 14:16:41) |
冬空 ◆ | > | 🅱️ (2022/7/16 14:16:46) |
冬空 ◆ | > | 青空に手を伸ばすと眩しい日差しに目を細め、「暑い…」と思わず一言呟いた。すると隣にいた彼も同じように「暑いなぁ…」と呟いたのだ。私達は思わず見つめ合い笑ってゆっくり歩き出した。 (2022/7/16 14:19:28) |
冬空 ◆ | > | 出会ったのは数年前のこと。職場に年に数回、定期的に入る業者の一員だった彼と知り合ったんだ。たまたま対応することとなり挨拶を交わしたのがはじまりだった。 (2022/7/16 14:22:13) |
冬空 ◆ | > | 職場内で顔を合わせば笑顔で挨拶を交わし、たまに少し他愛のない会話をするくらいだった。 (2022/7/16 14:23:25) |
冬空 ◆ | > | そのうちによく立ち寄るコンビニやスーパーでも見かけるようになり生活圏が近いことも知ると更に会話も増えていった。 (2022/7/16 14:24:39) |
冬空 ◆ | > | そんな私達の関係を知る由もない同僚達は『仲が良い』という雰囲気だけで根も葉もない噂を立てては話題にしていた。 (2022/7/16 14:26:02) |
冬空 ◆ | > | そう、連絡先の交換すらしたこともない、ただの仲良い友達でしかなかったのに…。やがて彼の職務が終われば職場はもちろん街中でも会うことはなくなった。 (2022/7/16 14:28:20) |
冬空 ◆ | > | 忙しい業務を終え、買い物をしているとふと彼のことが頭に浮かんでくる。もう会えないんだな…と思えば寂しくも感じ連絡先くらい交換しておけばよかったかな…なんて思っていて‥。 (2022/7/16 14:31:22) |
冬空 ◆ | > | 会えなくなって暫く経った頃、偶然街中で再会した。 (2022/7/16 14:32:05) |
冬空 ◆ | > | 「久しぶり!元気だった?…」お互い挨拶を交わすと真っ先にスマホを手にしていた。もっと早くこうしていればよかった。必要なのは勇気でした。 (2022/7/16 14:33:48) |
おしらせ | > | 冬空 ◆ikoi/zg442さんが退室しました。 (2022/7/16 14:33:58) |
おしらせ | > | 隅錬三郎 ◆violet/unba2さんが入室しました♪ (2022/7/17 08:58:31) |
隅錬三郎 ◆ | > | |өಡ)チラッ (2022/7/17 08:58:55) |
隅錬三郎 ◆ | > | みなさまお暑うございますねっ! (2022/7/17 08:59:14) |
隅錬三郎 ◆ | > | ひさびさすぎて緊張! (2022/7/17 08:59:35) |
隅錬三郎 ◆ | > | 🅱️ (2022/7/17 08:59:45) |
隅錬三郎 ◆ | > | 青空に手を伸ばした。昨日までの嵐が嘘のようだ。どこまでも澄んだ青い空だ!そしてまだ朝7時前だというのに日差しが眩しい。暑い!…夏だ。私は心でそう叫びながら、パジャマも脱ぎ捨てバルコニーで夏を仰いだ。 (2022/7/17 09:03:29) |
隅錬三郎 ◆ | > | すべてがキラキラしている。バルコニーに溜まった水たまりに青空が映る。バルコニーの前には公園のソテツが軽く揺れている。父の書斎から流れてくるFMからはTATSURO YAMASHITAが響いている。 (2022/7/17 09:07:49) |
隅錬三郎 ◆ | > | そして、今日から夏休みだ。と、私にとって今回は16回目の夏なのだ。高校生になって初めての中間テストも期末テストも私なりに頑張ったと思う。明後日から夏期講習も、ラクロスの部活もあるけど、今日は私が思い描いていた通りの夏に酔いしれたい気分だ。もう少し風にあたったら冷蔵庫で冷やしていたルイボスティーも持ってこよう。 (2022/7/17 09:12:12) |
隅錬三郎 ◆ | > | 昨夜はなかなか眠れなかった。遠くの雷鳴が気持ちを深く不安にさせた。気分を紛らわせるため買ってもらったばかりのスマホでPocket Monsters GOをタップしていたけど、鳥系と虫系のすでに集めていたモンスターばかりひょこひょこ現れるだけで、あまり興味のひくものはなかった。そしていつのまにか眠りについていた。 (2022/7/17 09:16:04) |
隅錬三郎 ◆ | > | 昨夜見た夢は最悪だった。YASUYUKI OKAMURA風にいえば、シャイなハート、ビビッドな日常、キミが困るようなエモーショナルなエナジー15分。解けないマホーで朝まで革命チックなダンキンシュート!のつもりだったのに、現実は、MOTOHARU SANOのような、スケアリーな夢。シュールな夢。But it's all right(バリソーライ)。見知らぬ夜。誰かの声が聞きたいけど、眠りについたジェネレーション。ユーモアもないセンスもないフェイクなだけのスクラップピンナップ!あんなインチキな夢もうこりごりうんざり!きっとそんな印象の夢だった。 (2022/7/17 09:29:57) |
隅錬三郎 ◆ | > | だから、バルコニーを照らし続ける太陽に、生まれ変わったような私の気持ちを託している。もう悪いことは起こらないよ。今日から私は毎日をハッピーなことだけ思い描けばいいのさって。ぐっと背伸びをして、そのまま空を見上げれば、高く遠く、セスナ機が作った飛行機雲を目で追った。そこへ、Big Fat Mamaの声がだんだん近づいてくる。 (2022/7/17 09:33:11) |
隅錬三郎 ◆ | > | 「あんたいいかげんにしなさいよ!高校生にもなって恥ずかしい!」Big Fat Mamaは私に洗濯したてのシーツと、敷布団を手渡された。「16にもなってまだおねしょなんて!寝る前にトイレは必ず済ませとくの!わかった?」Oh!MY!GOD!!! (2022/7/17 09:35:51) |
隅錬三郎 ◆ | > | 今日、私に託されたことはこのシーツと布団を干す。あん(•ө•)♡…そう、必要なのはその勇気だけだった。 (2022/7/17 09:39:08) |
隅錬三郎 ◆ | > | |өಡ)ノ (2022/7/17 09:39:34) |
おしらせ | > | 隅錬三郎 ◆violet/unba2さんが退室しました。 (2022/7/17 09:39:38) |
おしらせ | > | ・さんが入室しました♪ (2022/7/27 15:08:47) |
・ | > | まいります!(_๑òωó)_バァン (2022/7/27 15:09:27) |
・ | > | 🅱️「青空に手を伸ばした」で始まり、「必要なのは勇気でした」で終わる物語です。 (2022/7/27 15:09:39) |
・ | > | 青空に手を伸ばした。 (2022/7/27 15:10:03) |
・ | > | アニメのヒロインの女子高生がこんな仕草をするなぁと思いつつ、美也はついでに背筋も伸ばしてみた。 (2022/7/27 15:10:23) |
・ | > | (でも、三十路になっちゃったんだよぉ〜) (2022/7/27 15:10:43) |
・ | > | 五月の或る晴れた日、美也は以前の部署にいた仲の良い40代の女上司と飲む約束をしていた。目黒の、居酒屋ながら小綺麗で品のいいお店に入り、夕方になってから夫婦で営んでいる馴染みのスナックバーに出かけた。 (2022/7/27 15:11:29) |
・ | > | 渋谷からたった二駅なのに、一気に庶民的になる三軒茶屋の商店街にその店はあった。 (2022/7/27 15:12:20) |
・ | > | スナックと言えば中高年の社交場と思いきや、電子ピアノとサイレントギターの置いてあるその店は、地元の中高年たちが集う場でもあったが、渋谷が近距離なこと、大学が近いこと、そして隣駅に有名なライブハウスがあったことも兼ね備わって老若男女様々な人が集う店だった。 (2022/7/27 15:12:39) |
・ | > | 経営者夫婦の客あしらいが上手な事もあり、客同士みんな仲が良かった。 (2022/7/27 15:13:10) |
・ | > | 美也は、そのお店に来ると必ずカラオケのデンモクに触れて、選曲の履歴を見ていた。洋楽からアイドルから懐メロからアニメソングまで選曲の幅が広く、あらゆるジャンルの歌が仲良く混在していた。どんな人が歌ったのだろう?それを想像するのが好きだった。 (2022/7/27 15:13:50) |
