チャット ルブル

「例え神だろうと」の過去ログ

現在のルーム
過去ログ一覧
タグ 踊れ 。


2021年05月29日 11時13分 ~ 2021年08月23日 22時01分 の過去ログ
過去ログでは上から下の方向に発言を表示しています

おしらせ新規ルームを作成完了しました。(Android au.NET)  (2021/5/29 11:13:51)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/6/13 14:51:07)

樂/gr((一番乗りさせて頂きました〜!早速投下していきますね   (2021/6/13 14:51:50)

樂/gr昼前の一時の事。私用の回線に連絡が入った。手短に語られる内容に思わず声を上げた。「生きているだと! 何処からの情報だそいつは。」前々より秘匿に調べていたとある事件……雪深い村で起こった凄惨な異端虐殺と村の崩落。それは我が右腕に当たる男の故郷に怒った話だ。彼の燃えるような色の双眸が恐怖の対象になるのは、土着した宗教色などが相まって悪い方へ転がったのだろう。異端として扱われ遂には落命する寸前、彼を保護し逃した男が居た。結局その男は自らの命をかけ彼を助け出したと、本人の口から最近聞いた。それでも死んだ瞬間は見ていなかったとトントンの証言があり、秘密裏に調べさせていたのだ。そうすれば匿名の者から“まだあの男は生きている”と情報が来た。これは彼の心の傷を埋める一縷の希望とも言える情報に他ならなかった。俺は彼に救われた恩がある、なんとかそれに報いたいが、奴ときたら自己完結型の典型で、そんな隙を与えてくれない。弱みを見せ誰かに情けをかけられるのが嫌いなのだろう。偽の情報だとしても、食い付かぬ手など有り得ない。   (2021/6/13 14:54:20)

樂/gr偽物ならばその場で決裂させればいいだけと、早速椅子から立ち上がる。取引内容はこうだ、恩人である男の居場所と引き換えに、取引相手の身柄を保護して欲しいと言う。つまり何かに追われる後ろ暗い者なのだ。しかし普段仏頂面でいつの間に思い詰めている恋人の喜ぶ顔が見れるなら安い。約束を取り付ければ早速今夜会う事となった。それまでに責務を果たさねばとドアノブへ手を掛けた瞬間、向こうから誰かがノブを回して扉を開けた。厚い胸板に私の手ずから授けた勲章が下がるオリーブ色の軍服が見え、思わずその赤い虹彩を見上げ視線を絡めた。「おっと、すまない。どうした? 何か報告があれば直ぐに聞こう。」   (2021/6/13 14:54:33)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、樂/grさんが自動退室しました。  (2021/6/13 17:01:27)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/6/15 06:44:05)

雫月/tn.いつも通りの日課である書類の山とにらめっこを繰り広げ、片付けても片付けても無くならないこの束にいつもの事ながら嫌気がさしてしまうほどだ。この山を片付けようと受け持ったのは自分自身なので文句は言えないがいい加減書類とにらめっこをしていると目の方が疲れてくる。疲れたように息を吐き出せば、つけていた眼鏡を外しデスクの上へと置く。一旦背伸びをすれば書類の山へとまた目を戻す。明らかに少し減った様子のあるそれにまた誰かが勝手に負担を減らそうと持ち出したのだろうか。感謝よりも先にまた勝手な事をなんて苦笑いの方が顔面に張り付く。書類仕事等ほぼ雑務なのだから気にしなくとも良いのに。とりあえず今日中に提出すべき書類は片付いた。期限を守らないなど有り得ない事なのだ。時間きっかり否いつ何があるか分からないのだ。常に早めの行動を予測しつつ書類をテキパキとこなしているつもりだ。それでも人間何かしらの不備があるものだが。それを無くすために何度も目を通した。ここの総統である彼の手を煩わらせる事だけは避けておきたい。外していた眼鏡を再度かければ終わったであろう書類を揃え立ち上がり小脇へと抱える。   (2021/6/15 06:44:40)

雫月/tn.今日提出するであろうそれも相当な量に匹敵する。それなりの重みのあるそれを持てば総統のいるであろう部屋へと足を運ぶ。彼もまたデスクワークに追われデスクへと齧りついている所であろう。彼の部屋の扉の前へとつくとドアノブへと手を掛け引く。開けた瞬間に目の前に立っていたであろう彼に反射的に驚き肩が跳ねる。何処かへと向かう所だったのかと落ちそうになった書類を抱え直す。お腹の空き具合からして昼飯時かなんて勝手な予測を立てるが明らかに違う要件であろう顔付きである。「今日中に提出する書類纏めて来たんやけど‥グルさんはどっか行くとこやったんか?」手に持っていた書類の束を彼の目の前へ持っていき見せると机の上に置いておくと断りを入れてからその束を置く。「用事あるなら後でもええから目通しとってな」   (2021/6/15 06:45:41)

雫月/tn.((ゆるりとお返しいたします   (2021/6/15 06:46:00)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/6/15 06:46:03)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/6/16 05:57:53)

樂/gr気を抜いていたのか、疲労感に塗れていたのか、不意打ちにあった彼の肩がビクンと跳ね上がった。可哀想に綺麗に揃えた書類が手から落ちかけ、それでも直ぐに体勢を整え腕で支え事なきを得た。取りこぼした一枚を指でピシリと挟み、書類束の一番上へと戻してみれば、彼の僅かなはにかみに此方も微笑んだ。「もうこんなに済ませたのか、全く仕事の好きな奴め。しかし助かっているのは事実だし、甘えてしまっている面も正直ある。有難うトン氏。」顔を見れば目元はしょぼくれて、皺が寄った眉間からはそこはかとない疲れが滲み出していた。どうせまた人のフォローまでしているのだろう此奴は。それでいて自分の仕事も完璧にこなしている。今日だけではない、己が彼を手にしてから今までずっと。真面目過ぎて全く手抜きのできない奴なのだ。「俺の用件は大した事はない。頼んでいた備品を貰いに行こうと思ってな。しかし予定変更だ、折角落ち会えたのだから、久しぶりに昼食を共にしよう。」   (2021/6/16 05:58:20)

樂/gr思えばこうして昼飯を一緒に食べる事はあまり無い。他の幹部を交えた席や完全な休暇なら別だが、お互いに職務中に顔を突き合わせようなど考えた事はなかった。私と彼は総統閣下とその右腕であるが、もう一つの顔がある。彼の恋人としての私でいる瞬間、唯一総統閣下の肩書をを脱ぎ捨てられるのだ。流石に職務についている今に脱ぎ捨てるわけには行かないが、昼飯を共にするくらいならバチは当たるまい。疲れ顔のトントンに椅子をすすめ、連絡を入れて二人分の食事を運ばせた。本日のメインディッシュは仔羊のローストだ。香草の芳香とロゼ色の断面に食欲がそそられる。窓を開け自然風が僅かに湯気を攫っていく。カトラリーの静かな音が響く、暑くも寒くもない良い午後だった。   (2021/6/16 05:58:37)

樂/gr((わぁい有難うございます!嵐の前の静けさ…美味しいお肉食べたいなって思いながら書きました(?)   (2021/6/16 06:00:04)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/6/16 06:00:49)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/6/18 20:45:30)

雫月/tn.取りこぼした書類の一枚がヒラリと宙を舞う。それを器用に指で受け止めた彼に流石に衰えていないその動きに関心すら覚える。軽くお礼を言えば書類をおいたあとに彼の方へ向き直る。「別に仕事が好きな訳ちゃうわ。でも、誰かがやらんと終わらへんのやったらさっさと終わらせてしまうたほうがええやろ?書類仕事だけなわけちゃうし‥適材適所ってやつやな。出来る奴がやった方が効率がええのも事実やしな」仕事熱心という点では目の前の彼も十分それに当たるだろう。現に昼食よりも優先して仕事へと出向く所であったのが物語っている。確かに長時間デスクへと齧りついていたせいか空腹を忘れていた。気を抜くと時間を忘れてしまうのが玉に瑕だ。ふたりきりで何かをするというのは変な誤解を招く事に繋がりかねない。その為かこうして一緒に食事をする機会もめっきりと減ってしまった。変に意識しているのは自分ばかりかも知れないが。   (2021/6/18 20:45:37)

雫月/tn.思い立ったら行動が早い。連絡をすぐさま入れ食事を部屋へと運ばせれば書類の置かれたデスクとは違うテーブルへと美味しそうな匂いを漂わせたそれらは運ばれてきた。思わず匂いに空腹だったお腹が訴えるかのように音を鳴り響かせる。少し恥ずかしそうに苦笑するも椅子へと着く。目の前に並べられたそれらは食欲を誘うには十分であった。「こうやって仕事中にふたりきりで食べるのも久しぶりやなグルさん。」   (2021/6/18 20:45:45)

雫月/tn.((穏やかですな。トントンくん肉好きそうだな   (2021/6/18 20:46:11)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/6/18 20:46:13)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/6/20 22:38:50)

樂/gr二人きりの食卓、プライベート以外ではいつ振りであろう。腕の良いシェフの作るメインディッシュを見たとたん、トントンの腹の虫が鳴き出した。その立派な音に声を立て笑ってしまったが、決まった時刻に腹が減るのは健康な証なのだから喜ばしい。少々照れが乗った苦笑いすら恋人補正からか可愛らしく見え、やれやれと首を振ってから椅子を引いた。焼き立てのパンから良い香りが漂い、付け合わせのサラダは旬の野菜が瑞々しい。あまり食べる事が好きではない己ですらも、視覚を通して脳が欲していた。「本当に久しぶりだな、お前と二人きりは。俺は構わんのだがお前がやけに気を遣っているものだから、総統閣下である俺としては声を掛けにくい。」プライベートで過ごす時間が増えた分だけ、反比例するように仕事で共に過ごす時間が減った。奴が職務中になるべく距離を置こうとしているのは薄々、いや露骨過ぎて関係を築いた翌日から気が付いていた。しかし指摘して拗らせるのも面倒で、そんな風に周囲の目を気にして動く様を観察するのもまた一興と、そのまま好きな様にさせていた。   (2021/6/20 22:39:09)