・ | > | 美也の上司も覗き込んで「幅広いっ!」と笑った。 (2022/7/27 15:14:21) |
・ | > | 還暦を迎えたママが「また見てる!いつもデンモク見てるのね」と目を細めて美也に声を掛けた。「私もマスターもプロのオリジナル曲よりも皆さんの歌を聴いているほうが好きよ」 (2022/7/27 15:14:45) |
・ | > | その言葉は決してお追従ではなかった。経営者の二人は仕込みの間、気に入ったお客さんの歌をこっそり録音して聴いていたのだった。 (2022/7/27 15:14:59) |
・ | > | 美也がほろ酔い気分になった頃、しばらく顔を見ていなかった人が現れた。もの静かな何処か品のある雰囲気の中年女性、香帆さんだった。 (2022/7/27 15:15:23) |
・ | > | 香帆さんは美也に気づくと目を大きく見開き胸の辺りで掌を振って笑顔のまま隣の席に腰を下ろした。 (2022/7/27 15:15:50) |
・ | > | 香帆さんはいつも二人連れだった。メガネを掛けて髭を生やした陽気で爽やかで猥談好きな人気者のケンさんが必ず隣にいた。 (2022/7/27 15:16:21) |
・ | > | 美也は、初めて会った時、ケンさんと香帆さんを大人の男女の友達なんだと思っていた。なぜなら、ケンさんがどんなに他の女性客に色目を使っても口説いても、香帆さんは隣でにこにこと微笑んでいるだけだったからだ。 (2022/7/27 15:17:06) |
・ | > | ケンさんは人気者だった。男女問わず歳上から人望があり歳下から慕われていた。やれパーティーだ、やれ花見だと美也も呼び出された。 (2022/7/27 15:17:27) |
・ | > | 「ケンさんわぁー?」美也が尋ねると店主二人がハッとしたような顔をした。 (2022/7/27 15:18:02) |
・ | > | 「ケンさん?ケンさんね、ちょっと天国に行っちゃったのよぉ」香帆さんは困ったように笑っていた。 (2022/7/27 15:18:28) |
・ | > | 「うそっ?うそでしょ?」「そういう時は『ほんと?』って言うのよって教えたでしょ?」香帆さんは笑顔のままだった。 (2022/7/27 15:18:50) |
・ | > | 「胃がんだったのよ。切除手術したんだけど、転移しちゃってね。大丈夫大丈夫って病院行かないんだもの。それから、あっという間よぉ。松ちゃんはコロナ怖がってるし、太郎さんは腰やられて自宅療養だし、もうお芝居見に行く人いなくなっちゃった。」 (2022/7/27 15:19:19) |
・ | > | 香帆さんの言葉が止まると美也と香帆さんの前に江戸切子のおちょこが置かれた。おでこを人差し指で掻きながら美也の上司が「私から」と小声で囁き皆に冷酒が振る舞われた。 (2022/7/27 15:21:51) |
・ | > | 「何回目かなあ?ケンちゃんに献杯するの。お陰で何度もふるまい酒がいただけたよ」とハンチングをかぶった老人が乾いた笑みを浮かべた。 (2022/7/27 15:22:21) |
・ | > | 世間話しと思い出話しに興じているうちに21時になり、香帆さんが「楽しかったぁ。遠いいから」と言って立ち上がり皆に頭を下げると、やっぱり胸の辺りで掌を振って去っていった。 (2022/7/27 15:22:41) |
・ | > | 遅れて30分後、美也と上司が会計をお願いすると支払いは香帆さんが済ませてくれていた。 (2022/7/27 15:23:08) |
・ | > | 慌てて交換したばかりのLINEにお詫びを入れて、『私がお芝居おつきあいします!おつきあいさせてください!』と付け加えた。 (2022/7/27 15:23:25) |
・ | > | 六月末日、美也と香帆さんは浅草の大衆演劇場木馬館の前で再会した。 (2022/7/27 15:23:51) |
・ | > | 初めて連れて来られた日は五人だった。一人だけ世代の違う美也をみんな優しく受け容れてくれた。その事を美也は深く恩義に感じていた。 (2022/7/27 15:24:51) |
・ | > | 初めて見た演目は、奇しくも美也が幼稚園の時に祖母と観た喜劇『駱駝』だった。 (2022/7/27 15:25:10) |
・ | > | 二作目は橋の袂で屋台の甘酒屋を営む母と、自分が橋の袂に捨てて、その後、大泥棒に身を落とした息子との再会を描いた人情物語だった。美也も香帆さんも嗚咽を漏らして泣いた。懐かしい思い出だ。 (2022/7/27 15:25:33) |
・ | > | 歌舞伎も桟敷席で見せてもらった。確かに感動した。だが、大衆演劇の家族的な空気と女形のどこか崩れたような色気を美也は好きだった。 (2022/7/27 15:25:56) |
・ | > | もしも、 (2022/7/27 15:26:22) |
・ | > | もしも、美也に過失が無ければ、ケンさんや香帆さんたちとの色々なイベントに顔を出し続けていたのだろうが、ある時から美也はケンさんたちから距離を置くようになった。 (2022/7/27 15:26:35) |
・ | > | 誰にも秘密のままにしていたが、美也は亡くなったケンさんと一度だけ肉体関係を結んでしまった。情熱的な言葉で口説かれ続けて酔いに任せて抱かれたことがあった。 (2022/7/27 15:26:53) |
・ | > | モテる人だけあってケンさんは、美也にとっては女の扱いが天才的に思えた。 (2022/7/27 15:27:29) |
・ | > | その後、或る人からケンさんと香帆さんは友達じゃないよ?夫婦だよ?と聞かされた。 (2022/7/27 15:27:48) |
・ | > | それから気まずくなってケンさん香帆さんたちの仲間と距離を置き、美也は自らフェードアウトしたのだった。 (2022/7/27 15:28:15) |
・ | > | まさか五年の時を経て、フミさんと再びここに来るとは…。美也は『ものみなすべて物語めき』という太宰の言葉を思い浮かべた。 (2022/7/27 15:28:36) |
・ | > | その日は人気劇団の千秋楽で、ところどころ笑いを交えた人情芝居に観客のほとんどが咽び泣いていた。美也に至っては又しても号泣だった。 (2022/7/27 15:29:25) |
・ | > | 芝居小屋を出たところで香帆さんは「よかったわねぇ?美也ちゃんと来られてほんと幸せよっ!あと、OLや女子大生のグループがいたけど、時代は変わるのねぇ。あなたがあまりに泣くから何人か振り向いている人がいてね気が散ったわよ!」香帆さんは興奮覚めやらぬ状態だった。 (2022/7/27 15:29:59) |
・ | > | 「初めて連れてこられた時はおじいちゃんとおばあちゃんばかりだったけど、ヴィジュアル系バンドのファンみたいな人がいましたね?でも、また来られてよかったです。」 (2022/7/27 15:30:33) |
・ | > | 未だに演劇を続けている友人がいる美也は小劇場には足を運んでいた。どんな芝居であれ、芝居自体が好きだった。だから心から香帆さんに感謝していた。 (2022/7/27 15:30:58) |
・ | > | 二人、取り留めもなく演劇の話しをしながら吾妻橋まで歩いたところで「水上バスに乗ろうよ!お台場まで行こっ!」と香帆さんが言った。 (2022/7/27 15:31:20) |
・ | > | コロナの影響なのか乗船客は少なかった。SFに出てくるようなデザインの水上バスは屋根の上にデッキがあり、二人はマスク外して並んで立った。 (2022/7/27 15:31:44) |
・ | > | 「ねぇ美也ちゃん?ケンさんの写真持ってる?私スマートフォン壊してね、新しいスマホに画像を移動出来なかったのよ。恥を忍んで奥さんにお願いしたら断られちゃって。当たり前よね?」両手でデッキの柵を握りしめたまま香帆さんは真っ直ぐ前を向いていた。 (2022/7/27 15:33:07) |
・ | > | 「奥さん?え?奥さんって?」ぼんやり聞いていた美也だったが目を見開いて香帆さんを見た。 (2022/7/27 15:34:05) |
・ | > | 「知らなかったのよね?私とケンさん、不倫よ。不倫。」香帆さんはチラっと美也を見てまた真っ直ぐ前を向いた。 (2022/7/27 15:34:40) |