樂/gr見掛けはクールだが夜になればまた皮を破り獣が現れるのだ。俺の前にしか現れぬ獣に、夜通し揺さぶられ嬲られて、愛しさに潰される。この男は昼の姿からは想像だに出来ぬ激情を肚の奥底に隠匿している。軽い祈りを捧げ、フォークとナイフを手に取り肉に刃を入れる。ソースに脂が溶け出し、暴力的なまでのシズルで訴えてくる。一切れを上品な動作で口へと運んだ。癖無く質の良い肉質のそれに思わず瞼に力が入る。「ふふふ、美味い。あまり好きな肉では無いが素直に美味いと言える味だ……って、お前何口で食い終える気だ?」食事が始まったばかりだというのに既に肉の半分も皿に無い。見るとそれは幸せそうな顔で肉を頬張る姿に、思わず破顔した。「お前が飯を食う時は本当に幸せそうだなァ。そうだ、近いうちにお前に良い知らせを運んで来れるかもしれない。期待していてくれ。」   (2021/6/20 22:39:34)

樂/gr((引き続き肉に執着した文章になってしまいました。とん氏は肉好きそうですね、沢山食べさせたいです…   (2021/6/20 22:42:30)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/6/20 22:42:34)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/6/23 22:20:36)

雫月/tn.お腹の虫の鳴った音に多少照れくささはあったものの相手が彼だからこの程度で済んでいたであろう。メンバーの一部の中にはからかって来る者もいる。こうして気が抜けているのも恋人同士という事もあってだろう。普段から気を張り詰めているせいかふたりきりという空間の中においては気が緩んでも致し方のない結果かも知れない。今日の昼食もシェフが手を掛けて作ったものだろうか。美味しそうな匂いが部屋の中へ充満する。その匂いすら堪能しながらも己の欲には勝てなかったのだろう。一口羊の肉をフォークにさせば口にほおりこむ。味を堪能するように頬張れば頬が落ちそうとはまさにこの事だろうか。彼の言葉にふと進めていたフォークを止める。「気をつかっとる訳やないんやけど。」無意識故の行動だった。指摘されれば己の行動を考え見る。確かに一連の流れを思い出すと少し避けていた節はあるかも知れない。相手に指摘され気付くとは情けない。「いや、そんなつもりはなかったんやけど‥すまへんな」素直に謝りをいれれば止めていたフォークを動かす。   (2021/6/23 22:20:45)

雫月/tn.ナイフとフォークを器用に使いこなしてはいるが子供の頃に身に着けたものではない。大人になって必死に覚えたマナーで付け焼き刃状態であったものも今ではそれなりに見苦しくないものに変貌を遂げているであろう。しかし、目の前の彼はそれは遥かに凌駕する程に優雅に食事をとる。生まれながらにして上品さの滲み出る彼に彼の昔話について気にはなるが聞こうともしなかった。彼が語りたくないものを無理矢理に聞き出す趣味はない。気がつけば肉の殆どが皿上から消し飛んでいた。美味しくていつの間にかフォークが進んでしまったようだ。彼にそれを指摘されれば少し赤面する。「美味しくてつい‥え?なんや気になる事を言うやんけ。まぁ、無理だけはせんでな」恋人の欲目では無いがこの人なら自分の為なら無茶をしかねないそう思うのだ。現に片足を失ってしまっている。無意識に義足である足の方へと目線を落とす。   (2021/6/23 22:20:52)

雫月/tn.((お陰様で捻挫が完治いたしました。肉大好き文面になってるので笑っております。さてしてここからどう進むのか楽しみでございます   (2021/6/23 22:21:49)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/6/23 22:21:52)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/6/26 21:39:33)

樂/gr己はどんな者と席を共にしてもそう緊張したりするタイプではない。逆にその者がどの様な了見や動機付けで行動するのかを観察し、分析するのが好きだった。要するに俺は性悪なのだ。しかしトントンと二人きりとなれば、良い意味で何も考えなくていい。楽しい事には笑い合い、悲しい時は静かに身を寄せ合う。そんな関係がとてもとても心地良かった。瓦礫より立ち上がったこの国も、安らぎのひとときを楽しむ余裕が生まれてきた証拠だ。戦争ばかりのあの日々から足が遠のいたのは、喜ばしいのか寂しいのか、少し複雑な気持ちだ。だが目の前で幸せそうに肉を頬張る男を見ると、その針が喜ばしさにぐんと傾く。まだ暫く対戦に踏み切る必要もない。「ちゃんと噛んでるのか? 喉に詰めたら笑ってやるからな。」美味すぎて勢いよく食べてしまったらしい彼の皿には、数切れの薄い肉とソースしか残っていない。それをまとめてフォークに刺し、口に押し込んで遂にメインディッシュは平らげられてしまった。それを見てナイフを置きナプキンで口元を拭うと、トントンの皿を手に取り自分の皿と入れ替えた。   (2021/6/26 21:39:52)

樂/gr俺はというともう肉の味に満足したから、半分以上ある残りは美味しく食べてくれる奴にあげてしまいたかった。これは明らかなマナー違反だが、ここはドレスコード付きのレストランでもないし見逃してもらえるさ。今宵の密会の話を彼にしたら、きっと大反対され始まる前にオジャンにされてしまうだろう。此奴は恩人が死んだと信じている様だが、俺はこの目で確かめるまでは信じない。俺だって脚を失った後暫くの間死亡説が流れたりしたものだ。その脚に対し彼の視線が注がれている、何か言いたい様だったが先に席を立った。「ご馳走様。はははは、お前にはお見通しだなトン氏。しかしながら俺はいつも思う、多大な利を即時欲する時は、何かを失うか奪われるか。そうだっただろう、俺達がまだこの国の黎明期でもがいていた頃は。」テーブルを離れて空いた窓からテラスへと出た。穏やかな風が緑の香りを乗せ運んでくる。鼻から深呼吸をし口から深く吐くと、テラスに肘をついて立ったまま脚を組む。「今夜は少し出掛けてくる。帰りは遅くなるから先に眠っていてくれ。」   (2021/6/26 21:40:06)

樂/gr((まだ肉を少々引きずってます(笑)捻挫完治して良かったです!けど利き腕ですし、まだあまり無理されない様に大事にしてくださいね。今後はとんしを怒らせる事を目標に頑張ります(?)   (2021/6/26 21:42:58)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/6/26 21:43:03)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/6/29 20:42:23)

雫月/tn.いつもよりも食事の進みが早いのは美味しいだけでは無いだろう。目の前にいる愛する人がいるという事実に食欲が増す。周りには単純だなんて馬鹿にされそうだがそれはそれで構わない。今が幸せならそれで構わないのだ。彼から失わせたものも多いが、最初こそ足を奪った懺悔のつもりだったのかもしれない。それよりも今は彼の為に何かをしたいその気持ちが強い。食事の進みが早いことを指摘されれば少しばかり照れくささはあったがそれに対して小言をいつもなら言っているところだろう。食べ終えた頃に目の前の皿が差し替えられる。一瞬呆気に取られ目の前の彼の皿だったそれを見つめたあとに彼の顔へと視線を移す。こればかりは小言の一つでも浴びせて置かないとならないだろう。「グルさん行儀が悪いで?それにあんたそのくらい食べれんでどうするんですか?ただでさえ細いっていうのに…」恨みがましそうな声を出してそういえば肉に罪はないと言わんばかりにフォークに突き刺し口の中にほおりこむ。   (2021/6/29 20:42:33)

雫月/tn.「あんたが無茶せんことのほうがないやろ?あんたに何かあったら…生きる意味を失ってまうしな」きちんと貰った皿を空にしたあとにそういえば、目の前の彼の無茶の仕方に溜息すら出る。何を言ってもどうせ聞く耳すら持たないのだろうが忠告だけはしておいたほうが良いだろう。「夜に出掛けるなんて危ない事やないやろな?…どうせ夜遅くまで仕事しとるし待っとるわ。誰も待ってなかったら寂しいやろ?」デスクに溜まった書類を思い出し、急ぎの用のものは済ませたがどうせまた増えるであろうそれを早めに処理しながら待つのは苦痛にはならない。むしろ帰りを待つ事でやる気にすらなる。我ながら単純な思考だと思う。   (2021/6/29 20:42:40)

雫月/tn.((明日はワクチン2回目でございます。樂さんも体調の方無理なされませんようお自愛ください。小言をするタイプのお怒りはしますよ常に   (2021/6/29 20:43:38)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/6/29 20:43:40)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/7/2 00:09:31)

樂/gr彼は目の前に差し出された半分以上残ったソテーに、眉を顰めながらお小言を返してきた。しかし直ぐにパクパクと食べ始めたのを見ると、やはり腹が減っていた様だと満足な気持ちだ。奴が食事をしているのを見るのが好きだから、毎食誘ってくれたらいいのに。総統とその補佐が話ついでに共に食事を取る事は、何ら不自然ではない筈だ。「はは、すまないな。無作法は承知の上だがお前の方が美味しくいただける、俺はものを旨そうに食えん。」まだナイフを動かす彼の後ろに立つ。背凭れの長い椅子からはみ出した両肩と頸、短い黒髪。その黒髪にそっと指を沈め、後頭部に唇を押し付けた。いくら職務中でも、これくらいならば許されるだろう。カトラリーと皿がぶつかる音が立ち、男の動揺が手に取るように分かれば、くすくすと軽やかに笑う。「待っていてくれるのか? 有難いことだな。今夜中に帰れるとは思うが、事と次第では長丁場にもなりえそうだ。心配は掛けない様に護衛はつける、発信機も持っていく。」これが済めば彼の恩人の居所を知る事が出来るかもしれない。   (2021/7/2 00:09:49)

樂/gr何か事が動けば一度退却でも良いだろう。彼の髪から指をゆっくり抜いて離れ、静かな靴音のまま本棚前へ立った。実際に危険は冒さねばならないのだが、それがその場になるか、後々匿った事による弊害として表面化するのか、そんな事こそ博打である。今の俺にできる事は夜までに、今宵の奴の手を煩わせん程度には仕事を済ませておく事だ。「しかしお前も変わったな……昔なら、誰も待ってくれていなかったら寂しい、なァんて言わなかっただろうね。お前は翼を手折られ、俺の元へとやってきた。そうしていつしか人の心を手にしたのだ。いきなり俺に目をつけられたことを除けば、幸せだろう?」そんな軽口を叩いて、目当ての本に指をかけた。僅かに積もった埃が舞い、光を受けゆらゆらと宙を飾る。   (2021/7/2 00:10:00)

樂/gr((二度目のワクチン接種いかがでしたか?かなりの割合で高熱が出たりしているので、ご体調崩されていなければ良いですが…とんしの小言は愛なので大丈夫です!   (2021/7/2 00:12:04)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/7/2 00:12:08)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/7/5 07:18:23)

雫月/tn.((ワクチンでのお熱は下がりましたがその後体力が落ちていたので普通に扁桃炎の方になり1日からずっとお熱が続いてるので返信の程がまだ遅れます。今しばらくお待ち下さい。   (2021/7/5 07:19:45)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/7/5 07:19:59)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/7/5 13:04:30)

樂/gr((お昼休憩にチラ見したら大変な事になってました、大丈夫ですかっ?!扁桃腺腫れやすいって言ってましたもんね、ワクチン後ですしとにかく安静にしてお楽にして下さいね、私はいつまでも最高の右腕を待ってますので!元気になったらまた様ゲもやりましょうね、それではくれぐれもお大事にして下さい。   (2021/7/5 13:07:24)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/7/5 13:07:35)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/7/8 12:11:40)

雫月/tn.((ありがとう御座います。だいぶ調子が戻ってきたので返信の方ぼちぼち考えて返させていただきたいと思います。少しばかりお待ちいただければと   (2021/7/8 12:12:34)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/7/8 12:12:37)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/7/10 12:33:35)

雫月/tn.自分の分に加え残ったそれをお腹の中におさめると少しばかりお腹が苦しくなる。残って捨てるなどという勿体ない事はしたくないと昔食べ物に食べるのすら困った癖なのだろうか。思えば食害を受けてもそれすらも小言を言いながらも全部食すのだ。自分のお腹を掌で撫で少し太ってきた気がして溜め息を漏らす。元々ガタイが良い方で太るとますます目立ってしまう。「何言うとるねん。あんた、甘いもんの時は頬いっぱい入れて美味しそうに食べとるやんけ」あれだけの甘味を口にして目の前の彼は何故太らないのかと心配を通り越して恨みがましそうに言葉を漏らす。決して痩せ過ぎと言うわけでもないが細身な彼が少しばかり羨ましく思える。あの細身を腕の中で抱いているのだと思考が巡ると背後へと回った彼に一瞬クエスチョンマークが頭に浮かぶが次の瞬間に持っていたカトラリーを動揺と共に落としてしまう。思ったように音を立てたそれに先程考えていた彼の姿に更に羞恥心が募る。   (2021/7/10 12:33:43)

雫月/tn.恥ずかしい事を平然とやって退ける彼に振り回されっぱなしである事実に少しうめき声を漏らしつつも諦めたように息を吐く。「あんたがそう簡単にやられるとも思ってへんけど、気ぃつけて行くんやで?まぁ、あんまり遅いようなら迎えに行くわ」発信機など付けなくともピアスに仕込んであるがそれを言えば過保護を通り越して呆れられてしまうかもしれない。思ったよりも存外自分は独占欲が強いらしい。顔には出さないようにしているが感のいいメンバーなら気づいているかもしれない。目の前の彼も変な所で鋭い面があるので既にバレているかも知れないが。「さっきからこっ恥ずかしい事ばかり言うのやめてくれませんかね?別に堕天使とか勝手に周りが言うとるだけやろ?それに勝手な事を言わんで下さい。あんたに目を付けられた事が一番の幸せやろ?こんなワイでも愛してくれる変わりもんはあんただけや。最後まで責任は取って貰いますからね」自分で言ってて頬が火照るのを感じる。言ってから言うんじゃなかったと思ったが後悔はしていない。立ち上がれば食器をそのままに彼の側へと近づく。   (2021/7/10 12:33:51)

雫月/tn.本棚の本へと手を掛けた彼を自分と本棚の間に挟むようにして本棚へと手をつく。と同時にもう片方で彼の空いた手を掴み持ち上げると半分無理矢理に口元へと引き寄せるとその手の甲へと口を付ける。流れるように頬を擦り寄せれば心配そうに眉を下げ相手の瞳へと自分の視線を絡め「あんたがいなくなったらワイの生きる意味なんて亡くなるんやから無事に帰ってきてや?」   (2021/7/10 12:33:58)

雫月/tn.((復活しました。返信が遅くなってしまい申し訳ないです。様ゲーにも参加したいと思います。それにしてもグルさんの行動一つ一つに赤面しっぱなしです。振り回され気味な気がしますがこれも愛だと思っております   (2021/7/10 12:35:52)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/7/10 12:35:54)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/7/10 21:32:36)

樂/gr((おおー!無事復活されたようで安心しました。様げでのクールな姿を見れるのを楽しみにしてますね!わーDT(元)のくせにやりますね…ぐるの行動は愛ですので、今後も振り回されどっぷり浸かって下さいな。またお返事書いたら投下しにきます、それでは。   (2021/7/10 21:35:55)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/7/10 21:35:58)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/7/14 19:32:46)

樂/gr本を背に目の前の男に追いつめられ己が手に口付けられる。軍人らしく鍛えられた胸板に最後に縋りついたのは数日前の深夜だったろう。腹の立つことに頭一つ分優位を得た彼の顔に当たる陽光が、少々灼けざらついた肌の質感を際立たせる。「……勿体無い事だ。俺の死如きがお前の命の光を掻き消すなど、想像してもあまり愉快なものではない。寧ろ俺の死を踏み台に生きる意味を覚てくれる方が余程良い。」たとえそれが凄惨を尽くす復讐の為であってもだ。「お前を殺すのは俺だと言ったが……今は生きている俺を見ろトントン。お前のその美しい血の虹彩に焼き付けてくれ。」悲痛さを交える顔を見上げ、今度は遠慮なしに奴の背に腕を回し、きつく締めるように抱いた。帰ってきたら必ず臥所を共にしようと心に決めて、名残惜しく愛おしい心音からそっと離れた。   (2021/7/14 19:33:04)

樂/gr夜半が近付いた頃、数名の護衛を付け国境沿いのとある廃館に訪れた。人の気配のない建物というのはいつ見ても気味の悪い雰囲気である。硝子の割れた窓枠に何かの影を見た気がしたのも、怖れ故の錯覚だろう。指定された位置からは少し離れた、この五階程度の高さのある建物の前で相手を待つ。外套が風に揺れ思わず帽子が飛ばぬよう手で押さえた。この密会で双方得るものがあれば万々歳、もしも共謀されていれば、その時は己の命が危険に陥るだけでなく、国家も軍も、私の大切な者たちが瓦解してしまう。今からでも引き返そうか……そう思った瞬間、湖畔沿いの道を来る一台の車のライトが見えた。その光はぐんぐんと此方へ近付き、数分も狂わず待ち合わせの場所にやってきた。降車人数は四人、そのうちの一人が今回の取引相手である。怪しい行動がないのを見計らってから姿を現し、隠し持った銃に指を掛けながら奴らの車のライトの届く範囲から外れて進み出た。きっと相手も銃を持っている。   (2021/7/14 19:33:21)

樂/gr「やぁ、こんばんは。約束通り早速取引をしたい。此方は貴方の提示したすべての条件を満たす待遇を用意したが、信憑性のある証拠を提示して貰えなければ交渉は不成立。つまり……そうはなりたくないものだ。」嫌な予感がした。保険にとポケットに忍ばせたGPSを見えぬ位置に落とした時、再び目の端に建物の窓の影が見えた。サイレンサーを装備したライフルの銃口が見えた瞬間に全て理解してしまった、この話は俺を誘き寄せるための罠だ。待機させていた一人はまだ車内に居り、様子を窺っている筈だ。銃に狙われている事を知らせるため、直ぐ両腕を上げ降伏する。「参ったね。焦りは禁物という鉄則を無視してしまった俺の所為だな。」建物に入れと命令され、言われた通りに大人しく従った。地下へ下りる階段に続くドアを開くと、中には電気が通っているらしく、古びた照明が明滅を繰り返していた。この館は既に敵の範疇のようだ。此れから地下の一室で何が行われるか、想像するのも悍ましい。   (2021/7/14 19:33:34)