・ | > | そこからの香帆さんの身の上話しは美也に衝撃を与えるに充分だった。 (2022/7/27 15:35:06) |
・ | > | 香帆さんとケンさんは横浜の高級住宅街に住む仲の良い夫婦。それが美也や、三軒茶屋のスナックバーの常連客や友人たちの想像する姿だった。だが、どの人の想像もハズレていた。 (2022/7/27 15:35:47) |
・ | > | 香帆さんとケンさんはどちらも横浜関内に在る別々の会社に勤めていた。若い頃に二人は偶然仕事絡みで出会い、意気投合し、帰り道も同じで驚くことに降りる駅も同じだった。 (2022/7/27 15:36:54) |
・ | > | 下りの進行方向、右手にはケンさんの住む住宅街、左に降りて歩くと耕作地の残る郊外の町。二人は同じ町の人だった。 (2022/7/27 15:37:18) |
・ | > | 美也は、横浜市にも畑があることに驚いたが、香帆さんは農家の長女だったことにも驚いた。婿養子が来て家業を継いでくれていたらしい。そして、継ぐ気のない香帆さんは勤めに出ていたらしい。 (2022/7/27 15:39:07) |
・ | > | ケンさんは機械設計の仕事をしていて要職にあり妻と二人の子供がいた。 (2022/7/27 15:39:25) |
・ | > | 秘密のまま二人は残業を偽ってはつかの間の逢瀬を重ね、34歳で香帆さんの夫は病死し、事情は知る由もないがケンさん夫婦は別居することになった。 (2022/7/27 15:39:54) |
・ | > | 不倫は一般的には不道徳だ。誰かが傷つくような恋愛に対して美也は心が曇る。あの背徳感に耐えるのは余程の原動力がなければ耐えられないと思う。 (2022/7/27 15:40:11) |
・ | > | しかし、香帆さんとケンさんにインモラルなイメージを抱くことは出来なかった。 (2022/7/27 15:43:08) |
・ | > | 目の前にいる香帆さんはまるで植物のような人だ。 (2022/7/27 15:43:40) |
・ | > | 「当たり前だけれど、別居しているとは言え、過去のケンさんの写真はくれなかったわ。あるのはこれだけ。会うこととこれだけは許してくれたの。」と言って見せてくれたのは斜め上から撮られた別人のようにやせ衰えたケンさんの死に顔だった。 (2022/7/27 15:44:50) |
・ | > | 見たくはなかった。思い出だけでよかった。精神的にそれはつらかった。けれど、美也は何も言わなかった。 (2022/7/27 15:45:28) |
・ | > | 「美也ちゃん?五年前にケンさんに口説かれていたでしょ?」にやにやと笑いながら香帆さんは美也の顔を覗き込んだ。 (2022/7/27 15:46:06) |
・ | > | 内心狼狽えたが必死に平静を装い「ケンさんは誰だって口説くじゃないですか!危うく本気にするとこだったけれど、ドッキリ企画だと思って理性効かせましたよっ」と笑って誤魔化した。 (2022/7/27 15:46:26) |
・ | > | 「えー?危うかったぁ?美也ちゃん、あの時危うかったのはケンさんなのよ。」香帆さんはうっすらと笑みを浮かべて「『俺ヤバいかもしれない』って、のうのうと私に告白するのよぉ?」そう言って美也の顔を覗き込んだ。 (2022/7/27 15:47:06) |
・ | > | 「これもドッキリ企画ですか?」美也が必死の笑顔で答えると香帆さんは「虐めるのはかわいそうだから話題を変えま〜す」と言って「美也ちゃん?美也ちゃんは今素敵な恋愛をしていますか?」と尋ねてきた。 (2022/7/27 15:47:33) |
・ | > | 美也はそれを聞いて、肉声であまり聞くことの無い、いい女だけに似合う台詞回しだなぁと思った。 (2022/7/27 15:48:07) |
・ | > | 「わたしに恋愛似合わないから」と美也が照れ笑いすると、香帆さんはますます美也が悲鳴を上げるような臭いセリフを吐いた。 (2022/7/27 15:48:28) |
・ | > | 「それではクイズです!恋に必要なのはなんでしょうか?」 (2022/7/27 15:49:15) |
・ | > | (第三者に絶対に聞かれたくないセリフだと思った。) (2022/7/27 15:49:40) |
・ | > | 「よしっ!美也ちゃんにとってと付け加えよう!」 (2022/7/27 15:50:25) |
・ | > | 水上バスはお台場に近づこうとしていた。湿気の多い風が香帆さんの髪を乱していた。美人だ。けれど、一瞬綺麗なのに怖いと思った。それが何故なのか美也わからなかった。 (2022/7/27 15:50:53) |
・ | > | 美也にはわからなかった。 (2022/7/27 15:51:14) |
・ | > | 美也が「色気!」と答えると香帆さんは手の甲を口元に当てて吹き出した。そして「ファイナルアンサー?」と悪戯っぽく美也の顔を覗き込んだ。 (2022/7/27 15:51:55) |
・ | > | 「ファイナルアンサー」 (2022/7/27 15:52:10) |
・ | > | 美也が答えると、香帆さんはこう言った。 (2022/7/27 15:52:29) |
・ | > | 「ブー!」 (2022/7/27 15:52:49) |
・ | > | 「必要なのは勇気でした。」 (2022/7/27 15:52:57) |
・ | > | おしまい。 (2022/7/27 15:53:07) |
・ | > | ことねんでした。 (2022/7/27 15:53:14) |
・ | > | 🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹 (2022/7/27 15:53:28) |
おしらせ | > | ・さんが退室しました。 (2022/7/27 15:53:35) |
おしらせ | > | 歩美さんが入室しました♪ (2022/8/1 22:49:11) |
歩美 | > | 🅱️「青空に手を伸ばした」で始まり、「必要なのは勇気でした」で終わる物語 (2022/8/1 22:49:28) |
歩美 | > | 青空に手を伸ばした、届かないものを求めるように。そして、ぶつぶつと独り言が始まるんだ・・・ (2022/8/1 22:49:39) |
歩美 | > | 自分ではわかっているつもりなんだ、余計なことをあれこれと考えてしまうのが悪いんだって。物事を悪い方悪い方に考えて、身動きが取れなくなってしまうってことが。よく言うよな、「やらない後悔よりやる後悔の方が良い」 そんなこと言ったって、その一歩が踏み出せないんだから、仕方がない。「ダメもとで行ってみろよ」ダメだった時お前が責任取ってくれるのかよ、ってな。 (2022/8/1 22:49:52) |
歩美 | > | 生きるか死ぬかという選択なら、何とか生き残れる方を選び出すだろうけど、彼女に告白するかしないかじゃ、死にはしない。告白して断られて恥ずかしい思いをするのなら、彼女をあきらめた方が傷つかないで済むんじゃないかって思ってしまう。まあ、あきらめられないから、こうしてうだうだしてるんだけどな。 (2022/8/1 22:50:04) |
歩美 | > | どう考えたって、つり合いが取れないんだよ。彼女は高嶺の花で、僕は何のとりえもないどんくさい奴。・・・とまでは、いかないとは、思っては、いるんだけど。 (2022/8/1 22:50:16) |
歩美 | > | 「お前は、名前で損してるかもな」よく友達に言われたよ。名前は僕のせいじゃない。 (2022/8/1 22:50:28) |
歩美 | > | 好意なんて、勇気を持ってふり絞って出すもんじゃなく、抑えきれずに溢れ出てしまうもんなんじゃないの?なんて言ってくれる奴もいたけど、本人を前にすると、どっかからブラックホールが現れてきて吸い取られてしまうんだなあ。んで、本人がいなくなると、ブラックホールごと爆発する。 (2022/8/1 22:50:40) |
歩美 | > | 「聞こえてるぞ!そのぶつぶつという独り言。」 (2022/8/1 22:50:51) |
歩美 | > | 「あ!本人!って、なんで?!そこに・・・」 (2022/8/1 22:51:02) |