樂/gr((仕事が忙しく最近23時帰りでした、なかなかお返事できずすみません!急にカッコ良くなる豚さんにギャップ萌えしますね、これは堪りません……長くなりましたが物語を動かしてみました、どうなる事やらです。   (2021/7/14 19:36:30)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/7/14 19:36:33)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/7/15 19:35:37)

雫月/tn.頭一個分も低いであろう相手を見下ろしながら頬へ寄せていた手を絡めながら下へと下ろす。「あの時死んどってもおかしくなかった。命の灯が掻き消えないように守ってくれたんは誰でもないあんたやろ?それに俺より先に逝くなんて許しませんから…」眼光鋭く相手の瞳を射抜くように視線を浴びせる。見る人からは睨みつけているようにとも取れる眼差しで相手を見つめれば、深く息を吐き出す。「あんた以外のもんなんてはなから目に焼き付けるつもりなんてあらへんから安心してや。」背に回り力強く抱きしめるその腕は想像以上に力強い。反対に壊れないように背中へと腕を回せば優しく優しくその背中を抱き締め返す。確かな生きている証である温もりを…そして、鼓動を感じ取る。どちらからともなく触れ合っていた腕を離せば互い恋人に向ける表情から仕事をしている時の表情へと変化する。「気ぃつけて行ってきてな」優しく彼を送り出せば、それ以上の言葉は不要であった。それから彼が出掛ける時刻まであっという間に時間が経ち会話すら交わさずに窓外に見える彼を見送るように視線を向ける。下手な心配は彼にとっては失礼にあたるであろう。彼もまた軍人には代わりは無いのだ。   (2021/7/15 19:36:00)

雫月/tn.それから時刻がどのくらい過ぎたであろうか。ふと書類から目を上げ時計へと視線をうつせばさほど時間が経っていないようにも思える。時計の響き渡る音が妙に大きく聞こえる。彼がいない事はこれまでにもあった筈なのに妙な胸騒ぎがする。書類へと文字を書き連ねていた万年筆が音を立て折れた。中に入っていたインクが書類へと染み白から黒へとかわる。椅子から立ち上がればその勢いで椅子が倒れ音を響かせる。普段ならなおしていた所だがそれすらも今の自分には時間が勿体ない気がした。武器を持ち、自室にあった豚の被り物を頭に被れば月明かりの中飛び出していく。その鬼気迫る姿はさながら獣のよう。彼の耳につけたピアスに仕込んだであろうGPSを辿る。彼の持っていったものとは別のものだ。そちらを確認しても良いが万が一にでも移動された際に落とされていた場合は厄介だ。懐に拳銃を手には粛清剣を握り込み辿り着いた先は廃館。   (2021/7/15 19:36:11)

雫月/tn.ここまで辿り着くのに時間が掛かってしまった。彼に危険がないと良いのだが。辺りには人影はなく風の音だけが耳へと入ってくる。外に止まっている車が見え、それが自分の所の車だと判断すれば中を確認する。中の人間から滴る赤い液体を見た後に瞳をかっぴらいて微動だにしたい事を察するにもう息をしていないであろう。嫌な胸騒ぎがしたのは正解だったらしい。こんな事になるのならば行かせるべきでは無かったと舌打ちをする。外の様子を見に来たであろう見張りの人間が此方に気付いた刹那持っていた粛清剣の刃を肩に突き刺し壁へと縫い止めると同時に彼の持っていた武器を叩き落とす。「此処に来た奴は何処へ連れて行った?口を割った方が身のためやで?」普段よりも数倍トーンの落ちたドスがきいたであろう声でそう言えば相手の肩がはねる。見張りに使っているのが下っ端である事を見抜けば更に追い打ちをかけるように粛清剣を傾け肩口を抉る。呻くような声の後に震える手で館を指差し丁寧に地下がある事を教えてくれる。粛清剣を引き抜くと気が抜けたのか壁を背にへたり込む相手に拳銃を懐から取り出すと頭を撃ち抜く。後々増援を呼ばれても厄介だ。   (2021/7/15 19:36:36)

雫月/tn.慈悲なんて持ち合わせてはいない。銃口を見た瞬間の相手の顔が絶望へと染まる。それは一瞬の事で直ぐに崩れ落ち事切れる。身体を翻せば館の重く閉ざされた扉を蹴り飛ばす。中で驚いていた連中も敵が侵入したことに気付けば各々持っていた武器を取り出し迫ってくる。銃口が此方に向き何方向からも銃弾が飛び交う。身体を反らし掠めていく銃弾を身体に感じながらも歩みは止めることはない。数の暴力それに屈する事無く何人も薙ぎ払えばまた一歩と歩みを進めていく。銃弾が何発か急所を外していると言えど貫通しているせいか敵の血だけではなくジワリと滲む己の血で深緑であったであろう服を赤で汚していく。「グルッペン…今行くからどうか無事で…」   (2021/7/15 19:37:09)

雫月/tn.((遅くまでお疲れさまです。これは行かねばと書いてたら長くなりました。結構時間経ってる設定なのでご自由に。敵は増援させといてので足止めにたくさんいます。豚の被り物を頭に被せてやってきてみました   (2021/7/15 19:38:40)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/7/15 19:38:42)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/7/17 22:05:27)

樂/gr後ろ手に縛られ階段を降りていく。地下は比較的綺麗な廊下が続き、この建物が定期的になんらかの用途に用いられていた事を示していた。となればこれは組織的な犯行で、トントンの出生地の情報をある程度得られる力のある者達という事になる。或いは私の右腕を狙い撃ちにする予定が、何故かその国の総統が引っ掛かったのだとしたら、私は完全なる敗北を喫した。だが納得ならぬ点が多々あった。私と彼と、ほんの一握りの者しか知り得ぬ情報を一体どこからと首を捻る。事務室のような場所に連れて入られ、奥に鎮座した男を見てようやく全てが理解できた。そう、そこに居たのはつい数ヶ月前に貿易路を繋いだ国であった。元々の領土的野心と保有する戦力を我が国に奪われて、少々塩を送り懐柔したと見せかけた狡賢い奴らだ。これでハッキリした、俺の護衛を含め、全て囲い込まれてここに連れてこられたのだ。先刻見たばかりのトントンの悲しげな顔を思い出し、心に針が刺さる想いだ。こんな事なら奴の顔をもっと見ておけばよかった、困らせるような事ばかりしなければよかった。国家間の戦い、つまりこれは戦争だ。   (2021/7/17 22:05:52)

樂/gr今すぐ命を落とさないでいられる理由は何かと憎らしい男に問いかける。「恩人である我が国の総統に対しての、貴国のもてなし方は、どうやら他の国に比べても個性的だな……お陰様で今の気分は最低だ。一つ確認したい。彼の恩人が生きている情報は、何処で手に入れたんだ。真偽の程は? 私も全くの無収穫でいる訳にはいかないんだ。」人払いをし、私の頭の先から爪先までを舐るように見つめる男の視線を引き留め、せめてもの質問を投げかけた。陰鬱な男の答えはこうだ。村が滅んだのは本当のこと、生き残りはおろか今は既に地図からも消えている。木々が生え森が廃墟を飲み、弔いすら不可能という。目の前に出された写真を信じるならば、きっとそんな事だろうとは思っていたが……愛しい者の笑顔を見ることが出来なくなってしまった。良いニュースを得ることは諦め半分に、立ち上がり近付いてくる領主を見上げた。聞いてもいないのに望みを話す奴の顔に唾を吐きつけてやりたかったが、激昂させ命を捨てるのは避けたい。だが次の瞬間、胸元を掴まれシャツを破られ、さすがに目を丸く見開いた。首から鳩尾までを日本の指で撫でられ、思わず総毛立つ程の嫌悪に見舞われた。   (2021/7/17 22:06:32)

樂/gr舌舐めずりの際に見えた舌がぬらぬらと光り気色が悪い。私の皮膚を念入りに調べ測り、背中にキスを落とされた。甚振り尽くした後、どうやら俺の皮を剥ぎ、大切に薬液に漬けコレクションにしたいそうだ。動機は簡単、恋心が歪みきったものだ。変態の執念深さや欲望の前では言葉は通じない。動けないのを良い事に、肩口へ、心臓の上へ、そして頸へ舌が這う。嘔吐しなかった自分を褒めてやりたい。沈黙を貫く己に対し気を良くしたのか、恰幅の良い男に押し倒されようとした瞬間、動く方の足で奴の股間を強く蹴り上げると、もんどり打つ男に追撃しようと足を上げた時、相手の銃から放たれた弾が義足に当たり、衝撃でうつ伏せに体を打ちつけた。背後から抱きしめられハァハァとした熱く生臭い息が顔にかかり、首筋につけられた愛しい彼からの咬み傷の上から、まるでマーキングを重ねるように噛みつかれた。痛みに声が上がり、暴れても抜け出せない体格差に絶望が過ぎる。   (2021/7/17 22:07:07)

樂/gr遂にベルトを引き抜かれ下着を下ろされ歯を食いしばる。奴のブツが服越しに判るほど勃起しており、いよいよ覚悟しなければならなかった。遠くから銃声と、赤いマフラーを翻し戦う彼の怒声がした気がした。「トントン……ッ! すまない、すま、ない!」   (2021/7/17 22:07:19)

樂/gr((豚頭とんとんが見られる日が来ましたね!本気殺戮モードのとんしの活躍がやばいです、強すぎます。そしてカッコよすぎてたまりませぬ……ぐるは今一応未遂ですが、やられていても未遂のままでも、雫月さんにお任せします!   (2021/7/17 22:10:37)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/7/17 22:10:40)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/7/19 21:20:21)