歩美 | > | 「私もな!必要なんだよ。ただな、私のは、その踏み出す一歩分の勇気じゃなく、祐樹!お前がな」 (2022/8/1 22:51:13) |
おしらせ | > | 歩美さんが退室しました。 (2022/8/1 22:51:32) |
おしらせ | > | ・さんが入室しました♪ (2022/8/30 19:42:26) |
・ | > | 🅰️! (2022/8/30 19:43:11) |
・ | > | 「はらはらと落ちた」で始まり、「そして眠りにつく」で終わる物語ー! (2022/8/30 19:43:20) |
・ | > | 🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹 (2022/8/30 19:43:56) |
・ | > | はらはらと落ちたてきたのはスケルトンリーフでした。 (2022/8/30 19:44:23) |
・ | > | それは沙知が小学生の時に、理科の実験で作った蒼く染められた葉脈だけになった木の葉です。 (2022/8/30 19:44:49) |
・ | > | 高校時代、遠縁の親類から貰った『月山』という小説はあまりに方言が多く、完読出来ませんでした。 (2022/8/30 19:45:24) |
・ | > | その葉脈だけの木の葉は読みかけの『月山』の間に栞代わりに挟まれたまま忘れ去られていたのですが、二十年近い時を経て久しぶりに開いた『月山』からそれが落ちてきたのです。 (2022/8/30 19:46:06) |
・ | > | 月山は山形県中央部に位置する日本百名山の中にある山の名前です、 (2022/8/30 19:47:11) |
・ | > | 何故、沙知がその本を手にしたのかと言うと、叔母の義父 武志さんの故郷が山形県酒田市で、その武志さんが、本家の九十歳を過ぎた長男に生きているうちにどうしても会いに行きたいと言い出し、持病もあるし歳も歳なのでと叔母が気を揉んで沙知の父親に相談してきて、それを聞いた沙知は老夫婦の助けになればと思い立ち、一人勝手に山形行きを決めたのでした。 (2022/8/30 19:48:30) |
・ | > | 「父から聞いたのですがご夫婦で山形に行くのですか?私もお供させていただけませんか?」 (2022/8/30 19:49:17) |
・ | > | 「もう一度日和山公園からの夕日が見たくて。その代わり私が運転をします。旅費も自分の分は出します!」 (2022/8/30 19:49:48) |
・ | > | 沙知は相手の心の負担にならぬよう細心の注意を払ったつもりでした。 (2022/8/30 19:50:16) |
・ | > | 相手は一度は丁寧に遠慮したものの、翌日向こうから「よろしくお願い致します」と電話が来ました。 (2022/8/30 19:50:55) |
・ | > | 電話の直後、直ぐに従妹の真綾からLINEが届きました。 (2022/8/30 19:51:16) |
・ | > | 「さっちゃん、うちのおじいちゃんとおばあちゃんと酒田に行くの?私も行きたい!でもね、おじいちゃん、優しいけど超〜〜短気だよっ!😁」 (2022/8/30 19:52:10) |
・ | > | 沙知は、武志さんの気難しい学者のような顔を思い浮かべて一瞬不安を感じましたが、従妹の参加は不安を打ち消すに充分でした。 (2022/8/30 19:52:45) |
・ | > | 実は、素直で優しい社会人になりたての従妹もまた沙知を助けようと思い、自ら名乗りを挙げたのでした。 (2022/8/30 19:53:35) |
・ | > | まだ大学に入学したばかりのもう一人の従妹は用事があってお供が出来ず悔しそうな顔で、叔母夫婦は心配そうな顔で玄関に立っておりました。 (2022/8/30 19:54:18) |
・ | > | 「お父さん!僕のクルマの方が新しいし安全なんだよっ!」 (2022/8/30 19:54:38) |
・ | > | 叔父が懇願するように声を掛けても武志さんは「私には不慣れなジェット機よりも慣れたプロペラ機の方がいいんだよ」と笑って叔父の言葉を遮ってしまいました。 (2022/8/30 19:55:16) |
・ | > | 助手席に従妹の真綾、後部座席に従妹の祖父母武志さんと康恵さんを乗せて出発したものの、コンパクトカーしか運転したことのない沙知は武志さんの古びた大きなセダンが不安でたまらりませんでした。カーナビも古すぎて画面が遠い昔のゲーム機の画面を見るようでした。 (2022/8/30 19:56:08) |
・ | > | 平静を装っていたもののエアコンの吹き出し口の前で何度も掌の汗を扇いでいました。 (2022/8/30 19:56:31) |
・ | > | 実は沙知にとっては初めての高速道路でした。緊張しつつも早く目的地に辿り着いていいところを見せようと気ばかり焦り空いていた追い越し車線を走り続けました。 (2022/8/30 19:57:59) |
・ | > | 群馬に入り赤城山を越えた所で、ドリンクホルダーのジュースに手を伸ばした時でした。凹凸のある白線を踏み車内に思いのほか大きな音と振動が響き渡り老夫婦も従妹も悲鳴を上げました。 (2022/8/30 19:58:26) |
・ | > | 気を取り直して中央車線に戻ったところで覆面パトカーが赤色燈を回しながら隣に並び、誘導された場所で沙知は違反切符を切られたのでした。 (2022/8/30 19:58:49) |
・ | > | やたらと愛想のいい警官は「罰金が安くなるので速度が落ちたところで記録しましたからね」と笑顔を浮かべていた。罰金一万八千円は沙知には手痛い出費でした。口元は笑っていても涙目です。 (2022/8/30 19:59:39) |
・ | > | クルマに戻ると外に出ている武志さんのこめかみに血管が浮いているのが見えました。 (2022/8/30 19:59:57) |
・ | > | 慇懃な語り口で「そろそろ運転を代わりましょう」と言うと萎縮しきった沙知の前に掌を出し、沙知は小さくなってキーを渡しました。役に立とうと思っていたのに面目丸潰れです。 (2022/8/30 20:00:28) |
・ | > | 従妹の真綾が後部座席に座り、仕方なく沙知は助手席でスマートフォンを頼りにナビを務めることにしました。 (2022/8/30 20:01:42) |
・ | > | 真綾が後ろから「さっちゃんさっちゃん!見て見て!」と沙知の目の前にスマートフォンをかざしました。画面を見ると、覆面パトカーの脇でうなだれている沙知の姿が連写されていました。 (2022/8/30 20:02:25) |
・ | > | 康恵さんが「これっ!」と叱ると真綾は悪びれることなく笑い、みんなに笑いが伝染しました。 (2022/8/30 20:03:04) |
・ | > | 武志さん夫婦も真綾も、つまり、従妹の家族はみんな旅行好きで国内外と旅慣れていたのですが、 (2022/8/30 20:03:31) |
・ | > | 沙知は随分長い間職場と家の往復で、幾度か日帰り旅行くらいはありましたが、長患いで十数年以上入院したままの姉を思うと旅の友は罪悪感という重い荷物だけなのでした。 (2022/8/30 20:04:07) |
・ | > | いつも心ここに在らずでした。 (2022/8/30 20:04:22) |
・ | > | しかし、今回の旅は行楽ではないのです。老夫婦の為なのです。そんな大義名分が沙知を気楽にさせていたのでしょう。 (2022/8/30 20:05:26) |
・ | > | 関越を抜けて、海沿いの道路を走り続け、日本海が見えたところで沙知は何度も嘆声を上げ溜め息を漏らして助手席の窓に顔を寄せていました。 (2022/8/30 20:05:52) |
・ | > | 真綾はそんな沙知を見て「さっちゃんが一番歳下みたい!」と笑いました。 (2022/8/30 20:06:34) |
・ | > | 武志さんと従妹の真綾が交互に運転を代わり、やがてクルマは築八十九年という大きな屋敷の庭に入りました。ホッと一安心です。 (2022/8/30 20:07:05) |
・ | > | しかし、やっと失態から立ち直った沙知に再び悲劇が襲いました。父親が用意してくれた土産を自宅に置き忘れてきたのでした。 (2022/8/30 20:07:40) |
・ | > | 「あぁ!どうしよう!用意していたお土産がないっ!」 (2022/8/30 20:08:03) |
・ | > | 絶句する沙知を見て武志さんの呆れ顔、眉間に深い縦皺が浮かび上がりました。 (2022/8/30 20:08:50) |
・ | > | 「い、いいですからっ。別の家に用意していたものがありますから、さっちゃんからこれを渡してください」上擦った声で武志さんは沙知に別宅に用意しておいた土産を差し出しました。 (2022/8/30 20:09:58) |
・ | > | 小さくなって深々と挨拶して借り物の土産を渡す沙知を見て、酒田の人々はひたすらに笑いを堪えていました。 (2022/8/30 20:10:35) |
・ | > | 実は、沙知の父親が先回りして「おっちょこちょいなうちの娘が土産を家に置き忘れておりました!手ぶらでお訪ねする娘をお許し下さい!」と酒田の家にお詫びの電話をしていたのです。 (2022/8/30 20:11:34) |
・ | > | すると、武志さんの兄昇一さんも、昇一さんの娘の秋美さんも息子の慎也さんも大笑いしました。 (2022/8/30 20:13:10) |
・ | > | 「さっちゃんのお父さんから先に聞いてたよぉ!電話があったんよ。」忍び笑いを堪える秋美さんから告げられると沙知は頬を赤く染めてひたすら頭を下げました。 (2022/8/30 20:14:06) |
・ | > | それを見た昇一さんが何か言ったのですが、沙知には庄内弁が通じず、慎也さんが「通訳するとね『いくつになったんだかわかんねけどめんこいのう』と言ったんだよ。」と説明して皆が大笑いしましたが、面目丸潰れの沙知はまたしても涙目でした。 (2022/8/30 20:14:49) |
・ | > | クルマで十分程の近所の温泉に行き長風呂から帰って来るとご馳走とお酒が用意されていました。 (2022/8/30 20:15:50) |
・ | > | 海の幸、山の幸、色とりどりの料理が所狭しと卓台の上に並んでおり、主の昇一さんが正座したまま神妙な顔で「こんだばりでわりの」と言いました。 (2022/8/30 20:16:08) |
・ | > | 悔しいことに沙知にはやっぱり庄内弁は殆ど通じず、勘と笑顔だけを頼りに相槌を打っておりました。 (2022/8/30 20:16:57) |
・ | > | 通じずとも気は心、飲むほどに酔うほどにみな朗らかに笑い楽しく酒宴が終わり、90歳の昇一さんと奥さんは寝室に、武志さんと康恵さん、真綾と沙知はまるで柔道場のように広い和室に床を並べて眠りにつきました。 (2022/8/30 20:17:50) |
・ | > | 「さっちゃんさっちゃん?天井まで何メートルあるのかなぁ?」真綾は古い屋敷が怖かったので、沙知に声を掛けたのですが既に沙知は深い眠りの中にいたのでした。 (2022/8/30 20:18:22) |
・ | > | 翌朝、沙知は五時に目を覚ましました。庭に出てみると竈に薪をくべている昇一さんの姿が見えたので、何をしているのですか?と尋ねたものの相変わらず外国人と話しているように言葉が理解できずもどかしいばかりでした。ただ、赤飯を炊いていることはわかりました。 (2022/8/30 20:19:09) |
・ | > | 「さっちゃん!いっぺあっさげ、じんぎさねで、たんとくってけれっ」 (2022/8/30 20:19:51) |
・ | > | 昇一さんは黙っていると時代劇に出てくる侍のように厳しい顔なのに、笑うとチャーミングなお年寄りでした。九十歳の老人なのに沙知には不思議と可愛く見えて仕方ありませんでした。 (2022/8/30 20:21:17) |
・ | > | 朝食をとった後、あちらこちらと名所を回って、湯野浜温泉に到着すると昇一さん武志さん両夫婦と、慎也秋美兄妹、真綾沙知の従姉妹同士四人づつ二部屋に分かれて荷物を置いて茶話会となりました。 (2022/8/30 20:23:17) |
・ | > | 昇一さんの長男慎也さんが外にタバコを吸いに行くのでつきあうかい?と言ったのですが、真綾と秋美さんは疲れたので部屋でくつろいでいると遠慮したので、沙知が慎也さんにつきあって浜辺に出ることにしました。 (2022/8/30 20:23:57) |
・ | > | 昼間のジリジリと肌を焼くような陽射しが和らぎ沙知は海風の心地良さを堪能しました。 (2022/8/30 20:24:32) |
・ | > | 「さっちゃん知ってるかぁ?東京にしかいないと思っていたんだけどなぁ、あんたんとこの苗字酒田にも多いんだよぉ。 (2022/8/30 20:25:08) |
・ | > | で、更に調べたわけさ。そしたらな、うちの苗字とさっちゃんとこの苗字、酒田と兵庫県や岡山にも多いんだっ」 (2022/8/30 20:25:33) |
・ | > | 水平線にしぶとく鎮座ましましている太陽を見つめて慎也さんが言ったのを聞いて沙知は「北前船!?」と声を上げました。 (2022/8/30 20:26:20) |
・ | > | 「そうなんよ。あんたんちとウチは血の繋がりはないけれどな、江戸時代に同じ舟に乗っていたのかもしれないんだなっ。」 (2022/8/30 20:26:37) |
・ | > | 目を見開いて沙知が慎也さんを見ると実に慎也さんは自分の推理が誇らしいかのようです。黙ったまま波打ち際を歩きながら互いの不思議な縁を感じていました。 (2022/8/30 20:28:15) |
・ | > | 慎也さんは沙知の方を見ないまま、その気配だけに遠い昔、悲しい別れをすることになった恋人のことを思い浮かべておりました。 (2022/8/30 20:29:21) |
・ | > | 沙知は沙知で親子程の年齢差でしたが、慎也さんに初恋じみた好意を感じておりました。 (2022/8/30 20:32:06) |
・ | > | お互いに相手の胸の内を知る由もありませんが、(違う時代に近い世代で出会っていたら…) 偶然にして二人はぼんやりと同じことを空想していたのです。 (2022/8/30 20:34:09) |
・ | > | 随分と歩いた所で、「ホテルに帰るかぁ?」と慎也さんが言い、二人は砂浜から道路の方に上がりました。すると、足湯が目に入り、慎也さんが駆け足で土産物屋に入りハンドタオルを買ってきて「せっかくだから!ほれほれ」と言うので、サンダルを脱いで二人並んで足湯に足を投げ出してみました。 (2022/8/30 20:36:10) |
・ | > | 黄昏時の潮風と足湯、沙知はとても幸せな気持ちでした。お湯の中のつま先をぼんやり見ていると「あれ?秋美さんからLINEが来ました!」見てみるとホテルの窓から撮ったのでしょう、慎也さんと沙知が波打ち際に並んでいる写真でした。「後ろ姿も素敵したよ(笑)そろそろ帰っておいでー♪」という言葉が添えてあり、慎也さんはスマートフォンを覗き込むと「いんやぁ、いい写真だなあ!」とたいそう喜んでおりました。 (2022/8/30 20:41:16) |
・ | > | 二日目の宴会も話尽きることがなく、そして笑いが絶えることなくお開きとなり、ご高齢のご夫婦たちと分かれて、慎也秋美兄妹と真綾と沙知の四人は部屋で酒宴の続きを始めることとなりました。 (2022/8/30 20:52:09) |
・ | > | 「初めて酒田来た時日和山公園の近くの料亭に入ったの憶えてます!あそこが相馬亭?」窓から入る潮風を浴びながら沙知が慎也秋美兄妹に尋ねると (2022/8/30 20:55:26) |
・ | > | 「相馬樓のこと?違うよお!よくさっちゃん憶えてるねえ?じゃあさ、芸者さんに『怪物くん』好きなの?って聞いたの憶えてる?」 (2022/8/30 20:58:02) |
・ | > | 秋美さんが言うと、真綾が首を傾げて、慎也さんが畳の上に笑い転げた。 (2022/8/30 20:59:04) |
・ | > | 真綾が「何それ?」と聞くと、秋美さんが目を細めて「真綾ちゃん『怪物くん』知ってる?ほら、酒田芸者は「なになにでガンス」って言うのよ」と説明の途中で真綾が吹き出した。 (2022/8/30 21:01:29) |
・ | > | 「さっちゃんさ、宮城の人が『だっちゃ!』って言うから『うる星やつら』の影響受けてると思ってたんでしょ?それとおんなじだぁ!」夜になるとどんなことでも可笑しいが倍になるようで、笑いが止まりません。 (2022/8/30 21:04:03) |