雫月/tn.何を取引していたか知らないがきっと彼の事だ危険だと分かっていてもここへ訪れたのであろう。なぜあの時ついて行かなかったのか。なぜあの時彼の様子に気づかなかったのだろうか。ギリリと歯を食いしばると鉄の味が口内へとひろがる。その怒りをぶつけるようにふっ飛ばした敵の身体はいとも簡単に壁へと叩きつけられる。体格差も相まって力で押し込むように粛清剣によって壁へと叩きつける。何処へ隠していたのかはたまた途中より増援を呼んだのか斬り捨てても湧いてくる敵に舌打ちをする。最早敵の血か自分の血か分からないが全身赤く染めながらも痛みすらも無視し前へ前へと突き進む。誰であろうと歩みを止める事は出来ないであろう。化け物だなんて呼ぶ声も耳に入る。子供の頃から言われ慣れたであろうその言葉に何時もとは違う笑い声を上げる。「化け物?別に否定せぇへんけどな。ワイに対するものは罵詈雑言だろうが傷をつけようが許したるけど…あの人に手を出した事だけは死んでも後悔させたるわ」きっと誰でもないあの人だからだろうか。他の人間に対してはこんなにも感情的にはならないだろう。   (2021/7/19 21:20:56)

雫月/tn.こんなにも感情豊かになってしまったのは誰でもないあの人のせいでありおかげである。息を切らしながら周りを見渡せばもう息をしているものはいないだろう。視界がぐらつく。少し血を流しすぎてしまっただろうか。下で微かに乱れた呼吸を繰り返す彼と目が合う。乱れた服の隙間からは忌々しいがつい先程付けられたであろう生なましい痕跡がある。何処までその汚らわしい手で彼に触れたのであろうか。頭に上っていたはずの血が抜け妙に冷静になる自分がいる。内心腸は煮えくり返りそうだったが冷たいまでの視線を目の前の敵へと向ける。被っている豚の被り物のせいで見えてはいないだろうが武器を捨てろなんて言われれば言われた通りに武器を遠くへと蹴り飛ばす。妙に冷静に彼の動きを観察しどうすれば良いかと頭の中の思考がグルグルと巡る。下敷きにされている彼に危害をくわえられてはならない。義足を踏みつけられているせいか思ったように動けないようだ。   (2021/7/19 21:21:48)

雫月/tn.彼の拳銃を持っていない方の手が恋人の肌をなぞるようにして触れられる。内心腸煮えくり返っているはずなのに冷めていく思考。楽しげに口元を歪め触れる指先に殺意が芽生える。未遂かどうかは見た目からは判断する事は不可能だが未遂だとしても目の前の敵を生かして返すつもりはなかった。此方に武器が無いと確認すれば勝ち誇って油断しているであろうそいつに靴を顔面へと蹴り飛ばす。見事に命中した瞬間に拳銃のトリガーへと指をかけたその手を更に蹴り飛ばす。銃弾が左目を掠める。身体を掴むとその腕力で壁へと投げつけ叩きつける。喉奥で蛙が潰れたような音を出す彼を壁へと縫い止めると床へと転がる恋人へと視線を落とす。「グルさん立てるか?」助け起こしたい所だが今は目の前の敵を手放す訳には行かない。怒りが強いと言えど命を取るのはまだ早い。妙に冷静に対処している自分に嫌気がさしてくる。彼がどんな目的で後ろに雇い主がいるのか。色々とききたいことはある。己の感情のままに行動するような真似はしない。しかし、床に転がされている恋人には怒りと哀しみと何とも言えない感覚が湧き上がっている。帰ったらお灸を添えなければならないだろう。   (2021/7/19 21:22:28)

雫月/tn.((勝手に敵倒しましたけどすみません。かなりボロボロなんで帰ったら医療班に心配されそうですね。まだ未遂かどうか分からない状態にしておきました。   (2021/7/19 21:24:20)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/7/19 21:24:23)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/7/20 00:14:33)

樂/gr助けてくれと叫びながら、差し伸べられる腕など無いのは理解していた。それでも抵抗する他ない。死にたい訳ではないが、大人しく犯された所で俺の末路は此奴を満足させるために作られる標本なのだ。壊れた義足を引き摺ったまま身を捩り、何とかその穢らわしい肉棒に穿たれぬ様暴れ回る。銃床で後頭部をガツリと殴りつけられて一瞬意識が飛んだが、直ぐに顔を上げて後ろ手に縛られたままの腕で振り払う。背を踏まれたまま髪を掴まれ、喉を反らされて息が詰まる。益々好きになった、事が済んだなら首を持ち帰り、毎日毎日眺めたいと恍惚を含む声にまた激しい嫌悪が湧き上がる。「この身体は貴様如きの弄んで良いものではない。この身体は俺の物でもない。彼にしか……明け渡せないものだ。勿論の事この心もな!」血の味がする舌を何とか動かして奴にそう告げると、銃口をこめかみに当てられた。このまま死ねばトントンに謝る事も出来ないのか。その恐怖と孤立感に一瞬周りの音が消し飛んだ。もう抵抗する気は無くなり、だらりと身体の力を抜いた。   (2021/7/20 00:14:58)

樂/gr己の責任だ、こんな事に彼を巻き込まなくて済んだだけ良かったかもしれない。俺が抵抗しないのを見て背に舌が這い、醜悪な笑いと熱い吐息が髪にかかる。奴の肉棒が脚の間に差し込まれ、舐られただけの指が己の後孔をまさぐり始め、反射的に身体がえずく。望まぬ相手との性行はこんなに気色の悪いものだったのだ、いかに恋人を愛しているかを今更ながら思い知らされた。その時、上の階から異常な音が響き、扉の向こうにどすんとした重たいものが落ちる気配がした。ドアの隙間から血が滲み溢れて床に模様を作っている。戸惑いが走る中、扉がゆっくりと開き、先程まで生きていた数名の男の身体が、肉塊と化し転がり出た。暗闇から現れる力強く踏み躙る脚、赤く長いマフラー。今は亡き国の軍服に血を滴らせながら、異様な迫力を帯びた豚頭の大男が進み出た。見間違うはずがない、私の愛しい恋人であり、有能な右腕であるトントンだ。約束通りに彼は来てくれた。俺を盾にして武器を捨てろとの要求に、その武骨な手に馴染んだ剣を床へ投げる彼の表情は、普段滅多に見る事のない豚頭の下に隠れていた。   (2021/7/20 00:15:44)

樂/gr己にのしかかったままの男が丸腰の彼に銃を構えた時、少しだけ相手の力が緩み、俺はすかさず身体を捩った。一瞬だけ気が逸れた瞬間、ものの見事な蹴りが下衆野郎の顔に決まり、銃声より先に銃が弾き飛ばされた。ハッとして顔を上げると彼の左目の側を掠ったらしく、また新しい血が流れていく。ゾッとした。豚頭越しに見えたトントンの赤い目は、醒めた月の様に暗澹たる光を放ち、流れるような動作で男を力任せに壁に縫い止めた。立てるかという心配の声も、まるで感情が見えない。何とか身を横にして、片脚だけで上半身を支え、背を壁に押し付ける様に立ち上がる。ずらされた下着とズボンを直したいが、義足が破壊された上に腕が縛られていてままならない。よたよたと己の救世主である彼の斜め後ろに立ち、乱れた息を整えた。「あぁ……大丈夫だ。此奴は生かしたまま連行しよう、随分と余罪がありそうでね。こんなに欲望に忠実な者はそうは居ない。それでも彼の国には必要な人材……否、やはり殺そう。此奴を使うまでもない、もう戦争は不可避だ。」   (2021/7/20 00:16:04)

樂/grお前の手で殺してくれと、沈黙しているトントンの背に語りかけた。生かしたままと口にした瞬間、男の目に諦め切れぬ欲と情愛の炎が見え、これ以上それを己に向けられるのは耐えられなかったのだ。断末魔を聞きながら、忠実に手を下す右腕の受けた傷を見る。足元には血溜まりができ、幾度か銃弾に貫かれたと推察した。無線で応援を呼びつけ、彼に見えぬ様机の上に投げ散らかされた写真を集め、胸ポケットへと押し込んだ。   (2021/7/20 00:16:25)

樂/gr((とんしズタボロになってしまいましたね…暫く集中治療ですねきっと。ぐるは一応未遂にしてみましたが、とんしの怒りにブルっております…ヒェ…   (2021/7/20 00:18:18)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/7/20 00:18:24)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/7/22 18:37:45)

雫月/tn.壁へと縫い止めている筈なのに抵抗すら見せない。その視線が自分ではなく背後へと注がれていることに気がつく。その視線に気づくと胸倉を掴んでいた手に力が入る。ヒュッと喉がしまったのか変な音を立てるがそれでもなお熱の籠もった瞳を向ける事をやめない。胸くそ悪い。今すぐこの手で葬ってしまいたいが私欲で殺ってしまっては情報を得る事が出来ないかもしれない。苛立ちのせいで怒りが爆発しそうなはずなのに妙に思考だけが冷めきり冷静な判断を下す。後ろにいる彼は何とか身体を捩り起き上がったようで脇には破損した義足が落ちている。片足のせいか動きにくいであろう彼に横目で視線を向ける。その肌には目の前の彼がつけたであろう生々しい跡がクッキリと残されている。   (2021/7/22 18:37:55)

雫月/tn.自分以外が彼に触れたという事実に思わず冷めた視線を手の中で熱のこもったであろう視線を向ける彼へと向ける。左目の方の先程の拳銃のせいで豚の被り物に穴を空けそこだけ瞳が見える。赤い瞳はまるで熱はなく冷たく感情をともしていないであろう。愛する彼から下った命令に目を一瞬伏せると手の中にいた彼を床へと叩きつけ落ちていた拳銃を拾いトリガーをひく。一発の発砲音の後彼の身体は痙攣しそのうち動かなくなった。死体と成り果てたそれを手放せば破損した義足を持ち上げる。「グルッペン、…帰るで?言い訳は聞かへんから…」自分でも驚くほどに冷めた声が出た。彼が口を開く事は許さず彼の身体を抱き上げる。姫抱きをすれば彼に義足を持つように促し、死体とかした山を乗り越え廃館から出る。   (2021/7/22 18:38:05)

雫月/tn.グルッペンが呼んだであろう仲間の到着に指示をすればその一人にグルッペンの身柄を預ける。何か言葉を口にしていたかも知れないが全てに置いて何も聞こえてないかのような素振りを見せる。「暫く顔を見たくないわ」なんて切り捨てれば車の扉を無理やり閉め送り出す。彼の表情を見る事は出来なかった。大人気ない。そう思っていてもこの怒りはおさまることを知らない。彼に怒りをぶつけてしまう前に彼を自分から遠ざける。きっと酷い言葉を口にしてしまうだろう。彼を乗せた車が見えなくなれば安心からか張り詰めていた糸がきれた。グラリと視界が歪む。大量の血を流しすぎたのであろう。ガクリの地面へと膝を付けばそこから意識がフェイドアウトしていく。遠くの方から部下達の心配するような声が聞こえ、そこで意識が途絶えた。   (2021/7/22 18:38:14)

雫月/tn.((接触禁止令を出しときました。かなりボロクソなので全治何ヶ月ですかね。きっと一週間もしたら出てきそうですけど。未遂でも怒りマックスなので。   (2021/7/22 18:39:38)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/7/22 18:39:40)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/7/24 09:21:40)

樂/gr男は死の瞬間まで、恐れなく私に狂酔した瞳を向けていた。あのトントンですら堪え切れずに命令に背くところだ。側に置いてあった銃の先に装備していたバヨネットを使い、後ろ手に縛られていた縄を削ぎ落とした。幾度か手肌を切ってしまったが、一刻も早く解放されたい気持ちが勝っていた。やっと後ろに引かれた肩が元の位置に戻り、痛みに顔を顰めながら足元にまた一つ転がった肉塊を見、気持ち悪さにすぐ目を逸らす。命が抜け落ちただけの入れ物が、酷く醜悪に見えてしまう。いまだに自分の肌を奴の指や舌が這う感覚があり、ゾワゾワとした寒気が身体中を走り抜け、ベルトを直して床に目を落とす。両足が揃っていたら首目掛けて強烈な蹴りでもかましていただろうに、残念だ。視界の端にぽつりと黒いものが落ち、其れが私の右腕である彼の血だと気付いてハッとした。そうだ、今は一刻も早く彼を搬送しなくては……声を掛けようとした瞬間、言い訳は聞かないと制されてしまった。   (2021/7/24 09:22:19)

樂/gr今回の件は独断だったため受け入れるしかないかと言葉を飲み込んだ。壊れた義足を回収し無理やり抱き上げられる。身体に力を入れる度に奴の傷から血が溢れ出た。豚頭のせいで顔色を見る事は出来なかったが、これだけ失血していたら倒れてもおかしくない。上に上がれば呼んでおいた援軍が到着していた。少しホッとしたのも束の間、押し付けるように身柄を預けられ、思わず声を上げた。「俺の傷は大した事はない、先にトントンを……」彼に手を伸ばした瞬間、“暫く顔を見たくないわ” と冷たく吐き捨てられた。一瞬何を言われたか理解できぬまま、伸ばした腕は彼に届かず車に乗せられ、その地を出立した。   (2021/7/24 09:22:35)

樂/gr後程聞けば彼はあの直後昏倒したらしく、急いで輸血と手術が行われた。銃弾は貫通していたものの二発撃たれていた。幸い太い血管や大事な神経に問題はないようだが、三日経った今でも目を覚さない。余談は許さない状態だから、無論面会も不可能だ。しかし彼が無事目を覚ましても、きっと己は通してもらえない。“暫く顔を見たくないわ” ……彼が最後にのこしたあの言葉と、下衆野郎に犯される夢に毎晩魘された。他の幹部からは経緯を聞かれたが、一貫して己のミスだと言い張り、悪夢を見ないよう睡眠は四時間に絞りその分仕事を抱え込む。体重はすぐに数キロ落ち、食事もおざなりだ。そしてトントンが昏睡している間に、彼の国へ戦争を仕掛けた。彼の血が染み付いたマフラーを巻き、戦地の土を踏みしめ、戦って戦って、とにかくあの冷たい目と言葉を頭から追い出したかった。一ヶ月の間とにかく戦い続けた。勝利が見えてきた辺りで、我が右腕である彼の意識が戻ったと報告を受けた。   (2021/7/24 09:22:50)

樂/gr「情けない。こんな事でしか自分を保っていられないなど。」洗面所の鏡の前に裸のまま立つ。伸びた髪は癖がつき跳ね広がり、長い前髪から見えるギラついた目、鬼気迫る雰囲気だ。肩口に残されたマーキングの痕、恋人のものを打ち消す為重ねられた傷跡だ。タオルを噛み、迷う事なくナイフを当てて皮膚を削ぎ取った。血が床を、胸を濡らしていく。泣きたかったが、泣いてしまっては己すら裏切る事になってしまう。剥ぎ取った血塗れの皮膚はゴミ箱に捨て、強い酒をかけ消毒し、ガーゼを当て圧迫して止血した。服を直して彼のマフラーを掴む。野営地の外に出ると、冷たい風が傷に染み、薄らとグラデーションがかった夜明け前の空が見えた。この戦いももう少しで終わりを迎えそうだ。今の己に出来るのは、復讐のため殺し奪うのみ。そういえば、暫くの間笑っていない。彼の顔を見ないまま、二ヶ月が経とうとしていた。   (2021/7/24 09:23:07)

樂/gr((この傷で一週間で出て来たらヤバイですねぇ…寝てろ下さい。とんしに会いたくないと言われたのはかなりショックだったらしいので、戦争してしまいました。普段からしてる?錯覚ですとも、ええ。暫くはとんしの出撃を禁じなければ…   (2021/7/24 09:26:14)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/7/24 09:26:17)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/7/26 20:47:53)

雫月/tn.夢を見た。長い夢だ。自分を助ける為に飛び出して行った彼の後ろ姿に子供ながらに必死に手を伸ばしている。地下へと押し込まれ、上から扉を閉められる。扉が閉まる寸前にこちらを見たその人の表情は何故か穏やかで口元には笑みを浮かべていた。そして、閉まった扉を開ける事は出来なかった。上から何かを乗せたのだろうか。びくともしないそれは子供心ながらに非力さを感じらされあの時からだろうか。自分が強くあればあの人がいなくなることも無かっただろうに。あの人の姿が消え、今度は場面が映る。自分の身体を押し倒し赤く染まっているそれはそう愛する彼の姿。爆発により片脚が吹き飛び意識を失っている彼。これはあの時の記憶か。最悪な夢だ。2度も守られるなんて子供の頃から進歩していないではないか。強くなりたかった。守られるのではなく守る側にそれなのに…   (2021/7/26 20:48:05)

雫月/tn.「ッ…ハァッ!?」そこで悪夢から目を覚ます。妙な汗が全身にじっとりとまとわりつく。見るといつもの服ではなく、病院着のようだ。あれからどれ程の時間が経っただろうか。どのくらいの間眠り続けていただろうか。最後に見た彼の表情を思い出す。そして、彼に思い切りつけられたであろうマーキングの跡に苛立ちがつのり、繋がっていた点滴を無理やり引き抜く。その拍子に点滴の台が倒れる。ガシャンと音を立てたそれに息を荒らげながらもベットへと力なく座る。やがて、音を聞きつけた者に小言を聞かされることになるがその言葉はほとんど耳には残っていなかった。どうやら、1ヶ月もの間深い眠りについていたらしい。少しだけ筋肉が落ちたのか少しばかり痩せてしまった掌を見つめる。   (2021/7/26 20:48:22)

雫月/tn.ズキズキと痛むのは身体だけだろうか。それとも…。彼に酷い事を言ってしまった自覚はある。それでも彼を更に傷つけてしまうくらいなら自ら離れた方がマシだろう。まだ残る傷跡に激しい運動は禁止されてしまった。落ちていくであろう筋肉にため息をつく。せめてばかり気を紛らわす為に書類だけは病室へと運び込んで貰った。それでも無理はするなと睡眠できる程度には減らされたそれに苦笑するしかない。メンバーにも顔色が悪いだなんて言われてしまえば大人しくしざる終えない。リハビリと書類とを繰り返し、出禁にしてしまった彼の姿を2ヶ月は見ていないだろうか。1ヶ月間寝ていたのでそこまでの実感はないが。メンバーにも喧嘩をしたのではないかと心配される始末だ。1ヶ月の期間は頭を冷やすのに事足りたであろうか。情けない。自分の力不足だというのに。彼の事を責め立てるなどお門違いではないか。怒りを通り越して冷静になった頭は今度は自分を責め立てるようになっていた。傷跡はあるものの動き回って良いという許可を得れば久し振りに病室から外へと足を運ぶ。   (2021/7/26 20:48:31)