・ | > | 慎也さんもグラスを手にして窓際に立って、「どこの家もそうなのかもしれないけどな、もう親戚があんなふうに集まることはないかもしれないなあ」と言うと秋美さんが頷いた。 (2022/8/30 21:06:20) |
・ | > | 沙知は父親から聞いていたのですが、独身の慎也さんも夫がいなくなった秋美さんにもそれぞれ一冊の本が出来るほどの悲しい紆余曲折の過去があり、慎也さんも秋美さんもまた、沙知にも色々な事情がある事を知っておりました。 (2022/8/30 21:07:15) |
・ | > | また一番若い真綾も親から三人の従兄姉たちの人に言えぬ過去を聞かされていました。 (2022/8/30 21:08:08) |
・ | > | 故に四人の会話は羽で撫でるように優しい語り口でした。 (2022/8/30 21:08:27) |
・ | > | 「秋美よぉ、さっちゃんはうちと血の繋がりはないけどなぁ、なんだか親戚というよりうちの家族みたいだなぁ?」慎也さんの言葉に秋美さんは大きく頷くと突然閃いたように、「でも血の繋がりはないんだからよぉお、さっちゃんに嫁に来てもらえばいいさぁ」と言った。 (2022/8/30 21:10:24) |
・ | > | それを聞いていた真綾が「でも慎也さんとさっちゃんのお父さん1個違いだからね」と言うと慎也さんががくりと項垂れてみんなが笑いました。 (2022/8/30 21:11:33) |
・ | > | 窓を開けたまま波の音を聴きながら、潮風を受けながら、眠気に抗いつつも四人は眠りにつき目覚めると別れの朝でした。 (2022/8/30 21:16:14) |
・ | > | 沙知は勇気を振り絞って武志さんに帰り道は私が運転します!お願いします!運転させてください!と頭を下げました。 (2022/8/30 21:20:06) |
・ | > | 武志さんはロビーでお茶を啜りながら困った顔をしておりました。 (2022/8/30 21:22:18) |
・ | > | 「実は一日保険みたいのをですね、月火水と組んでいたんですけどね、さっちゃんが休みを取られたのが火水木でですね」と苦笑いを浮かべました。 (2022/8/30 21:24:20) |
・ | > | 奥さんの康恵さんが「さっちゃん、さっちゃんの為なのよ?もう充分さっちゃんは役に立ちました」と労いの言葉を掛けました。 (2022/8/30 21:26:03) |
・ | > | 武志さんは複雑な表情です。 (2022/8/30 21:26:19) |
・ | > | ホテルから出ると武志さんは覚悟を決めたように一人頷いて、 (2022/8/30 21:28:04) |
・ | > | 「さっちゃん責任は私が取ります。と言うよりさっちゃん信じますからね、運転お願いします!」そう言ってクルマのキーを沙知に手渡した。 (2022/8/30 21:29:04) |
・ | > | 康恵さんが何が言おうとすると、武志さんは先に「無粋なことを言うな」と呟いた。 (2022/8/30 21:30:35) |
・ | > | 真綾は気付かぬふりをして、酒田の人々は互いに顔を見合せて微笑みました。 (2022/8/30 21:31:36) |
・ | > | 「武志おじさん!康恵おばさん!真綾!さっちゃん!ここで見送ります!また会いましょう!」と慎也さんが言い、秋美さんが一人一人手を握りしめて別れを惜しんでおりました。 (2022/8/30 21:34:22) |
・ | > | 皆がクルマに乗り込み、最後に沙知が古びたセダンのドアを開けた時 (2022/8/30 21:35:36) |
・ | > | 90歳の主昇一さん夫婦が (2022/8/30 21:36:45) |
・ | > | 「さっちゃん!さっちゃん!」 (2022/8/30 21:36:59) |
・ | > | 「へばの!またの!」 (2022/8/30 21:37:12) |
・ | > | と子供のように手を振った。 (2022/8/30 21:37:27) |
・ | > | 沙知は頭を下げてシートに座りシートベルトを締め振り返って大きく手を振りながらクルマを走らせました。 (2022/8/30 21:39:03) |
・ | > | ルームミラーにいつまでも手を振っている血の繋がりのない親戚の姿が見えて、なぜだか沙知は涙が込み上げてくるのでした。 (2022/8/30 21:40:19) |
・ | > | (あれ?なんで泣けるんだろう) (2022/8/30 21:40:37) |
・ | > | 真綾は助手席で微笑みながら何も気づかぬふりをしていました。 (2022/8/30 21:41:23) |
・ | > | 武志さんは斜め後ろから沙知の涙に気づいておりました。康江さんに目配せをして安心して眠ったふりを決め込みました。 (2022/8/30 21:45:10) |
・ | > | 涙の意味が自分でわからぬまま沙知は真っ直ぐ前を見てハンドルを握っていました。 (2022/8/30 21:45:56) |
・ | > | もう急ぐ旅ではありません。 (2022/8/30 21:46:11) |
・ | > | 真綾は落ち着いた沙知の横顔をチラリと見ると、なぜかとても寛いだ気持ちになってそして眠りにつくのでした。 (2022/8/30 21:48:10) |
・ | > | おしまい (2022/8/30 21:48:36) |
・ | > | 🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹 (2022/8/30 21:48:47) |
・ | > | ことねでした。長くてすみません。 (2022/8/30 21:49:02) |
おしらせ | > | 無言時間が25分を超えたため、・さんが自動退室しました。 (2022/8/30 22:23:53) |
おしらせ | > | 松本生協さんが入室しました♪ (2022/9/1 02:18:23) |
松本生協 | > | 🅰️ (2022/9/1 02:18:47) |
松本生協 | > | それはまるで、童話の人魚姫の恋のようだと自分に呆れた (2022/9/1 02:19:57) |
松本生協 | > | 夏の甲子園出場を賭けた県大会の決勝戦、祈るように手に汗を握りながら応援する私には、これだけ盛り上がりを見せる球場の賑わいの中、マウンド上のただ一人しか見えては居なかった (2022/9/1 02:23:17) |
松本生協 | > | 県内屈指と言われる左腕の彼乗せて得意球は高速で滑るスライダーだ (2022/9/1 02:24:09) |
松本生協 | > | 私が受けていた六年前の時とはミミズと大蛇程まるで違った、彼の努力と練習量を物語る大いなる成長の証そのものだ (2022/9/1 02:27:32) |
松本生協 | > | 小学校の時、私は彼と同じ少年野球チームで汗を流していた (2022/9/1 02:28:48) |
松本生協 | > | 私は高校球児で野球好きな父の影響で、彼は好きなプロ野球選手に憧れて将来の夢に向かってという全く違う動機ではあったが (2022/9/1 02:30:51) |
松本生協 | > | 野球好きには変わりなく、肩が強くキャッチングや度胸面、投球の組み立てをリードする等の信頼で監督に正捕手を任された私が、チームのエースであった彼都バッテリーを組んでいた (2022/9/1 02:35:44) |
松本生協 | > | 彼の名前はヒロキなのだが、パン屋の監督がよく差し入れに配っていた人気のパンからあだ名をつけられて、ピロシキと呼ばれていたので、私は気合いでいつも「ナイスピー!ピロシキ!」と声がけしていたものだった (2022/9/1 02:39:24) |
松本生協 | > | ある時、彼にスライダーを覚えたいからと2人だけでの練習を頼まれた事があった (2022/9/1 02:42:38) |
松本生協 | > | それは、六年生として最後の大会で惨敗し、私達はもはや試合も無く卒業という時であった為、私は何で今から?と不思議に思ったものだが (2022/9/1 02:45:34) |
松本生協 | > | 「俺、他のチームや交流戦でも何人か受けて貰ったけど、琴音のミットの音が一番気持ち良いんだ。それに、キャッチャーって、女房役って言うしさ・・・」最後の方はゴニョゴニョと口籠もってはいたものの、それでもはっきりとヒロキの頬が赤らいだ理由はわかってしまった (2022/9/1 02:48:57) |
松本生協 | > | 私は良いとも駄目とも言わず、無言でプロテクターを装着してバックネット前に歩き出したものだ (2022/9/1 02:49:52) |
松本生協 | > | 実はその時の彼が原因で、私の人生が少し変わったのを彼は知らないだろう (2022/9/1 02:51:12) |
松本生協 | > | ヒロキとはクラスも同じで仲が良く、時々不意打ちのように女の子がドキドキしてしまう事を無意識で語る厄介なところがあり (2022/9/1 02:52:33) |
松本生協 | > | 音楽の時間に歌った私の声を綺麗な声だな、と誉めてしまったのだ (2022/9/1 02:53:14) |
松本生協 | > | その為、リトルリーグでは常に声を張って、一日ごとに濁声となり枯れて行く自分の声に恐れ慄き、これ以上ひどくなる前に野球は終わりにしようと決めたのだったが (2022/9/1 02:55:08) |
松本生協 | > | あの、リトルリーグの全てが終わった後の、直向きな彼の目と惜しまぬ向上心、そしてその成長の糧に私を選んでくれた友情とも信頼とも言い難い気持ちに奮わされ、私も中高共にソフトボールの強豪校で青春の汗を流す代償に、褒められたあの声は捨ててしまった (2022/9/1 02:59:23) |
松本生協 | > | 私の高校の夏は残念な結果で終わってしまったが、そのお陰で今はこうして懐かしい彼の晴れの舞台に大手を振って応援する事が出来た (2022/9/1 03:00:46) |
松本生協 | > | 相手のランナーが出たり、逆にキレキレの球で要所を抑えた彼に、無性に声援を送りたい衝動に駆られるのだが、王子様が好きだと言ってくれた声を失ってしまった人魚姫には、黙って見守ることしか出来ないのだ (2022/9/1 03:04:31) |
松本生協 | > | そんな中、試合は大詰めの最終回、彼の高校が1点リードではあるものの、相手チームはワンナウトでフルベース、一打逆転というピンチである (2022/9/1 03:07:26) |
松本生協 | > | ゴクリ、年何度目かの生唾を飲み込んだ頃、相手の打者は内野フライを打ち上げた (2022/9/1 03:08:55) |
松本生協 | > | 主審がインフィールドフライの宣告を出す。 よし、ツーアウトだ、とホッとした時 (2022/9/1 03:09:33) |
松本生協 | > | フライをキャッチした三塁手や他の野手、捕手までタイムォかけずにヒロキの元に集まって来た (2022/9/1 03:10:47) |
松本生協 | > | 本来ならタイムをかけないとボーラインプレイの為、これではゲームはまだ生きている状態である。 まさか!と目をやると、私と同じくボールインプレイに気がついた三塁ランナーが、気づかれまいとソロソロと抜け出したではないか! (2022/9/1 03:12:52) |
松本生協 | > | その時、私は自分でも無意識に立ち上がって大声でマウンドに叫んだ!「ピロシキ!ホームスチール!」 (2022/9/1 03:14:22) |
松本生協 | > | 私の声が球場に響き、ヒロキが猛然と駆け出してランナーにタッチをし、県大会の夏が巨大などよめきの波をこだまして終わった (2022/9/1 03:18:29) |
松本生協 | > | ヒロキの栄冠に胸を熱くした私は、自分の濁声を聞かれた事に青ざめて足速に逃げるように球場を出たその時、懐かしい声が駆け足と共に追いかけて来た (2022/9/1 03:21:01) |
松本生協 | > | 「沙知!沙知だよな?会いたかったよ!」 (2022/9/1 03:22:37) |
松本生協 | > | 「スチール教えてくれたのも沙知だろ!ありがとう、お陰で勝てたよ!」 (2022/9/1 03:23:39) |
松本生協 | > | 両腕をがっしり掴まれ、潤んだ彼の瞳に魂まで絡め取られた私は身動きが出来ない (2022/9/1 03:24:34) |
松本生協 | > | ただ、嬉しい気持ち以上に切なさと悲しみが溢れて、自分を制御不可能だった (2022/9/1 03:25:38) |
松本生協 | > | 聞かれたく無い声だった。気がつかれたくない私だった。そっと波間から船上の王子様を見られたらそれだけで良かったのに。 不意に涙が溢れたのはそんな私の惨めな気持ちからだろう (2022/9/1 03:26:27) |
松本生協 | > | それなのにヒロキは、私の気持ちを知ってか知らずか、昔のあの真っ直ぐな直向きの目で私に語りかけた (2022/9/1 03:27:44) |
松本生協 | > | 「沙知、俺がここまで野球が出来て強くなれたのは沙知のお陰なんだ。スライダーだって自信を持って投げられるのは、どんなにヘボ球でも暴投でも、あんなにいい音でキャッチしてくれて、ナイスピー!って励ましてくれたからなんだ。」 (2022/9/1 03:31:11) |
松本生協 | > | 「ホームスチールの時だって、ピロシキなんて呼ばれたから直ぐに反応出来たしな^ - ^」 (2022/9/1 03:32:26) |
松本生協 | > | 釣られてうっかり笑ってしまった私に、最後にヒロキから思いがけない声をかけられた (2022/9/1 03:33:34) |
松本生協 | > | 「沙知の声。お前もずっと野球頑張って居たんだろうな。な?良かったら俺の進化したスライダー、また受けてくれないかな。それに俺。」 (2022/9/1 03:35:19) |
松本生協 | > | 「あれからの沙知の事、もっともっと知りたいんだ。」 (2022/9/1 03:36:14) |
おしらせ | > | 松本生協さんが退室しました。 (2022/9/1 03:36:26) |
おしらせ | > | 松本生協さんが入室しました♪ (2022/9/1 08:35:32) |
松本生協 | > | 🅱️ (2022/9/1 08:35:36) |
松本生協 | > | 「おやすみなさい」 (2022/9/1 08:35:53) |
松本生協 | > | と不安そうな顔で、そんな逼迫してもいないようなお手洗いから出て、息子は今日何度目かの挨拶をした。 (2022/9/1 08:37:24) |
松本生協 | > | 明日、所属しているリトルリーグで初先発を託された小さな身体が、不安と緊張で寝付けないのも無理はない (2022/9/1 08:38:47) |
松本生協 | > | きっとまた起きると踏んで暖めていたミルクの入ったマグカップを手に、息子を招いた (2022/9/1 08:39:31) |
松本生協 | > | 「大丈夫だよ、ヒロアキ。パパも最初は打たれまくったけど、そのお陰で自分に足りない力を研究して努力し、甲子園でもプロでも活躍しているんだから」 (2022/9/1 08:41:38) |
松本生協 | > | 懐かしげに昔の亭主と自分が映ったリトルリーグ戦のアルバムを開く (2022/9/1 08:42:21) |
松本生協 | > | 興味深げに覗き込んでは、母親から思い出やアドバイスを面白楽しく聞かされ、いつしか息子のヒロアキも落ち着いていつも通りの明るく屈託の無い顔に戻っていた (2022/9/1 08:43:59) |
松本生協 | > | それを沙知も確認して、よし、大丈夫だと確信した (2022/9/1 08:44:43) |
松本生協 | > | 「ねえ、お母さん、この間の結婚10周年の記念写真、なんで+3って書き足したの?」 (2022/9/1 08:45:57) |
松本生協 | > | 不意に思いもやらぬ質問に気圧された沙知だったが、くすりと笑い、しょうがないなとばかりに種明かしした (2022/9/1 08:47:12) |
松本生協 | > | 「お母さんはね?パパと同じチームでキャッチャーしていたのは知ってるでしょ?」 (2022/9/1 08:47:56) |
松本生協 | > | ヒロアキは何を今更と、ポカンと頷く (2022/9/1 08:48:37) |
松本生協 | > | 「3年間、バッテリー組んでいたから。女房役、3年してたのよ(笑)」 (2022/9/1 08:49:25) |