雫月/tn.病院着から自分の慣れ親しんだ服に袖を通せば、少しばかり痩せてしまったせいか違和感がある。そして、首元のマフラーが無いことに気が付けば、彼からのプレゼントであるそれは何処へ行ってしまったのだろうか。マフラーの在処を聞けば納得してしまった。愛する彼がそれを持っているであろう事実とそして彼が人が変わってしまっただなんて心配するような内容が飛び込んできた。戦場に向かい、帰って来るであろう彼を待ち構えるように門の方へと足を運ぶ。正直どんな顔をすればよいかわからないが。もしかしたら情けのない表情になってしまっているかもしれない。それでも彼に会わずにはいられない。   (2021/7/26 20:48:41)

雫月/tn.((暫く動けてないので筋力も食欲も落ちてます。怒りよりも心配のほうが上回ったので今はお怒りモードではありません。あまり人に当たり散らかすタイプではなさそうだなと。人が変わったみたいですねぐるさん   (2021/7/26 20:50:17)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/7/26 20:50:19)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/7/31 20:48:15)

樂/gr伸びた髪が眼前に落ち、思わず血塗れの手で髪をかき上げた。ナイフを振り銃を下ろし、漸く終わったのだと息を深く吸い込んだ。硝煙の匂い、雨になる前の冷たい風。明日には久々に帰還できるのだが、まだ一つ、どうしてもしなければならない事が残っていた。今夜は野営地で体を休め、早朝に目的の場所へと足を運ぶつもりであった。だが、彼の方が一足早かったのだ。傷の癒えた我が右腕が到着したと報告を受け、顔を伏せたままそうかと答えた。再会すらこんな汚れた体で為さねばならないとは全くついてない。銃をホルスターへしまい砂礫の間を歩いていると、まだ若い敵兵の死体が目に入った。死の間際何を思ったのだろうと、普段ならば考えても仕方ないと割り切るような考えを巡らせてしまう。宿舎へと戻る途中の門前に、二ヶ月ぶりに見た長躯の男の姿があった。数歩前で足を止め、顔を上げて彼を見つめた。随分と痩せてしまった様に見えるその様子に、どれだけ負担をかけてしまった事だと心が痛む。   (2021/7/31 20:48:41)

樂/gr何か言いたげな彼の言葉を受け止めるには、今の己では何もかもが足りていない。普段ならいつまでも見つめていたい宝石の様な赤い瞳から直ぐに目を逸らし、横を通り過ぎながら肩に手を置いた。「やァ、トントン……あの怪我からよくぞ戻った。湯浴みをしたいから一時間程時間をくれ。」髪についた血は乾いて、枯れた花の様に色褪せていた。そのまま門を抜け奥へと進み、テントの中へと姿を消した。 一時間経ち、身体も服もやっと清められた。半乾きの髪を軽く結い、しんと静まり返った野営地の地を踏んだ。皆見張りについているため人出はなく、己を待っている人物は一人しかいない。背後から淡く照らされた闇の中に立つ男の輪郭が浮き立ち、その見事な体付きを魅せていた。夜風に背を押されながら側へ寄り、忘れていた微笑みをぎこちなく浮かべた。「お帰りトントン。戦争がやっと、終わったんだ。その……お前が良ければディナーにしないか。」   (2021/7/31 20:48:51)

樂/grテントに下がるランタンに、数匹の羽虫がついている。パイプでできた簡素な机に無理やりテーブル掛けを置き、簡素な食事の乗せられた四角い皿を二つ置く。マッシュポテトにスクランブルエッグ、炭になりかけたウインナー、網焼きしたパンとコーヒーだ。「二ヶ月前とは違い随分質素だが、食事はこの身が満たされれば良い筈だ……いただこう。」ナイフを取り、ソーセージに当て引く。プツリと皮が弾ける音と、溢れる肉汁が皿に滴り落ちた。口元に運ぶがあまり食欲が無くそのままフォークを下ろす。耳にかけた髪がはらはらと頬へ流れ落ちた。「早朝俺はお前の村へ行くつもりだ。既にお前の恩人が居ない事は明白だが、何かが見つかるかもしれない。俺は今回の事をこの手で幕引きにしたい。お前にも多大な迷惑をかけたな、すまなかった本当に。」   (2021/7/31 20:49:10)

樂/gr((仕事が忙しくなかなか纏まった時間が取れませんでした、遅くなってごめんなさい。とんしのトラウマを掘り起こしてしまった様ですね。怒りモード終わってしまいましたか!けど飲み込もうとするとんしも男らしくて好きです。   (2021/7/31 20:50:54)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/7/31 20:50:58)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/8/5 19:58:09)

雫月/tn.療養期間も相まってリハビリ程度しかしていなかったせいか何時もよりも体力が落ちてしまったのだろう。彼の元へと歩を進めるだけでも少し疲れを感じてしまう。ようやく療養がとけ遠出の許可も降りた。実に2ヶ月ぶりに顔を合わせる彼はどのような表情を見せるだろうか。己は一ヶ月ばかり意識を失っていたせいか一ヶ月しか会ってない感覚だが彼はその倍会っていない感覚だろう。あの時ひどい言葉をかけ彼を傷つけてしまった負い目がある。彼も仕事で出向いた先で襲われたに過ぎない。怖い思いさえした彼に寄り添ってあげなければならない立場ではなかったのか。あの時は冷静な頭ではいられなかった。彼に触れたあいつが許せなかったのだ。久し振りに見た彼はずいぶんとやつれてしまったように見える。無理もない。言葉を発するよりも先に彼の方から声がかかる。   (2021/8/5 19:58:20)

雫月/tn.横を通り過ぎざま肩へと手を置いた彼を横目にチラリと見る。首には痛々しい傷の跡が見える。あれが何を意味するかなんていくら鈍くても分かってしまう。触れられたであろうその箇所に堪らなくなり傷をつけたのだろう。彼の言葉に返答しようと口を開くと妙に喉がつまり言葉が上手く出せない。分かったなんて簡素な言葉を返せば彼の背を見送る。彼が見えなくなるとギュッと拳を握り締める。気の利いた言葉一つ発する事が出来ない不器用さに腹正しくさえ思ってしまう。彼を待つ間、ぼんやりと夜の闇へと視線を向ける。思う所は色々とあるが今は普段通りに接するように心掛けよう。そう決意すればいつの間にか戻ってきた彼からディナーのお誘いを受ける。   (2021/8/5 19:58:30)

雫月/tn.2ヶ月前に食事したよりも簡素で質素なそれは今の自分には十分ほどの食事だ。簡素な食卓へと付けばフォークへとソーセージを突き刺すが思ったよりも食欲が無いのか刺したままのそれは皿の上に置かれるのみになる。病み上がりだからという理由ではない。彼に対する複雑な思いが頭を巡り、何かを口にするにはそれどころではないといった所だ。彼の口からこぼれ落ちた言葉に視線を彼へと移す。彼が何故あのような真似をしたのか一瞬で理解した。自分の為そう理解した瞬間にフォークを掴む手が震える。「あんた馬鹿やろ?そんなん望んでへんって…それであんな目にあうとか…ほんま…」言葉がそこで詰まる。あそこに行った所で何もない。己の手で火を放ってもはや何も残っていないだろう。全員生き残っている奴はこの手で葬り去ってしまった。「あんたがおるだけで十分やのに…」   (2021/8/5 19:58:38)

雫月/tn.((お仕事お疲れさまです。暑いと何もする気力が起きませんね。樂さんも無理せず休めるときは休んでくださいね   (2021/8/5 19:59:33)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/8/5 19:59:36)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/8/11 21:53:09)

樂/gr静寂がやけに張り詰めた空気を与える。私の愚行に震えだした優しい恋人の黒い前髪が不揃いなのを、変に冷静な頭ですらひたすらに懐かしく感じる。二箇月の月日は私と彼の関係を変化させてしまったのは明白だった。私はそれ程までの事をしてしまったのだ。しかし戦場から帰還したばかりの熱された脳味噌と、久々に顔を見せた己の本心とが、彼を愛していると喧しく訴える。フォークを置き、静かに立ち上がる。机の前まで歩み出ると引出しの中からボロボロの外装の手帳を取り出した。空軍に所属していた時代から現在まで長年使い続けた思い出の品だ。その間に挟んであった写真を数枚手に取ると、手帳は再び大切にしまい、彼の前の席へと戻る。その写真をお互いのディナーの真ん中へ置き広げて見せた。一人で抱えてきた件だったが、彼には事の顛末を見届けて欲しかったのだ。   (2021/8/11 21:53:57)

樂/gr「既に自然に還り、懐古の念すら湧かないだろうが、奴らの言う事を信じるのならここがお前の故郷の村の様だ。朽ちた建物には僅かに特徴的な色のレンガが見える。お前は恩人の死んだ瞬間は見ていないと、そう言っただろう。どこか心でその事実が燻ぶったんだ、もしも生きているのなら立派になったお前を紹介したいし、お前の笑顔が見れると思ったから。」しかし結果的に彼を大いに傷つけた私の罪は重い、その贖罪はどのように果たされよう。それは恋人の手に委ねることとなる筈だ。彼が写真に目を落として、宝物を失くした子供の様な目で記憶の欠片を拾い集めようとしていた。私はフォークを手にし、付け合わせのマッシュポテトを少しだけ口へ入れた。   (2021/8/11 21:54:11)