松本生協 | > | なぁんだ、と笑みを見せてミルクなのか今の話へなのか、息子はご馳走様、と寝室は帰って行った (2022/9/1 08:50:32) |
松本生協 | > | 掠れ声で男勝りと思われる私が、息子も呆れるような乙女のような気持ちを持っていた事が自分でも恥ずかしいのだ (2022/9/1 08:52:24) |
松本生協 | > | だから、息子にも亭主のヒロキにも、本当は+3の秘密を言わないつもりだった (2022/9/1 08:53:41) |
松本生協 | > | (2022/9/1 08:53:46) |
松本生協 | > | ^ - ^ (2022/9/1 08:53:51) |
おしらせ | > | 松本生協さんが退室しました。 (2022/9/1 08:53:52) |
おしらせ | > | 冬空 ◆ikoi/zg442さんが入室しました♪ (2022/9/3 13:59:38) |
冬空 ◆ | > | 🅰️ (2022/9/3 14:00:17) |
冬空 ◆ | > | それは人魚の恋に似ていた。 (2022/9/3 14:01:15) |
冬空 ◆ | > | 貴方と出会ってからいつもの景色がより華やかになった気がしていた。 (2022/9/3 14:02:04) |
冬空 ◆ | > | 知り合ってから仲良くなるまではあっという間だった。お互いの趣味の話や愚痴だったりと話をはじめれば会話は盛り上がりあっという間に時間は経ってしまう。 (2022/9/3 14:03:58) |
冬空 ◆ | > | 『時間が止まればいいのに…』なんて何度思ったことだろうか。毎日話しているのにもっともっと…って話したいことはいっぱいあって尽きなかった。 (2022/9/3 14:05:43) |
冬空 ◆ | > | やがて想いは強くなり仲の良い友達から好きな人へと意識するようになった。そして貴方からの告白により両想いだったことに気づくのである。 (2022/9/3 14:08:16) |
冬空 ◆ | > | お互いの想いを知り恋人同士となった私達の毎日は更に色鮮やかなものとなっていった。 (2022/9/3 14:09:10) |
冬空 ◆ | > | 喜びは倍に、辛いことは半分に…お互い思いやり支え合っていたはずだった。これから先ずっと続くものだと信じていたのに…。 (2022/9/3 14:10:37) |
冬空 ◆ | > | そしてそれは何の前触れもなく起こった。 (2022/9/3 14:12:04) |
冬空 ◆ | > | 「終わりにしよう…」ある日突然そう言い残すと貴方は離れていったのだ。それからというもの楽しかった日常から色は失せ、笑顔も消えた。 (2022/9/3 14:14:08) |
冬空 ◆ | > | 後日、親友と二股をかけられていたと知ると再び涙は溢れ声は出なくなってしまった。大好きだった人と親友に裏切られ大切なものを失ったショックは計り知れない。 (2022/9/3 14:16:38) |
冬空 ◆ | > | 人間不信にもなり深く傷ついた私はただ1人で夜の海を眺めていた。そして月明かりに導かれるように歩き出し。ゆっくり目を瞑り流れに身を任せると意識は遠のいていた。 (2022/9/3 14:20:59) |
冬空 ◆ | > | もっと…もう少し…貴方のこと知りたかった… (2022/9/3 14:21:35) |
冬空 ◆ | > | (2022/9/3 14:21:42) |
冬空 ◆ | > | (2022/9/3 14:21:44) |
冬空 ◆ | > | 🅱️ (2022/9/3 14:21:51) |
冬空 ◆ | > | 「おやすみ…」 (2022/9/3 14:22:17) |
冬空 ◆ | > | 起こさないように小さな声で呟けば寝顔にそっとキスをして隣に横になって眠りにつく。 (2022/9/3 14:24:01) |
冬空 ◆ | > | 彼女と同棲して3年になろうとしていた。お互いシフト制の仕事でありすれ違いもあるが大きな喧嘩もなく過ごしてきた。 (2022/9/3 14:25:26) |
冬空 ◆ | > | そろそろ結婚…なんて考えてもいるがなかなか言い出せずにいた。特に最近は仕事も忙しくなり残業も増えていた。それにより以前よりゆっくり話す時間もなかなかとれなくなり疲れて帰ってきては眠りにつくだけの毎日であった。 (2022/9/3 14:28:06) |
冬空 ◆ | > | そんなある日のこと、とあるホテルで『ブライダルフェア』のイベントが行われることを知った俺は密かに予約を入れていた。 (2022/9/3 14:29:39) |
冬空 ◆ | > | たまたま2人ともお休みの日である。彼女には直前までここに行くことは伏せておこう。俺はそんなことを考え楽しみにしていた。 (2022/9/3 14:30:50) |
冬空 ◆ | > | そして前日になり…「明日休みだろ?一緒に行きたいところがあるんだけど…」俺はそう話しかけたが意に反して彼女はこう言い出した。 (2022/9/3 14:32:42) |
冬空 ◆ | > | 「実は私も行きたいところがあって…」そう言いながら彼女はあのブライダルフェアのチラシを見せてきたのだ。俺は驚きチラシに見入っていた。ドレスの試着や会場見学は予約なしでも行けるようだが俺は食事込みで考えていたため予約を入れていたのだった。 (2022/9/3 14:35:36) |
冬空 ◆ | > | まさか彼女も同じフェアに行こうと考えていたなんて。言葉もなく黙り込んだ俺を彼女は少し不安そうな顔で呟いた。「やっぱり嫌だった?」 (2022/9/3 14:38:16) |
冬空 ◆ | > | そんな彼女を見ればこのまま黙っているわけにはいかなくなった。「いや、そうじゃないよ…実は俺も誘うつもりでいたんだ…」 (2022/9/3 14:39:50) |
冬空 ◆ | > | このフェアに連れて行こうと考えていたこと、既に予約も入れてあるということを話せば俯いていた彼女も驚いていた。 (2022/9/3 14:41:47) |
冬空 ◆ | > | 「本当は言わないつもりでいたのになぁ…」俺は笑いながら彼女を優しく抱きしめた。 (2022/9/3 14:43:06) |
冬空 ◆ | > | (2022/9/3 14:43:11) |
おしらせ | > | 冬空 ◆ikoi/zg442さんが退室しました。 (2022/9/3 14:43:15) |
おしらせ | > | ・さんが入室しました♪ (2022/9/3 16:31:14) |
・ | > | 🅰️「それは人魚の恋に似ていた」で始まり、「もう少し君を知りたかった」で終わる物語を書いて下さい。 (2022/9/3 16:32:02) |
・ | > | それは人魚の恋に似ていました。 (2022/9/3 16:32:26) |
・ | > | 誰から見ても健康に見える沙耶でしたが、おそらく自分の中には悪しき遺伝子が埋められていて、その時限装置のスイッチがいつか起動するかもしれない。いつ頃からか常にそんな不安を抱えていました。 (2022/9/3 16:32:52) |
・ | > | 沙耶の笑顔の裏にはいつも諦めの気持ちが隠されていました。 (2022/9/3 16:33:06) |
・ | > | もしも、誰かに恋愛感情を抱くことがあったとしても、それは人間に恋をしたのに言葉を喋ることができず、歩く度に魔法でこしらえてもらった足に激痛が走るという童話の人魚と同じように自分を苦しめるだけだと思っていました。 (2022/9/3 16:33:33) |
・ | > | 沙耶は(随分ととうのたった人魚だなぁ)と自嘲的に心の中で笑うのでした。 (2022/9/3 16:34:14) |
・ | > | その諦めに満ちた引き潮のような笑顔に修治は惹き寄せられたのでした。 (2022/9/3 16:34:48) |
・ | > | 仕事に夢中しているうちに気づけば38歳。修司は、まるで遊ぶように楽しげであるところは別として、仕事に夢中している沙耶に自分に似たものを感じていたのでした。 (2022/9/3 16:35:27) |
2022年05月08日 08時49分 ~ 2022年09月03日 16時35分 の過去ログ
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