樂/grその夜は別々のテントで休む事となった。私は未だ仕事が残っていたし、本調子ではない奴が仕事を横取りしてくるのも、普段は有難い申し出だが今は憚られる。近くの川の音に交じり、ジージーとしたノイズ交じりの耳障りな音がする。停戦するまでに浴びた数々の暴力的な音による耳鳴りが、夏に鳴く虫の様に聞こえていた。午前二時頃、ようやく全ての仕事が済んだ、これから国へ帰れば終戦の準備などで忙しくなる。大の男一人がやっと横になれるような狭いベッドに腰かけ眼鏡を外す。奥から静かに息を吐き切りながら、妙に重たい身体を横たえると、温かい闇が出迎えてくれた。   (2021/8/11 21:54:23)

樂/gr早朝。この辺りは朝方は良く冷え込んだ。普段は鬱陶しい長い髪も、寒さ対策と思えば悪くはない。外套を羽織り赤いマフラーを首に巻いてテントの外へ出ると、既に起きて装備を整えていたトントンの姿を見つけた。己の願いを叶えてくれるのだ、優しすぎるところは何年たっても変わらない。少し離れている上、道は険しい場所もあるだろうと馬を用意させると、朝食と水筒、それから多少の装備を鞄に詰め込んだ。コンパスと地図、鉛筆を胸ポケットに押し込んでから、我が右腕を振り返る。「では行こう。ここからなら二時間もすれば着くはずだ……身体が辛くなったら直ぐに言うんだぞ。」   (2021/8/11 21:54:35)

樂/gr((ひええええ書いて満足してしまってました!投下し忘れてました…毎日暑くて脳がバグりそうです、てかバグってましたね…とんとんくんを連れ出して一緒に村へ行こう選手権を勝手に開催しました!   (2021/8/11 21:56:33)

おしらせ樂/grさんが退室しました。  (2021/8/11 21:56:37)

おしらせ雫月/tn.さんが入室しました♪  (2021/8/17 07:59:45)

雫月/tn.辺りが静寂に包まれ此処が戦場である事さえ忘れてしまいそうな静けさだ。風の音さえもほとんど聞こえない。静寂の中、彼の呼吸音だけが聞こえてきそうなそんな静寂だ。静かに彼が立ち上がる。彼の一挙一動を見落とすまいとフォークに刺したままのウィンナーを皿へと置く。彼が大切にしてるであろう使い込まれた手帳を取り出せばその中から数枚の写真を取り出す。テーブルの上へと広げられたそれは懐かしささえ思える朽ちてはいるが特徴的な建物の外観を残したそれが写り込んでいる。懐かしくも思えるが忌々しくも見える故郷のそれに目線を落とす。彼がそれを大事に保管している事に驚きは隠せないが彼の続けた言葉に納得がいく。   (2021/8/17 08:00:01)

雫月/tn.「あんたが何の為に無茶をしたかは分かったわ。」2ヶ月の月日無駄に過ごしていたわけではない。一ヶ月は気を失っていたが、起きてすぐに探りはいれさせていた。彼が何の為に無謀な事を行ったのか。自分の為に行われたであろう行為であることは何となく察してはいたが、彼の口から聞かされる事となると少しばかり驚かされるものだ。彼が自分の恩師を探しているとそう口にすると、苦々しい表情を浮かべる。恩師である人物を思い出さない訳ではないが、長い年月は既に過去の人と成り果てていた。勿論恩を忘れたわけではない。しかし、今は目の前の彼に恩を返すその一点だけが頭を締めている。「少し考えさせてくれへんか?」すぐに返答を返すには色々と巡る思いにより整理が必要だ。彼もそれを了承してくれそこで解散となる。口を付けなかった食事に少しばかり罪悪感はあるが今は喉を通らなかった。   (2021/8/17 08:00:09)

雫月/tn.別々のテントへと足を運ぶ。今はそれが有り難かった。隣に彼がいれば考えることさえままならなかったであろう。手狭いであろう寝所に身を預ける。眠気はまだ来ない。眠れるような心境ではなかった。ぐるぐると巡る思考が頭を冴えさせるには十分だった。焼き捨てた故郷へと足を運ぶのは躊躇われた。悪い思い出ばかりの多いそこは同時に良い思い出もある。恩師と過ごしたその土地は出て行く前に死んだと思った恩師の墓が建てられている。随分と足を運んでいないが既に朽ちて壊れてしまっているかもしれない。深く息を吐くと覚悟を決めたように片手を上げ握りしめる。どうせここで行かない選択をしても彼は一人でも行ってしまうだろう。それならば共に行くのが安全であろう。彼が自分の見ていない所で怪我をするのは二度とあっては行けないことだ。   (2021/8/17 08:00:17)

雫月/tn.翌朝、日も上がりきっていないであろう頃に目覚める。装備を整えると暫く使用していない愛用の剣を掴み腰へと添える。手に馴染むそれは2ヶ月触れていなかったとは思えない程に馴染む。首元に巻く筈のトレードマークのそれは今は首元にはない。少しばかり冷えるが問題はないだろう。準備をととえていると足音が聞こえ振り返る。彼の首に巻かれたそれに目線を向けた後に軽く挨拶を済ませる。彼も準備を済ませると用意されたであろう馬の手綱を掴むとその背へと飛び乗る。「そんなにやわやない。心配せんでも大丈夫やって。あんたこそ戦争の疲労があるんやから無茶せんとってな」軽口を叩ける程度には回復したらしい。まだぎこち無さは感じるが時期に時間が元の関係へと戻してくれるだろう。故郷を思い、前を進む彼の後を追いかける。風が頬を撫でていく。故郷に想いを馳せて馬に身を委ねる。   (2021/8/17 08:00:26)

雫月/tn.((遅くなりました申し訳ない。この時期は風邪引くと治りにくいですな。治すのに一週間かかりました。素直についていくことにしました。多分ついていくだろうなとは思ってたので   (2021/8/17 08:01:34)

おしらせ雫月/tn.さんが退室しました。  (2021/8/17 08:01:36)

おしらせ樂/grさんが入室しました♪  (2021/8/23 22:01:01)

樂/gr背の高い軍用馬に一気に上がる長躯の男は、二ヶ月前より随分痩せた。身軽になったせいか脚の上りもよさそうに見えた。鞍に体重が掛かると、流石の重量に馬が数歩身じろいだ。血の通わぬ脚では、彼のように身を翻す訳にもいかず、柵に脚をかけて体を持ち上げ、不恰好に馬の背を跨いだ。普段ならば誰かの手を借りていた所だが、今の己に手を差し伸べるものは居ない。二ヶ月前ならきっと、トントンの優しく強い手が俺を支えてくれた事だろう。汚れた俺の身体には触れたくないのだろうし、清廉潔白なこの男に触れる事は今の己には出来ぬのだ。手綱を指に挟んで馬の首を向け、直ぐに追いついて彼の隣へと立ち並ぶ。赤いマフラーは首の傷を覆い隠すのに丁度良かったし、傷を抉るように沁みる風から守ってくれる。そうして彼はいつも離れず守ってくれていたのだ。   (2021/8/23 22:01:16)

樂/gr歩む栗毛の腹を蹴りつけて走らせると、朝方の風と陽光が木々の合間から降り注いできた。特に言葉を交わすでもなく山から降りてきた流水のある場所で馬を休ませる。草を喰ませている間は人間も休憩の時間だ。夜露の降りた朽木に腰掛け一息つけば、虫を追い払おうと馬の背の波打つのが遠巻きに見えた。長いマフラーが汚れぬようたくし上げて腹に抱え、隣に来たトントンに鞄から取り出したサンドイッチを寄越し、保温された熱いコーヒーをホーローのカップに注ぐ。鳥の声を聞き森林浴をしながら食べる朝食とは風情があるなと、僅かばかり気分も浮上する。「美味しいな、これ。」硬くなったライ麦のパンを無理やりスライスし、チーズとハムを挟んで焼き目をつけただけのものが、普段よりも随分と旨く感じる。なかなか食の進まない彼に目を移し、率先してガブリと齧り付いて見せ、食べるように促す。   (2021/8/23 22:01:32)

樂/grあんなに食べる事が好きだったトントンがこんな風になってしまったのは、体が弱ったからだけとは思えなかった、少なくとも怪我を含め理由の殆どは俺なのだ。コーヒーを一口飲んで、苦味走る舌はそれ以上の言葉を紡ぎ出せなくなってしまった。残りのパンを無理やり胃に詰め込んでから、わざとらしく膝を叩いて立ち上がった。「地図が正しければここから30分程度だ、もうすぐ着くな。何か手掛かりがあれば良いのだが……もたもたしていたら置いていくぞ?」   (2021/8/23 22:01:46)

樂/gr日が陰って来たのか、先刻まで晴れていた空は瞬く間に灰色に変わる。樹々の落とす影は暗さを増して、朝なのにそうとは思えない程であった。馬が枝や根を踏む音が響き、しんと静まり返る森の奥へと進んでいくと、徐々に視界がひらけて踏み固められた道が見えて来た。僅かに葉影から建造物の残骸が見えると、焦げたレンガを見、あの写真と同じものだと確信した。後ろからついて来ているトントンを振り返ると、彼の顔色はあまり良い風には見えない。「……どうやら着いたようだが、辛いのならここで馬を見ていてくれ。俺が一人で見てこようと思うのだが。お前は、どうする?」   (2021/8/23 22:01:57)

2021年05月29日 11時13分 ~ 2021年08月23日 22時01分 の過去ログ
例え神だろうと
現在のルーム
過去ログ一覧
▲このページの先頭に戻る


クッキーの使用について | 広告掲載募集

(C)2009-2024 チャット ルブル <info@chat.luvul.net>